村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

カテゴリ: 菅義偉政権

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「菅総理は岸防衛大臣に、都内に新型コロナワクチンの大規模接種センターを設置するよう指示した」というニュースがありました。
この接種センターで自衛隊の医官や看護官が1日1万人の高齢者にワクチン接種を行うということです。

このニュースを聞いたとき、いろいろな疑問がわきました。

まず、菅首相が指示する相手は岸防衛大臣ではなくて河野ワクチン担当大臣ではないのかということです。ワクチンに関することは河野ワクチン担当大臣に一元化したはずです。

それから、ワクチン接種が遅々として進んでいないのは事実ですが、ワクチンは日本に届いているのに接種する人や場所が足りないために進んでいないという報道は目にしません。まだ日本に届く量が少ないのではないでしょうか。

ワクチン接種は自治体がやっていて、そこに国が加わることになりますが、国と自治体の連携はうまくいくのか心配です。

自衛隊の医官や看護官を集めるといっても、それぞれ仕事をしているのですから、本来の業務が手薄になるのではないかということも気になります。

大規模な会場に人が集まったら「密」になるのではないかとも思います。


こういう疑問を持っていたら、「アエラドット」の「菅総理”乱心”でワクチン1万人接種センターぶち上げ クラスター、人手不足など問題山積み」という記事を読んで、すべて腑に落ちました。

 遅々として進まない高齢者(約3600万人)のワクチン接種に業を煮やした菅義偉総理は1万人が接種できる大規模接種センターを東京都などに設置するよう指示した。期間は5月24日から3カ月間だという。28日には東京都千代田区大手町の合同庁舎に設けられた接種センターのガランとした映像がマスコミに公開された。

「菅総理は国政選挙で3連敗して以降、乱心気味です。人気挽回策として側近の官邸官僚・和泉洋人総理補佐官と北村滋国家安全保障局長のトップダウンで大規模接種センター案が唐突に決まりました。厚生労働省の田村憲久大臣は蚊帳の外。関係省庁との調整は全くなされていない状態でマスコミにリークされ、話が進んでいます。全国的なコロナ蔓延で東京五輪開催に対し、国民の風当たりが強い。ワクチン接種にしか支持率回復の望みを持てない菅政権の焦りのあらわれです」(厚生省関係者)

 大阪、兵庫、京都などにも65歳以上の高齢者を中心に1日約5000人が接種できる大規模センターを政府が設置するという。

 そもそもワクチン接種は「予防接種法」で住民票のある市区町村で受けるのが原則だ。実施主体は市町村とされており、各自治体でようやく接種予約が始まったばかり。政府が接種に乗り出すというのは極めて異例の判断だ。

「政府が直営で1日1万人規模の接種を行うとぶち上げましたが、接種する人員をどう確保するか。自衛隊の医師を活用するというが、全国で約1000人しかいません。新型コロナの患者を受け入れている病院の通常の任務もあるのに、強引な要請です。防衛省と厚労省など関係省庁の調整も進んでいません。そして1日1万人分のワクチンをどうやって確保するのか。ファイザー製は在庫がないので、国内未承認のモデルナ製を使うという話ですが、5月24日設置に間に合わせるなんて性急過ぎます」(政府関係者)

 各自治体は苦心をしつつ様々な接種会場を確保し、人流の分散にも努めているが、今回のような1万人規模の接種会場となれば、クラスター発生のリスクが高まるという懸念もある。

「一か所に集めれば接種が進むだろうというのは、机上の思い付きに過ぎません。都内の高齢者を1日1万人単位で大手町に集めるというのは、外出抑制を促す政府の方針とも矛盾し、高齢者を感染リスクに晒すことになります。5月24日から始めるとぶち上げたが、準備期間がなさすぎる。ワクチン接種体制の確保といっても、注射ができる医療スタッフだけいればよいという問題ではない。会場整理の人員はもちろん、受付方法や動線の設定、ワクチンの配送・保管などロジの詰めも不可欠です。しかし、それらを誰が担うのか、人員をどう確保するのか。政府にはワクチン接種会場整備のノウハウが全くありません」(前出の厚労省関係者)

 菅官邸トップダウンの珍プランに防衛省、厚労省、内閣官房など関係省庁は頭を抱えているという。

要するに菅首相としては、1日1万人の大規模接種センターという派手な計画をぶち上げて人気取りをしたいのでしょう。そのために振り回される閣僚や官僚はたいへんです。

ところが、このことを報じるニュースはどれも表面的なことばかりです。そういうニュースしか目にしない人は、「菅首相はがんばってるなあ」という印象を持ったかもしれません。


