村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

カテゴリ: COVID-19

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今にして思えば、「ガースー」発言が転換点でした。

菅義偉首相は12月11日、ニコニコ生放送に出演し、冒頭で「みなさんこんにちは。ガースーです」とあいさつして大スベリし、「こんなたいへんなときにふざけるな」などの批判が殺到しました。

「ガースー」発言については、誰か側近が「ニコ生では『ガースー』と言うと受けますよ」などと助言し、菅首相はそれを真に受けたのだろうと思われています。
しかし、もし誰かが菅首相に助言していたとしたら、菅首相は恥をかかされたと激怒して、その人は地獄の底へ左遷されてしまうに違いありません。菅首相は自分に反対した人間をすぐに左遷するそうですから。
そんなリスクの大きい助言をする人がいるでしょうか。

菅首相は改元のときに官房長官として「令和」の額を掲げると、「令和おじさん」として急に人気になりました。菅氏が首相になれたのはその人気のおかげと言っても過言ではありません。
それから、パンケーキが好きだと言うと、「パンケーキおじさん」と呼ばれて、また人気が出ました。
本人はこれで人気者になろうと意図したわけではありません。
なにも考えずにバットを振ったら、まぐれでボールが当たってヒットになったようなものです。
ともかく、これが菅首相の成功体験になりました。

今回「ガースー」と言ったのも、内閣支持率が急落する中、人気を挽回しようと思ってとりあえずバットを振ってみたということでしょう。
もちろんまぐれ当たりは何度もありません。


菅首相は自分の判断でやって大スベリしたので、精神的ダメージを受け、自分の判断力に疑問を持ったのかもしれません。
そうして決定されたのがGoToトラベル一時停止です。

この決定には誰もが「ブレた」という印象を持ったでしょう。
菅首相は「一度決めたことは人になんと言われても曲げない」というイメージをつくりあげてきました。とくにGoToトラベルは菅首相の肝煎り政策なので、いくら批判されても除外地域を追加する程度の手直しでお茶を濁すだろうと見られていました。

「一度決めたことは人になんと言われても曲げない」というイメージが確立すると、周りの人間はすぐに反対するのを諦めるので、自分の言い分がなんでも通るようになります。
菅首相は体も小さく、声にも力がなく、原稿を棒読みするだけで、権力者らしいところがまるでありませんが、「ブレない」というイメージがあることでリーダーシップを発揮してきました。

しかし、GoToトラベル一時停止で「ブレない」というイメージが崩れてしまいました。
政治は戦いですから、弱みを見せると、相手はかさにかかって攻めてきます。

そこで批判されたのが、菅首相が多人数で会食していた問題です。
最初にやり玉にあがったのは、GoToトラベル一時停止を発表した14日、王貞治氏、みのもんた氏、杉良太郎氏、二階俊博幹事長ら8人程度で忘年会をしたことです。
ノーマスクだったこと、店にアクリル板はなかったことなどが次々と報じられ、批判が高まりました。

すると菅首相は16日、記者の前で「反省」を表明しました。
これも意外な感じでした。
これまでなら「情報収集と人脈づくりのために会食は総理として重要な仕事ですので、感染防止に極力配慮して行ってきましたが、今後は控えたいと思います」程度の談話ですませていたでしょう。

しかも、「反省」表明のとき原稿を読まなかったのも、これまでのやり方と違います。
それが裏目に出て、「国民の誤解を招くという意味においては真摯に反省しております」と言い、「どこが国民の誤解だ」というさらなる批判を招いてしまいました。

その後、人数を4人以下にしたものの、1日に2件会食をしたので、「ハシゴ会食はいいのか」という批判も浴びました。
一度弱みを見せると、次々と攻め込まれるというパターンです。

菅首相の「反省」表明は側近も想定していなかったようです。
西村経済再生担当相は16日午前の衆院内閣委で野党議員から「5人以上の会食はいいのか悪いのか」と追及されると、「一律に5人以上はダメだということを申し上げているわけではございません」「もしどうしてもされる場合には、アクリル板のある店を選んでくださいとか、換気に注意してくださいとか、こういったことも併せて申し上げております」と首相を擁護しました。ところが、その日の午後に首相が「反省」表明をしたわけです。


急に会食への批判が巻き起こったのは、菅首相がブレたからです。
菅首相がGoToイートの適用を「原則4人以下」での飲食に制限するよう要請したのは11月16日のことです。
そのときにマスク着用の会食を呼びかけ、「私も今日から徹底したい」と言いました。
しかし、それからも菅首相は毎日会食を続けました。5人以上の会食もあったことは新聞の「首相動静」を見ればわかります。そのときマスク会食をしていたか否かも少し取材すればわかることです。
しかし、「5人以上でノーマスク会食をしている」と批判されたことはありません。
ところが、「ブレた」と思われたとたん、批判が起こったのです。
政治は力関係で動いていることがよくわかります。


そして、力関係が変わったことで見えてきたこともあります。
自民、夜会合を続々中止 大人数会食批判を考慮か
 菅義偉首相による5人以上の会食に批判が出ていることを受け、自民党では16日、大人数での会食の中止が続々と決まった。

 二階、岸田両派は17日にそれぞれ予定していた忘年会を中止した。

 二階派は17日夜、東京都内の日本料理店で所属議員48人らに呼び掛け、忘年会を計画していた。しかし、同派の山口壮事務総長が16日、所属議員に文書で「新型コロナウイルスの感染状況」を理由に中止を伝えた。

 二階俊博幹事長と佐藤勉総務会長ら総務会メンバーによる18日夜の会食も取りやめとなった。佐藤氏は16日の記者会見で「批判があったことも踏まえ、われわれも襟を正さなければいけない」と述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b10f02be569549fbce8032c01fd7c2f38e8e2b16

自民党は、国民には会食は4人以下と要請していながら、自分たちは平気で大規模な宴会を計画していたのです。
おそらくGoTo停止がなければ、マスコミはこうしたことも報じなかったでしょう。

自民党のおごりがうかがえますが、同時に自民党の「コロナ軽視」もうかがえます。
政府のコロナ対策はつねに後手後手ですが、その理由はこのへんにありそうです。


菅首相がブレたために、菅応援団も困ったでしょう。
菅応援団は、経済を回すのにGoToは必要だと主張して、野党やマスコミを批判してきたので、完全にハシゴを外されました。
安倍首相の応援団は、安倍首相が森友学園問題で数々の不正行為を働いても、教育勅語を唱和する軍国主義教育の学校をつくるというイデオロギーを共有しているので、安倍首相を応援し続けました。
しかし、菅首相にそういうイデオロギーはないので、菅応援団は一度ハシゴを外されると、応援する気を失うのではないでしょうか。


政治の世界では「ブレた」と見なされると、急に風向きが変わります。
菅首相はここから体勢を立て直せるでしょうか。

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「アクセルとブレーキを同時に踏むようなものだ」と批判されても、菅義偉首相はGoToトラベルを停止するつもりはないようです。

菅首相は「経済が疲弊すれば自殺者が増える」と主張します。
この主張には、GoToトラベルと経済全体をすり替えるというごまかしがあります。
菅首相の論理はごまかしだらけです。それを解明してみます。


キーワードは「エビデンス」です。

菅首相は「GoToトラベルが感染拡大の主要な原因であるとのエビデンスは存在しない」と繰り返し言っています。

「エビデンス」というのは要するに「証拠」のことです。
「有罪の証拠は存在しない」と言われると、「証拠がないからといって無罪とは限らない」とすぐさま反論できますが、「有罪のエビデンスは存在しない」と言われると、「エビデンス」という言葉にごまかされて、反論しにくいということがあるかもしれません。

