カルロス・ゴーン日産前会長が1119日に逮捕されて2週間余りがたちましたが、東京地検特捜はなぜ逮捕したのかという疑問がますますふくらんできます。
退職時にもらう予定の50億円だか80億円だかの金額を有価証券報告書に記載しなかったということがメインの容疑のようですが、実際にもらったときに記載すればいいというのが世間の常識です。
かりによくないとしても、会社や国民の損害になるわけではありません。
神戸製鋼を初めとする多くの大企業でデータ偽造事件が起きていますが、こちらは国民の損害になると思えるのに逮捕者は出ていません。
 
マスコミはゴーン容疑者が子会社の購入した住宅を自分で使っていたとか、会社の金で家族旅行をしたとか、姉に勤務実態のない契約料が支払われていたとかを次々と報道して、ゴーン容疑者に“強欲”のイメージを植えつけようとしていますが、これも検察に決め手がないからでしょう。
 
 
ゴーン氏が逮捕されたと聞いたとき、多くの人は特捜の動きにはなにか裏があるに違いないと思ったようで、ネットにはいろいろなことが書かれていました。
 
私が最初に目にしたのは、ジャーナリストの田中龍作氏の説で、入管法改正審議で調査結果改ざんが明るみに出て、安倍政権が窮地に陥ったタイミングで逮捕したのではないかというものです。確かにそのとき、入管法の問題点に世間の注目が集まっていましたが、ゴーン氏逮捕のニュースで入管法のことは飛んでしまいました。
 
それから、ゴーン氏逮捕を指揮した森本宏特捜部長は法務省刑事局時代に司法取引導入を主導した人物で、司法取引の有用性を世間に知らしめたかったのだという説もありました。
 
ルノーがフランス政府の後押しで日産と三菱自動車を統合しようとしていたのを阻止するために官邸がゴーン氏逮捕を仕掛けたという説もあります。
ルノーに日産と三菱が吸収されるのを日本政府が防ごうとするのはありうる話で、これがいちばん有力な説でしょうか。
 
あと、トランプ大統領はフランスに怒っており、ルノーがイランでの自動車販売をやめないこともあって、アメリカの意向でゴーン氏を逮捕したという説もあります。
日本一国でフランスに喧嘩を売ることができるかと考えると、この説もありそうです。
 
ともあれ、誰もが特捜の動きの裏を読みたくなるのは、森友事件で特捜が官邸に屈して国有地不当払下げや公文書偽造を立件しなかったからです(森友事件は大阪特捜で、ゴーン氏逮捕は東京特捜ですが)
ゴーン氏逮捕も官邸の意向があるのではないかと疑うのは当然です。
 
ところが、マスコミは特捜の動きの背景をほとんど報道しません。検察批判になるからでしょう。
批判されないと権力は腐ってしまいます。
 
 
もともと法律家を志す人は権威主義的パーソナリティの人が多く、検察官、裁判官となるとなおさらです。
権威主義的パーソナリティとは、「硬直化した思考により強者や権威を無批判に受け入れ、少数派を憎む社会的性格」で、「自分の意見や関心が社会でも常識だと誤解して捉え、外国人や少数民族を攻撃する傾向もよくある」とされます。
 
入管法改正は法務省の管轄で、ここにも権威主義的パーソナリティの問題が出ています。
 
日本の司法は批判されないためガラパゴス化して、取り調べについてだけでも、弁護士の同席ができず、親族との面会も制限され、長期勾留が可能で、可視化も不十分という問題があり、こうした取り調べは拷問だという批判があります。
 
特捜はゴーン氏を再逮捕する方針だという報道がありました。
23日間勾留して、さらに10日から20日勾留を延長しようというわけです。
こんなことをしていると、フランスだけでなく国際社会からも批判されます。
 
森友事件を立件しなかったことで特捜は信用をすっかり失いました。
マスコミが特捜のリークに乗ったゴーン容疑者の“強欲”報道ばかりしていると、国民もいい加減うんざりしてくるのではないでしょうか。