「甲の薬は乙の毒」という言葉があります。
たとえばトランプ大統領の移民規制や保護貿易主義的政策は、アメリカの一部の人たちには薬ですが、世界にとっては毒です。
ただ「甲の毒は乙の薬」でもあります。
トランプ大統領の親プーチン外交は、アメリカ国内では圧倒的に反対されていますが、世界にとっては薬です。
 
7月16日の米ロ首脳会談でトランプ大統領がプーチン大統領と親密さを見せつけたことについて、アメリカ国内であまりにも反対が強いので、トランプ大統領は米大統領選へのロシア介入疑惑を否定したことについて、17日の記者会見で「二重否定にするべきところを言い間違えた」と苦しい弁解をしました。
これでトランプ大統領は軌道修正をするのかと思ったら、19日には「ロシアとの首脳会談は大きな成功だった」とツイートし、会談に否定的なメディアを「真の国民の敵であるフェイクニュースのメディア」と攻撃しました。そして、プーチン大統領を今秋にワシントンに招待する方向で調整するように指示したということです。
 
トランプ大統領は17日には「敵意や衝突よりも、外交と契約の方が素晴らしいという強い信念で首脳会談に臨んだ」と語っています。
これは正論です。この点についてはアメリカの世論よりもトランプ大統領のほうが正しいといえます。
 
 
トランプ大統領は、米朝関係でもかなり正論を言っています。
たとえば米韓合同軍事演習を中止したことについて、「演習は高くつく」「(北朝鮮に対して)非常に挑発的だ」と言っています。
 
日本では米朝合意について、非核化の道筋がはっきりせず、北朝鮮の時間稼ぎに使われているという批判があります。
しかし、非核化は最終目的ではありません。あくまで平和が最終目的です。
もし平和が達成されたら、核兵器はあってもなくてもどうでもいいことです。
 
たとえば南アフリカは1980年代に秘密裡に核開発し、核保有国になりました。当時はアパルトヘイト政策をとっており、周辺の黒人国への恐れからとされます。
南アフリカはアバルトヘイト政策をやめるとともに、1990年にみずから核保有国であることを公表し、IAEAの監視のもとで核兵器を廃棄しました。
また、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンはソ連の崩壊によって独立し、同時に核保有国になりましたが、核兵器は段階的にロシアに移管され、今では非核保有国です。
つまり核兵器は、その国が必要ないと判断すれば、自主的に廃棄されるものです。
 
北朝鮮も、アメリカ、韓国、日本と友好関係を確立し、もう攻撃される恐れがないと判断すれば、自主的に廃棄することがありえます。
逆に、アメリカなどが強硬に核廃棄を迫れば、核廃棄すれば攻撃されるという恐れを強くして、ますます核兵器にしがみつくということになります。
そうすると、核廃棄を後回しにするというトランプ大統領のやり方が結果的に核廃棄を実現させるということも十分に考えられます。
 
ともかく、トランプ大統領がプーチン大統領や金正恩委員長と親密であるのは、アメリカの体制派や日本の対米従属派にとっては毒ですが、世界にとっては薬です。