安倍首相は自民党の改憲案を次の国会に提出する意向を表明し、それに対して石破茂氏が「スケジュール感ありきでやるものではない」と批判し、改憲問題が総裁選の争点になってきました。
しかし、安倍首相の正確な発言を見てみると、決して次の国会に改憲案を提出するとは言っていません。
 
安倍首相は8月12日、下関市での講演において、憲法改正について「いつまでも議論だけを続けるわけにはいかない。自民党としての憲法改正案を次の国会に提出できるようとりまとめを加速すべきだ」と述べました。
どの記事を見ても同じ表現です。
「次の国会に提出できるようとりまとめを加速すべきだ」ですから、次の国会に提出するとは言っていません。
安倍首相は節目ごとに「改憲への意欲」を表明してきましたが、まったく進展はありません。私はこれを「改憲やるやる詐欺」と言っています。
 
安倍首相は昨年の5月3日の憲法記念日に、九条の1項と2項はそのままに、自衛隊を明記した3項を追加するという案を提示し、年内にまとめると明言しましたが、まとまりませんでした。
そして今年の3月、自民党憲法改正推進本部の全体会合において、改正案のとりまとめを細田博之本部長に一任することになりました。
 
一任をとりつけた細田本部長はその後、改正案をとりまとめたのでしょうか。安倍首相が「とりまとめを加速すべきだ」と言ったところを見ると、なにもやっていなかったようです。
 
そもそも九条加憲案というのは、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」と書かれた次の行に「自衛隊を保持する」と書くわけですから、そんなものはまとまるはずがありません(自衛隊を「実力組織」として「戦力」と区別する案が示されていますが、所詮はごまかしです)
 
安倍首相としては、総裁選に出馬するのになにも訴えることがありません。アベノミクスは惰性ですし、外交は全方位で行き詰まっています。そこで、「改憲に意欲を燃やしている」という演出をしたのでしょう。
しかし、安倍首相は2015年に解釈改憲をやって新安保法制を成立させたので、もはや改憲する意味がほとんどなくなっています。
 
このところの安倍首相は、「小人閑居して不善をなす」を地でいっていて、カジノ法案を成立させたり、サマータイム制度の検討を党に指示したりと、ろくなことをしません。
首相の椅子にしがみつくことしか考えていない人間はみっともないものです。
 
石破氏は「スケジュール感ありき」を批判しましたが、私の考えは逆です。
安倍首相は改憲のスケジュールを公約にして、改憲の発議まで持っていくべきです。
もちろん国民投票をすれば改憲案は否決されるはずです。
そうすれば、日本の政治から改憲問題がなくなり、必要な課題にエネルギーを集中できます。
 
改憲問題がなくなることも“戦後レジームからの脱却”です。