人を裁く裁判では「疑わしきは罰せず」ですが、命や健康を守るためには「疑わしきは罰する」であるべきです。


そうしたところ、東大などの研究チームが12月7日、「GoToトラベル利用者のほうが利用しなかった人よりも多く嗅覚・味覚の異常など新型コロナウイルス感染を疑わせる症状を経験し、統計学上2倍もの差があり、利用者ほど感染リスクが高い」との研究結果を発表しました。
これはGoToトラベルが感染拡大の原因であるという「エビデンス」ではないでしょうか。

ところが、赤羽一嘉国交相は「この論文については正式に査読前という話もありましたし、現時点ではコメントする段階でないと思っている」と語りました。
そして、加藤勝信官房長官、田村憲久厚労相もそろって「査読前」という言葉を使ってその論文を否定しました。
ということは、これは菅政権の方針なのでしょう。
新型コロナウイルス感染症については緊急性が高いので、マスコミは査読前の論文もどんどん紹介しているのですが。

確かにこの研究結果は絶対的な証拠とは言えないかもしれません。
しかし、状況証拠のひとつではあります。


逆の証拠らしいものもあります。
菅首相は11月23日に都内で講演した際、「トラベルは延べ4000万人の方が利用している。その中で現時点での感染者数は約180人だ」と語りました。
観光庁は26日の時点で202人という数字を出しています。

しかし、この数字はあまりにも少なすぎます。
東京新聞の『新型コロナ Go Toトラベルで感染、本当に202人? 全て把握とは言い切れないのに「継続」』という記事にはこう書かれています。

 観光庁などによると、事業を利用した感染者数は、宿泊施設などに対し、保健所や利用者本人から連絡があった数字を積み上げて集計している。宿泊から日数がたって感染が確認される場合などは、保健所から宿泊施設に必ず連絡があるわけではないという。
 「Go To トラベル」で人の往来を後押しし、症状のない人が旅先で知らず知らずのうちに感染を広げてしまう恐れもある。こうした感染者を正確に集計するのは難しく、事業に伴う感染者数を正確につかめているとは言い切れない。

宿泊施設から聞いた数字を集計しているのです。
宿泊者が帰ってから発症した場合、わざわざ宿泊施設に連絡するとは思えません。保健所にしても同じです。そもそも本人もどこで感染したかよくわからないでしょう。
それに、宿泊施設はGo Toトラベルの恩恵を受けているので、正直に報告するとは限りません。
旅行者が電車の中やレストランなどで人に感染させた場合はまったく把握できないわけです。

そう考えると、ほとんど意味のない数字ですが、菅首相はその数字を繰り返し根拠として挙げています(さすがに「エビデンス」という言葉は使っていませんが)。


これはどういうことかというと、Go Toトラベルに不利な証拠は採用されず、Go Toトラベルに有利な証拠は採用されるということです。
「Go Toトラベル裁判」というものがあるとして、裁判官はすべての証拠を踏まえた上で判決を下すのではなく、最初から判決ありきで、判決に合わせて証拠を取捨選択しているのです。

しかも、その手口が全国民の目に見えています。内閣の支持率が急落するのも当然です。


Go Toトラベルが感染を拡大させていることは常識で考えてもわかります。
リモートワークをしていて、買い物に行くぐらいしか外出しない人が、Go Toトラベルで旅行にいくと、宿泊施設、観光施設、交通機関、飲食店、土産物店、街中などで人に接触するので、おそらく百倍以上、人と接触するでしょう。感染が拡大するのは当然です。
それに、会食は感染リスクが高いと言われていますが、旅行にいくと三食ほぼ会食になります。


菅首相はどうしてこのように見えすいたごまかしをするのかというと、安倍政権のときにモリカケ桜問題でごまかしをして、それが通用したという成功体験があるからでしょう。
学術会議任命拒否問題でも、政府に反対した学者の任命を拒否したことをごまかして、押し通してきました。
Go Toトラベルでも押し通せると思ったのでしょう。

モリカケ桜で騒ぐのは時間のむだだという人がいましたが、記録改ざんや虚偽答弁を許した害悪がこんな形で出てきました。


ともかく、ごまかしを押し通すというやり方は、人間相手なら通用するかもしれませんが、ウイルス相手には通用しません。
そのために安倍首相もトランプ大統領も失敗しました。
菅首相はそこは学習しなかったようです。


もともと菅首相はウイルスを軽視していたのでしょう。
普通だと、周りの人間が意見してくれて、間違った考えを修正できますが、菅首相は自分に諫言する人間を左遷するので、周りはイエスマンばかりなのでしょう。
権力者は最終的にイエスマンに取り囲まれることになりがちですが、菅首相は首相就任の最初から末期状態です。

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11月19日、新型コロナについてなぜか笑顔で記者会見する菅首相

新型コロナの新規感染者数が急増していますが、西村康稔新型コロナ担当相は11月19日、「感染がどうなるかっていうのは、本当に神のみぞ知る」と言いました。
信じがたい無責任な発言です。

西村大臣は13日の記者会見では、GoToトラベルを活用して旅行することを推奨するのかと問われて、「活用して旅行するかどうかは国民の判断だ」と語り、GoToキャンペーンの責任を国民に押しつけました。

東京都はコロナ警戒レベルを「最高」に引き上げましたが、飲食店の営業自粛要請などはせず、小池百合子都知事は記者会見で「5つの小」と書かれたボードを掲げ、「会食はぜひ『小人数』。できれば『小一時間』。『小声」で楽しんで、料理は『小皿』に分けて、『小まめ』に換気や消毒をしていただく。5つの小を合言葉にして、感染防止対策の徹底をお願いします」と語りました。

神奈川県の黒岩祐治知事は報道ステーションに出演した際、5人以上の会食を禁止する動きがあることについて、「4人なら大丈夫ですか? 3人なら大丈夫ですか? 私は違うと思います。それよりも、マスクをしたまま会食すれば、これは大丈夫ですね」「マスクをしながら会食するというのは、ちょっと鬱陶しいと最初思われるかもしれないけど、やってってください。これをやると安心に繋がりますから」などと語りました。

奇妙な混乱が起きているのは、感染拡大の中でも政府がGoToキャンペーンを継続しているからです。
この判断は菅義偉首相がしたものでしょう。GoToキャンペーンは菅首相の肝いりの政策です。

黒岩知事が言った「マスク会食」も、もとは菅首相が言ったことです。
菅首相は19日のぶらさがり記者会見で、「ぜひ皆さん、静かなマスク会食、これをぜひお願いしたい、このように思います。私も今日から徹底をしたいと思います」と語りました。
そして、そう言った直後、なぜか珍しく笑みを浮かべました。自嘲の笑みだったのでしょうか(その動画はこちら)。


考えてみれば、GoToトラベルキャンペーンが始まったときも似たような混乱がありました。
GoToトラベルは本来なら8月中旬に開始される予定でしたが、前倒しして7月22日から実施されることになりました。それがちょうど第二波の感染拡大期に当たっていて、「なぜ今やるのか」と批判されましたが、菅官房長官は東京発着をキャンペーンから除外するという中途半端な対応で押し切りました。

