新井浩文容疑者、ピエール瀧容疑者と、似たような“個性派俳優”のスキャンダルが続いて、マスコミは大騒ぎですが、その報道にうんざりです。
報道には多少でも「世のため人のため」という要素が必要ですが、この場合、本人はすでに法の裁きを受けることが決まっていて、その上マスコミが裁いてもたいした意味はありません。
まだ裁かれていない政治家の疑惑などを追及することこそマスコミの役割です。
 
芸能人の不倫スキャンダルもマスコミの“好物”です。一般人ののぞき見欲求に応えるのはある程度しかたがないとしても、道徳的非難を浴びせるのは余計です。
 
人々には日ごろたまったうっぷんをどこかで晴らしたいという欲求があり、それを背景にマスコミが芸能人を攻撃するという構図です。
このような芸能人を攻撃する報道は、“メディアリンチ”というとわかりやすいのではないかと思います。
 
リンチというのは「法によらずに集団で暴力的制裁を加えること」ですが、現実には弱い者いじめになります。
 
 
“バイトテロ”といわれるものもリンチととらえるとよくわかります。
 
もそもそバイトテロというのは、バイト店員の若者が悪ふざけの動画を撮って、仲間内で楽しんでいるだけのことです。テロをしてやろうという意図はありません。その動画が拡散して店に損害を与えるので、結果的にテロみたいなことになります。
 
悪ふざけ動画はたいていインスタグラムやフェイスブックに「ストーリー」という24時間で消える形で投稿されますが、消える前にそれを保存して、拡散するやつがいるわけです。
ちなみにインスタグラムのストーリーは公式アプリでは保存できず、別のアプリを使わなければなりません。かなり意図的な行動です。
テロという言葉を使うなら、動画を拡散する行為こそテロです。
 
ただ、動画を拡散する者は、店に損害を与えてやろうというより、悪ふざけするバイト店員をさらし者にして攻撃してやろうという意図でしょう。ですから、これはテロというよりリンチです。
“ネットリンチ”と呼ぶのがいいでしょう。
 
ネットリンチは個人攻撃なので、「世のため人のため」とは違います。
これは中国のホテルで不衛生清掃の動画が拡散したのと比較すれば、よくわかります。
 
中国の一流ホテルで従業員が客室清掃をするとき、便器を掃除するブラシでコップを洗ったり、同じ雑巾で便器や床やコップを拭いたりしている動画が拡散し、大きな問題になりました。
これは普通の従業員が日常的にやっているから問題になったのです。これによってヒルトン、ハイアット、シャングリラなどの一流ホテルが謝罪に追い込まれました。
こうしたケースは、動画拡散によってホテル清掃の不衛生な実態が知られ、ある程度改善されたはずで、まさに「世のため人のため」になりました。
 
しかし、バイト店員の悪ふざけは、個人の特殊な行為ですから、それを攻撃したところでなにも変わりません。
逆にそのチェーン店のイメージが悪くなり、損害が出るだけです。
 
ですから、チェーン店によってはバイト店員を訴えるような動きをしていますが、訴えるなら動画を拡散させたほう、つまりネットリンチをしたほうを訴えるのが筋です。
 
若者が悪ふざけをするのは当たり前のことで、若者はそれによって経験値を上げることができます。
若者に悪ふざけをさせないと、社会から多様性が失われ、創造性も失われます。
 
メディアリンチやネットリンチは、一時的なうっぷん晴らしになっても、結局住みにくい社会をつくるだけです。