幼児虐待事件を防ぐために、児童相談所や学校や警察の対応力を強化するべきだと議論されていますが、肝心のことが忘れられています。
それは、子ども本人の対応力を強化するということです。
言い換えれば、子どもに対して親や教師から虐待されたときにどう対応するかを教えるということです。
幸い小学校ではすでに道徳の教科がありますから、そこで教えればいいわけです。
 
子どもは親から虐待を受けても、そのことを他人に訴えるということはまずありません(そういう意味で野田市の栗原心愛さんが学校のアンケートに「お父さんにぼう力を受けています」と書いたのは異例です。その前に沖縄にいたときに母親が児童相談所に相談していたことが影響したのでしょう)
哺乳類の子どもは親に依存して生きていくようにプログラムされていて、親から逃げるという選択肢はありません。現実に親から離れると生きていけないわけです。
 
しかし、今は不十分ながらも福祉制度があって、親から離れても生きていけます。
ですから、子どもに「親から逃げる」とか「親を告発する」という手段があることを教えるべきです。
その前に、「親からこんなことをされたら虐待だ」ということから教えなければなりませんが。
 
 
子どもに親から虐待されたときの対処法を教えるというのは当たり前のことですが、今の教育界とか文科省にはまったくその考えがありません。
そもそも「子どもの権利」とか「子どもの幸福」ということすら考えていないに違いありません。
たとえば道徳教育で教えるのは、文科省のホームページによると、次のようなことです。
 
道徳教育
児童生徒が,生命を大切にする心や他人を思いやる心,善悪の判断などの規範意識等の道徳性を身に付けることは,とても重要です。ここでは,道徳教育の充実に向けた取組等を紹介します。
 
つまり子どもに道徳性を身につけさせることが道徳教育の目的です。
 
ところが、世の中には道徳性のない人間がいっぱいいます。たとえば子どもを虐待する親、子どもに体罰をする教師、級友をいじめる子どもなどです。これらの対処法を教えるのは、今すぐに必要なことです。将来的には、詐欺商法にあったり、ブラック企業に勤めたりした場合の対処法も知らなければなりません。
こういうことが真の道徳教育です。
 
道徳的でないおとながいっぱいいる世の中で、子どもを道徳的にしようというのは、妙な発想です。
詐欺商法やブラック企業のカモを育てるようなものです。
もちろん虐待する親から身を守ることもできません。
 
幼児虐待を防止するには、子どもに親から虐待された場合の対処法を教えることがいちばんの対策です。