菅首相は自分の思い入れのある政策については融通がきかないようです。ふるさと納税制度も、返礼品競争が過熱化するという忠告を無視して実施し、案の定過熱化しました。


GoToキャンペーンをめぐって混乱が起きるのは、最初にキャンペーンの目的が明示されなかったからです。

GoToトラベルは、苦境にある観光業界を救済するのが目的です。
ですから、最初に安倍首相か、少なくとも菅官房長官が国民に向かって、「今、観光業界は苦境にあります。観光業界を救うため、国民のみなさんは感染予防対策を十分にした上で、積極的に旅行をしてください」と呼びかけるべきでした。
本来はここに「リスクを取って」という言葉も入れるべきですが、この程度のごまかしはしかたがないでしょう。

呼びかけだけで国民がどんどん旅行をするようになるとは思えないので、そこでGoToトラベルを実施すればいいわけです。
旅行費用の半額が税金で支払われるのですから、当然多くの人が旅行します。税金投入の効果が目に見えるので、国民も税金投入に納得がいくはずです。
最初の呼びかけによってある程度旅行者がふえれば、税金の投入を5割でなく3割にするというように、税金の節約ができるかもしれません。

GoToイートも同じです。
菅首相が国民に「飲食業界を救うために積極的に外食をしてください」と呼びかけ、その呼びかけをより効果的にするために税金を投入します。

これまで政府関係者から国民に対して「旅行をしましょう」「外食をしましょう」という呼びかけが行われたことはないのではないでしょうか。
「経済を回す」「旅行業界を救済しないと」「飲食業界は持たない」などの言葉でGoToキャンペーンの必要性を主張する声があるだけです。

国民への呼びかけをせずにGoToキャンペーンだけやるというのは、「政府はGoToキャンペーンをするだけで、参加するか否かは国民の判断だ」というスタンスで、感染の責任を追及されないようにしているのでしょう。
西村大臣が「活用して旅行するかどうかは国民の判断だ」と言ったのは、まさにそのスタンスを表現したものです。


「外食をしましょう」という呼びかけをしていれば、呼びかけた責任があるので、感染が急拡大したときには、「これまでは外食するよう呼びかけてきましたが、昨今の感染状況に鑑みて、これからは外食を控えてくださるようお願いします。GoToイートも一時中止します」と機敏に方針転換もできます。
今は無責任体制でGoToキャンペーンを始めたので、感染が拡大しても平気で続けていられます。


もちろん菅首相もなにも考えていないはずがありません。
週刊文春の最新号に『菅 放言録「GoTo継続は当然」「専門家は慎重すぎる」』という記事が載っています。
確かに新規感染者数は急増していますが、死亡者数はそれほどふえていませんし、アメリカやヨーロッパと比べるとぜんぜん大したことはありません。
マスコミや医師会は騒ぎすぎです。
菅首相がほんとうに経済を回していくべきだと考えているなら、「この程度の感染を恐れる必要はありません。旅行も外食も続けてください」と国民に訴えるべきです。
賛否両論巻き起こるでしょうが、そうした中を突き進んでいくのがリーダーシップのある政治家というものです。
しかし、菅首相にそんな覚悟はありません。

結局、経済は回したいが、責任は取りたくないという無責任政治家ばかりなので、国民は「マスク会食」などというへんなものを押しつけられる羽目になっています。

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吉村洋文大阪府知事にはびっくりです。
うがい薬を使ってうがいをすることで「コロナの陽性者が減っていく。薬事法上、効能を言うわけにはいきませんが、コロナに効くのではないかという研究が出ました」「このコロナに、ある意味、打ち勝てるんじゃないかというふうにすら思っています」と大々的に発表したからです。

殺菌作用のあるうがい薬で何度もうがいをすれば、口中のウイルスが減少するのは当然です。しかし、それだけで「コロナに効く」とか「コロナに打ち勝てる」とはいえないはずです。

吉村知事の発表でうがい薬が店頭からなくなり、ヨード系のうがい薬を多用すると甲状腺機能障害の危険性があると医療関係者から指摘されるなど、世の中が混乱しました。

吉村知事はなぜこんな愚かな発表をしたのでしょうか。
私なりに調べてみました。


このうがい薬による“実験”をしたのは、大阪はびきの医療センターの松山晃文次世代創薬創生センター長です。被験者は41人で、論文にもなっておらず、ずさんな実験だと批判されています。

その実験というのは、41人を2群に分け、1日4回、ポビドンヨードを含むうがい薬でうがいを毎日実施した群と、うがいを実施しなかった群を比較し、毎日、唾液によるPCR検査をおこなったところ、4日目にはうがいを実施しなかった群の陽性率は40%だったのに対して、ポビドンヨードを含むうがい薬を使った群は陽性率が9.5%に低下したというものです。
しかし、この実験ではポビドンヨードを含むうがい薬の効果は立証されません。水うがいでも同じ効果が出るかもしれないからです。

松山センター長もそのことは認めて、『「うがい薬でコロナウイルス減少?」 大阪はびきの医療センター・研究責任者に直撃』という記事で次のように語っています。

「水うがい」「塩うがい」でも口の中のウイルスの濃度を減らすことができると思います。
ポビドンヨードだとのどを痛めたり、副作用がありますけれども、「水うがい」「塩うがい」は日本古来からありますし、お勧めできると思います。
   ※
1回のうがいでは数時間しか効果が持ちません。2時間後、3時間後ではウイルスは再度陽性になってきますので、うがいを継続的にした人は「陰性」になるということはあると思います。


やはり口中のウイルスを一時的にへらすだけのことだと松山センター長も認めています。しかも、うがい薬を使わずに水うがいでも同じような効果がある可能性があります。

では、この実験結果にどんな意味があるのかというと、松山センター長は、唾液中のウイルスがへれば人に移すリスクがへることと、軽症者の場合、唾液を肺に吸い込んで肺炎になるリスクがへることを挙げています。
しかし、陽性者はすでに隔離され、マスクをするなどして人に移さないように心がけていますし、口腔中のウイルスはへっても肺に直結する鼻腔中のウイルスはへらないので、肺炎になるリスクはそれほど変わらないとも思えます。

ただ、松山センター長は、実験はずさんだったとしても、そんなにでたらめなことは言っていません。
問題は、そんな実験結果に食いついて、「うがいでコロナに打ち勝てる」などと誇大妄想的な発表をした吉村知事です。

私は最初、吉村知事はニセ科学による詐欺にひっかかったのかと思いました。
しかし、実際は一人相撲ならぬ“一人詐欺事件”とでもいうのか、松山センター長はだます気がないのに吉村知事が勝手にだまされてしまったのです。
吉村知事は口腔中のウイルスがへって検査結果が「陰性になる」ということを、勝手に「コロナが治る」と脳内変換したに違いありません。
そして、それをマスコミに発表する自分の姿を想像して酔いしれ、正常な判断力を失ってしまったのです。


これまでメディアは吉村知事をひたすら持ち上げてきました。
政府のコロナ対策はでたらめで、安倍首相も西村コロナ担当相も加藤厚労相も自分の言葉で説明することができないので、メディアは各知事に注目し、中でも歯切れのいいしゃべりのできる吉村知事は連日テレビに顔出ししてきました。
そのため吉村知事は自分が日本のコロナ対策の中心であると勘違いをするようになったのではないでしょうか。

そして、吉村知事が力を入れたのが、大阪府、大阪市、大阪大学、大阪市立大学、医療機関、民間会社などオール大阪で取り組む“大阪ワクチン”の開発です。
世界中でワクチン開発を競っている中で、“大阪ワクチン”がどの程度有力なのかよくわかりませんが、「やってる感」を出すのにこれ以上のものはありません。
マスコミも食いつきがよく、吉村知事が「6月30日から臨床試験を始め、市大病院の医療従事者からワクチンを接種してもらう」などと発表するたびに大きく取り上げてきました。


