村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

カテゴリ: COVID-19

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東京五輪組織委員会の森喜朗会長が辞任するまでのドタバタ劇によって、日本の“不都合な真実”が世界に発信されてしまいました。
森氏が性差別発言をしても居座ったことで日本が性差別に許容的なことがバレましたし、辞任するときに83歳の森氏が84歳の川淵三郎氏を後継指名したことで日本が老人支配の国であることもバレました。

「老害」という言葉がありますが、これは「老人=害」と理解される恐れがあります。問題は社会のあり方なので、「老人支配社会」や「老人優位社会」という言葉が適切です(「老人支配社会」の害を「老害」と表現するのはありです)。

日本は「男性支配社会」かつ「老人支配社会」です。
男性の老人がのさばって、女性や若者の活躍を妨げて、そのため社会全体の活力が失われています。

こうした社会を変えるにはマスメディアの役割が重要ですが、日本はマスメディアも男性支配と老人支配を追認しています。
このことも今回のドタバタ劇で浮かび上がりました。


森氏が「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」という性差別発言をしたのが2月3日で、その翌日には記者会見を開いて、発言を撤回して、反省とお詫びを表明しました。
素早い対応で、常識的にはこれで問題は沈静化するはずでした。
ところが、この謝罪会見がむしろ逆効果になりました。

森氏は紙を読みながら反省とお詫びを表明しました。
そのあと質疑応答になりましたが、このときの森会長の態度が最悪でした。
これは実際の映像を見ないとわかりません。



これは「逆ギレ会見」と言われますが、キレる以前から記者を見下したような傲慢な態度です。謝罪する人間の態度ではありません。
最初の記者に対して「僕はね、マスクをされてると、どうも言葉がよくとれないんだよ」と不満を示しますが、あとのほうでは「ちょっと悪い。(マスクを)取ってくれ。聞こえないんだよ」とマスクを取ることを要求します。
密な会場ですから、普通だとこれだけで炎上して当然です。

森氏がこのような傲慢な態度を取るのは、普段から森氏と記者の関係がこういうものなのかなと想像してしまいます。
麻生太郎財務相が記者をバカにしたようなしゃべり方をする映像がときどきニュース番組で流れますが、あれと同じです。
菅義偉首相が官房長官時代、東京新聞の望月衣塑子記者とやり合っていたことも連想します。
現在の菅首相の記者会見も、記者の質問はすべて事前通告されたもので、菅首相は答えを読むだけです(最後の質問だけ事前通告なしのことがあるようです)。
第二次安倍政権以来、権力によって記者会見がほとんどコントロールされています。

この会見も、森氏の傲慢な態度に威圧されていた記者が多かったような気がしますが、「組織委員会の会長であるのは適任なのか」と骨のある質問をする記者がいて、森氏の「おもしろおかしくしたいから聞いているんだろ」という発言を引き出して、「逆ギレ会見」とされました。


ともかく、この会見の冒頭において、森氏が問題発言の撤回と、反省とお詫びを表明したのは事実です。
その部分に注目する人は、この問題は終わったとして、森氏を擁護しました。
しかし、後半の質疑応答を見た人は、森氏はぜんぜん反省していないとして、森氏を批判しました。
このことで議論が混乱したということがありそうです。


2月12日、東京五輪組織委員会の理事会と評議員会の合同懇談会の冒頭で森氏は会長を辞任することを表明し、15分ほどしゃべりましたが、ここでも差別発言についての反省はうかがえませんでした。
懇談会後の記者会見は武藤敏郎事務総長が行い、森氏は出てきませんでした。もし出てきて質疑応答をしていたら、また問題発言を連発したでしょう。


一部に骨のある記者はいますが、マスメディアは森氏の差別発言を本気で追及しようとはしません。
たとえば「森喜朗 発言」でグーグル検索すると、上位にずらりと出てくるのは「女性蔑視発言」とするものばかりです。「女性蔑視ともとれる発言」というのもあります。「問題発言」「不適切発言」もありますが、「女性差別発言」とするのはほとんど執筆者の名前のある記事です。
つまりマスメディアは、森氏の発言を「女性差別発言」とはしていないのです。

五輪憲章では「男女平等の原則の完全実施」が掲げられ、IOCは9日の公式声明で森氏の発言を「完全に不適切」としました。
ただ、森氏の発言を「女性差別発言」とはしていないともいえます。
つまりマスメディアは、なにかの公的な権威の裏付けがないと、森氏の発言を「女性差別発言」とする勇気はないのです。

マスメディアがこういう態度なので、森氏の辞任が遅れ、最後はドタバタ劇になりました。

新聞社、テレビ局の上層部に女性はごく少数で、もちろんみな高齢です。
日本社会の男性支配と老人支配の構造をささえているのはマスメディアだともいえます。

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菅義偉政権のGoToトラベル・キャンペーンへのこだわりは異常です。
12月にGoToトラベルが一時停止になったこともあって大幅にGoTo事業の予算が余っているのに、第三次補正予算でさらに一兆円近い額を追加します。
年度内で消化できるとは思えず、野党から「不謹慎だ」という声が上がっています。
西村康稔経済再生担当相は1月26日の記者会見で、GoToトラベルの再開条件について、感染状況の指標がステージ2まで下がることだと述べました。再開する気は十分にあるようです。

菅政権がGoToトラベルにこだわることの異常さは、中国と比較するとよくわかります。
中国では春節に大規模な人の移動が起こりますが、それを抑えるために税金を使っています。

春節で17億人が移動予測 帰省しない人に報奨金やギガ
 旧正月の春節(2月12日)を控える中国で、帰省しない人に報奨金や特典を用意する地方政府が相次いでいる。今月28日からの40日間で延べ17億人が移動すると予測される中、帰省ラッシュを抑えることで新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ狙いだ。

 河北省唐山市は農民工(出稼ぎ労働者)が春節期間中に帰省しなかった場合、1人500元(約8千円)の「まごころ祝儀」を支給すると通知。天津市は市内に働きに来ている人が2月末まで市外に出なければ300元、その間に製造業などの職業訓練を受ければさらに300元を手当てするという。こうした報奨金を出す都市は沿岸部を中心に20以上に上っている。

 報奨金のほか、スマホのデータ通信量20ギガバイトのプレゼント(浙江省義烏市)や観光地や動物園の入場無料(山東省東営市)など特典をつける街もある。
 国営中央テレビも「今いる場所で年越しを」と号令をかけるなか、各地がキャンペーンを競い合う状況だ。

 例年だと春節の連休中は店や企業が軒並み閉じて休暇ムードに包まれるが、いつも通り仕事をする人や企業を支援することで帰省しない人を増やそうとする例もある。福建省アモイ市は期間中に道路清掃や公共交通機関などで働く人に1日50元(約800円)の追加手当を支給すると通知。同市翔安区は、春節前後の1週間、祝日も休まず操業した企業には職員1人あたり最高1500元を補助するとしている。

 中国本土では今年に入って河北省や黒竜江省などで感染が拡大し、国家衛生健康委員会は省をまたいで農村地方へ帰省する人に、7日以内のPCR検査を義務づけている。(平井良和)
https://digital.asahi.com/articles/ASP1W54J8P1WUHBI019.html?_requesturl=articles%2FASP1W54J8P1WUHBI019.html&pn=4