菅首相はバイデン大統領と会談するため4月16日から18日にかけて訪米しましたが、そのおり、米ファイザー社のアルバート・ブーラCEOとの電話会談を行い、ワクチンの追加供給の要請をしました。
菅首相は「9月末までに供給されるめどがたった」と言いましたが、具体的な合意内容が発表されないので、ほんとうなのかと議論になりました。

このことで気になったのは、アメリカに行って電話会談をしたことです。
電話会談をするなら、日本にいてもできます。
テレビのコメンテーターも「わざわざアメリカへ行って電話する必要はない」と指摘していました。
ささいなことではありますが、釈然としない思いが残ります。

そうしたところ、「リテラ」が『菅と河野が嘯く「ワクチン9月完了で合意」は本当か? 実際はファイザーCEOに相手にされず、反故になった昨年の基本合意より弱い内容』という記事で、電話会談の経緯を書いていました。

当初、官邸は菅首相がアメリカ滞在中に、ワシントンでブーラCEOとの対面会談を実現させようと動いていた。しかし、わざわざアメリカに出掛けながら、ブーラCEOとの会談は「電話会談」に終わったのである。

 田崎氏は先の『ひるおび!』で、「菅首相は(コロナ対策もあり)ワシントンD.C.から動けず、ブーラCEOはニューヨークにいてワシントンに来てくれとは言えないので電話会談になった」などと説明していたが、実態はまるで違う。「対面で面会したい」と官邸サイドが要請するも、ファイザーには冷たくあしらわれ、対面での面会を拒否されただけだ。

 そして、菅首相がこの電話会談で、最低でも「9月末までに対象者全員の接種分供給の基本合意」を引き出そうとしたにも関わらず、ブーラCEOは結局、「協議を迅速に進める」としか言わなかったのである。

わざわざ会いに行ったのに面会を拒否されるとは、みっともない話です。
ファイザーのCEOと直接会って交渉すれば、「ワクチン獲得に奮闘する菅首相」の“絵”がニュース番組で流れて、人気取りになるという狙いだったのでしょうが、狙いすぎて空回りしました。

この記事が事実であるという根拠は示されていませんが、この記事によって「アメリカへ行って電話会談」という謎が解けたので、事実ではないかと思います。


菅首相は、有効なコロナ対策をするよりも「やってる感」を出すことを優先させたために、行政を混乱させたり、みっともない失敗をしたりしています。
しかし、そのことを指摘するメディアはごく一部です。

たとえば、ワクチン接種の優先順位は、最初に医療従事者、次に高齢者となっていましたが、医療従事者のワクチン接種が終わらないのに高齢者への接種を始めています。
これも、医療従事者と高齢者と両方接種したほうが「やってる感」が出るからでしょう。
しかし、ワクチンの供給量が同じなら、高齢者に接種した分、医療従事者への接種がへることになります。
救急隊員のワクチン接種を早く 「不安拭いきれない」
発熱した患者を救急車で運ぶなど、新型コロナウイルスへの感染リスクを抱える救急隊員へのワクチン接種が進んでいない。「第4波」に見舞われる中で、現場からは「早急な接種を」との声も上がる。
(中略)
すべての救急隊員と現場で救急活動をする一部の消防隊員は、医師や看護師、薬剤師、自衛隊員、検疫所職員などとともに、先行して接種を受ける「医療従事者等」として厚生労働省から位置づけられている。

 総務省消防庁によると、対象は全国で約15万3千人にのぼる。

 ただ、接種が順調に進んでいるとはいえない。

 約3千人が接種対象の横浜市消防局では、まだ開始時期が決まっていない。

 担当者は「早い接種を求める声もあるが、接種してくれる病院側の準備に時間がかかっているようだ」と話す。

 東京消防庁では4月下旬から接種が始まったが、まだ一部の消防署に限られる。
(後略)
https://news.yahoo.co.jp/articles/b77952dad660a9ef8f5b6392205e0848ef46398b

医療従事者は否応なく人と接触しますし、感染して現場を離脱すれば医療体制に響きます。
医療従事者に優先接種すると決めたのには理由があるのです。
しかし、高齢者と並行接種することを批判するマスコミはほとんどありません。

