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子どもの家庭でのゲームは1日60分以内とする――こんな条例が香川県で制定されそうで、物議をかもしています。

この条例は「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)」といい、子どもをネット・ゲーム依存症から守ろうという趣旨で、18歳未満を対象に、「コンピュータゲームの利用は1日、平日60分、休日90分までとする」「義務教育修了前は午後9時まで、それ以外は午後10時までに利用を終える」などとしますが、努力義務で、罰則はありません。

「ゲームばっかりしてないで勉強しなさい」と親がいくら言っても、子どもはなかなか言うことを聞かないので、条例の助太刀があればいいという発想でしょう。
WHOが2018年にゲーム依存症を疾病と認定したことで条例がつくりやすくなったと思われます。
しかし、ゲーム依存症はおとなも子どももなります。子どもだけを対象にした条例は理不尽です。

この条例案に対して「家庭のことに行政が介入するな」とか「ゲームをするのは悪くない」という反対の声が上がっています。


私が子どものころは、「テレビばっかり見てないで勉強しなさい」と言われ、おとなたちは子どものテレビ視聴時間を制限しようと躍起でした。
今も昔もおとなのやることは同じです。
実はこの条例案も、最初は「スマートフォン等」の使用を制限するものでした。つまりスマホでネットを見ることも制限しようとしたのです。
これに反発の声が強かったことから「スマートフォン等」から「コンピュータゲーム」に変更されたという経緯があります。

今になって思えば、子どもがテレビを見てどこが悪いのかということになります。
テレビを見なければ、その分勉強時間がふえるというものでもありません。
だらだらすごすよりテレビを見たほうがためになります。
今の子どもがスマホを見たりゲームをしたりするのも同じことです。
ネットを見ると知識が得られますし、ゲームをすると集中力が身につきます。

アルコール依存症や薬物依存症は体に悪く、ギャンブル依存症は財産をなくしますが、ゲーム依存症にはそういう問題はありません(ゲーム課金を抑えればですが)。
ゲームなどは、やる以上は中途半端にやらずにとことんやるべきです。そうすると、やがて飽きがきて、興味が次のことに移っていきます。そのときにとことんやった体験は財産になります。

興味がほかのことに移らず、同じことをやり続けると、それはそれで道が開けます。
藤井聡太七段は5歳で将棋を覚えてはまり、それからやり続けているわけです。

2018年のゲーム市場の規模は1兆6700億円で、出版市場は紙と電子を合わせて1兆5400億円です。
作家はステータスは高いですが、少数の人しかなれません。
ゲーム制作には物語、ビジュアル、音楽などの才能が必要で、クリエイティブな仕事をしたい人は、ゲーム業界を目指すのが現実的です。

2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されます。
eスポーツは世界的に盛り上がっています。
スマホやゲームを規制しようというのは、完全に時代遅れな発想です。


おとなの発想が時代遅れになるのは、ある程度しかたがありません。
ですから、子どもの発想も同時に入れることです。

子どもの権利条約は子どもの意見表明権を規定しています。

第12条
締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。 
このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。 

子どもの意見を聞かずに子どもの行動を規制する条例をつくるのは、子どもの権利条約違反です。

日本では、子どもの意見を聞かずにおとなが勝手に子どものことを決めることが横行しています。
大学入学共通テストに英語民間試験を利用する制度の導入で混乱が生じたのも、受験生の意見をまったく聞かずに制度をつくったからです。
学校では子どもの意見を聞かずに校則をつくるので、おかしなブラック校則がいっぱいできています。

香川県のゲーム規制条例は“ブラック条例”です。