中国は感染対策がうまくいっていて、このところ1日の感染者数は100人前後です。
中国の感染対策は、当然ながら人の移動を抑えるほうに税金を使っています。
一方、日本は人の移動を促進させるほうに税金を使っているわけです。
しかも日本は、今年の夏にオリンピックをするつもりでいるのです。
中国と日本を比べると、日本の異常さがわかります。

GoToトラベル再開とオリンピック開催は両立するはずがありません。
ですから、私は菅政権はオリンピックは諦めたのかと思いました。
しかし、橋本聖子五輪相は26日の衆議院予算委員会で「1人5日間程度の勤務をお願いすることを前提に、大会期間中1万人程度の方に依頼をして医療スタッフ確保を図っている」と答弁しました。
菅政権がオリンピックを諦めず、かつGoToトラベル再開も目指しているとすれば、まったく理解不能です。


外国と比較すると見えてくることがあります。
日本ではワクチンの接種が2月末から始まるようですが、世界ではいくつもの国ですでにワクチンの接種が始まっています。
日経新聞のサイトによると、57の国と地域で始まっているそうです。
うち上位20か国は次の通りです。

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これを見ると、先進国である日本は遅すぎるのではないかと思えます。
イスラエルはやはり危機管理がしっかりしているようです。マスク不足のときは特殊部隊が空港で飛行機の積み荷を押収するなどをしていました。

日本は国内製薬メーカーの力が中国やロシア以下だということでしょうか。

そういえば、大阪では“大阪ワクチン”の開発が進められていて、昨年6月には吉村洋文知事が「今月末に人への投与、治験を実施いたします。市大の医学部附属病院の医療従事者に、まずは20例から30例の投与をする予定です」「今年中には10万から20万の単位での製造が可能になります」と希望の持てる話をしていました。
しかし、このところ“大阪ワクチン”の話を聞かないなと思っていたら、吉村知事は1月26日に出演したテレビ番組で「世界のワクチンに比べれば、周回遅れの状態になってますが、なんとか(次の)冬が来る前に大阪産ワクチンができればいいなと思っています」と語っていました。
去年の6月に言っていたことと違いすぎます。

行政のデジタル化の遅れも露呈しました。
10万円の特別定額給付金の申請をオンラインで行うとかえって遅くなるという奇妙なことが起きました。
また、役所において感染者数の報告がファックスで行われているということが世界に報道されて、あきれられました。

PCR検査数は、日本は世界でも最低レベルで、安倍前首相は「人的な目詰まりがあった」と言いました。
国立感染症研究所、厚生労働省、学者などの感染症専門家の利権が目詰まりの原因と思われますが、そういう問題を追及するのは週刊誌ぐらいで、結局どういう目詰まりがあったのかよくわかりません。
また、日本はアメリカやヨーロッパよりヒトケタ以上感染者数が少ないのに医療崩壊の危機が言われていて、これも不可解なことです。
本来こうした問題を追及するべき新聞、テレビなどのマスメディアも利権構造に組み込まれているので、わけがわかりません。
ただ、原因はわからなくても、おかしいということはわかります。


新型コロナウイルスをめぐる日本の対応はおかしなことだらけです。
新型コロナウイルスという世界共通の基準があるおかげで日本のおかしさがくっきりと見えるのは皮肉なことです。

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菅義偉首相は衆院代表質問において立憲民主党の枝野幸男代表から新型コロナウイルス対策の遅れを追及されると、「根拠なき楽観論で対応が遅れたとは考えていない」と反論しました。
また、枝野代表が「リーダーの説得力と真剣さが備わった呼び掛けが必要だ」と指摘すると、菅首相は「節目節目で国民に説明している」と反論しました。

菅首相の言葉は空疎すぎます。大本営発表の「勝った。勝った」を連想させます。
安倍前首相が高支持率を背景にこうした言い方をしていたのを真似たのでしょう。
しかし、安倍前首相はコロナ対策で失敗して退陣したのですから、コロナ対策に関しては安倍前首相のやり方を真似てはいけません。

ところが、菅首相は施政方針演説で、東京オリンピックについて「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として」開催すると、安倍前首相と同じ表現を使いました。

菅首相はオリンピックを成功させて衆院の解散総選挙に持ち込むという政治日程を重視しているそうです。そうであるなら自分の頭で考えないといけません。

現在、ワクチン接種が始まっているのは先進国だけです。オリンピック開催の7月にアフリカや南アメリカにワクチンが十分に行き渡っているということはまったく考えられません。
そのときに「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証」などと言えば、「コロナ禍で苦しむ国の人たちを無視するのか」と批判されるに決まっています。
ですから、菅首相が言うとすれば、「コロナ禍で苦しむ国の人たちに夢と希望を届けるためにも大会開催を実現したい」ということでしょう。


新型コロナウイルスは最初は未知のウイルスでしたから、対応に右往左往しましたが、今ではかなり科学的に解明されてきたので、科学的知見と合理的思考力で十分に立ち向かえます。
菅首相がどうしても東京オリンピックを開催したいのなら、そのための方法も考えられます。

開催するか否かは3月末ごろには決めなければならないという説があります。
もしそうならば、そのころには日本国内の感染が十分に抑えられていなければいけません。
ところが、菅政権は緊急事態宣言は発出したものの、最初は一都三県に限定していましたし、飲食店の営業時短要請が主な内容で、期間も一か月となっていました。
あまりにも手ぬるいやり方で、オリンピック開催を目指すこととまったく矛盾しています。
神風が吹いてウイルスを吹き飛ばしてくれるとでも思っているのでしょうか。

本気でオリンピック開催を目指すなら、最初の緊急事態宣言並みのきびしい行動制限をして、期限も設けずに、たとえば一日の新規感染者百人以下という目標達成まで続けるというようにしなければなりません。
もちろんそれをすれば経済が痛みます。
経済を取るかオリンピックを取るかという問題です。

ただ、知恵を絞ればもう少しやり方があります。
オリンピックはマラソンやサッカーを別にすれば、ほぼ東京、神奈川、埼玉、千葉で行われます。この地域だけきびしい対策をして、感染を抑えればいいのです。
ダイヤモンドプリンセス号のとき、グリーンゾーンとレッドゾーンということが話題になりましたが、東京周辺だけグリーンゾーンにして、それ以外のレッドゾーンでは自由な経済活動を可能にし、ふたつのゾーンの往来は制限します。そうすればオリンピック開催は可能になります。

もっとも、東京で感染を抑えると、感染の広がった外国から選手団が入ってくるのは困ります。
また、一部の国が不参加を決めたことで大会の開催がとりやめになるのも困ります。
それに対処するには、人口10万人当たりの感染者が何人以下の国は参加可能とあらかじめ決めて、つまりグリーン国とレッド国に分けて、グリーン国だけ参加するようにすればいいわけです。

つまり国内と世界をグリーンゾーンとレッドゾーンに分けるわけです。そうすれば世界的に感染が続く中でもオリンピック開催が可能になります。

もっとも、そんなことをしていてはオリンピックが楽しくありません。そこまでやらなくてもという結論になりそうです。

つまり、オリンピック開催の可能性を探れば探るほど不可能に思えてくるのです。

大会関係者は私などよりも真剣に大会開催の可能性を考えています。そうすると、やはり不可能という結論に至っているはずです。

そう考えると、次の報道にも納得がいきます。

日本「五輪中止」非公式に結論と英紙報道、2032年目指す
【ロンドン=板東和正】英紙タイムズ(電子版)は21日、日本政府が新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪・パラリンピックを中止せざるをえないと非公式に結論づけたと報じた。同紙によると、政府は次に可能な2032年大会の開催を確保することに焦点を当てているという。