つまり「やってる感」の政治というのは、それを批判しないマスコミと表裏一体なのです。


「やってる感」の政治といえば、吉村洋文大阪府知事の右に出る人はいません。
吉村知事が「やってる感」を出したことは数々ありますが、ワクチンの話に絞ると、吉村知事は創薬ベンチャーのアンジェスや大阪大などオール大阪の力を結集して“大阪ワクチン”を開発すると宣言し、昨年6月には「僕が治験者の第一号になります」などと発言し、年内に10万、20万の供給が可能と言いました。
専門家は、そんな早くできるわけがないと言っていましたが、マスコミは吉村知事の話ばかりを垂れ流しました。
そして現在、実用化は2022年以降だとされています。
つまり吉村知事の言ったことはまったくでたらめだったのですが、吉村知事はほとんど批判されていません。

口先だけでバラ色の話をして人気を集め、その話が嘘になってもほとんど批判されないとなると、人間、味を占めるのは当然です。
吉村知事の「やってる感」の政治は、半分マスコミがつくったようなものです。


「やってる感」の政治を始めたのは、安倍前首相だと思います。
安倍前首相は、経済については、アベノミクスが2年ほどで限界に達してからは、新卒内定率、有効求人倍率、株価などよい数字だけを強調して、見せかけに走るようになりました。
外交についても、「外交の安倍」などと言われましたが、成果と言えるものはなにもありません。
とくに対ロシア外交は、北方領土は2島返還すらむずかしくなり、経済協力も進まず、最悪でしたが、安倍前首相はプーチン大統領と26回も首脳会談を重ねて、「やってる感」を演出しました。

マスコミはこうしたやり方をほとんど批判しませんでした。
安倍前首相のパフォーマンスが巧みだったこともあり、支持率の高い首相を批判するのはリスクが高いと判断したのでしょう。
その流れが今も続いているのだと思います。

菅首相が「やってる感」を出すのは、そこに政権の延命がかかっているので、必死のところです。
マスコミが「菅首相は見せかけばかりに走っている」などと批判すると、それは政権つぶしも同然なので、政権からの反撃も覚悟しなければなりません。

現在、それだけの覚悟を持ったメディアは「文春砲」しかないようです。


「やってる感」の政治は、うわべに力を入れる分、中身がおろそかになります。
大阪府の新規感染者数が東京を上回ったのはそのためでしょう(小池百合子都知事も「やってる感」を出すことではかなりのものですが)。

マスコミの覚悟が問われています。

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3度目の緊急事態宣言が4月25日に発令されましたが、その効果に関係なく、5月11日に解除すると決まっています。
IOCのバッハ会長が17日に来日するのに合わせたのだと言われています。
バッハ会長に「コロナに打ち勝った日本」を見せたいのでしょうか。

バッハ会長が「東京五輪は中止だ」と言うとすべてが終わってしまいます。
そうでなくても、バッハ会長の来日は世界に報道されるので、日本が緊急事態宣言を解除していないと、それが世界に知られて、選手団の派遣を中止する国が次々と出てくるかもしれません。
そうならないように、菅義偉首相としても必死なのでしょう。

吉本新喜劇の定番ストーリーで、偉い人が視察にきたとき、不都合な事実を隠すためにみんなで口裏合わせをしたものの、それがうまくいかずにドタバタ劇が起こるというのがありますが、それを思い出します。


東京五輪の開催か中止かの判断は、最終的に誰がするのでしょうか。
菅首相は23日の記者会見における質疑応答の中で、3度にわたってIOCに決定権があるようなことを言いました。

 オリパラに向けては、足元の感染拡大を静めることに、まずは全力で取り組みます。IOC(国際オリンピック委員会)は東京大会を開催することを、これは既に決定しています。IOCとして。そのことは各国のオリンピック委員会とも確認しております。政府としては東京都、組織委員会、IOC、しっかり連携を取って、安全安心の大会にすることができるように対策をしっかり講じてまいりたいと思います。

   *

まず、東京オリンピックですけれども、これの開催はIOCが権限を持っております。IOCが東京大会を開催することを、既に世界のそれぞれのIOCの中で決めています。そして、安全安心の大会にするために、東京都、組織委員会、そして政府の中で、感染拡大を防ぐ中でオリンピック開催という形の中で、今、様々な対応を採らせていただいています。

