トランプ大統領の政策は、その多くが人種差別的です。メキシコの壁建設や移民排斥はもちろん、オバマ政権の政策を次々とくつがえしていったのも、オバマ大統領が黒人だったからです。
そして、トランプ大統領の政策は、宗教的でもあります。イスラエルの首都をエルサレムと認定し、アメリカ大使館をエルサレムに移転しました。イランを徹底的に敵視し、同盟国であるトルコとも対立している裏には、反イスラム感情があることは明らかです。
 
ところが、日本のマスコミはトランプ大統領の政策が人種差別的で、宗教的であるという事実をまったく伝えようとしません。
朝日新聞は比較的トランプ政権に批判的かと思いますが、批判的なのは主に社説や解説などで、事実を伝えるニュースではまったく逆です。
 
たとえば、トランプ政権は国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への拠出金を完全に停止することを決め、これによってUNRWAの資金が9月末に尽き、パレスチナ難民とその子孫約530万人の人道危機が深刻化するという記事を朝日新聞が書いています。
 
米、拠出金を完全停止か 国連のパレスチナ難民支援
 
なぜトランプ大統領がこうしたことをするのかというと、なによりもパレスチナ人を差別していて、パレスチナ人のために金など出したくないからです。もちろんパレスチナに人道危機が生じても平気です。
ところが、朝日新聞の記事ではトランプ政権の意図をこのように“忖度”します。
 
 UNRWAは49年設立。パレスチナ自治区や隣国のヨルダン、レバノン、シリアで教育や医療、食料配布などを行っている。米国は、2016年の拠出金総額約12億4千万ドル(約1364億円)のうち、3割にあたる3億6千万ドル(約396億円)超を拠出する最大の支援国だった。だが今年は6千万ドル(約66億円)しか拠出していない。トランプ政権は24日、これとは別にパレスチナ自治政府に向けた2億ドル(約220億円)の経済支援の撤回を表明。米国が仲介するイスラエルとの和平交渉を拒否するパレスチナ自治政府に圧力をかける「兵糧攻め」が狙いだ。
 トランプ政権が難民問題でもイスラエル寄りの姿勢を鮮明にしているのは、11月の米中間選挙を前にキリスト教福音派の支持を確実にしたい思惑があるとみられる。
 
トランプ政権の「狙い」と「思惑」を書いていますが、その根拠は示されません。
そもそもこの記事はニュース解説ではないので、トランプ政権の「狙い」とか「思惑」を推測して書く必要はありません。
しかし、事実だけを書くと、トランプ政権はパレスチナに人道危機を引き起こすひどい政策をしているということがあらわになってしまいます。そのため「狙い」や「思惑」を書き足して、悪い印象を中和していると思われます。
 
この記事は9月2日付のもので、トランプ政権が拠出金を停止することはまだ確定的でありませんでした。アメリカ国務省が公式に発表したのを受けて、翌日に同じような記事が書かれています。
 
米、パレスチナへ再び圧力 難民支援への拠出金、完全停止
 
この記事にもやはり、根拠のない「狙い」と「思惑」が書かれています。
 
 トランプ政権は、米国が仲介するイスラエルとの和平交渉を拒否するパレスチナ自治政府に圧力をかける狙いがある。11月の米中間選挙に向け、イスラエル支持者が多いキリスト教福音派の支持を確実にする思惑もあるとみられる。
 
朝日新聞はどうしてもトランプ政権が人種差別的で反イスラム的であるという印象を消し去りたいようです。
 
 
そもそもパレスチナ支援の問題は、オバマ大統領の時代からオバマ対トランプの争いの種でした。
 
オバマ大統領は大統領の座にある最後の日にパレスチナ支援を決めました。これは小さなニュースでしたが、深い意味がありそうで印象に残っています。
 
大統領最後の日、オバマはパレスチナに2億ドルを贈った
 
この記事から3か所を引用します。
 
 バラク・オバマ前大統領はその任期最終日に、22100万ドルをパレスチナに拠出していたことがわかった。
(中略)
 パレスチナへの資金拠出は、2015年と2016年に議会で承認されたものだが、多数派の共和党議員が拠出の実施に反対していた。この反対には法的拘束力がないため、オバマ政権は、120日にドナルド・トランプ新大統領がホワイトハウス入りする数時間前に手続きを進めた。
(中略)
オバマが大統領としての最終日にパレスチナ寄りのジェスチャーを見せた背景には、トランプの政権移行チームが、在イスラエル米国大使館をテルアビブからエルサレムへ移すと公言していたという状況がある。エルサレムは将来のパレスチナ国家の首都としても望まれている聖地であり、もし実行されれば、和平協議は完全にとん挫しかねない。
 
 
しかし、それに対してトランプ大統領は、2017年1月20日に就任すると1月24日にはパレスチナへの拠出を見直すと発表しました。
 
 
トランプ大統領がオバマ前大統領の「22100万ドル」の供出を凍結した理由
 
 
要するにトランプ大統領がパレスチナ支援をしたくないのは、反オバマ、反パレスチナ、反イスラム、親イスラエルの感情からで、これは就任のときから一貫しています。
朝日新聞が書く「米国が仲介するイスラエルとの和平交渉を拒否するパレスチナ自治政府に圧力をかける狙い」というような立派な政治的意図があるはずありません。
 
朝日新聞に限らず日本のマスコミはつねにアメリカ、そしてトランプ政権を美化しています。
米軍基地の辺野古移設の問題にしても、代替基地を日本がつくるまで危険な普天間基地を維持し続けるというアメリカの日本人の命を軽視する姿勢が根本にあるのに、そのことにはまったく触れません。
こういうマスコミの姿勢が日本とアメリカの関係をゆがめ、日本の自立をはばむ大きな原因になっています。