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安倍首相と韓国の文在寅大統領は11月4日、訪問先のタイで約11分間の話し合いをしました。
このことは、「窮地の文大統領が日本にすり寄ってきたが、安倍首相は冷たく対応した」という感じでニュース解説がされています。
その解説を聞いて、「韓国より日本が上だ」と思って喜んでいる人がいるのでしょう。
そういう人は国益のことを考えないといけません。

財務省の貿易統計(8月速報値)によると、韓国への輸出総額は4226億円で、前年同月比9.4%減。中でも食料品は40.6%の大幅減となりました。
観光についても、日本政府観光局(JNTO)によると、8月に日本を訪れた韓国からの旅行客は30万8700人で、前年同月と比べて48%のマイナスとなりました。

とりわけ韓国人観光客の減少は、一部の地域にとって大打撃となっています。
そのひとつが対馬です。

日韓関係悪化、観光地には死活問題 週末の夜もひっそり
■「30年の努力が蒸発」
 週末の夜にもかかわらず、フロントに灯がともらないホテルや旅館があり、観光客がそぞろ歩いた通りもひっそりしています。10月半ばでの閉店を告げる貼り紙をし、シャッターを下ろした店もありました。
 長崎県対馬市南部の厳原(いづはら)地区。日本が韓国への輸出規制強化を打ち出した7月以降、韓国人観光客は急減しました。2社が運航していた厳原―釜山間の定期船が8月から運休し、拍車をかけました。
 厳原で旅館を経営する熊本裕臣さん(68)は「8月からずっと宿泊客はゼロ」と言います。3年ほど前から韓国の旅行会社と全館貸し切りの契約をし、観光バス1台分約40人を毎日のように泊めてきました。食事だけの客も受け入れ、昼食・夕食を100人分ずつ提供してきました。その売り上げが一気になくなり、従業員6人と話し合い、解雇せざるを得なくなりました。
 対馬は、釜山から最も近い場所で約50キロ。市によると、昨年は約41万人が釜山から来島、今年1~6月も22万人と前年比1割増でした。ところが、7月は前年比4割減の約1万9800人、8月は同8割減の約7600人、9月は同9割減の約3千人までに減りました。韓国人客の島内消費額は昨年1年間で91億円と試算されますが、7~9月で計約16億円の損失があったとみられます。

 市北部の比田勝地区は釜山から高速船で約1時間10分。5社が連日1~2便ずつを定期運航していましたが、今は1日2便に。「民間主導で30年かけ、やっとここまで来たのが政治によって一瞬で蒸発した」。山田幸弘さん(56)は悔しさをにじませます。
 1989年に設立され、山田さんの父も関わった第三セクター「対馬国際ライン」は、比田勝―釜山航路を切り開きました。試行錯誤を経て、海運会社を次々に呼び込みました。韓国人客の増加に対応し、食堂や観光バスへと事業を拡大。今年は夏に向けてレンタカーを70台から100台に増やしたところでした。

 90年に4万6千人だった島民が3万人まで落ち込む中、働く場を求めて島を出る若者に就職や起業を勧められる――。そんな未来を描けるようになった矢先のことでした。
 県や市は国内旅行客の拡大をめざし、東京や大阪でのPR活動や宿泊費の割引キャンペーンを打ち出しました。しかし、釜山と比べて時間も交通費もかかる本土からどれだけの客が見込めるのか、という声も根強くあります。対馬が韓国人客の人気を集めたのは「近くて安く行ける外国」という側面があったからとみる山田さんは「やはり韓国人客に戻ってもらうしか、対馬には考えられない」と話していました。(佐々木亮)
https://www.asahi.com/amp/articles/ASMBZ46FRMBZUPQJ005.html

対馬というと、十数年前に韓国人観光客が増え始めたころ、韓国人が対馬の土地を買い占めていることが一部のメディアで騒がれました。主に産経新聞や週刊誌ですが、エッセイストの故・勝谷誠彦氏がテレビでレポートをしていたのが記憶に残っています。
自衛隊施設の隣の土地が買われているとか、日本の実効支配がゆらぐとか、韓国人が対馬で我が物顔でふるまっているといった報道で危機感をあおっていました。

しかし、外国人が日本の土地を買っても持って帰れるわけではなく、確実に日本にお金が入ってくるのですから、これは歓迎するべきことです。

ちなみに、同じころに中国人が日本の水源地の土地を買いあさっているということもけっこうメディアを賑わしていました。
しかし、これも考えてみればわかることですが、水源地を買っても水を中国に持っていけるわけではありません。
結局、中国人が水源地を買っているという事例はほぼゼロで、フェイクニュースでした。
なぜこんなフェイクニュースが広まったかというと、関東大震災のときに「朝鮮人が井戸に毒を入れた」というデマと同じで、水は命に直結しているため、危機感があおられるからでしょう。


対馬の土地が韓国人に買われたということはある程度あったので、フェイクニュースではありませんが、なんの不都合もありません。
かりに不都合があっても、いつでも条例をつくるなどして規制や立ち入り調査ができます。

要するに昔から嫌韓あおりをする人たちはいたということです。


いや、今でも同じことが行われています。
自民党参院議員の青山繁晴氏が今年の9月に、「これが一体、わが国の長崎県対馬の光景だろうか」という文章を書いていました。そこから一部だけ引用します。

何だか分からない写真、あるいは何でもない写真にみえるかも知れませんが、実は、充分に衝撃写真です。
 これは自衛隊の防衛施設を取り囲むように韓国資本が買収したらしい土地の一角です。
 元は帝国海軍の光輝ある出撃基地の一部です。

 ここに韓国サイドが「リゾート施設」と称するものを建設しています。それです。
 これが、リゾート施設??
 こうした施設は、前述した防衛庁長官の視察、つまり四半世紀近く前からすでにありました。
 そのときも今も、奇妙な無人、リゾートとは思いにくい施設の姿と雰囲気、こうした不可思議な気配ばかりでした。
 そして昔も今も、自衛隊にせよ市役所にせよ市議会にせよ、あまり実態が掴めていないことも変わっていないと感じました。
「衝撃写真」なるものは、誰でも入れる土地に建っているバラック風の木造小屋です。四半世紀近く前からあるなら、放っておいていいでしょう。しかし、青山議員の目には「不可思議な気配ばかり」と映るようです。

それよりも問題に思うのは、青山議員は今年の9月に対馬に視察に行ったのに、韓国人観光客減少のことに一言も触れていないことです。
対馬の人たちの生活は目に入らないのでしょうか。

嫌韓あおりは一部の人たちのビジネスになっているのかもしれませんが、嫌韓は国益を損ねるだけです。