 夏季五輪は24年がフランスのパリ、28年が米ロサンゼルスで開催することがすでに決まっている。

 タイムズは21日の記事で、日本の連立与党幹部の話として「既に1年延期された大会は絶望的だとの認識で一致している」と伝えた。同幹部は「誰もが最初にそう言いたくないが、総意は(開催は)難しすぎるということだ。個人的には開催はされないと思う」と同紙に語ったという。

 東京五輪をめぐっては、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が同日、非公開のオンライン会議でIOC委員と意見交換し、東京五輪を予定通りに開催する考えを伝えた。
https://www.sankei.com/tokyo2020/news/210122/tko2101220003-n1.html
この報道に対して、政府関係者や大会関係者はこぞって否定する発言をしましたが、「火のないところに煙は立たない」です。
政府の中途半端な感染対策も、もう開催は諦めているからだと考えると納得がいきます。

日本政府もIOCも中止報道を否定するのは、先に中止を言い出すと費用の分担で不利になるというような思惑があるのかもしれません。


最終的に決めるのは菅首相です。
菅首相の言うことを聞いてもなにもわかりません。
菅首相は決定する最後の瞬間まで自分の考えを周囲に知らせないということをする人なので、周囲の人もわからないのかもしれません。
しかし、客観的には東京オリンピック開催はほとんど不可能です。

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菅義偉首相の新型コロナ対策が後手後手になるのは、東京オリンピック開催のためだとか、観光業界利権を持つ二階俊博幹事長への忖度のためだとか言われていますが、もうひとつ納得がいきません。
内閣支持率が下がってからバタバタと動くのなら、どうしてその前から動かないのでしょうか。

そうしたところ、菅首相はスマホではなくガラケーを使っているということがわかりました。
「選択」1月号の『「孤立の宰相」菅の余命』という記事にこう書かれています。

十二月十三日の毎日新聞朝刊が決定打となった。内閣支持率は前月と比べて十七ポイント減の四〇%、不支持率は四九%となり、支持、不支持が逆転した。「勝負の三週間」が終わる前に状況は暗転した。慌てた菅は方針転換に動く。十四日午後、自民党幹事長二階俊博の携帯電話が鳴った。ともにガラ携を使うツートップの電話会談で菅が一方的に結論を伝えた。
「GoToを全国で一時停止させることにしました。これから官邸でそのための協議に入ります」
二階は短く返事をした。
「総理がお決めになったのならやむを得ない」
https://www.sentaku.co.jp/articles/view/20597

菅首相も二階幹事長もガラケーなのです。
二人の年齢を考えれば、ガラケーであってもおかしくありません。
ただ、菅首相はデジタル庁をつくって行政のデジタル化を推進することと携帯料金の値下げを政策の大きな柱にしていましたから、意外な感じもします。

検索すると、菅首相がガラケーを使っていることは、少なくとも読売新聞と神奈川新聞が記事にしていましたから、国家機密というわけではありません。

菅首相はパソコンも使っていないようです。「菅首相 パソコン」で検索しても、菅首相がパソコンを使っているということはまったく出てきません。

菅首相には公式ホームページがあり、公式ツイッター、公式インスタグラム、 公式ブログ、公式フェイスブックもあります。公式ツイッターはけっこう頻繁に投稿されていますが、活動報告みたいなものがほとんどです。
すべて事務所のスタッフが運営しているのでしょう。

菅首相の毎朝のルーティンに散歩や新聞のチェックなどはありますが、「パソコンで情報をチェック」というのはありません。


少し前まではパソコン、スマホが使えなくてもたいして問題視されませんでしたし、高齢者であればなおさらです。
しかし、今の時代、とくに政治家においては、ネットの情報に接していないのは致命的です。

とりわけ菅首相のような立場になると、耳に痛い情報というのは誰も上げてこなくなります。
自分でマウスを操作してネットサーフィン(古い?)をすれば、たとえばヤフコメ欄などで否応なくそうした情報が目に入ります。


ちなみに森嬉朗元首相もガラケーのようで、東京五輪・パラリンピック組織委員会の職員に対する年頭あいさつを行ったという記事に、こんなことが書かれていました。
先日、森会長は「不安はまったくない。(五輪を)やることは決まっている。準備はほとんど終わっている。どうして7月のことを今議論するのか」と開催への自信を示したが、世間からの反発は強く「うちの家内がスマホばかりみているんですが、私の悪口ばかりだったそうです。『森は何を考えているのか、バカじゃないか』と。菅さん以上に悪口ばかり。こんなのは長い人生で初めて。森内閣でもこんなに酷くなかった」と苦笑いを浮かべた。
https://www.daily.co.jp/general/2021/01/12/0013999863.shtml
森元首相は奥さんのスマホを通してネットの情報に接して、多少は世の中の空気を理解しました。

もちろんネットの論調は偏っているので、うのみにしてはいけません。偏っていることを知って、頭の中で修正する必要があります。

菅政権のコロナ対応が後手後手であるのは、菅首相と二階幹事長がネット音痴であることでだいたい説明がつきます。

とくにイギリスで感染力の強いウイルスの変異種が発見されて、日本に入ってくることが懸念されているときに、政府は11の国と地域とのビジネス往来を止めませんでした。菅首相は1月8日に報道ステーションに出演したときも、「(相手国の)市中で1例でも発生したら止める」と言って、すぐに停止するとは言いませんでした。
新聞やテレビはこの問題をそれほど重視していませんでしたが、ネットではすぐに止めるべきだという声が圧倒的でした。
とくに菅政権のコアな支持層が強硬に主張していました。
しかし、ネット音痴の菅首相にはそうしたことがわからなかったのでしょう。

結局、菅首相は13日の記者会見でビジネス往来の一時停止を発表しました。
ネット音痴であるがゆえに後手に回った典型例です。


安倍前首相はネットの世論をきわめて気にして、うまく対応していました。
ただ、そのために安倍前首相自身がネトウヨ化してしまいましたが。
モリカケ桜問題で強気の対応を貫けたのも、ネットである程度支持されていたからでしょう。
しかし、アベノマスクと星野源コラボ動画では圧倒的に批判されました。
いや、批判されたというより、バカにされ、嘲笑されました。
安倍前首相が辞任したのは、その精神的ダメージが大きかったからではないでしょうか。


ともかく、今の時代にネット音痴では政治家は務まりません。
菅首相は今からでもスマホを購入して(ガラケーと併用でいいので)、ネットで自分や自分の政策がどう評価されているかを知るべきです。
もっとも、支持率の低下した今の段階では、悪口ばかり目にすることになって、安倍前首相のように辞任したくなるかもしれませんが。

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官邸ホームページより

菅義偉首相は1月7日、緊急事態宣言を発出することを表明しましたが、例によって後出し、小出しの対策です。

すでにいろいろ批判されていますが、根本的な問題として、菅首相は平気で会食を続けていたように、新型コロナウイルスに対する危機感がないのでしょう。

それから、首相就任時に「感染症対策と経済の両立」と言ったのも問題でした。
感染症対策は入院や隔離生活みたいなもので、元気に働くこととは両立しません。
最初に入院して十分な治療を受けて、健康体になってから働く――つまり徹底した感染症対策で台湾やニュージーランドみたいに完全に抑え込むのが、経済を回すための正しいやり方でした。
あるいは、アメリカやブラジルやスウェーデンみたいに経済を止めないというやり方もあるかもしれません。その場合は感染者が増えるので、医療崩壊しないように医療体制を徹底的に強化することが必要です。
日本は感染症の抑え込みが中途半端だったために感染の拡大を招き、医療体制の強化も中途半端だったために、医療崩壊の危機に瀕しています。
菅首相が「感染症対策と経済の両立」という間違った目標を立てたのが最大の失敗です。


