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東京オリンピック開催が1年程度延期されることになりました。
もやもやが解消して、すっきりした気分です。
ちょっと冷静になったところで、最近の新型コロナウイルスの感染拡大について考えてみました。

このところ、イタリア、スペイン、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカという欧米諸国で爆発的に感染拡大が進んでいます。

中国はかなり感染を抑え込んで、少しずつ封鎖解除を進めています。
平常へと近づけていくと、また感染が拡大するのではないかという懸念はありますが、とりあえずはいい傾向です。

韓国は早くに感染が発生しましたが、最近はかなり抑え込んでいます。
韓国のやり方を手本にするべきだという声もあります。

日本も早くに感染が発生しましたが、感染者の数はそれほどふえません。
PCR検査の数を意図的に抑えて、感染者を少なく見せかけているのではないかという疑惑がずっとありました。そういうことはあるのかもしれませんが、最近の他国での爆発的な感染拡大を見ると、やはり日本での感染は少ないと思えます。

日本で感染が抑えられている理由として、公衆衛生のレベルが高いからだという説があります。日本人はもともと手洗いやうがいをよくし、マスクをつける習慣があったということです。
確かにそれもあるでしょう。

それに加えて、対人関係の文化もあると思います。

日本人のあいさつはおじぎです。
対して欧米のあいさつは、握手、キス、ハグです。
おじぎは身体の接触がありませんが、握手、キス、ハグにはあります。
これは感染に関して大きな違いです。

日本人は肉親の間でも体を接触させるあいさつをしません。
たとえば、戦争に行って死んだと思われていた息子が奇跡的に帰ってきて、母親と感動の対面をしたというときも、日本人は抱擁はしません。互いに見つめ合って、せいぜい手を握るくらいです。
そもそも愛情表現の習慣がないともいえます。
小津安二郎の映画でも、家族間の愛情は、表情やわずかなしぐさで表現されるだけです。

対して欧米では、愛情表現も“濃厚”です。
とくにラテン系の国にその傾向があり、イタリアやスペインでは女性を見ると男は口説いてくるという話もあります。

友人関係のあいさつも日本と違います。
「イタリア人の挨拶の仕方は?キスは上手? 」というサイトを参考にまとめてみました。

イタリア人は、初対面では握手をします。
普通の友人だと、頬と頬を合わせてキスの音を立てるというあいさつをします(音を立てるだけでキスはしていない)。右と左の頬に1回ずつ計2回しますが、スイスだと計3回するそうです。
親しい友人になると、実際に頬に唇を当ててキスをします。
そして、カップルになると、人前でも唇と唇を合わせてキスをします。

このように日常的に手や唇を接触させていれば、感染が爆発的に広がるのも納得がいきます。


日本ではおじぎが基本ですから、誰とも体の接触はありません(名刺交換で間接的に触れるぐらいです)。
それに、若い人は人間関係が希薄です。オタクは、二人称に「お宅」という言葉を使っていたことが語源で、他人行儀なつき合い方をします。最近は“”恋愛離れも言われます。“引きこもり”は感染のリスクは限りなくゼロに近いです(引きこもりは家族ともめったに顔を合わせません)。
現に日本では若者の感染者の数はかなり少ないようです。

欧米は握手、キス、ハグの文化で、アジアはだいたいおじぎの文化です。
また、ラテン系の国と北欧の国でもあいさつの文化や人間関係のあり方は微妙に違います。
中国人は、日本人と比べても大声で話す傾向があり、その分つばなどが飛ぶ理屈です。
最近の日本人は熱くなって議論するということがあまりない気がします。
こうした文化の差が感染の差になって現れている気がします。
もっとも、これから感染が広がりそうですが。

もともと握手、キス、ハグというのは感染症のリスクがあり、そういう文化のあることが不思議でした。
これをきっかけに欧米もおじぎの文化になっていくかもしれません。