そうしたところに松山センター長の実験結果が知らされ、吉村知事は「大阪発のコロナ対策」というところに食いついたのでしょう。
しかも、ポビドンヨード含有のうがい薬の代表的存在であるイソジンは、大阪の塩野義製薬の製品です。塩野義製薬は“大阪ワクチン”の開発に深く関わり、大阪万博のスポンサー企業でもあります。吉村知事の「うがい薬がコロナに効く」発言で塩野義製薬の株価が急騰し、インサイダー疑惑もささやかれ、吉村知事は“イソジン吉村”と揶揄されました。

インサイダー疑惑については『吉村知事「ヨードうがい薬」会見を『ミヤネ屋』に事前漏洩! 出演者のテリー伊藤が「会見の1時間半前に知った」「インサイダー取引できた」』という記事があります。


吉村知事は、コロナ対策をするときに「大阪」にこだわったのが失敗です。
科学では客観性がだいじで、自己中心的とか身びいきとかお友だち優遇とかは科学の敵です。

それは安倍首相においても同じです。
安倍首相は緊急事態宣言解除のときに「『日本モデル』の力を示した」と言って胸を張ったために、感染再拡大の事態ではなにも言えなくなりました(吉村知事が先に「大阪モデル」という言葉を使っていて、「日本モデル」はそのパクリでしょう)。
安倍首相はまた、富士フイルム富山化学の抗インフルエンザ薬「アビガン」を新型コロナ治療薬として強く推し、2020年度補正予算案に139億円を計上し、承認を急がせました。日本発の薬だということのほかに、富士フイルムHDの古森重隆会長が安倍首相を囲む財界人「四季の会」の中心メンバーであること、つまりお友だち優遇ということもありそうです。
しかし、臨床試験ではいまだに有効性が立証できず、一時は5月中の承認を目指していた安倍首相も、最近はアビガンに言及することもなくなりました。


吉村知事は、ポピドンヨード含有のうがい薬について「治療薬ではない」「予防効果があるとは一言もいっていない」と弁解しましたが、訂正や謝罪はしていません。
大阪のメディアがみんな大阪維新の会のお友だち化して、吉村知事を追及することもないので、それで通っているのでしょう。

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7月22日、新型コロナウイルスの新規感染者数が795人になり、過去最多を記録しました。
安倍首相は官邸で記者から「Go Toトラベル」が始まったことについて聞かれ、「国民の皆様のご協力をいただきながら、慎重に経済活動再開を目指していく方針に変わりはありません」と答えました。

こういう答えを聞くと、いらっとします。
本来なら「この程度の感染者数では経済活動再開の方針を変える必要はないと思います」みたいなことを言うべきです。
もっとも、そうすると「では、どの程度なら方針を見直すんですか」と聞かれて、安倍首相に定見のないことがバレてしまいますが。

「感染防止と経済活動の両立」と言葉でいうのは簡単ですが、「感染防止」と「経済活動」という異質のものを天秤にかけて計るには、高度な判断力が必要です。

安倍首相は非常事態宣言を解除するときに「日本モデルの力を示した」と自慢げに言いました。
麻生財務相は「民度が違う」と言いました。

「日本モデル」も「民度が違う」も、つまるところ「日本スゴイ」ということです。
こういうことを言うと国民の喝采が得られると思っているのでしょうが、科学的に感染防止に取り組もうという意欲が感じられません。


安倍首相と麻生財務相に続く政権のキーマンである菅官房長官は、このところ存在感がありませんでしたが、「Go Toトラベル」の前倒しが決まってから、注目される発言をするようになりました。

7月11日、北海道で講演した菅長官は、最近の感染拡大について「この問題は圧倒的に『東京問題』と言っても過言ではない」と語り、「これは国の問題」と反論する小池都知事とやり合いました。

この「東京問題」という発言は、感染を小さく見せかけたいために言っただけかなと思いましたが、その後、「感染の根源」という言葉を使いました。

感染急増「夜の街」対策強化へ…菅氏「根源を一つ一つつぶしていく」
 政府は、新型コロナウイルスの感染者が多数出ているホストクラブなどへの対策を強化する。全国の警察が風俗営業法に基づき、各地の「夜の街」に積極的な立ち入り調査を行い、感染防止策を含む営業実態を確認する方針だ。

 菅官房長官は19日のフジテレビの番組で、接待を伴う店としてホストクラブやキャバクラを挙げ、「どこに新型コロナの根源みたいなものがあるか分かってきたから、警察が足を踏み入れ、根源を一つ一つつぶしていく」と述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/32b8202aa328b5f71cbaf2a487eafe8c4f66ce01


「感染の根源」という言葉に驚きました。
感染に「根源」などあるはずがなく、すべては感染の「通過点」です。

「感染の根源」は単なる思いつきの言葉ではなく、菅長官は20日午前の記者会見でも語っています。


記者 コロナウイルスが蔓延している場所は限られているとおっしゃいましたけども、これは意味としては、蔓延するきっかけになった店舗が夜の街全体ではなくて、少ないところに限られているという意味なのか、市中に感染してないという意味なのか、どうなんでしょうか。
菅長官 夜の街の感染がきわめて大きいことは、たとえば東京都の検査でも明らかになってきているんじゃないでしょうか。明らかにホストクラブとかキャバクラ、そうしたところが根源になっているということは、今日までの検査の中で明らかになってきているというふうに思っています。そうしたところに風営法等を初めとする各法の義務を徹底させるということはだいじじゃないでしょうか。

小池都知事は「夜の街」という言葉をよく使いますが、これはパチンコ屋とともに差別的に見られる水商売を悪者にする一方、経済活動に直結する職場と通勤電車から国民の視線をそらせようという作戦でしょう。
ところが、菅長官はそれを真に受けたのか、ホストクラブやキャバクラを「感染の根源」と見なして、これから警察の立ち入り調査などで「根源を一つ一つつぶしていく」ということです。

これだけ市中感染が広がっている中で、今さらホストクラブやキャバクラを規制したところで、大した意味はありません。
菅官房長官は感染のメカニズムがなにもわかっていないようです。

トランプ大統領はアメリカの感染拡大を中国やWHOのせいにして攻撃していますが、菅長官も同じ発想をする人かもしれません。
菅長官は2月、3月ごろのマスク不足の対策を担っていて、マスク不足は転売ヤーのせいであるとして政令改正でマスク転売を禁止しましたが、効果はありませんでした。マスク不足はマスクの絶対数が不足しているからで、転売ヤーのせいではなかったからです。

ともかく、「感染の根源」などという言葉を使う人にまともな感染対策ができるとは思えません。

西村コロナ担当相も加藤厚労相も、記者会見や国会でしゃべっているところを見ていると、感染のことがよくわかっていないのではないかという気がします。


政府の「感染防止と経済活動の両立をはかる」という方針はいいのですが、「感染防止」と「経済活動」を天秤にかけて計れる人間が誰もいないので、政府はエンジンの壊れた船のように、利権と世論の風に吹かれて漂流しているだけです。

今の政府首脳が学習して向上するということは考えられないので、国民としては、せいぜい正しい方向の風を吹かせるしかありません。

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「Go To トラベル キャンペーン」の問題点について書こうと思いましたが、問題点が多すぎて、なにから書いていいのかわかりません。
いろいろ考えて、ようやく問題点を整理しました。