私は菅首相のキャラクターや発想法に興味があって、菅首相の記者会見を改めて見てみました。

菅首相の記者会見の動画と書き起こし文は、官邸ホームページで見ることができます。

令和3年1月7日 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見

菅首相はいつものように原稿棒読みですし、記者との質疑応答もあらかじめ決められていたのが明らかです。

緊急事態宣言とまったく関係ない質問をする記者がいました。2月にバイデン次期米大統領に会うときに核兵器禁止条約にどのような方針で臨むかという質問です。
これに対して菅首相はほとんど下を向いて紙を読みながら答えていました。
つまりこの記者が指名されて、この質問をすることは決まっていたのです。
ほかに「感染症対策をする上で“憲法の壁”みたいなものを感じることはないか」という質問をする記者もいて、菅首相はやはり紙を読みながら答えていました。

国民は緊急事態宣言について知りたいと思っているのに、官邸と記者がなれ合って、時間つぶしの応答をしているのです。

細かいことですが、菅首相は冒頭発言の最後に「今一度ご協力を賜りますことをお願いして私からの挨拶とさせていただきます」と言ったので、「記者会見は挨拶だったのか」とか「パーティと勘違いしている」などのつっこみが入っています。
ここだけ原稿から目を離して自分の言葉でしゃべったようです。

細かいことついでにもうひとつ言うと、会見の最後で秘書官が「次の日程がございますので」と言って会見を終了させたのですが、「日程」というのは「一日の予定」のことですから、ここは「次の予定」というのが正しい日本語です。
安倍首相のときに、むりやり会見を打ち切るのに秘書官が「外交日程があるので」とデタラメを言って、それが慣習となって「日程」という言葉が使われるようになったのですが、官邸のスタッフが日本語を乱してはいけません。


緊急事態宣言についてわからないことがいっぱいあります。
これは、菅首相自身が感染症対策のことをよくわかっていないということもありますが、菅首相がわざとわかりにくくしているということもあります。

菅首相は1月4日の年頭記者会見で、「国として緊急事態宣言の検討に入ります」と表明しました。
「検討に入る」であって、「宣言する」とは言っていないのです。
ただ、このときの報道は宣言することを前提としたものばかりでしたし、実際に宣言はなされました。
つまり菅首相は、ほんとうは宣言することを決めているのに、「検討に入ります」という言い方をしたのです。

「宣言することを決めました。7日に具体策を発表し、8日から実施します」と言えばわかりやすく、国民も心構えができますし、企業もリモートワークの段取りなどができます。
「検討に入ります」という言い方では、国民は宣言しないかもしれないと思って不安になりますし、準備もできません。

しかし、これこそが菅首相のねらいです。
ぎりぎりまで決定を延ばすことで周囲を振り回し、自分に決定権があることを思い知らせるのです。


緊急事態宣言の期間は1か月後の2月7日までとされましたが、誰も1か月で終わるとは思わず、どこまで感染が減少すれば解除になるのかが気になるところです。
ある記者も「取り組む国民の一体感のためにも、科学的な数値目標を示すことが必要ではないか」と質問しました。
しかし、菅首相も尾身茂会長も具体的な数値は言いませんでした。
西村担当相は、緊急事態宣言解除の基準として東京都で新規感染者数が500人以下という数字を示しましたが、首相が同調しないのではあまり意味がありません。

つまり全国民が緊急事態宣言はいつどうなれば解除されるのかわからないという状態に置かれているのです。
これも菅首相の意図したものです。
宣言の解除を決めるのは菅首相なので、全国民が菅首相の意向に振り回されるのです。


緊急事態宣言は一都三県が対象で、大阪や愛知は対象外です。
一都三県の感染者数が多いといっても、それほど違うわけではなく、これもわかりにくいところです。

菅首相は4日の年頭記者会見のときから一都三県、とくに東京都が飲食店の営業時短をしなかったことが問題だと、しつこいくらいに述べています。

12月の人出は多くの場所で減少しましたが、特に東京と近県の繁華街の夜の人出はあまり減っておりませんでした。
   *
1都3県について、改めて先般、時間短縮の20時までの前倒しを要請いたしました。
   *
北海道、大阪など、時間短縮を行った県は結果が出ています。東京といわゆる首都3県においては、三が日も感染者数は減少せずに、極めて高い水準であります。1都3県で全国の新規感染者数の半分という結果が出ております。
   *
北海道、大阪など、これは時間短縮、こうしたことを行った県では効果が出て、陽性者が下降してきております。ただ、東京とその近県3県が感染者が減少せずに高い水準になっているということもこれは事実であります。
   *
まず、東京都とその近県で12月の人出があまり減らなかったということです。また、三が日も感染者数は減少しないで、極めて高い水準になっている。
   *
全国でこの2週間、1都3県だけで約半分になっています。こうした状況を見て、政府として、4人の知事の要望も判断の一つの要素でありますけれども、全体として見れば、やはり首都圏だけが抜きん出て感染者が多くなってきている。ここについて危惧する中で行っていきたい。それで判断をしたということであります。
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0104kaiken.html
菅首相の狙いは“分断支配”です。
支配下を「よいグループ」と「悪いグループ」に分けて、競わせようというわけです。

実際のところは一都三県だけに問題があるわけではなく、大阪や愛知も感染者が増加しています。
菅首相がむりやり分断しているだけです。

菅首相はGoToトラベルを開始するときも東京都発着だけ除外するということをして、「わかりにくい」と批判され、混乱を招きましたが、これも得意の“分断”でした。


また、決定がつねに“唐突”です。
GoToトラベルの開始は、当初は8月中旬が予定されていましたが、7月10日に突然7月22日から実施すると発表され、準備不足から混乱が起きました。
そして、GoToトラベルを一時停止するときも、菅首相は12月11日にニコニコ動画において「まだそこは考えていません」と言ったのに、政府は14日夜に28日から全国一斉に停止すると発表しました。このときも準備不足から混乱が起きました。


菅首相の権力行使のやり方は「説明せず、分断し、唐突に」決定するというものです。
なぜそんなやり方をするかというと、自分の権力を最大化するためです。
菅首相の周りはつねに振り回されます。そうならないようにするには菅首相の意向を忖度して先回りしなければなりません。


新聞読み芸人のプチ鹿島氏は菅首相の『政治家の覚悟』という本を読んで、「話題の菅総理本『政治家の覚悟』をプチ鹿島が読んでみた…収録されている“実はヤバい部分“とは?」という記事を書いていますが、その中で菅首相のことを「権力快感おじさん」と名づけています。
菅首相は気に入らない部下や自分に逆らった部下を更迭した体験を自慢げに書いていて、そうした権力行使に快感を感じているというのです。

日本学術会議の6人の任命拒否問題も、菅首相にとっては快感なのでしょう。


宣言解除の具体的な目安が示されれば、国民もやる気が出ますが、そうすると首相の裁量の余地が狭くなります。
菅首相が権力の快感を味わうために、国民は分断され、五里霧中の歩みを強いられているというわけです。

