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連日の猛暑日で、熱中症で亡くなる方が増えています。
室内にいてエアコンがあれば、亡くなるようなことはなさそうですが、そう簡単ではありません。

朝日新聞の「熱中症の死者や搬送相次ぐ 多くが高齢者、屋内でも危険」という記事には「8月の23区内での熱中症による死者は、都監察医務院のまとめでは、17日午前時点で53人。(中略)53人中50人が屋内で見つかり、43人はエアコンがないか、あっても発見時に作動していなかったという」と書かれています。

エアコンはあるのに使わなくて亡くなってしまう人がけっこういるのです。
年寄りは感覚が鈍っているので、危険なほど気温が高くなっているのに気づかないということもあるでしょうが、暑いのをがまんしてエアコンを使わないという人もいます。

「冷房は体に悪い」という考え方が昔からありました。
「冷房は嫌い」という人もいます。

しかし、こうした考えの人も本音は「電気代がもったいない」ということではないでしょうか。

昔は「扇風機をつけっ放しで寝ると死ぬ」などという都市伝説みたいなものがありましたが、これも電気代を節約したいためにつくられた嘘ではないかと思われます。

年金暮らしの年寄りなどぎりぎりの節約生活をしている人は、電気代もできる限り節約しようとして、暑いのもがまんします。
こういう人は「お金がない」というのが恥ずかしいので、「冷房は嫌い」などと言ったりします。

「わずかの電気代より自分の命のほうがたいせつだろう」と言うのは部外者の言い分です。
ほんとうにお金のない人は、お金が命みたいなものです。

ですから、ぎりぎりの生活をしている人に「暑い日はむりをせずにエアコンをつけましょう」と言ってもほとんど効果がありません。


エアコンの電気代がいくらかかるのか調べてみました。
気温と部屋の大きさとエアコンの性能によって違ってきますが、だいたい1時間21円ぐらいのようです。
1日10時間エアコンを使うとすると、月6000円ぐらいです。
これはバカになりません。
エアコンをつけずに死んでしまう人がいるのも不思議ではありません。


お金が惜しくて死んでしまう人なら、その命を救うのは簡単です。
お金を上げればいいのです。

新型コロナ対策で1人10万円の特別給付金を配ったので、お金を配ることのハードルはかなり下がっています。
1人ないし夫婦の年寄り世帯で、年金以外に収入がないという世帯に、エアコン分の電気代を給付すれば、電気代がもったいなくて死ぬことは防げます。

いや、現金を給付すると、ほかのことに使って、やはりエアコンはがまんする人がいるでしょう。
国が直接電力会社に支払うという形にすればどうかと考えましたが、これも結局は同じことです。

いちばんいいと思えるのは、7月分と8月分の電気代を全額国が負担することです。
そうすれば遠慮なくエアコンを使うことができます(エアコンのない世帯へのエアコン設置補助もやるべきです)。
国はよけいな支払いをすることになりますが、年寄りの貧困世帯の救済だと思えばいいのです。


エアコンを使わずに熱中症で死亡する悲劇をなくすにはいい方法だと思うのですが、年寄りに払う金があるなら若い世代のために使うべきだという声も出てきそうです。
いや、基本的にみんなそう考えているので、年寄りの熱中症を防ぐためにお金を使うということは誰も言わないのかもしれません。

しかし、若い世代のこともたいせつですが、目先の命を救うこともたいせつなので、こういう方法も考えてみていいのではないでしょうか。