韓国駆逐艦の自衛隊機に対するレーダー照射について、日本では韓国批判の威勢のいい声が上がっていますが、北方領土問題についてはロシアから言われっぱなしです。
 
1月14日、日露外相会談のあとの記者会見でラブロフ外相は、「第二次大戦の結果、北方領土のすべての島の主権がロシアに属することになった。日本側がこれを認めるのが第一歩だ」などと言いました。
菅官房長官は15日の記者会見でこの発言について質問されると、「政府の法的立場に変わりはありません」と言っただけで、「日本固有の領土」とも「ロシアの不法占拠」とも言いませんでした。
 
ラブロフ外相はまた、北方領土の呼び方にまで文句をつけたようです。
 
 ロシアでは北方領土は「南クリル」と呼ばれるが、ラブロフ氏は会見で「日本の法律では『北方領土』と記載されている」と苦言。「内政干渉ではないが」と断りながら、北方領土の名を記した日本の国内法の改正まで求めるような発言をした。
 
もし韓国の政府高官が「日本は竹島を独島と呼ぶように法律改正をするべきだ」などと言ったら、日本には反発の声が巻き起こったでしょう。
 
日本の世論が韓国とロシアでまったく反応が違うのは、ひとつには安倍政権のメディアに対するグリップが効いていることがあります。読売新聞などは日露外相会談が順調に進展したような書き方になっていますし、韓国については御用評論家みたいな人がこぞって批判の声を上げています。
そして、根本的には日本人の人種差別意識があります。
平均的な日本人は、韓国には威丈高になり、ロシアには卑屈になるのです。
安倍政権ももろにそうした人種差別外交をしています。
 
安倍首相はプーチン大統領と個人的に親密であることを、「ウラジミール」と呼ぶなどして誇示してきました。
習近平主席との親密さをアピールすることはしません。
この違いはなにかというと、習近平主席はアジア人で、プーチン大統領はヨーロッパの白人であることです。
 
日本人のほとんどは白人コンプレックスを持っています。
高級感を出したいデパートの広告には白人のモデルが多く起用されます。
ですから、中曽根首相とレーガン大統領がロン・ヤス関係といって個人的に親密な関係を築いたときは、日本人の多くは中曽根首相を賞賛しました。
 
そのころとは時代も変わり、日本人の白人コンプレックスも薄れました。
しかし、安倍首相はロン・ヤス関係を今も理想に思っているらしく、トランプ大統領と個人的に親密であることを誇示し、プーチン大統領とも同じです。
 
しかし、トランプ大統領もプーチン大統領も情に動かされるタイプの人間ではありません。
安倍首相が個人的に親密な関係をつくろうとしても、足元を見透かしていると思われます。
 
安倍首相はプーチン大統領との個人的な関係から北方領土返還がうまくいくと思って、2年ほど前、みずから国民の期待を大きく盛り上げたことがありました。
ところが、201612月、プーチン大統領を山口県長門市の温泉旅館に招いて首脳会談をしたところ、日本は3000億円の経済協力を約束するもののロシアから領土問題で前向きな発言はなにもなく、国民は肩透かしにあいました。
 
安倍首相の見込み違いも問題ですが、それよりもっと問題なのは、そのあとの安倍首相の対応です。
本来なら安倍首相はプーチン大統領には「ウラジミール、君には失望したよ」と言い、国民には「今回の交渉は進展しなくて、残念だった」と言うべきでした。
ところが、安倍首相は各局のニュース番組に出まくって、「『新たなアプローチ』に基づく交渉を開始することで合意した」とか「共同経済活動は北方領土問題解決への重要な一歩」などと言って、交渉は成功したというイメージを振りまいたのです。
“外交の安倍”というイメージを傷つけたくなかったのでしょう。
実際、国内ではそう失望の声は上がりませんでした。
 
しかし、ロシア側は、“やらずぼったくり”でも日本は文句を言わず、逆に成功したと言ってくれるということを学習しました。
これ以降、日本とロシアではまともな外交交渉が成立しなくなったと思われます。
 
安倍首相はいまだに外国首脳とロン・ヤス関係のような個人的に親密な関係をつくるのがよいと思っているようです。
ただ、その相手は白人国の首脳だけです。
中国、韓国、北朝鮮に対するときはまったく違います。
 
これは日本のイメージを損ないます。
たとえば安倍首相はトランプ大統領と個人的に親密であることをアピールしますが、これは「白人至上主義者にこびるアジア人」としか見えません。
 
ともかく、アメリカやロシアには卑屈になり、韓国には威丈高になるという人種差別的外交がろくな結果を招かないことは明らかです。