外国人労働者をふやす入管法改正は、ネトウヨや保守派など安倍政権の支持層から総反発を受けて内閣支持率も低下したので、安倍首相はその対策を考えたようです。
 
今、韓国の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したか否かということが大きな問題になっています。
しかし、日本と韓国は軍事的にはアメリカを介した準同盟国であり、日米韓合同軍事演習を何度もやっていますから、どう転んでも戦争になることはありません。
「レーダー照射はきわめて危険な行為だ。その場で反撃してもおかしくない」などと騒いでいるのはまったく愚かな人です。
韓国の駆逐艦になにか手違いがあったか、それとも自衛隊の哨戒機がなにか勘違いをしたかという問題ですが、どちらにしてもたいしたことではありません。
 
このことが大きな騒ぎになったのは、安倍首相のたくらみによるようです。
 
レーダー照射自体がたいしたことではありませんし、まだ事実関係もよく把握できていない段階で、日本側はそのことを公表しました。
なぜ公表したかについて、1225日のTBSの「ひるおび!」で田崎史郎氏が「安倍首相が公表を指示した」とコメントしていました。田崎氏は官邸に深く食い込んでいる人なので、信ぴょう性があります。
 
28日には防衛省が哨戒機から撮影した映像を証拠として公開しましたが、これも安倍首相の指示でした。
 
 
渋る防衛省、安倍首相が押し切る=日韓対立泥沼化も-映像公開
 韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機への火器管制レーダー照射問題をめぐり日韓の主張がぶつかる中、防衛省が「証拠」として当時の映像の公開に踏み切った。同省は防衛当局間の関係を一層冷え込ませると慎重だったが、韓国にいら立ちを募らせる安倍晋三首相がトップダウンで押し切った。日本の正当性を世論に訴える狙いだが、泥沼化する恐れもある。
 防衛省は当初、映像公開について「韓国がさらに反発するだけだ」(幹部)との見方が強く、岩屋毅防衛相も否定的だった。複数の政府関係者によると、方針転換は27日、首相の「鶴の一声」で急きょ決まった。
 韓国政府は11月、日韓合意に基づく元慰安婦支援財団の解散を決定。元徴用工訴訟をめぐり日本企業への賠償判決も相次ぎ、首相は「韓国に対し相当頭にきていた」(自民党関係者)という。
 そこに加わったのが危険な火器管制レーダーの照射。海自機への照射を否定する韓国の姿勢に、首相の不満が爆発したもようだ。
(後略)
 
 
このところ安倍外交は八方ふさがりです。
トランプ大統領からは「日本は貿易面でアメリカを不公平に扱っている」と批判されてもなにも反論せず、高価な兵器を買わされるだけです。
プーチン大統領からは「二島を引き渡しても主権が日本のものになるわけではない」などとおかしなことを言われてもなにも反論しません。
中国に対してもこのところ融和的です。
北朝鮮にも、米朝首脳会談以降きびしいことは言っていません。
当然、安倍政権支持層に不満がたまっています。
その不満を韓国に向けさせようという安倍首相の作戦でしょう。
 
 
日本は国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を発表しましたが、これも外務省などが反対するのを安倍首相や二階幹事長らの政治判断で押し切ったということです。
脱退して商業捕鯨を再開しても日本にたいした利益はないと言われています。
それでも脱退したのは、日本の食文化を守るという名目で国際機関を脱退すれば、安倍政権の支持層に受けると思ったのでしょう。
 
もしかすると、カルロス・ゴーン前日産会長を逮捕したのにもそういう判断があったかもしれません。
 
レーダー照射問題で韓国批判が盛り上がっているのを見ると、安倍首相の作戦はうまくいっているようです。
 
しかし、問題は安倍政権がアメリカやロシアや中国に強く出られないことにあります。
韓国にばかり強く出てもなんの意味もありません。
 
安倍外交の根本問題は、対米従属です。
そのためトランプ大統領からは言われっぱなしです。
プーチン大統領は辺野古問題を取り上げて、日本政府に米軍基地についての決定権がないと北方領土は返せないと言い、安倍首相は反論できません。
トランプ大統領がアメリカファーストの外交をするために、安倍首相は中国包囲網づくりをやめざるをえなくなりました。
北朝鮮についても、安倍首相が「日米は完全に一致している」と言うために独自の外交ができません。
 
安倍首相は韓国のことなど放っておいて(むしろ日韓連携して)、対米自立の道を歩むべきです。