国土交通省は4月の一次補正予算に約1.7兆円の予算額の「Go Toキャンペーン」事業を盛り込みました。この事業には「Go To Travel キャンペーン」「Go To Eat キャンペーン」「Go To Event キャンペーン」「Go To 商店街 キャンペーン」などがあって、コロナ収束後に観光業などの地方経済を回復させることが目的です。

この事業が発表されたのは、緊急事態宣言が発出される前です。
そんなときからコロナ収束後の計画を立てていたとは、長期的視野がすごいのか、危機感がなさすぎるのか、どちらにしても感心します。

この少し前には、自民党の農林部会や水産部会が和牛や魚の消費喚起をするために「お肉券」や「お魚券」を計画しましたが、これは反対の声が強くて、立ち消えになりました。
「Go Toキャンペーン」も基本的に同じようなもので、特定の業界を税金で救済するものです。

ここに問題がありますが、ただ、特定業界を税金で救済することが必ずしも悪いわけではなく、やり方次第です。

キャンペーン
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001339698.pdf

これらのキャンペーンは、4月7日の閣議決定で「感染症の拡大が収束した後」に実施するとされました。

キャンペーンの目玉である「Go Toトラベル」は、旅行代金の半額(うち3割は旅行先で使えるクーポン)を政府が負担するというものです。こんなに得なら、これ目当てに旅行にいく人がいっぱい出るでしょう。

「Go To トラベル」は8月初めから実施する予定でした。
この時期も問題ではありましたが、7月10日の記者会見で赤羽国交相が7月22日から前倒しして実施すると発表して、急に問題が大きくなりました。
そのとき感染者が明らかに増加傾向にあったからです。


この決定を主導したのは菅官房長官のようです。
菅長官は感染者の急増について、「この問題は圧倒的に『東京問題』と言っても過言ではない」と言って、問題を軽視しましたが、小池都知事は「これは国の問題」と反論、さらに「Go Toトラベル」について「冷房と暖房と両方かけている」と批判しました。

結局、菅長官も国民の反対の声に押されて方針転換しましたが、東京発着をキャンペーンの対象から除外するという中途半端な対応でした。
東京だけ除外したのは、菅長官の小池都知事に対する感情からかもしれません。

「東京だけ除外」にしたために、さまざまな問題が生じました。東京都民でないことを証明する書類が必要になるとか、東京ディズニーランドとスカイツリーに行くツアーはどうするのかといった問題があり、赤羽国交相はキャンセル料は補償しないと言っていたのに自民党の岸田政調会長がキャンセル料補償を検討していると言ったり、赤羽国交相が高齢者と若者の団体旅行は除外すると言ったり、わけのわからないことになっています。

こうしたいきさつを見ると、「Go Toトラベル」自体の問題よりも、突然実施を前倒しし、ゴリ押しし、東京だけ除外という半端な対応をしたことによる問題がほとんどであることがわかります。
当初の閣議決定通り「感染症の拡大が収束した後」に実施すれば、なにも問題はなかったでしょう。


ただ、ほんとうに感染が収束すればキャンペーンなどしなくてもみんな旅行するようになるはずです。そうすれば、キャンペーンなど必要ないということになります。

そう考えると、旅行代金の半額を政府が負担するというこの「Go Toトラベル」は、感染の危険性がある中でも人を旅行させようと設計されたキャンペーンであると考えられます。
つまり「感染症の拡大が収束した後」に実施するという閣議決定が、キャンペーンの趣旨に反するのです。
感染がいっこうに収まらず、誰も観光旅行をしないような今こそ、観光業界救済のためにキャンペーンを発動するというのは、このキャンペーンの本来の姿です。

そう考えると、今の時期に実施を前倒しし、ゴリ押しした政府の態度は一貫しています。
東京を除外したところは少しぶれましたが、これは東京都に対するいやがらせでしょう。

つまり政府の方針は、「多少の感染リスクがあっても経済を回していこう」ということです。
これは前から一貫していて、政府が緊急事態宣言を出したのも、小池都知事や医師会やマスコミにせっつかれて、いやいや出したという感じでした。
今、感染者数は緊急事態宣言当時の水準に近づいていますが、政府が緊急事態宣言を出すような気配はまったくありません。

問題は、そうした政府の方針を誰も説明しないことです。
安倍首相か菅官房長官が「多少の感染リスクはあっても経済回復を優先するべきであるという観点から、『Go Toトラベル』を実施することにした」と国民に向かって説明すれば、もちろん反論があるでしょうが、論点が明確になります。
感染防止優先か経済回復優先か――という国民的議論が起こって、そのうちコンセンサスが成立するでしょう。
これまでの日本人は新型コロナを恐れすぎていたので、少し経済優先にシフトするのが適正かと思います。

そういう説明能力のある政治家が一人もいないのが日本の不幸です。

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7月10日、都内の新型コロナウイルスの感染者は243人と過去最高を記録しました。
全国でも430人で、過去最高だった4月11日の720人に迫っています。
しかし、新たな休業要請などは行われず、東京アラートなどもどこかに消えてしまいました。
逆に政府は、8月中に開始する予定だった「Go Toキャンペーン」を前倒しして7月22日から開始すると発表しました。

経済を回復させるために消費を喚起したいという狙いはわかりますが、いろいろな消費喚起のやり方がある中で、なぜ旅行や観光の振興を優先するのでしょうか。
人が動けば(とくに東京から動けば)、感染が拡大します。

感染の恐れがなくなれば、キャンペーンなどしなくてもみんな旅行するようになります。
キャンペーンの費用を休業補償に回して、感染を抑えることを優先させたほうがいいと思うのですが。

小池都知事は都内での感染拡大を受けて7月4日、都民に不要不急の都外への移動自粛を要請しましたが、西村経済再生担当相は7日の記者会見で、政府としては移動の自粛は求めない考えを示し、菅官房長官も一律に県をまたいだ移動を自粛すべきとは考えていないと述べました。
政府と都が一致していないと問題になりましたが、西村経済再生担当相は8日の衆院内閣委員会で「小池都知事と考えは一致している」と述べたので、小池都知事が政府の方針に合わせたのでしょう。

政府は旅行や移動の推進だけでなく、イベント開催も推進します。

イベント観客5000人容認…政府、8月以降は人数制限の撤廃想定
 政府は10日、新型コロナウイルス対策で行ってきたイベント開催制限を緩和し、5000人の観客入場を認めた。22日から始める旅行などの需要喚起策「Go To キャンペーン」と合わせ、社会経済活動の再開をさらに進める方針だ。

 今回の緩和では、コンサートやプロスポーツなどは屋内、屋外とも入場者数が5000人以内、もしくは収容人数の50%以内のいずれか厳しい方の条件で開催できるようになった。政府は、おおむね3週間ごとに緩和を行っており、8月以降は5000人の人数制限の撤廃を想定している。

 菅官房長官は10日の記者会見で、東京都内などで感染者が増えていることに関し、「感染リスクをコントロールしながら、段階的に社会経済活動のレベルを引き上げていくことを基本的な考え方としている」と述べ、制限の緩和方針を維持する考えを示した。
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20200710-OYT1T50281/amp/

感染拡大などおかまいなしに、「緩和ありき」でスケジュール通りに進めています。

政府のこうした方針は、西村経済再生担当相が6月24日、専門家会議を廃止すると表明したときには決まっていたのでしょう。
この廃止表明は唐突な感じで、混乱が生じましたが、もちろん西村経済再生担当相の思いつきなんかではなく、政府の方針によるものです。
専門家会議の後継組織として発足した新型コロナウイルス感染症対策分科会には複数の経済専門家が入りました。
つまり政府の方針は「感染防止から経済回復」へと転換したのです。

