「令和」の発案者は万葉研究者の中西進名誉教授であると複数の政府関係者が認めたという報道がありました。
 
元号の発案者は明らかにしないというのが政府の方針でしたが、中西氏はこれまでいかにも発案者であるかのような発言を繰り返していました。
4月14日に突然、「(令和の発案者は)私ではないのですよ」「元号をつくるのは神や天」と言ったので、おそらく政府から発言をやめるように言われたのかと思われました。
しかし、それからも発案者であるかのような発言を続けました。「元号をつくるのは神や天」という言葉は、「自分は神や天に匹敵する」という意味だったのでしょうか。
 
中西氏がなぜ政府の方針に反してこうした発言を続けたのかというと、安倍首相の言動が影響したかもしれません。
安倍首相は「令和」発表直後にテレビに出まくって「令和」の宣伝をしました。まさに元号の私物化、手柄の独り占めです。中西氏はそれを見て、考案者は自分だとアピールしたくなったのではないでしょうか。
少なくとも、「首相がやっているのだから自分も」という気持ちにはなったでしょう。
 
安倍首相は元号の私物化によって内閣支持率の爆上げに成功しました。共同通信社が4月1日、2日に行った世論調査によると、内閣支持率は3月調査から9.5ポイントも上昇しましたし、他社の世論調査でも軒並み数字を上げています。
 
しかし、「令和」の価値はというと、安倍首相と中西氏が二人して私物化し、制定過程も詳しく報道されたことで、すっかり俗化してしまいました。「平成」のときはすべてがブラックボックスだったのとは大違いです。
今は一時的に「令和」ブームとなっていますが、ブームが去ると、「令和」は「平成」よりも軽んじられるでしょう。
 
安倍首相は自分の支持率を上げるために元号の私物化をし、それによって元号の価値を下げたというわけです。
 
 
4月13日に安倍首相主催の「桜を見る会」が開かれ、多数の芸能人のほかに百田尚樹氏、有本香氏、ケント・ギルバート氏、竹田恒泰氏らのネトウヨが招かれ、安倍首相といっしょに写真に収まりました。また、安倍政権になってから「桜を見る会」の規模は年々拡大し、自民党議員が招待券を高値で売っているという報道がありました。つまり金さえ出せば誰でも出席できるようなのです。
 
首相主催の「桜を見る会」というと、天皇・皇后主催の「園遊会」に似たイメージがありましたが、安倍首相の私物化によって、すっかりイメージダウンしてしまいました。
 
 
国民栄誉賞は、そもそもは王貞治氏の偉業をたたえるためにつくられた賞ですが、安倍内閣はすでに7人に授与し、中でも23歳の羽生結弦選手に授与したことは安倍内閣の人気取りだと批判されました。
安倍首相が人気取りのために利用したことで国民栄誉賞の価値も下がってしまいました。
 
 
そして、極めつけは、新天皇が即位後初めて会見する国賓がトランプ大統領に決まったことです。
安倍首相は新天皇との初めての会見という栄誉を与えることでトランプ大統領の歓心を買おうとしたのでしょう。
まさに天皇の私物化です。
 
トランプ大統領と会見した場面が世界に報じられると、天皇の価値が下がります。
日本の保守主義者がこれに対して黙っているのが不思議です。
 
 
自分の人気取りのためになにかを利用すると、そのものの価値が下がるのは当然です。
安倍政権の長期化によって日本の価値そのものがどんどん下がっています。