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若者は感染しても気づかないまま動き回って感染を広げる――そんなことが言われてきました。
まるで若者が感染を広げる犯人みたいです。

厚生労働省は4月13日、新型コロナウイルスの年代別の感染者数と死亡率を初めて公表しました。
それによると、感染者数は20代から50代がもっとも多くなっています。

年代別感染者数
日経新聞4月13日「80~90代死亡率、平均の6倍超 新型コロナで厚労省」より

若者が感染を広げているのなら、20代をピークにした山が形成されそうなものですが、そうはならずに、20代から50代までが同じ高さの高台を形成しています。
要するに「働く世代」が感染し、感染させているのです。

これは考えてみれば当然のことです。
働く人は満員電車に乗り、職場では閉ざされた部屋に机を並べて仕事をし、接客したり、営業活動をしたり、取引先と会ったりしています。働いているだけで、どんな活動的な若者よりも多くの人と接触するわけです。

ところが、働くことが感染拡大の大きな原因であるということがこれまであまり言われませんでした。

厚生労働省は3月1日、新型コロナウイルスの集団感染が確認された場の共通点として、「換気が悪く」「人が密に集まって過ごすような空間」「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」の三条件を挙げ、具体的にスポーツジム、屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘、スキーのゲストハウス、密閉された仮設テントなどを示しました。
この中に満員電車が入っていないのはおかしいという声が上がりましたが、厚労省や専門家会議の人間は満員電車の危険性はずっと認めてきませんでした。

イベント自粛やライブハウス、カラオケ、スポーツジムなどの営業自粛が行われるようになると、あとは出社して仕事をすることが最大の感染原因になりました。
在宅勤務が勧められましたが、在宅勤務が可能な仕事は限られています。

しかし、感染防止に「出勤自粛」がいいとはわかっていても、経済のことを考えると、なかなか言えません。
寅さんが「それを言っちゃあおしまいよ」と言うやつです。


そこで、「出勤自粛」を言わない代わりに、ほかのことがターゲットになりました。
本丸を攻めるのはむずかしいので、代わりに手薄な出城を攻めようということです。

安倍首相は2月27日、全国の小中高が臨時休校するように要請しました。まったく唐突な要請で、今となっては感染防止の効果もほとんどなかったことが明らかですが、学校は休みにしても経済的損失がほとんどないので、「出勤自粛」の代わりには好都合でした。

それから、若者がターゲットになりました。
さらに、安倍首相は「夜の繁華街の接客を伴う飲食店の利用自粛」を全国的に呼びかけ、キャバレーやナイトクラブをターゲットにしました。
若者や水商売には社会的な力がないので、攻めるのは容易です。

「夜の繁華街」をターゲットにしたため、夜の繁華街から人はいなくなりましたが、逆に「昼間の商店街」に人があふれるという現象が起きました。


スクリーンショット (15)
夜の歌舞伎町で外出自粛を呼びかける警官(ANNnews20/04/11)

警察は夜の歌舞伎町などを警棒を持ってパトロールし、外出自粛を呼びかけました。
しかし、夜の歌舞伎町にはほとんど人がいないのですから、感染拡大のリスクはほとんどなく、そんなところで外出自粛を呼びかけても意味がありません。
外出自粛を呼びかけるなら、混雑している昼間の商店街でするべきです。
それと、通勤客で混雑している品川駅とか東京駅などでするべきです。


そうしたところ、安倍首相は11日、オフィスでの仕事は「原則として自宅でできるようにする。どうしても出勤が必要な場合でも出勤者は最低7割は減らす」と語り、とうとう本丸への攻めを開始したようです。
厚労省が13日に年代別感染者数を公表したのも、この首相発言を支援する意味でしょう。

もっとも、安倍首相が「出勤者7割減」を言っただけでうまくいくものではありません。
休業補償を求める声がさらに強くなっていますし、安倍首相の本気度が試されます。

ともあれ、感染拡大の最大の原因が明らかになったことで、対策もやりやすくなりました。
警察も、なにか役立つことがしたいなら、夜の歌舞伎町などは放っておいて、丸の内とか新橋とかでサラリーマンに向かって「出勤自粛」を呼びかけるべきです。