韓国駆逐艦の自衛隊哨戒機に対するレーダー照射事件ほどつまらないことはありません。
韓国駆逐艦は自衛隊機だと認識しているはずなので、攻撃するわけがありません。
自衛隊機もそれがわかっているので、防衛省が公表した動画でも、機長とクルーはずっと緊張感のない日常的な会話をしています。ただ、画面上に「FC(火器管制レーダー)探知」という赤い文字が警報のように明滅して危機感を演出しています。印象操作というしかありません。
 
韓国はレーダー照射をしたのにしていないと嘘をついているのかもしれませんが、その嘘をとがめだてしたところで、なんの国益にもなりません。
こんなことをしていると、世界中に日本の友好国はなくなってしまいます。
 
それにしても、安倍政権のあおりに乗って、レーダー照射が大ごとであるかのように報道するマスコミもひどいものです。
野党も、ここは安倍政権のやり方を批判しなければならないところですが、ほとんど沈黙を守っています。
 
 
ところで、安倍政権がレーダー照射問題で反韓感情をあおるのは、安倍外交がアメリカやロシアや中国になにも言えないので、その不満を韓国に向けさせる作戦かと思いました。
しかし、自民党の外交部会・外交調査会の合同会議で「韓国人に対する就労ビザの制限」「駐韓大使の帰国」「経済制裁」などを求める声が出て、菅官房長官も文在寅大統領の年頭記者会見の発言に対してすかさず「韓国側の責任を日本側に転嫁しようというものであり、極めて遺憾だ」と反論するなど、反韓路線を本格的にエスカレートさせています。
もしかすると、外交方針を大きく転換したのかもしれないと思い直しました。
 
日米安保体制は、もともと共産主義圏に対抗するものだったので、冷戦が崩壊するとその目的が失われました。そこで、「日米安保体制の再定義」をしなければならないとなったのですが、ろくに議論もされずに再定義問題は立ち消えになりました。
結局、拉致問題などで「北朝鮮の脅威」がクローズアップされ、さらに「中国の軍拡の脅威」もいわれて、それが日米安保体制の必要性の根拠となりました。
 
ところが、米朝首脳会談により北朝鮮の脅威をいうわけにいかなくなりました。
また、安倍首相は10月に訪中して習近平主席と首脳会談を行い、どうやら中国包囲網づくりは諦めて、親中路線に変更したようです。
となると、日米安保体制の根拠がなくなります。
これは日本の親米勢力にとっては困った事態です。
そこで、親米勢力は今度は「韓国の脅威」を言い立てる作戦に出たのではないかと思われます。
 
トランプ政権は韓国駐留米軍を引き上げたがっていますし、文政権は北朝鮮との関係を強化する方針です。
日本としては韓国と北朝鮮をまとめて仮想敵国にすると好都合です。
日本と韓国には歴史問題や竹島問題などがあり、ちょっとスイッチを入れるだけですぐに敵対モードになれます。
今回は徴用工問題にレーダー照射問題が重なったので、一気にうまくいきました。
 
日本と韓国が敵対してもなんの利益もなく、むしろマイナスですが、親米勢力にとっては対米従属を続けられるというメリットがあります。
 
沖縄の普天間基地返還のために代替基地を建設するという日米合意ができたのは1996年のことです。23年もたって国際情勢も変化しているのに、いまだにその合意を根拠に辺野古埋め立てが行われています。
親米派は「中国が攻めてくる」と言って辺野古移設を正当化してきましたが、安倍政権が親中路線を取ると、その説得力が失われます。
これからは「韓国の脅威」が辺野古移設の正当化のために喧伝されることになりそうです。