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今にして思えば、「ガースー」発言が転換点でした。

菅義偉首相は12月11日、ニコニコ生放送に出演し、冒頭で「みなさんこんにちは。ガースーです」とあいさつして大スベリし、「こんなたいへんなときにふざけるな」などの批判が殺到しました。

「ガースー」発言については、誰か側近が「ニコ生では『ガースー』と言うと受けますよ」などと助言し、菅首相はそれを真に受けたのだろうと思われています。
しかし、もし誰かが菅首相に助言していたとしたら、菅首相は恥をかかされたと激怒して、その人は地獄の底へ左遷されてしまうに違いありません。菅首相は自分に反対した人間をすぐに左遷するそうですから。
そんなリスクの大きい助言をする人がいるでしょうか。

菅首相は改元のときに官房長官として「令和」の額を掲げると、「令和おじさん」として急に人気になりました。菅氏が首相になれたのはその人気のおかげと言っても過言ではありません。
それから、パンケーキが好きだと言うと、「パンケーキおじさん」と呼ばれて、また人気が出ました。
本人はこれで人気者になろうと意図したわけではありません。
なにも考えずにバットを振ったら、まぐれでボールが当たってヒットになったようなものです。
ともかく、これが菅首相の成功体験になりました。

今回「ガースー」と言ったのも、内閣支持率が急落する中、人気を挽回しようと思ってとりあえずバットを振ってみたということでしょう。
もちろんまぐれ当たりは何度もありません。


菅首相は自分の判断でやって大スベリしたので、精神的ダメージを受け、自分の判断力に疑問を持ったのかもしれません。
そうして決定されたのがGoToトラベル一時停止です。

この決定には誰もが「ブレた」という印象を持ったでしょう。
菅首相は「一度決めたことは人になんと言われても曲げない」というイメージをつくりあげてきました。とくにGoToトラベルは菅首相の肝煎り政策なので、いくら批判されても除外地域を追加する程度の手直しでお茶を濁すだろうと見られていました。

「一度決めたことは人になんと言われても曲げない」というイメージが確立すると、周りの人間はすぐに反対するのを諦めるので、自分の言い分がなんでも通るようになります。
菅首相は体も小さく、声にも力がなく、原稿を棒読みするだけで、権力者らしいところがまるでありませんが、「ブレない」というイメージがあることでリーダーシップを発揮してきました。

しかし、GoToトラベル一時停止で「ブレない」というイメージが崩れてしまいました。
政治は戦いですから、弱みを見せると、相手はかさにかかって攻めてきます。

そこで批判されたのが、菅首相が多人数で会食していた問題です。
最初にやり玉にあがったのは、GoToトラベル一時停止を発表した14日、王貞治氏、みのもんた氏、杉良太郎氏、二階俊博幹事長ら8人程度で忘年会をしたことです。
ノーマスクだったこと、店にアクリル板はなかったことなどが次々と報じられ、批判が高まりました。

すると菅首相は16日、記者の前で「反省」を表明しました。
これも意外な感じでした。
これまでなら「情報収集と人脈づくりのために会食は総理として重要な仕事ですので、感染防止に極力配慮して行ってきましたが、今後は控えたいと思います」程度の談話ですませていたでしょう。

しかも、「反省」表明のとき原稿を読まなかったのも、これまでのやり方と違います。
それが裏目に出て、「国民の誤解を招くという意味においては真摯に反省しております」と言い、「どこが国民の誤解だ」というさらなる批判を招いてしまいました。

その後、人数を4人以下にしたものの、1日に2件会食をしたので、「ハシゴ会食はいいのか」という批判も浴びました。
一度弱みを見せると、次々と攻め込まれるというパターンです。

菅首相の「反省」表明は側近も想定していなかったようです。
西村経済再生担当相は16日午前の衆院内閣委で野党議員から「5人以上の会食はいいのか悪いのか」と追及されると、「一律に5人以上はダメだということを申し上げているわけではございません」「もしどうしてもされる場合には、アクリル板のある店を選んでくださいとか、換気に注意してくださいとか、こういったことも併せて申し上げております」と首相を擁護しました。ところが、その日の午後に首相が「反省」表明をしたわけです。


急に会食への批判が巻き起こったのは、菅首相がブレたからです。
菅首相がGoToイートの適用を「原則4人以下」での飲食に制限するよう要請したのは11月16日のことです。
そのときにマスク着用の会食を呼びかけ、「私も今日から徹底したい」と言いました。
しかし、それからも菅首相は毎日会食を続けました。5人以上の会食もあったことは新聞の「首相動静」を見ればわかります。そのときマスク会食をしていたか否かも少し取材すればわかることです。
しかし、「5人以上でノーマスク会食をしている」と批判されたことはありません。
ところが、「ブレた」と思われたとたん、批判が起こったのです。
政治は力関係で動いていることがよくわかります。


そして、力関係が変わったことで見えてきたこともあります。
自民、夜会合を続々中止 大人数会食批判を考慮か
 菅義偉首相による5人以上の会食に批判が出ていることを受け、自民党では16日、大人数での会食の中止が続々と決まった。

 二階、岸田両派は17日にそれぞれ予定していた忘年会を中止した。

 二階派は17日夜、東京都内の日本料理店で所属議員48人らに呼び掛け、忘年会を計画していた。しかし、同派の山口壮事務総長が16日、所属議員に文書で「新型コロナウイルスの感染状況」を理由に中止を伝えた。

 二階俊博幹事長と佐藤勉総務会長ら総務会メンバーによる18日夜の会食も取りやめとなった。佐藤氏は16日の記者会見で「批判があったことも踏まえ、われわれも襟を正さなければいけない」と述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b10f02be569549fbce8032c01fd7c2f38e8e2b16

自民党は、国民には会食は4人以下と要請していながら、自分たちは平気で大規模な宴会を計画していたのです。
おそらくGoTo停止がなければ、マスコミはこうしたことも報じなかったでしょう。

自民党のおごりがうかがえますが、同時に自民党の「コロナ軽視」もうかがえます。
政府のコロナ対策はつねに後手後手ですが、その理由はこのへんにありそうです。


菅首相がブレたために、菅応援団も困ったでしょう。
菅応援団は、経済を回すのにGoToは必要だと主張して、野党やマスコミを批判してきたので、完全にハシゴを外されました。
安倍首相の応援団は、安倍首相が森友学園問題で数々の不正行為を働いても、教育勅語を唱和する軍国主義教育の学校をつくるというイデオロギーを共有しているので、安倍首相を応援し続けました。
しかし、菅首相にそういうイデオロギーはないので、菅応援団は一度ハシゴを外されると、応援する気を失うのではないでしょうか。


政治の世界では「ブレた」と見なされると、急に風向きが変わります。
菅首相はここから体勢を立て直せるでしょうか。

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「アクセルとブレーキを同時に踏むようなものだ」と批判されても、菅義偉首相はGoToトラベルを停止するつもりはないようです。

菅首相は「経済が疲弊すれば自殺者が増える」と主張します。
この主張には、GoToトラベルと経済全体をすり替えるというごまかしがあります。
菅首相の論理はごまかしだらけです。それを解明してみます。


キーワードは「エビデンス」です。

菅首相は「GoToトラベルが感染拡大の主要な原因であるとのエビデンスは存在しない」と繰り返し言っています。

「エビデンス」というのは要するに「証拠」のことです。
「有罪の証拠は存在しない」と言われると、「証拠がないからといって無罪とは限らない」とすぐさま反論できますが、「有罪のエビデンスは存在しない」と言われると、「エビデンス」という言葉にごまかされて、反論しにくいということがあるかもしれません。

