新元号の発表と天皇陛下の退位の日が近づき、天皇制について考えるうちにつくづく思ったのが、「天皇制は男尊女卑の吹きだまりだなあ」ということです。
天皇家の人がそうだというより、政府、宮内庁、保守派、メディアにおける男尊女卑思想が天皇制に凝縮して押しつけられている感じです。
 
たとえば雅子妃殿下ですが、結婚後体調不良となり、適応障害と診断されました。
雅子さまは小和田家や外務省にいるときは元気そうで、ちゃんと仕事もしていました。結婚後適応障害になったということは、天皇家や宮内庁に原因があるのではないかというのが普通の発想です。
ところが、メディアはもっぱら雅子さまに批判的で、公務を休むのも雅子さまに原因があるかのように報じてきました。
「嫁は婚家のしきたりに従うべきだ」といった価値観があるとしか思えません。
 
それに、雅子さまは文字通りの“キャリアガール”でした。こういうタイプの女性は保守派から嫌われます。雅子さまが皇室外交に意欲的だということも、「皇室が外交をしたら政治介入だ。勘違いしているのではないか」などと批判されました。
 
皇太子殿下は2004年に記者会見で「それまでの雅子のキャリアや、そのことに基づいた雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です」という、いわゆる「人格否定」発言をしました。よほどのことがあっての発言と思われますが、結局この発言の背後のことはまったく明らかになりませんでした。
 
美智子皇后陛下は一時期失語症になられました。これもよほどのことがあったのでしょうが、なにがあったかまったく明らかになっていません。
 
 
そして、最近は眞子さまと小室圭さんとの婚約問題です。
 
小室圭さんの母親の元婚約者は、借用書もないのに約400万円の借金を返せと主張しています。4年間なにも連絡せず、圭さんの婚約内定が発表されると、借金を返せと言いだしました。それも小室家に直接言うのではなく、週刊誌に言ったのです。
この400万円は婚約中に援助したお金で、婚約解消は元婚約者のほうから言いだしました。本来なら慰謝料を払ってもおかしくないところです。しかも、週刊誌などから取材協力費を得ているはずです。
また、元婚約者が選んだ交渉の代理人は、個人的つきあいのあるジャーナリストでした。弁護士のような守秘義務のない人間を相手に交渉ができるでしょうか。
マスコミは小室家よりも元婚約者のほうを十倍ぐらい批判してもおかしくありませんが、現実にはもっぱら小室家が批判されています。
眞子さまと小室圭さんの結婚を阻止したい勢力のパワーがよほど強いのでしょう。
 
そうしたところに、佳子さまが大学卒業に当たりマスメディアに文書を公表、その中にこんなくだりがありました。
 
 姉が結婚に関する儀式を延期していることについてですが、私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています。ですので、姉の一個人としての希望がかなう形になってほしいと思っています。
 また、姉の件に限らず、以前から私が感じていたことですが、メディア等の情報を受け止める際に、情報の信頼性や情報発信の意図などをよく考えることが大切だと思っています。今回の件を通して、情報があふれる社会においてしっかりと考えることの大切さを改めて感じています。
 
「結婚においては当人の気持ちが重要」ときわめてまっとうなことを言い、メディアのあり方にも的確な指摘をしています。
ここまで指摘されたら、マスコミもさすがに反省するかと思っていたら、週刊文春は「奔放プリンセス佳子さまの乱」、週刊新潮は『「佳子さま」炎上で問われる「秋篠宮家」の家庭教育』と佳子さまの批判記事を掲載、ネットにも佳子さまを批判する声があふれて炎上状態です。
 
「若い女性が世の中に対して自分の意見を言う」ということが許せないのでしょう。
 
 
「眞子さまと小室圭さんの結婚を阻止したい勢力」は実在します
保守派は女性天皇にも女性宮家にも反対です。そうすると、天皇の孫世代の男性皇族は秋篠宮悠仁親王だけで、女性皇族は結婚するとすべて皇籍を離れるので、最終的に皇族の存続は悠仁親王一人が担うことになります。これでは天皇制の存続が危機に瀕します。
そこで、「女性皇族を旧宮家の男性と結婚させて、男性を皇籍復帰させる」という案があるそうです。
 
私はこの案を聞いたとき、さすがにそんなことはないだろうと思いました。
「血統のために結婚させる」というのは、個人の意志をまったく踏みにじっているからです。
ところが、安倍首相は3月20日の参院財政金融委員会で、安定的な皇位継承を実現する方策に関して「旧宮家の皇籍復帰も含めたさまざまな議論があることは承知している」と言いました。
安倍政権や保守派は現実的な案として考えているのかもしれません。
そうすると、眞子さま、佳子さまは格好の“ターゲット”になります。
そう考えると、今起きていることがよく理解できます。
 
眞子さまを旧宮家の男性と結婚させるためには、とりあえず小室圭さんとの結婚を阻止しなければなりません。そのため借金トラブルを大げさに取り上げているのです。
そもそも眞子さまが「自分で結婚相手を選んだ」ということも許せないのでしょう。
佳子さまが「私は、結婚においては当人の気持ちが重要であると考えています」と意見表明したことも許せません。
 
佳子さまの「結婚においては当人の気持ちが重要」という意見を批判する論理は、「公」より「私」を優先するのは皇族として許されないということと、(眞子さまの結婚に反対の)父親の秋篠宮さまの気持ちを踏みにじるのは許せないということです。
眞子さま、佳子さまが皇族であるのをいいことに、戦前の価値観で当人の意志を踏みにじっています。
 
そもそもは女性天皇、女性宮家を認めないというのが「男尊女卑」で、今では成り立たない考えです。
むりに成り立たせようとするので、眞子さま、佳子さまの意志を踏みにじることになってしまいます。
 
それにしても、「結婚においては当人の気持ちが重要」という意見を公然と批判する人たちがいるのにびっくりです。