自民党総裁選は安倍晋三首相の三選という結果でしたが、石破茂氏が意外な善戦をしたのは、やはり安倍首相にうんざりしている議員、党員が多かったからでしょう。
 
総裁選を見ていると、つくづく自民党はおかしな政党だと思います。
たとえば、党本部での投開票が終わったあと、橋本聖子議員の音頭で万歳三唱が行われましたが、橋本議員は「ご唱和お願いいたします。日本国・自由民主党、万歳、万歳、万歳」と言いました。
つまり日本国と自民党を並べたのです。
本物の右翼が聞いたら、日本をバカにしているのかと怒るところです(日本に本物の右翼はほとんどいません)
 
また、自民党は党大会などでいつも日の丸を掲げています。国の行事でもないのに日の丸を掲げるのは、国旗の私物化です。
 
自民党に党旗はないのかと調べてみたら、ありました。
しかし、これは天皇旗の中に「自由民主党」という文字を入れたもので、これについては実際に右翼が激怒したという話があります。そのためかほとんど使われず、自民党のホームページにも載っていません。
 
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自民党はあまりにも長く政権の座にあったために、国家と党の区別がつかなくなっています。共産主義国における国家と共産党の関係と同じです。
「公私混同」ならぬ「国党混同」です。
「日本を取り戻す」というスローガンにもそれが表れています。
自民党の憲法観は、憲法は国家権力を規制するものではなく国民を規制するものだというものですが、これも党と国家が同一視されているからです。
 
 
今回の総裁選で安倍陣営は水面下で議員や地方に相当な圧力をかけていたようで、ある神戸市議はフェイスブックに「官邸の幹部でもある、とある国会議員から、露骨な恫喝、脅迫を私達地方議員が受けており、最早地方議員の人格否定ともいえる状態になった」と投稿しましたし、斎藤健農水相は「石破さんを応援するなら辞表を書いてからやれと言われた」と表明しました。また、石破支持派を人事で干すということも語られていました。
それに対して麻生太郎財務相は「冷や飯を食うくらいの覚悟で戦うのが、当たり前」と開き直りました。
 
自民党においては、選挙戦は正々堂々とやるものではありません。
昔の自民党の総裁選はカネが飛び交ったといわれます。総裁選は派閥同士の争いで、派閥そのものが親分が子分に渡すカネで維持されていました。
小選挙区制の導入で自民党の体質も派閥中心から執行部中心に変わったので、今回の総裁選でカネが飛び交ったという話は聞きません。その代わりに人事権を背景にした圧力だの脅迫だの冷や飯だのという話になりました。
要するに金権選挙がパワハラ選挙に変わったのです。
 
スポーツ界のパワハラは若い選手が気の毒ですが、自民党内でのパワハラは、いやなら自民党をやめて別の党に行くこともできるので、麻生財務相が言うように覚悟するべきだということもいえます。
 
しかし、自民党は長期政権の座にあり、「国党混同」の党でもあるので、自民党の体質は日本全体に広がっています。
金権パワハラに加え、森友加計のようにコネのある者が得をし、逆らう者は冷や飯を食わされるという国です。
 
自民党政権を終わらせなければ今の日本の閉塞感もなくなりません。