今年のノーベル平和賞に決まったコンゴの婦人科医デニ・ムクウェゲ氏とイラクのナディア・ムラド・バセ・タハさんは、どちらも戦時下の性暴力と戦ってきた人です。
「戦時下の性暴力」といえば、日本の場合は従軍慰安婦の問題がありますが、これがひじょうに情けないことになっています。
 
吉村洋文大阪市長は、10月2日付けで姉妹都市の解消を通告する公開書簡をサンフランシスコ市長宛てに送付しました。姉妹都市を解消する理由は、サンフランシスコ市の市有地に慰安婦像と碑が設置されたことです。
 
その公開書簡は次で読めます。
 
サンフランシスコ市長宛公開書簡(参考和訳)
 
吉村市長は書簡の中で「女性の尊厳と人権を守る活動については大いに取り組むべき」と述べていますが、やっていることはまったく逆で、人権感覚のなさを世界に発信しています。
 
そもそも慰安婦問題は日本と韓国の問題ですが、いつのまにか大阪市とサンフランシスコ市の問題になっています。
しかも、「慰安婦」問題ではなく、「慰安婦像」問題になっています。
すっかり矮小化されているのです。
 
 
矮小化といえば、旭日旗問題もそうです。
韓国の済州島で1011日に開かれる国際観艦式で、韓国は自衛艦に旭日旗を掲揚しないよう日本に要請してきましたが、日本はそれを拒否し、観艦式に参加しないことを決めました。
これもほんとうに小さな問題です。
自衛艦が旭日旗を掲揚しようがしまいが、国益になんの関係もありません。
 
韓国が旭日旗にこだわるのは、いまだに植民地支配の屈辱があるからだろうと想像できます。
では、日本が旭日旗にこだわるのはどうしてでしょうか。
いまだに軍国主義時代を正当化したい人たちがいるからということもあるでしょう。
しかし、それだけとは思えません。
やはり日本人にも屈辱があるからです。
 
日本人は外交でつねに屈辱を感じています。
アメリカに関しては、最近のことに限っても、辺野古にアメリカの基地をつくらされ、そこまでしても自動車に関税をかけるぞと脅かされて、二国間交渉を飲まされました。
ロシアに関しても、日本は経済協力はしても北方領土返還の約束は得られず、プーチン大統領に前提なしに平和条約を締結しようと言われても安倍首相はニヤニヤ笑いを浮かべるだけです。
 
欧米には卑屈で、アジアには傲慢というのが日本人の伝統的な態度でしたが、最近は中国の力が強くなってきたので、中国に対して傲慢な態度はとりにくくなりました。
ですから、日本人が傲慢になれるのは北朝鮮と韓国に対してだけです。
 
日本と韓国は間接的な同盟国であり、経済的にも密接につながっているので、決定的に対立するわけにはいきません。
その点、慰安婦像や旭日旗はあくまでシンボルですから、日韓ともに屈辱を晴らす材料としてはちょうどいいわけです。
 
それにしても、日本は韓国の旧宗主国ですから、同じレベルで対立しているのは情けないことです。
いや、韓国とのことはそれほど重要ではありません。
問題は対アメリカです。
 
日本政府はオリンピックに備えて羽田空港の国際線の発着便をふやそうとしましたが、アメリカが認めないためにうまくいかないということをNHKがスクープしました。
 
 
羽田空港 新飛行ルート 日米の調整難航で運用できないおそれ
2018104 442
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港の国際便の発着便を増やすための新たな飛行ルートをめぐって、日本とアメリカの間の調整が難航し、運用できないおそれが生じていることがわかりました。政府内からは、外国人旅行者を2020年までに4000万人にするという目標に影響が及ぶことを懸念する声も出ています。
東京オリンピック・パラリンピックに向けて、政府は、羽田空港の国際線の発着便を大幅に増やそうと、先に東京都心の上空を通過する新たな飛行ルートを2020年までに設ける方針を決め、関係自治体などを対象に説明会を開くなどして理解を求めています。
 
一方、この新たな飛行ルートは、在日アメリカ軍横田基地が航空管制を行う空域を一時的に通過することから、政府は、羽田空港を発着する航空機の上空通過を認めるとともに、航空管制も日本側が行うことを前提に、アメリカ側と調整を続けてきました。
 
しかし、アメリカ側が、ことし夏ごろになって、上空通過も日本側が航空管制を行うことも認められないという意向を伝えてきたため、飛行ルートが運用できないおそれが生じていることが政府関係者の話でわかりました。
 
このため政府は、危機感を強めアメリカ側との協議を続けていますが、事態打開の見通しはたっておらず、政府内からは、安倍政権が掲げる外国人旅行者を2020年までに4000万人にするという目標に影響が及ぶことを懸念する声も出ています。
 
これは日本の国益の問題です。
私はこのニュースを受けて、「アメリカはけしからん」という声が上がるかと思いました。その声が大きければ、日本政府の後押しになって、交渉が有利に運ぶということがありえます。
しかし、そうした声はほとんど上がりません。
日本政府だけでなく、日本人もアメリカに対して卑屈であるようです。
日本人がこういうメンタリティーである限り、沖縄の基地問題の解決も遠そうです。