このところ安倍外交のお粗末さがどんどん露呈していますが、中でもあきれたのが対北朝鮮外交の豹変ぶりです。
豹変の理由は、トランプ大統領に言われたからです。豹変したタイミングを見ればわかります。
2月27日と28日にハノイで二度目の米朝首脳会談が行われ、豹変したのはその直後でした。
 
 
安倍首相「次は私が向き合う」 トランプ氏の妥協せぬ姿勢歓迎
安倍晋三首相は28日夜、トランプ米大統領と電話会談し、米朝首脳会談の報告を受けた。首相は会談後、トランプ氏が非核化で妥協しない姿勢を示したことについて「安易な譲歩を行わず、北朝鮮の具体的な行動を促していくトランプ氏の決断を全面的に支持する」と記者団に語った。トランプ氏が拉致問題を提起したことを評価し「次は私自身が金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と向き合わなければならない」と言及した。
 首相は、トランプ氏が2月27日、金氏との1対1の会談とその後の夕食会で、拉致問題を取り上げたことも明らかにした。
(後略)
 
 
「次は私自身が金正恩委員長と向き合わなければならない」と言ったのが驚きでしたが、その理由はわかります。
安倍首相はトランプ氏に、米朝会談の際はぜひ拉致問題を取り上げてくれと頼んでいました。
 
「シンゾー、金に拉致問題のことを言ってやったぞ」
「ありがとうございます」
「あとはお前が金と会って直接交渉するんだな」
「わかりました」
 
こういうやり取りをしたのでしょう。
もっとも、安倍首相は今までさんざん圧力だ制裁だと言ってきましたから、突然会いたいと言っても、向こうが会ってくれるわけがありません。
とりあえずトランプ氏の手前、言うだけは言ったのでしょう。
 
しかし、トランプ氏は本気だったようです。
トランプ氏は前から、北朝鮮の非核化の費用について、「韓国と日本が大いに助けてくれるだろう。だから、アメリカは助ける必要はない」と言っていました。日本の援助を対北朝鮮のカードに使うつもりなのでしょう。
 
安倍首相は5月6日にトランプ氏と電話会談したあと、記者団の囲み取材を受け、金委員長と条件をつけずに会談する意向を表明しました。そのときに語ったことを官邸ホームぺージから引用します。
 
 
「今回トランプ大統領と電話会談を行い、最新の北朝鮮情勢について、今回の事案も含めて意見交換を行い、情勢の分析を行いました。そして、今後の対応について、綿密なすり合わせを行いました。
 昨年の米朝会談において、トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長が署名をして、朝鮮半島の完全な非核化で合意いたしました。この米朝合意の速やかな実現を目指していくことについて、トランプ大統領と完全に一致いたしました。
 今後の北朝鮮への対応については、全ての面でトランプ大統領と完全に一致しておりますし、今後とも米国と日本は共に行動をしていく、完全に一致して対応していくということで認識を一つにしたところであります。
(中略)
 飛翔(ひしょう)体については、今後日米の専門家同士で協力して分析をしていくことになります。そして、北朝鮮との関係におきましては、日本にとって大切な問題は拉致問題であります。拉致問題を解決するためにあらゆるチャンスを逃さない。私自身が金正恩委員長と向き合わなければならない、条件をつけずに向き合わなければならないという考えであります。あらゆるチャンスを逃さない決意でこの問題の解決に当たっていく考えであります。」
 
 
トランプ大統領と「完全に一致」という言葉を繰り返し、そして最後に金委員長と条件をつけずに向き合うと表明しています。
「条件をつけずに」という言葉が注目されました。これまで拉致問題の解決に資する会談でなければ意味がないとして、拉致問題を条件にしていたからです。
 
安倍政権の対北朝鮮強硬外交を安倍応援団は支持してきました。突然の方針変更に、安倍応援団は怒ってもいいはずです。
しかし、現実には安倍応援団は手のひら返しで「無条件会談」の方針を支持しています。
その理由は明白です。安倍首相がトランプ大統領と「完全に一致」と言っているので、これはアメリカの方針だとわかるからです。
安倍応援団は、愛国者でもなんでもなく、対米追従主義者なので、アメリカの方針だとわかれば反対しません。

今回の対北朝鮮外交の方針転換を見ると、安倍外交のだめさと対米追従の根深さがよくわかります。

もちろん北朝鮮もそのへんのことは理解していて、日本は完全に足元を見られることになります。