人を裁く裁判では「疑わしきは罰せず」ですが、命や健康を守るためには「疑わしきは罰する」であるべきです。


そうしたところ、東大などの研究チームが12月7日、「GoToトラベル利用者のほうが利用しなかった人よりも多く嗅覚・味覚の異常など新型コロナウイルス感染を疑わせる症状を経験し、統計学上2倍もの差があり、利用者ほど感染リスクが高い」との研究結果を発表しました。
これはGoToトラベルが感染拡大の原因であるという「エビデンス」ではないでしょうか。

ところが、赤羽一嘉国交相は「この論文については正式に査読前という話もありましたし、現時点ではコメントする段階でないと思っている」と語りました。
そして、加藤勝信官房長官、田村憲久厚労相もそろって「査読前」という言葉を使ってその論文を否定しました。
ということは、これは菅政権の方針なのでしょう。
新型コロナウイルス感染症については緊急性が高いので、マスコミは査読前の論文もどんどん紹介しているのですが。

確かにこの研究結果は絶対的な証拠とは言えないかもしれません。
しかし、状況証拠のひとつではあります。


逆の証拠らしいものもあります。
菅首相は11月23日に都内で講演した際、「トラベルは延べ4000万人の方が利用している。その中で現時点での感染者数は約180人だ」と語りました。
観光庁は26日の時点で202人という数字を出しています。

しかし、この数字はあまりにも少なすぎます。
東京新聞の『新型コロナ Go Toトラベルで感染、本当に202人? 全て把握とは言い切れないのに「継続」』という記事にはこう書かれています。

 観光庁などによると、事業を利用した感染者数は、宿泊施設などに対し、保健所や利用者本人から連絡があった数字を積み上げて集計している。宿泊から日数がたって感染が確認される場合などは、保健所から宿泊施設に必ず連絡があるわけではないという。
 「Go To トラベル」で人の往来を後押しし、症状のない人が旅先で知らず知らずのうちに感染を広げてしまう恐れもある。こうした感染者を正確に集計するのは難しく、事業に伴う感染者数を正確につかめているとは言い切れない。

宿泊施設から聞いた数字を集計しているのです。
宿泊者が帰ってから発症した場合、わざわざ宿泊施設に連絡するとは思えません。保健所にしても同じです。そもそも本人もどこで感染したかよくわからないでしょう。
それに、宿泊施設はGo Toトラベルの恩恵を受けているので、正直に報告するとは限りません。
旅行者が電車の中やレストランなどで人に感染させた場合はまったく把握できないわけです。

そう考えると、ほとんど意味のない数字ですが、菅首相はその数字を繰り返し根拠として挙げています(さすがに「エビデンス」という言葉は使っていませんが)。


これはどういうことかというと、Go Toトラベルに不利な証拠は採用されず、Go Toトラベルに有利な証拠は採用されるということです。
「Go Toトラベル裁判」というものがあるとして、裁判官はすべての証拠を踏まえた上で判決を下すのではなく、最初から判決ありきで、判決に合わせて証拠を取捨選択しているのです。

しかも、その手口が全国民の目に見えています。内閣の支持率が急落するのも当然です。


Go Toトラベルが感染を拡大させていることは常識で考えてもわかります。
リモートワークをしていて、買い物に行くぐらいしか外出しない人が、Go Toトラベルで旅行にいくと、宿泊施設、観光施設、交通機関、飲食店、土産物店、街中などで人に接触するので、おそらく百倍以上、人と接触するでしょう。感染が拡大するのは当然です。
それに、会食は感染リスクが高いと言われていますが、旅行にいくと三食ほぼ会食になります。


菅首相はどうしてこのように見えすいたごまかしをするのかというと、安倍政権のときにモリカケ桜問題でごまかしをして、それが通用したという成功体験があるからでしょう。
学術会議任命拒否問題でも、政府に反対した学者の任命を拒否したことをごまかして、押し通してきました。
Go Toトラベルでも押し通せると思ったのでしょう。

モリカケ桜で騒ぐのは時間のむだだという人がいましたが、記録改ざんや虚偽答弁を許した害悪がこんな形で出てきました。


ともかく、ごまかしを押し通すというやり方は、人間相手なら通用するかもしれませんが、ウイルス相手には通用しません。
そのために安倍首相もトランプ大統領も失敗しました。
菅首相はそこは学習しなかったようです。


もともと菅首相はウイルスを軽視していたのでしょう。
普通だと、周りの人間が意見してくれて、間違った考えを修正できますが、菅首相は自分に諫言する人間を左遷するので、周りはイエスマンばかりなのでしょう。
権力者は最終的にイエスマンに取り囲まれることになりがちですが、菅首相は首相就任の最初から末期状態です。

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11月19日、新型コロナについてなぜか笑顔で記者会見する菅首相

新型コロナの新規感染者数が急増していますが、西村康稔新型コロナ担当相は11月19日、「感染がどうなるかっていうのは、本当に神のみぞ知る」と言いました。
信じがたい無責任な発言です。

西村大臣は13日の記者会見では、GoToトラベルを活用して旅行することを推奨するのかと問われて、「活用して旅行するかどうかは国民の判断だ」と語り、GoToキャンペーンの責任を国民に押しつけました。

東京都はコロナ警戒レベルを「最高」に引き上げましたが、飲食店の営業自粛要請などはせず、小池百合子都知事は記者会見で「5つの小」と書かれたボードを掲げ、「会食はぜひ『小人数』。できれば『小一時間』。『小声」で楽しんで、料理は『小皿』に分けて、『小まめ』に換気や消毒をしていただく。5つの小を合言葉にして、感染防止対策の徹底をお願いします」と語りました。

神奈川県の黒岩祐治知事は報道ステーションに出演した際、5人以上の会食を禁止する動きがあることについて、「4人なら大丈夫ですか? 3人なら大丈夫ですか? 私は違うと思います。それよりも、マスクをしたまま会食すれば、これは大丈夫ですね」「マスクをしながら会食するというのは、ちょっと鬱陶しいと最初思われるかもしれないけど、やってってください。これをやると安心に繋がりますから」などと語りました。

奇妙な混乱が起きているのは、感染拡大の中でも政府がGoToキャンペーンを継続しているからです。
この判断は菅義偉首相がしたものでしょう。GoToキャンペーンは菅首相の肝いりの政策です。

黒岩知事が言った「マスク会食」も、もとは菅首相が言ったことです。
菅首相は19日のぶらさがり記者会見で、「ぜひ皆さん、静かなマスク会食、これをぜひお願いしたい、このように思います。私も今日から徹底をしたいと思います」と語りました。
そして、そう言った直後、なぜか珍しく笑みを浮かべました。自嘲の笑みだったのでしょうか(その動画はこちら)。


考えてみれば、GoToトラベルキャンペーンが始まったときも似たような混乱がありました。
GoToトラベルは本来なら8月中旬に開始される予定でしたが、前倒しして7月22日から実施されることになりました。それがちょうど第二波の感染拡大期に当たっていて、「なぜ今やるのか」と批判されましたが、菅官房長官は東京発着をキャンペーンから除外するという中途半端な対応で押し切りました。

