バイト店員の悪ふざけ動画の炎上があまりに多発するので、「日本人のモラルの崩壊だ」という声まであります。
バイトの若者のモラルが崩壊したという意味ですが、経営者のモラルの崩壊のほうがひどいのではないでしょうか。
 
バイト店員が炎上事件を起こしたら、経営者は世の中に謝罪しつつ店員をかばうべきです。バイトとはいえ会社のために働いてきた人間で、身内です。
かつて山一證券の社長は「社員は悪くありませんから」と言って泣きました。
 
あれから時代は変わって、経営者にとって非正規雇用の従業員は身内ではなく、ただの労働力になったようです。
つまり経営者のモラルが崩壊したのです。
 
テレビのコメンテーターや有識者もバイト店員を非難していますが、彼らも若いころはいろんなバカなことをしたはずです。自分と同じことをしている若者を非難しているとすれば、これもモラルの崩壊です。
 
若者は昔からバカなことをしていたのですが、なぜ今こんな騒ぎになっているのかをわかりやすく説明した記事がありました。
 
くら寿司動画炎上で考える、バイトテロが繰り返されてしまう理由
 
この記事から要点だけ引用します。
 
1.元々、「バカな行為」は目に見えないレベルであった
2.ネット投稿により「バカな行為」が可視化された
3.一部の人は「バカな行為」投稿を友達しか見ないと思い込んでいる
4.一方で「バカな行為」は瞬時に拡散するようになった
5.「バカな行為」を大きく取り上げるメディアも増えた
6.「バカな行為」が話題になると過去のものも遡られるようになった
 
若者のバカな行為は昔から同じようにあって、インターネットなどの環境と、おとなたちの対応の仕方のほうが変わったのです。
 
「近ごろの若い者はなっていない」ということを、おとなは昔から言っていました。
しかし、「近ごろの赤ん坊はなっていない」とは言いません。昔も今も生まれたばかりの赤ん坊は同じだからです。
若者も実は昔と同じようなものです。おとなのほうが変わっているのです。
 
 
バイト店員の悪ふざけ動画がこれほど炎上するのは、今のおとなが若者にきびしくなっているからです。
十数年前から成人式で騒ぐ若者をマスコミが盛んに取り上げ、騒ぐ若者への非難が高まり、市長が騒いだ若者を刑事告訴するということもありました。
去年のハロウィンでは渋谷で大騒ぎとなり、軽トラックが横転させられるということがありましたが、警察の執念深い捜査で横転させた4人が逮捕され、11人が書類送検されました(全員不起訴)
青森県のねぶた祭ではカラスハネトといわれる若者集団が多いときは延べ3000人も集まって騒いだということですが、条例改正などにより排除され、今はほとんどいなくなりました。
 
今のおとなは元気な若者が嫌いなようです。
迷惑行為はいけませんが、それをきびしく取り締まると、迷惑でない行為もできなくなります。
たとえば刑務所で受刑者が塀から5メートル以内に近づくと監視塔から射殺するというルールをつくったとします。5メートルだから少し行動が制限されるだけかというと、そんなことはありません。間違って撃たれるかもしれないので10メートルにも近づけないし、ボール遊びもできません。
 
活発に行動していると、逸脱することもあります。絶対逸脱してはいけないとなると、活発な行動を抑えなければなりません。
 
昔のおとなは若者が多少バカな行為をしても大目に見たものです。
今のおとなは若者の少しの迷惑行為も徹底糾弾します。
おそらく少子高齢化でおとなと若者の力関係が変化し、さらに時代の閉塞感もあって、おとなが若者を批判することでうっぷん晴らしをするようになったからでしょう。
 
保育園の子どもの声がうるさいとか、児童相談所が近所にできるのが迷惑だとかいう声が強まっているのも同じ構図と思われます。
 
少子高齢化で社会の活気が失われるのはある程度しかたのないことですが、おとなの間違った態度のためにますます活気が失われています。