いや、これは正確な表現ではありません。
政府が感染症の専門家と経済の専門家の両方の意見を聞いて、経済を重視するというのなら、通常の意志決定です。
政府がやったのは、感染症の専門家と経済の専門家をいっしょにして、感染症の専門家の意見をわからなくすることです。
なにかよくない意図が感じられます。

「Go Toキャンペーン」の前倒しを見て、世の中には、政府はわざと感染を拡大させようとしているのではないかという声まであります。
常識的にはそんなことはないと思うでしょうが、絶対にないとは言えません。
政府が意図的に感染拡大をする理由を考えてみました。


国別の感染レベルを見てみます。

人口当たり感染者数
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-chart-list/

アメリカは日本の重要な同盟国であるのに、感染レベルが極端に違います。

アメリカ「日本はどうしてそんなに感染者が少ないんだ」
日本「民度が違うからです」
アメリカ「…………」
日本「おわかりですか」
アメリカ「いずれにせよ、こんなに感染レベルが違うのはよくない。なんとかしろ」
日本「わかりました。日本の民度をアメリカに合わせます」

こんなやり取りがあったかどうかわかりませんが(あるわけないですが)、アメリカに要請されたか、日本が配慮したということはありえます。

ちょうどこんなニュースもありました。

沖縄の米軍でコロナ大規模感染を確認 複数施設で60人超との情報【7月11日】 
 沖縄県内の米軍基地で11日までに60人超が新型コロナウイルスに感染したことが確認された。複数の関係者が明らかにした。うち38人は普天間飛行場で確認されているという。基地内で「クラスター(集団感染)」が発生しているとみられる。

 6月と7月に県内中部で大規模なバーべーキューパーティーが開かれ、米軍関係者や日本人も参加していた。イベントに参加していた米軍関係者らは隔離されているとの情報もある。【琉球新報電子版】
https://news.yahoo.co.jp/articles/9bef581a3f9a3a279e1d026ee1984367b6080905
あまり日米の感染レベルが違うと、自衛隊と米軍の連携にも支障が出ます。
それに、安倍首相は8月下旬にもアメリカで開催されるG7サミットに行かねばなりません。

いや、日米間のことだけではありません。
来年東京オリンピックが開催されれば、世界各国の選手団と観光客がやってきます。
日本だけ感染レベルが低いと、感染レベルの高い外国の選手団や観光客を受け入れるべきでないという声が高まります。
つまり日本の感染レベルが低いと、オリンピック開催の妨げになるので、今から感染をふやして、それに慣れておくのは賢明なやり方です。

いずれにしても、現在のように各国で極端に感染レベルが違うと、国際交流がうまくいきません。
いずれWHOかどこかが音頭をとって、感染レベルの国際標準がつくられるかもしれません。
そうすると、今むやみに感染を抑え込んでもむだになってしまいます。


今、新型コロナによる日本の死者は1000人程度です。
肺炎の死者は毎年9万人余りですから、冷静に考えると、新型コロナはぜんぜん大した病気ではありません。
アメリカみたいに感染が拡大するのは困りますが、これからは「国際標準」ということを意識していいかもしれません。

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日本では新型コロナウイルスの新規感染者数が7月3日、4日と200人を越え、第2波の到来が懸念されていますが、アメリカではこのところ連日、新規感染者数が5万人を越えています。
アメリカと日本の人口の違いを考慮しても、アメリカは日本の100倍も感染者が出ていることになります。
ヨーロッパではある程度抑え込みに成功していますが、アメリカではむしろ増加ペースが高まっています。

国別感染者グラフ
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html

ブラジルは、ボルソナロ大統領が新型コロナウイルス感染症を「ちょっとした風邪」と呼び、経済活動を止めないという方針なので(州政府は独自に対応)、感染拡大もやむをえないのかなと思いますが、アメリカは一応対策をとっていながらこの数字です。

新型コロナウイルスの感染については地域差がひじょうに大きくて、その理由はまだよくわかっていませんが、私はとりあえず文化的社会的な側面について、なぜアメリカで感染がこれほど拡大するのかについて考えてみたいと思います。


手掛かりはマスクです。

日本から見て不思議に思うのは、欧米人はマスクを着けることに妙な心理的抵抗があるらしいことです。
私は最初、マスクを着けるのはアジア人というイメージがあるので、欧米人はアジア人への差別意識からマスクを着けないのかと思いました(欧米では握手をしなくなっているので、代わりにおじぎをすればいいと思うのですが、やっていません。これも差別意識かもしれません)。

しかし、ヨーロッパではマスクを着けるのが今では普通に行われるようになっています。
問題はアメリカです。アメリカではトランプ大統領を初め今でもマスクを着けない人が多くいます。


なぜアメリカ人はマスクを嫌うのでしょうか。
西部劇などの銀行ギャングはスカーフで顔を隠すので、顔を隠すのは悪人のイメージだからだという説があります。しかし、悪いことをするときに顔を隠すのはアメリカ人に限りません。
テレビである心理学者が、アジア人は相手の目を見て心理を読むが、欧米人は口元を見て心理を読むのだと言っていました。だから、サングラスは欧米で普及しても日本ではあまり普及しないのだということです。
テレビ朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」では、アメリカでは正義のヒーローは目を隠しても口は隠さないのだと言って、例としてキャプテンアメリカやバットマンやロボコップを挙げていました。
これらは話としてはおもしろいのですが、理由としては弱い気がします。

もっと単純に、マスクをするのは弱いイメージだからだという説が有力だと思います。

ウイルスから自分を守るためにマスクをするのだとすると、マスクをつける人間はウイルスを恐れる弱い人間だということになります。
トランプ大統領は、ディールを得意としていますが、つねに強さを誇示して相手を圧倒するというやり方です。少しでも弱みを見せるとディールは不利になるので、自分のマスク姿は見せたくないでしょう。

強さを誇示するやり方は、男性性と結びつけて、マチズモとか男性優位主義と言うのが一般的です。
しかし、最近は強さを誇示することは男性に限るものではないので、マチズモという言葉は当てはまらない気がします。
とりあえず「強さを誇示する文化」とでも呼んでおきます。

アメリカは独立戦争以来、強さを誇示しながら発展してきました。先住民の土地を奪うときも、黒人奴隷を使役するときも、強さを誇示すると有利に運びます。西部では男は腰に銃をぶら下げるのが普通でした。
ですから、強さを誇示するのはアメリカの伝統文化です。
アメリカの保守派はこうした伝統文化を重んじ、銃規制に反対しますし、マスク着用にも反対です。

トランプ大統領の演説会に集まる人たちはほとんどマスクをしていません。
一方、「Black Lives Matter」を掲げてデモをする人たちはほとんどマスクをしています。
保守派とリベラルの違いがマスクに表れています。

マスクをしないような人は、手洗いやソシアルディスタンスもきちんとしないでしょう。
トランプ支持の保守派は人口の4割程度います。イタリアやスペインで爆発的に感染が広がったころの生活習慣を持った人が今もアメリカに4割程度いるため、アメリカで感染が広がり続けているのだと思われます。


トランプ大統領は感染が始まった初期の段階から、「ウイルスは暖かくなれば消え去る」と楽観論を述べ、感染が拡大してくると、「アメリカがほかの国より検査を多く行っているためで、名誉の印だ」と言い、5月8日には「新型コロナウイルスはワクチンがなくても消滅する」とまったく根拠のないことを言いました。

