トランプ政権は、万国郵便条約からの離脱表明に続いて、ロシアとの中距離核戦力(INF)全廃条約からの離脱を表明しました。
トランプ流がますます加速しています。
マティス国防長官の辞任も取り沙汰されています。
マティス長官はトランプ氏の暴走を止める重しとしての役割を期待されていますが、もともとは“狂犬”という異名を持ち、危険な国防長官と見られていました。トランプ政権の陣容がどんどん変化して、かつての“狂犬”が今は穏健派の位置づけになったわけです。
 
そうした中、ペンス副大統領が10月4日にアメリカのシンクタンク、ハドソン研究所で行った演説が注目を集めています。
 
【ペンス副大統領演説:全文翻訳】「中国は米国の民主主義に介入している」:ハドソン研究所にて
 
要するに中国を徹底的に“悪の帝国”か敵性国家と見なした演説です。
これはアメリカが中国に対して覇権争いをするという宣言と理解されています。
トランプ大統領のことですから、ペンス副大統領の言うこととまったく違うことをするということもありそうですが、このところトランプ大統領は中国にきびしい政策をとっているので、これは政権の方針なのでしょう。
 
アメリカと中国が覇権争いをするということは、日本にとってはチャンスでもあります(戦争にならなければという条件つきですが)。両者の間でうまく立ち回ればいいわけです。
もっとも、日本の外交力ではなにもできそうにありません。安倍首相はちょうど今月25日から訪中することになっていますが、パンダ貸与を要請しているという話があります。安倍政権にとってはパンダをもらうことが“外交の成果”なのでしょう。
 
 
今の国際社会は力のあるものが支配する社会です。
トランプ政権はもっとも基本となる国家安全保障戦略において「力による平和」をうたっています。この「力」はもちろん「アメリカの力」のことです。アメリカに従えば平和になるが、アメリカに逆らえば戦争になるということです。この方針はトランプ政権に限らずアメリカの基本的な方針です。
 
アメリカが力で世界を支配してもアメリカが公正な国ならそれでもいいという考え方があるかもしれませんが、アメリカは公正な国ではありません。
アメリカは国際連盟に加盟しませんでした。国際連合には加盟しましたが、常任理事国には拒否権があるからです。国際司法裁判所にも国際刑事裁判所にも参加していません。
つまりアメリカは自分勝手にふるまうというポジションをつねに確保しているのです。
 
中国はアメリカのふるまいを見て、自分も同じことをするようになってきたわけです。
覇権争いが生じるのは必然です。
 
アメリカと中国の覇権争いにおいて、日本はとりあえずアメリカについていくことになります。
しかし、覇権がアメリカから中国に移ると、今度は中国についていくことになります。
覇権主義の支配する世界では、国益を考えるとそうするしかありません。
 
民主主義国のアメリカと独裁国の中国は違うという意見もありそうですが、それは国の内部の違いで、外から見たらどちらも同じ覇権国です。
 
民主主義を言うなら、国際社会が民主化されなければなりません。
つまり国際法が民主的に決められ、すべての国が国際法に従うようになればいいわけです。
これは具体的には国連中心主義ということになりますが、これまで日本ではアメリカべったりの国際政治学者がさんざん国連をおとしめてきたので、最近国連中心主義ということはあまり言われません。
だったら、「国際社会の民主化」と言えばいいわけです。
民主主義の価値を信じるなら、「国際社会の民主化」を実現するしかありません。
 
アメリカに従うか、中国に従うか、それとも第三の道を目指すかという単純な問題なので、答えは明らかです。