全国戦没者追悼式における安倍首相のあいさつについて、新聞各紙は「加害責任に触れず」といった見出しをつけています。
この加害責任はもちろん、日本のアジアに対するもののことですが、加害責任にはもうひとつ、アメリカの日本に対するものもあります。
 
日本軍がアメリカの民間人を殺したのは、真珠湾攻撃で民間人に68人の死者が出たことぐらいしかありません。
一方、アメリカ軍の日本本土空襲によって、30万人から50万人の民間人が殺されました(100万人という説もあります)
沖縄戦では多数の民間人が亡くなっていますが、これは戦闘に巻き込まれたという見方もできます。
しかし、本土空襲は民間人を狙ったものでした。
また、民間人がグラマンの機銃掃射を受けたという体験談もいっぱいあるので、アメリカ軍の行為はかなり悪質です。
 
安倍首相は日本人犠牲者のためにもアメリカの加害責任に言及するべきです。
もっとも、そのためには日本のアジアに対する加害責任を認めなければなりませんし、アメリカに対する先制攻撃、つまり侵略戦争をしたことについても謝罪しなければなりません。
 
原爆投下も含めてアメリカの非人道的な大量虐殺に対して、日本人がなにも感じていないはずはありません。しかし、安倍首相は今年の広島と長崎の平和祈念式におけるあいさつでも、アメリカのアの字も言いませんでした。
安倍首相がアメリカの加害責任に言及すれば、アメリカ政府あるいはアメリカの世論が反発して、激しい論争が起こるかもしれません。
しかし、信頼関係というのは、そういう本音をぶつけ合うことから生まれるものです。
それに、その論争の中から植民地主義や人種差別への反省が生まれれば、世界にとってもよいことです。
 
安倍首相はつねに「日米関係の強化」を言いますが、アメリカの加害責任を口にできないのでは、いつまでたっても偽りの関係です。
アメリカの加害責任を追及せずに日本人の戦争犠牲者の慰霊はできません。