7月2日には、2日連続で感染者が5万人を越えましたが、トランプ大統領は記者会見で「我々はこの病気を理解している。すぐに収束できる」と楽観論を語り、ペンス副大統領も「個々の局所的なものだ」と言いました。
普通なら感染が拡大すると、「事態は深刻だ。国民はいっそう感染防止に努めてもらいたい」と国民の危機意識に訴えかけるところですが、まったく逆のことをやっています。

ちなみに日本では、マスコミが感染の初期の段階で危機感をあおりすぎて、今でもまだ恐れすぎの傾向があるかもしれません。アメリカの100分の1程度の感染で騒いでいます。


トランプ大統領は国民をウイルスから守らねばならないのですが、「守る」というのは弱い人間のすることだと思っているので、できません。その代わりにもっぱら「攻撃」をします。
トランプ大統領は国内で感染が拡大すると、中国とWHOに責任があると言ってひたすら「攻撃」しました。
また、感染のごく初期の段階でいち早く中国とヨーロッパからの入国を禁止しましたが、これもトランプ大統領においては「攻撃」だったからでしょう。

4月23日には、家庭用漂白剤が新型コロナウイルスの消毒にも有効だという研究発表を受けて、トランプ大統領は「(新型ウイルスを)1分でやっつける消毒剤もあるだろう。1分だ。そういうのをやる方法はあるかな? 体内への注射とか」と語り、消毒剤を注射してもいいのかという電話相談が急増するという騒ぎになりました。
5月18日には、新型コロナウイルスの感染予防のため抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を毎日服用していると言いました。この薬は新型コロナウイルス治療薬としては未承認であり、さらに深刻な副作用のリスクが指摘されたことから、20日には服用をやめると表明しました。
まったくのでたらめをやっているようですが、トランプ大統領においては、消毒剤や治療薬はウイルスに対する「攻撃」なのでしょう。


現在、「Black Lives Matter」を掲げるデモや、アメリカの歴史上の偉人の像を撤去する運動が盛り上がっています。
日本から見ていると、なにも新型コロナの感染が拡大する真っ最中にしなくてもいいのにと思えますが、アメリカでは、感染拡大を防げないトランプ大統領ら保守派の権威が失墜し、今まで抑え込まれてきたマイノリティやリベラルが力を解き放っている状況なのでしょう。
そういう意味で、新型コロナウイルスはアメリカ社会を根底から揺り動かしているのかもしれません。


トランプ大統領は7月1日、FOXビジネスのインタビューで「マスクには大賛成だ」と述べ、公的な場で自分がマスクを着用することには「なんの問題もない」として、方針転換したようです。
しかし、7月4日の独立記念日の祝典で花火大会と大規模な集会を開催し、トランプ大統領が演説したとき、大統領はもちろん集会に参加した数千人はほとんどマスクをつけていませんでした。

現在、アメリカでは保守派対ウイルスの戦いが行われていて、その成り行き次第で、保守派対リベラルの力関係も、大統領選挙の結果も決まるのではないかと思われます。

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安倍政権は長期化するとともに、ごまかす能力にますます磨きがかかってきました。
公文書改ざん、名簿廃棄、虚偽答弁、黒塗り文書でごまかしを押し通し、「ていねいに説明してまいります」と言いながらなにも説明せず、「責任は私にあります」と言いながらなにも責任を取らないという黄金パターンを確立しています。

ただ、新型コロナウイルスの問題が起こってからは、安倍政権も勝手が違ったでしょう。
人間社会では、「無理が通れば道理引っ込む」とか「嘘も百回言えば真実になる」ということがありますが、ウイルスは自然界のものなので、そうはいきません。
それでも安倍政権はごまかし続けるという方針を変えません。
アベノマスクについてもそうです。


全世帯に布マスク2枚を配布するというアベノマスク政策は、世にもお粗末な政策です。
466億円の予算をかけたというのが、どう考えても高すぎます。発注先の企業にあやしいところが混じっています。変色、カビ、異物混入などの不良品が多数あり、妊婦向け、介護向けも含めた検品に8億円を要しました。サイズが小さすぎるという指摘もあります。パッケージに産地や素材の表示がありません。配布が遅れて、厚生労働省のサイトによると6月4日時点で64%の配布となっていますが、現在では巷に値崩れしたサージカルマスクがあふれています。

早めに配布を中止すれば、いくらか予算が節約できたはずですが、安倍政権は間違いを認めるということがありません。

安倍首相は4月14日の衆院本会議で「布製マスクは使い捨てではなく、再利用可能であり、急激に拡大しているマスク需要に対応する上で非常に有効。理にかなった方策と考えている」と語りました。

テレビ番組ではもっと自画自賛しています。
 安倍首相は5月6日、インターネット番組「安倍首相に質問!みんなが聞きたい新型コロナ対応に答える生放送」に出演。司会者から「マスクが日常的に購入できるのはいつか」と問われて全戸配布に触れ、「われわれがやり始めた後に、パリやシンガポールも配布を始めた」と他国が追随している政策だと主張。「品薄状態を解消できるという考えのもとに布マスクも配布をさせていただいた。こういうものを出すと、今までたまっていた在庫も随分、出て参りました。価格も下がってきたという成果もありますので、そういう成果もあったのかなと思います」と発言した。
https://mainichi.jp/articles/20200514/k00/00m/040/244000c
菅官房長官も5月20日の記者会見で、「布マスクの配布などにより需要が抑制された結果、店頭の品薄状況が徐々に改善をされて、また上昇してきたマスク価格にも反転の兆しがみられる」と語りました。

「不良品が多数出て、検品に時間と費用がかかったのは失敗だった」とか「配布が遅れて、効果が薄れてしまった」ぐらいのことは言ってもよさそうですが、ひとつでも間違いを認めると、アリの一穴になることを恐れているのでしょうか。

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ということで、安倍首相は毎日アベノマスクを着用しています。

厚生労働省の「布マスクの全戸配布に関するQ&A」というサイトでは、「どのくらいの頻度で洗えば良いですか」という質問に、「1日1回の洗濯を推奨しています」という答えがあり、 「洗濯機で洗うことができますか」という質問に、「布製(ガーゼ)マスクは、手洗いで押し洗いすることを推奨します」という答えがあります。
ということは、安倍首相は毎日自分で手洗いしているのでしょうか(昭恵夫人は洗ってくれなさそうです)。

使い捨てマスクが安値で出回りだした現在、わざわざアベノマスクを使おうとするのは安倍首相ぐらいです(あと、安倍首相の後継と目される岸田文雄政調会長が使っているようです)。


安倍首相は意地になって使い続けていますが、そうすると誰の目にも明らかなのは、アベノマスクは小さすぎるということです。
子どもや平均的な顔の女性には合っているでしょうが、平均的な顔の男性には合いませんし、顔の大きな安倍首相にはとくに合いません。

布マスクの配布は最初妊婦向けと学校向けに始まったので、そのときは小さくてもよかったのでしょう。
全戸配布用についてはサイズを変えるべきでしたが、担当の官僚たちは惰性で仕事をしていたのか、サイズを変えませんでした。
そのため安倍首相は、誰が見ても小さすぎるマスクをする羽目になりました。
安倍首相は「これは私には小さいな」と認めればいいのですが、それも意地になって認めません。
側近もなにも言えないのでしょう。