菅首相は自分の思い入れのある政策については融通がきかないようです。ふるさと納税制度も、返礼品競争が過熱化するという忠告を無視して実施し、案の定過熱化しました。


GoToキャンペーンをめぐって混乱が起きるのは、最初にキャンペーンの目的が明示されなかったからです。

GoToトラベルは、苦境にある観光業界を救済するのが目的です。
ですから、最初に安倍首相か、少なくとも菅官房長官が国民に向かって、「今、観光業界は苦境にあります。観光業界を救うため、国民のみなさんは感染予防対策を十分にした上で、積極的に旅行をしてください」と呼びかけるべきでした。
本来はここに「リスクを取って」という言葉も入れるべきですが、この程度のごまかしはしかたがないでしょう。

呼びかけだけで国民がどんどん旅行をするようになるとは思えないので、そこでGoToトラベルを実施すればいいわけです。
旅行費用の半額が税金で支払われるのですから、当然多くの人が旅行します。税金投入の効果が目に見えるので、国民も税金投入に納得がいくはずです。
最初の呼びかけによってある程度旅行者がふえれば、税金の投入を5割でなく3割にするというように、税金の節約ができるかもしれません。

GoToイートも同じです。
菅首相が国民に「飲食業界を救うために積極的に外食をしてください」と呼びかけ、その呼びかけをより効果的にするために税金を投入します。

これまで政府関係者から国民に対して「旅行をしましょう」「外食をしましょう」という呼びかけが行われたことはないのではないでしょうか。
「経済を回す」「旅行業界を救済しないと」「飲食業界は持たない」などの言葉でGoToキャンペーンの必要性を主張する声があるだけです。

国民への呼びかけをせずにGoToキャンペーンだけやるというのは、「政府はGoToキャンペーンをするだけで、参加するか否かは国民の判断だ」というスタンスで、感染の責任を追及されないようにしているのでしょう。
西村大臣が「活用して旅行するかどうかは国民の判断だ」と言ったのは、まさにそのスタンスを表現したものです。


「外食をしましょう」という呼びかけをしていれば、呼びかけた責任があるので、感染が急拡大したときには、「これまでは外食するよう呼びかけてきましたが、昨今の感染状況に鑑みて、これからは外食を控えてくださるようお願いします。GoToイートも一時中止します」と機敏に方針転換もできます。
今は無責任体制でGoToキャンペーンを始めたので、感染が拡大しても平気で続けていられます。


もちろん菅首相もなにも考えていないはずがありません。
週刊文春の最新号に『菅 放言録「GoTo継続は当然」「専門家は慎重すぎる」』という記事が載っています。
確かに新規感染者数は急増していますが、死亡者数はそれほどふえていませんし、アメリカやヨーロッパと比べるとぜんぜん大したことはありません。
マスコミや医師会は騒ぎすぎです。
菅首相がほんとうに経済を回していくべきだと考えているなら、「この程度の感染を恐れる必要はありません。旅行も外食も続けてください」と国民に訴えるべきです。
賛否両論巻き起こるでしょうが、そうした中を突き進んでいくのがリーダーシップのある政治家というものです。
しかし、菅首相にそんな覚悟はありません。

結局、経済は回したいが、責任は取りたくないという無責任政治家ばかりなので、国民は「マスク会食」などというへんなものを押しつけられる羽目になっています。

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吉村洋文大阪府知事にはびっくりです。
うがい薬を使ってうがいをすることで「コロナの陽性者が減っていく。薬事法上、効能を言うわけにはいきませんが、コロナに効くのではないかという研究が出ました」「このコロナに、ある意味、打ち勝てるんじゃないかというふうにすら思っています」と大々的に発表したからです。

殺菌作用のあるうがい薬で何度もうがいをすれば、口中のウイルスが減少するのは当然です。しかし、それだけで「コロナに効く」とか「コロナに打ち勝てる」とはいえないはずです。

吉村知事の発表でうがい薬が店頭からなくなり、ヨード系のうがい薬を多用すると甲状腺機能障害の危険性があると医療関係者から指摘されるなど、世の中が混乱しました。

吉村知事はなぜこんな愚かな発表をしたのでしょうか。
私なりに調べてみました。


このうがい薬による“実験”をしたのは、大阪はびきの医療センターの松山晃文次世代創薬創生センター長です。被験者は41人で、論文にもなっておらず、ずさんな実験だと批判されています。

その実験というのは、41人を2群に分け、1日4回、ポビドンヨードを含むうがい薬でうがいを毎日実施した群と、うがいを実施しなかった群を比較し、毎日、唾液によるPCR検査をおこなったところ、4日目にはうがいを実施しなかった群の陽性率は40%だったのに対して、ポビドンヨードを含むうがい薬を使った群は陽性率が9.5%に低下したというものです。
しかし、この実験ではポビドンヨードを含むうがい薬の効果は立証されません。水うがいでも同じ効果が出るかもしれないからです。

松山センター長もそのことは認めて、『「うがい薬でコロナウイルス減少?」 大阪はびきの医療センター・研究責任者に直撃』という記事で次のように語っています。

「水うがい」「塩うがい」でも口の中のウイルスの濃度を減らすことができると思います。
ポビドンヨードだとのどを痛めたり、副作用がありますけれども、「水うがい」「塩うがい」は日本古来からありますし、お勧めできると思います。
   ※
1回のうがいでは数時間しか効果が持ちません。2時間後、3時間後ではウイルスは再度陽性になってきますので、うがいを継続的にした人は「陰性」になるということはあると思います。


やはり口中のウイルスを一時的にへらすだけのことだと松山センター長も認めています。しかも、うがい薬を使わずに水うがいでも同じような効果がある可能性があります。

では、この実験結果にどんな意味があるのかというと、松山センター長は、唾液中のウイルスがへれば人に移すリスクがへることと、軽症者の場合、唾液を肺に吸い込んで肺炎になるリスクがへることを挙げています。
しかし、陽性者はすでに隔離され、マスクをするなどして人に移さないように心がけていますし、口腔中のウイルスはへっても肺に直結する鼻腔中のウイルスはへらないので、肺炎になるリスクはそれほど変わらないとも思えます。

ただ、松山センター長は、実験はずさんだったとしても、そんなにでたらめなことは言っていません。
問題は、そんな実験結果に食いついて、「うがいでコロナに打ち勝てる」などと誇大妄想的な発表をした吉村知事です。

私は最初、吉村知事はニセ科学による詐欺にひっかかったのかと思いました。
しかし、実際は一人相撲ならぬ“一人詐欺事件”とでもいうのか、松山センター長はだます気がないのに吉村知事が勝手にだまされてしまったのです。
吉村知事は口腔中のウイルスがへって検査結果が「陰性になる」ということを、勝手に「コロナが治る」と脳内変換したに違いありません。
そして、それをマスコミに発表する自分の姿を想像して酔いしれ、正常な判断力を失ってしまったのです。


これまでメディアは吉村知事をひたすら持ち上げてきました。
政府のコロナ対策はでたらめで、安倍首相も西村コロナ担当相も加藤厚労相も自分の言葉で説明することができないので、メディアは各知事に注目し、中でも歯切れのいいしゃべりのできる吉村知事は連日テレビに顔出ししてきました。
そのため吉村知事は自分が日本のコロナ対策の中心であると勘違いをするようになったのではないでしょうか。

