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新型インフル特措法に基づく緊急事態宣言では、外出禁止命令は出せず、外出自粛要請しかできませんが、国民は協力的ですから、外出自粛要請でもちゃんとやればうまくいくはずです。

安倍首相は4月22日、「緊急事態を早期に終息に向かわせるためには、いまが非常に重要な時期だ」と語りましたが、2月25日にも「今がまさに感染の流行を早期に収束するために極めて重要な時期」と語っていたので、まったく進歩がありません。
今回の発言は、詳しくは次のようなものです。
安倍総理「ゴールデンウィークは“オンライン帰省”で」人との接触を減らす「10のポイント」
 22日夕方、安倍総理は「専門家会議で2週間の行動変容を踏まえた現状分析と提言をいただいた。例えば都市部では平日で概ね6割以上、休日では7割以上の減少率となっており、接触機会の“8割削減”を目指すためには、より一層の努力が必要な状況だ。今回、専門家会議で示された、8割を減らすための“10のポイント”には様々な工夫が詰まっている。ゴールデンウィークについても帰省するのではなく、“オンライン帰省”を行うなど、行動を見直していただき、“8割削減“にご協力をお願いしたい」と述べた。
(後略)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200422-00010020-abema-soci
現状は6割、7割の削減で、8割削減の目標に届いていません。

そこで安倍首相が言ったのは「オンライン帰省」です。
マスコミもこの言葉を大きく報じました。
そのため、「オンライン帰省」さえすれば、8割削減の目標が達成できるような雰囲気になっています。


「オンライン帰省」というのはおそらく新語でしょう。
「帰省する代わりにビデオ通話(テレビ電話)の活用を」というのを一言で表現したわけですが、ビデオ通話は活用する人はすでにしているので、今さら言っても意味はありません。

この言葉は安倍首相が考えたのではなく、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議のメンバーが考えたもののようです。
今回、専門家会議は人と人の接触を8割へらすための「10のポイント」というのを作成しました。「オンライン帰省」というのは、その一番目にあります。

・ビデオ通話でオンライン帰省
・スーパーは1人または少人数ですいている時間に
・ジョギングは少人数で。公園はすいた時間、場所を選ぶ
・待てる買い物は通販で
・飲み会はオンラインで
・定期受診は間隔を調整。診療は遠隔診療
・筋トレやヨガは自宅で動画を活用
・飲食は持ち帰り、宅配も
・仕事は在宅勤務。通勤は医療・インフラ・物流など社会機能維持のために
・会話はマスクをつけて

ありきたりのことばかりです。

「筋トレやヨガは自宅で動画を活用」などは、わざわざ言われることではありません。
「飲み会はオンラインで」というのも同じです。
なにか“生活指導”をされているような感じです。
感染症の専門家が言うことではありません。

安倍首相は、この「10のポイント」の中から「オンライン帰省」という言葉を取り上げて、強調しました。そのためネットでは「80代の夫婦にはむり」とか「タブレットがない。配布してくれないか」などという声が上がっているそうです。
帰省をやめてほしいなら、「オンライン帰省」などという言葉を使わずに、「今年のゴールデンウイークは帰省はやめてください」と直接的に言うべきでした。

いや、「帰省をやめてください」というのも、すでに的を外しています。
というのは、帰省を完全にやめたところで、目標の8割削減には届かないからです。
安倍首相としては、たとえば次のように言うべきでした。

「現状からさらに1割か2割の削減をしなければ、緊急事態宣言の解除はできません。今後、外出するのは一日一回にしてください。帰省などはもってのほかです」

「一日一回」というのは、あくまでたとえばの話ですが、このように具体的に言ったほうが伝わります。

これまでは「不要不急の外出は控えてください」と言ってきました。
この言い方はあいまいだという批判もありましたが、各自が都合よく判断できるので、あまり不満はありませんでした。
しかし、「外出は一日一回にしてください」と言われると、束縛感がひじょうに強くなるので、不満も強くなります。
安倍首相にはそれを言うだけの覚悟がなかったのでしょう。

その点、小池東京都知事は「ステイホーム週間」という言葉を使って、外出自粛を強く打ち出しています。
安倍首相と小池都知事を比較すると、安倍首相がここにいたっても問題を把握していないし、国民に訴える力もないことがわかります(考えてみると、安倍首相は昭恵夫人の桜の見えるレストランでの会食や大分県の神社へのツアーなどを正当化してきたので、国民に向かってだめだとは言えないのかもしれません)。


現在、休業要請に応えないパチンコ店とか、サーファーでにぎわう湘南の海などが問題になっていますが、これは小さな問題です。
外出自粛という元栓を閉めないで、パチンコ店とかサーファーとかの小さな蛇口を閉めようとしているようなものです。
蛇口はほかにもいっぱいあるので、その蛇口だけ閉めても、ほかの蛇口の水圧が高まるのがおちです。

罰則のない外出自粛要請でも、リーダーの強い意志と論理的な説得力があれば、しかるべき効果を上げることができるはずですが、安倍首相も専門家も「オンライン帰省」などという言葉遊びに逃げていてはむりです。