日本人はアベノマスクの経緯を知っているので、安倍首相が意地になっていることがわかりますが、外国人は安倍首相のマスク姿をテレビで見て、「日本の首相はなぜあんな小さなマスクをつけているのだろう」と不思議に思っているに違いありません。
安倍首相は「裸の王様」ならぬ「マスクの王様」です。

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5月25日、緊急事態宣言を解除するときの記者会見で安倍首相は、これまでの対策について「日本モデルの力を示した」「世界において卓越した模範である」と自画自賛しました。
こういうことを言うので、全体が信用できなくなります。事実だけを語ってほしいものです。

とはいえ、日本の感染者数と死者数が欧米各国などと比べて少ないのは事実です。ただ、それは対策がよかったからとは必ずしも言えません。アジアの国はみな少ないからです。

世界各国の感染状況は次のサイトで見ることができます。


新型コロナウイルス感染症まとめ(yahoo)

日本周辺の各国の感染状況は次のようになっています。

        感染者数 新規感染者数 死者数
【西太平洋地域】
中国        84 536     11     4 645
シンガポール  31 616        548     23
日本       16 581   31     830
フィリピン    14 035    258     868
大韓民国            11 206    16     267
マレーシア    7 245    60     115
オーストラリア  7 109    3     102
ニュージーランド1 154    0     21
ベトナム       325    0     0
ブルネイ           141    0     1
モンゴル           141    0     0
カンボジア   124    0     0
ラオス      19            0     0
フィジー           18            0     0
パプアニューギニア8    0     0
(領域)  
グアム     161            0     5
フランス領ポリネシア89      0     0
北マリアナ諸島22            0     2
ニューカレドニア18    0     0
(5月25日の数字)

これを見ると、日本が特別でないことがわかります。人口を考えると、少しうまくいっているかなという程度です。
逆にヨーロッパとアメリカがひどすぎるわけです。
最近、南米とアフリカでも感染が急拡大しているので、発生源のアジアが低いままなのが目立ちます。
なぜアジアで感染者や死者が少ないのかについてはいくつかの説がありますが、いずれにせよ「日本スゴイデスネ」と言うようなことではありません。


安倍首相の5月25日の記者会見での発言を読んでみると、全体がもやもやとしてつかみどころがありません。
安倍首相は「目指すは、新たな日常をつくり上げることです。ここから先は発想を変えていきましょう」と言いますが、「新たな日常」がなにかよくわかりませんし、どう発想を変えるのかもよくわかりません。

問題の核心は次のところにあると思われます。
 感染防止を徹底しながら、同時に社会経済活動を回復させていく。この両立は極めて難しいチャレンジであり、次なる流行のおそれは常にあります。それでも、この1か月余りで国民の皆様はこのウイルスを正しく恐れ、必要な行動変容に協力してくださいました。こまめな手洗い、今や外出するときはほとんどの方がマスクを着けておられます。店のレジは、人と人との距離を取って列をつくるなど、3つの密を避ける取組を実践してくださっています。こうした新しい生活様式をこれからも続けてくだされば、最悪の事態は回避できると私は信じます。

つまり「感染防止」と「社会経済活動」の両立こそが問題の核心です。
そして、安倍首相は「こうした新しい生活様式をこれからも続けてくだされば、最悪の事態は回避できると私は信じます」と言いますが、これは根拠のない楽観論です。
肝心のところをごまかしているので、全体に説得力がないのです。

みんなが知りたいのは、第二波はくるのかということです。
いや、なにをもって「第二波」とするのかです。

自粛を緩和すると、感染者が増えてくるでしょう。しかし、多くの人は、これまでのような外出自粛や休業はしたくないし、経済的にもできないので、ある程度感染者がふえても社会経済活動を続けたいと思っているはずです。
「ここまで感染者が増加すれば第二波と認定して、再び緊急事態宣言を出す」という基準があらかじめ決まっていれば、人々は日々の感染者数の推移を見ながら行動をコントロールできます。
そうした行動が「新たな日常」になります。


安倍首相が基準を示さないので、私なりに考えてみました。
手掛かりに、外国の感染対策のやり方を見てみます(「日本モデル」などと言って自慢している人は、日本と外国を客観的に比較することができないでしょう)。

ドイツはヨーロッパでの感染対策の優等生で、都市封鎖をしだいに緩和し、ブンデスリーガも無観客ながら5月16日に再開しました。

ドイツの過去1か月の新規感染者数のグラフです。
ドイツのグラフ
都市封鎖を緩和しても感染者は増加せず、ここ数日は500人前後で推移しています。
ドイツの人口は約8300万人ですから、日本に換算すれば750人ぐらいです。

下は日本の過去4か月間の新規感染者数のグラフです。
日本の新規感染者数
感染者がいちばん多いときでも700人余りです。
つまり日本の最悪のレベルでドイツは緩和して、ブンデスリーガを再開しているのです。
日本は医療崩壊を恐れて過剰に反応していたかもしれません。
最近、日本に緊急事態宣言の必要はなかったという説が言われるのももっともです。

ということは、1日の感染者数がドイツ並みの750人ぐらいまでは日本も許容できるはずです(ちなみに、ここ10日間の日本の感染者数は50人以下です)。
もちろん医療体制を強化して、それだけの感染者数に耐えられるようにしなければなりません。
それと、感染者数が急速にふえずに、ある程度横ばいにコントロールされていることも重要です。


スウェーデンは、法律で禁止するのは「老人施設への訪問」と「50人以上の集会」だけで、リモートワークやソシアルディスタンスは推奨されますが、外出自粛や休業要請のようなものはなく、ほぼ通常の社会経済活動をしています。それによって「集団免疫」の獲得を目指すという方針です。
外国からはいろいろ言われていますが、この方針は国民から高い支持を得ています。なによりも通常に近い経済活動ができているのが強みです。

スウェーデンの過去1か月の新規感染者数のグラフです。
スウェーデンのグラフ

ずいぶん波がありますが、横ばいであるのは事実です。
平均すると1日400人から500人ぐらいです。
スウェーデンの人口は約1000万人なので、日本に換算すると5000人から6000人ぐらいです。

日本で毎日5000人の感染者が出るというと多いようですが、スウェーデン人が受け入れているのですから、日本人が受け入れられないという理屈はありません(医療体制の問題はありますが)。
日本の感染者の致死率は約2%ですから、年間約3万5000人が亡くなる計算です。

日本における肺炎の死者は年間約9万5000人です(誤嚥性肺炎を除く)。そこに約3万5000人の新型コロナ肺炎の死者が加わるわけです。
これはずっと続くわけではなく、1年か2年で集団免疫が獲得され、死者は減少します。
こう考えると、けっこう現実的な道ではないでしょうか。

ブラジルは国としての感染対策をほとんどせず、感染者が増大し続けていますし、アメリカもトランプ大統領が経済活動を優先させたがっているので、この両国がいち早く集団免疫を獲得する可能性があります。

集団免疫は意外と早く獲得できるかもしれないということを、西浦博教授が『8割おじさん・西浦教授が語る「コロナ新事実」』という記事で語っています。


このように外国の状況を見ると、日本人はこれまで感染者数の増大を恐れすぎていたことがわかります。


では、どのレベルで「第二波」と認定して、緊急事態宣言を発出すればいいのかということですが、とりあえずかつて日本で最悪の状況であり、かつ現在のドイツと同じレベルである、1日の感染者が700人程度とするのがいいのではないでしょうか。
日本人は一度経験しているので、その程度ならオーバーシュートしないという安心感が持てます。

いずれにせよ「新たな日常」とは、新型コロナウイルスと共存する生活になるはずです。

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