そして、吉村知事が力を入れたのが、大阪府、大阪市、大阪大学、大阪市立大学、医療機関、民間会社などオール大阪で取り組む“大阪ワクチン”の開発です。
世界中でワクチン開発を競っている中で、“大阪ワクチン”がどの程度有力なのかよくわかりませんが、「やってる感」を出すのにこれ以上のものはありません。
マスコミも食いつきがよく、吉村知事が「6月30日から臨床試験を始め、市大病院の医療従事者からワクチンを接種してもらう」などと発表するたびに大きく取り上げてきました。


そうしたところに松山センター長の実験結果が知らされ、吉村知事は「大阪発のコロナ対策」というところに食いついたのでしょう。
しかも、ポビドンヨード含有のうがい薬の代表的存在であるイソジンは、大阪の塩野義製薬の製品です。塩野義製薬は“大阪ワクチン”の開発に深く関わり、大阪万博のスポンサー企業でもあります。吉村知事の「うがい薬がコロナに効く」発言で塩野義製薬の株価が急騰し、インサイダー疑惑もささやかれ、吉村知事は“イソジン吉村”と揶揄されました。

インサイダー疑惑については『吉村知事「ヨードうがい薬」会見を『ミヤネ屋』に事前漏洩! 出演者のテリー伊藤が「会見の1時間半前に知った」「インサイダー取引できた」』という記事があります。


吉村知事は、コロナ対策をするときに「大阪」にこだわったのが失敗です。
科学では客観性がだいじで、自己中心的とか身びいきとかお友だち優遇とかは科学の敵です。

それは安倍首相においても同じです。
安倍首相は緊急事態宣言解除のときに「『日本モデル』の力を示した」と言って胸を張ったために、感染再拡大の事態ではなにも言えなくなりました(吉村知事が先に「大阪モデル」という言葉を使っていて、「日本モデル」はそのパクリでしょう)。
安倍首相はまた、富士フイルム富山化学の抗インフルエンザ薬「アビガン」を新型コロナ治療薬として強く推し、2020年度補正予算案に139億円を計上し、承認を急がせました。日本発の薬だということのほかに、富士フイルムHDの古森重隆会長が安倍首相を囲む財界人「四季の会」の中心メンバーであること、つまりお友だち優遇ということもありそうです。
しかし、臨床試験ではいまだに有効性が立証できず、一時は5月中の承認を目指していた安倍首相も、最近はアビガンに言及することもなくなりました。


吉村知事は、ポピドンヨード含有のうがい薬について「治療薬ではない」「予防効果があるとは一言もいっていない」と弁解しましたが、訂正や謝罪はしていません。
大阪のメディアがみんな大阪維新の会のお友だち化して、吉村知事を追及することもないので、それで通っているのでしょう。

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7月22日、新型コロナウイルスの新規感染者数が795人になり、過去最多を記録しました。
安倍首相は官邸で記者から「Go Toトラベル」が始まったことについて聞かれ、「国民の皆様のご協力をいただきながら、慎重に経済活動再開を目指していく方針に変わりはありません」と答えました。

こういう答えを聞くと、いらっとします。
本来なら「この程度の感染者数では経済活動再開の方針を変える必要はないと思います」みたいなことを言うべきです。
もっとも、そうすると「では、どの程度なら方針を見直すんですか」と聞かれて、安倍首相に定見のないことがバレてしまいますが。

「感染防止と経済活動の両立」と言葉でいうのは簡単ですが、「感染防止」と「経済活動」という異質のものを天秤にかけて計るには、高度な判断力が必要です。

安倍首相は非常事態宣言を解除するときに「日本モデルの力を示した」と自慢げに言いました。
麻生財務相は「民度が違う」と言いました。

「日本モデル」も「民度が違う」も、つまるところ「日本スゴイ」ということです。
こういうことを言うと国民の喝采が得られると思っているのでしょうが、科学的に感染防止に取り組もうという意欲が感じられません。


安倍首相と麻生財務相に続く政権のキーマンである菅官房長官は、このところ存在感がありませんでしたが、「Go Toトラベル」の前倒しが決まってから、注目される発言をするようになりました。

7月11日、北海道で講演した菅長官は、最近の感染拡大について「この問題は圧倒的に『東京問題』と言っても過言ではない」と語り、「これは国の問題」と反論する小池都知事とやり合いました。

この「東京問題」という発言は、感染を小さく見せかけたいために言っただけかなと思いましたが、その後、「感染の根源」という言葉を使いました。

感染急増「夜の街」対策強化へ…菅氏「根源を一つ一つつぶしていく」
 政府は、新型コロナウイルスの感染者が多数出ているホストクラブなどへの対策を強化する。全国の警察が風俗営業法に基づき、各地の「夜の街」に積極的な立ち入り調査を行い、感染防止策を含む営業実態を確認する方針だ。

 菅官房長官は19日のフジテレビの番組で、接待を伴う店としてホストクラブやキャバクラを挙げ、「どこに新型コロナの根源みたいなものがあるか分かってきたから、警察が足を踏み入れ、根源を一つ一つつぶしていく」と述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/32b8202aa328b5f71cbaf2a487eafe8c4f66ce01


「感染の根源」という言葉に驚きました。
感染に「根源」などあるはずがなく、すべては感染の「通過点」です。

「感染の根源」は単なる思いつきの言葉ではなく、菅長官は20日午前の記者会見でも語っています。


記者 コロナウイルスが蔓延している場所は限られているとおっしゃいましたけども、これは意味としては、蔓延するきっかけになった店舗が夜の街全体ではなくて、少ないところに限られているという意味なのか、市中に感染してないという意味なのか、どうなんでしょうか。
菅長官 夜の街の感染がきわめて大きいことは、たとえば東京都の検査でも明らかになってきているんじゃないでしょうか。明らかにホストクラブとかキャバクラ、そうしたところが根源になっているということは、今日までの検査の中で明らかになってきているというふうに思っています。そうしたところに風営法等を初めとする各法の義務を徹底させるということはだいじじゃないでしょうか。

小池都知事は「夜の街」という言葉をよく使いますが、これはパチンコ屋とともに差別的に見られる水商売を悪者にする一方、経済活動に直結する職場と通勤電車から国民の視線をそらせようという作戦でしょう。
ところが、菅長官はそれを真に受けたのか、ホストクラブやキャバクラを「感染の根源」と見なして、これから警察の立ち入り調査などで「根源を一つ一つつぶしていく」ということです。

これだけ市中感染が広がっている中で、今さらホストクラブやキャバクラを規制したところで、大した意味はありません。
菅官房長官は感染のメカニズムがなにもわかっていないようです。

トランプ大統領はアメリカの感染拡大を中国やWHOのせいにして攻撃していますが、菅長官も同じ発想をする人かもしれません。
菅長官は2月、3月ごろのマスク不足の対策を担っていて、マスク不足は転売ヤーのせいであるとして政令改正でマスク転売を禁止しましたが、効果はありませんでした。マスク不足はマスクの絶対数が不足しているからで、転売ヤーのせいではなかったからです。

ともかく、「感染の根源」などという言葉を使う人にまともな感染対策ができるとは思えません。

西村コロナ担当相も加藤厚労相も、記者会見や国会でしゃべっているところを見ていると、感染のことがよくわかっていないのではないかという気がします。


政府の「感染防止と経済活動の両立をはかる」という方針はいいのですが、「感染防止」と「経済活動」を天秤にかけて計れる人間が誰もいないので、政府はエンジンの壊れた船のように、利権と世論の風に吹かれて漂流しているだけです。

今の政府首脳が学習して向上するということは考えられないので、国民としては、せいぜい正しい方向の風を吹かせるしかありません。

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