韓国の空港で日本人が酔っ払って空港職員に暴行を働き、「韓国人が嫌いだ」と叫んで警察に一時拘束されるという事件があり、これが動画に撮られていたために大きな騒ぎになりましたが、この日本人は厚生労働省の武田康祐・賃金課長でした。
武田課長はキャリア官僚で、内閣参事官として「働き方改革」に取り組んできた人物。安倍政権の中心的なところにいたわけです。
 
安倍政権はたくみに国民の嫌韓感情をあおり、国民を踊らしてきましたが、踊らせる側の人間も踊っていたわけです。
「同じアホなら踊らにゃ損々」という歌を思い出しました。
 
それにしても、国民に“嫌韓踊り”をさせるという安倍政権のやり方は失敗続きです。
 
最初は慰安婦像問題です。
日韓合意成立後に釜山市日本総領事館前に慰安婦像が建てられたことに安倍政権は反発し、駐韓大使を帰国させるという対応をしましたが、保守派やネトウヨはこれに大喜びして、嫌韓が大いに盛り上がりました。しかし、結局、駐韓大使は韓国に戻り、慰安婦像は韓国のみならず世界各地に建てられ続けています。
 
レーダー照射事件も、本来なら日韓の軍の実務者レベルで解決するべき問題ですが、官邸の指示で防衛省は動画を公開し、これも保守派やネトウヨに大受けしました。しかし、その後、なぜか防衛省は「火器管制レーダー照射の音」なるものを公開すると同時に、「最終見解」を発表して協議打ち切りを宣言しました。
これはどう見ても「敵前逃亡」か日本軍お得意の「転進」です。保守派やネトウヨは梯子を外された格好です。
 
徴用工問題については、日本企業が和解しようとしたのを安倍政権がつぶしたのだと「リテラ」が書いています。
 
徴用工判決ヒステリーの日本マスコミが触れない事実…安倍政権が新日鉄住金に圧力をかけ“和解”を潰していた!
 
和解しておけばそれほどの金額にならなかったのに、判決にいたってしまったために、日本企業はより大きい金額を取られそうです。
 
日本政府としては「日韓請求権協定で解決済み」という立場ですが、人権問題の賠償請求に50年以上前の証文を振りかざして支払いを拒んでいる格好です。日本の主張が国際社会から理解される可能性は低そうです。
現実には韓国でどんどん日本企業の資産が差し押さえられ、日本は手の打ちようがありません。
自民党では「経済制裁するべきだ」とか「外交を断絶するべきだ」とかの声が出ていますが、言うだけです。
 
安倍首相の思想は、戦前の日本をとにかく正当化したいというものですから、慰安婦も徴用工も謝罪したり賠償したりしたくありません。そのために国益を失っています。
レーダー照射問題は、国民の嫌韓感情をあおって政権浮揚につなげようとしたものですが、事実に立脚していないので、失敗しました。
 
安倍政権は、外交を政権の人気取りのために利用し、一時的に保守派やネトウヨを喜ばせても、結局うまくいかずに国益を失うというパターンを繰り返しています。
中国包囲網づくりもロシアとの平和条約締結も、完全にそのパターンにはまっています。
 
安倍政権が外交を人気取りのために利用していることがわからない人は、「韓国人が嫌いだ」と叫んで恥をさらした武田前課長のようになりかねません。