   *

(記者)
 今のに関連してお伺いいたします。フリーランスの江川紹子と申します。よろしくお願いします。
 今、総理は、オリンピックについてはIOCが権限を持っているとおっしゃいました。しかし、IOCは日本国民の命や健康に責任を持っているものではありません。そういう観点で、しかも、さっき総理はスピーチで事態は全く予断を許さないとおっしゃいました。尾身会長からもリバウンドは必ず来るというようなお話もありました。そういう中で、何とかやりたいというのはすごく分かるのですけれども、もしかしたら、どのような状況になったら中止もやむを得ないというような判断基準のようなものは総理の中にあるのでしょうか。あるとすれば、それは何でしょうか。(中略)
(菅総理)
 まず、IOC、オリンピックですけれども、IOCがそれぞれの国のオリンピック委員会と協議した上で決定しています。当然、日本が誘致していましたから、それは日本も当然、東京都、組織委員会、その中に入るわけですけれども、そういう中で、開催する方向で今、動いています。それで、開催する中で、IOCと東京都、組織委員会、そして日本政府、そういう中で会合をして、例えば先ほど申し上げましたけれども、外国人の、いわゆる応援される観光客の方には遠慮してもらうことをまずは決めています。それぞれ選手団の中で何人とかそうしたことも一つ一つ、日本に入国する人数も精査しながら行っているということを承知しています。(後略)
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0423kaiken.html

菅首相はまったく同じことを3度も繰り返しています。
要するにIOCが決めたことだから、自分には責任がないと言いたいのです。
歴代首相を振り返っても、これほど露骨に責任逃れをする首相は見たことがありません。


5月11日に緊急事態宣言を解除すれば、宣言の期間は17日間ということになり、これでは大した効果は見込めません。
解除後は宣言前と同じ状態になるわけですから、また感染は拡大します(変異ウイルスのために拡大のスピードは上がるかもしれません)。

菅政権にこういう認識はないようです。これまでもつねに甘い見通しを持って、宣言を早めに解除したり、GoToキャンペーンをやったりして、感染拡大を招いてきました。

ともかく、宣言を解除してから7月23日の東京五輪開会に向けて、感染者が増加していくのは確実です。
世界においても、一時は減少傾向でしたが、変異ウイルスのせいか、このところまた増加傾向にあります。


現在、コロナ下においても東京五輪は開催される予定ですが、これを運動会にたとえると、「少雨決行」ということです。
せっかく運動会の準備をしてきたのですし、運動会を見るのを楽しみにしている人もたくさんいるので、国民も「少雨決行」はしかたがないと思っています。
しかし、大雨になれば話は別です。
大雨になれば、責任者が運動会の当日の朝、できれば前日に中止の決定をして、関係者全員に連絡をしなければなりません。

ただ、この判断がむずかしい。
中止にすれば、「この程度の雨ならできたじゃないか」と言われることがありますし、決行すれば、「なんで中止にしなかったんだ」と言われることもあります。

東京五輪の「コロナ下決行」を判断するのは、運動会の「雨天決行」を判断するよりもはるかにむずかしく、しかも責任が重大です。

この判断をするのは当然菅首相と思われますが、菅首相は記者会見の言葉からもわかるように、徹底的に責任逃れをしています。
中止の判断をするべき状況になってもなにもしない可能性があります。

ポジション的には橋本聖子五輪組織委会長が判断してもよさそうですが、そんな責任を負える人間とは思えません。

小池百合子都知事は、スタンドプレーの好きな人ですから、大胆に中止を言い出す可能性があります。
しかし、都知事のしがらみも大きいでしょうから、あまり期待はできません。

二階俊博自民党幹事長は、東京五輪について「これ以上とても無理だということだったらスパッとやめなきゃいけない」と発言して注目を集めましたが、なにを考えているのかわかりません。

結局、誰もなにも判断できないまま、土砂降りの中、五輪開催へ向けて突き進んでいくということも考えられます。

太平洋戦争末期、なかなかポツダム宣言受諾の判断ができず、本土決戦へ向かって突き進んでいった状況とそっくりです。


中止の決断をするのは、外国選手団が日本に到着する前でければならないでしょう。
そのときまでに誰が最終判断をすると決めておかなければなりません。

東京五輪の1年延期を決めたのは安倍首相(当時)でした。
去年の3月、安倍首相はバッハ会長に電話して、五輪開催を1年程度延期することを提案して同意をとりつけ、記者に発表し、その後、組織委とIOCが共同声明を発表するという手順でした。
五輪開催か否かという重要問題を判断するのはやはり首相です。

野党、マスコミ、国民は、五輪開催の責任は首相にあるのだということを菅首相に認識させなければなりません。

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3月25日に聖火リレーを始めると、橋本聖子東京五輪組織委会長が表明しました。

聖火リレーは47都道府県を回り、約1万人のランナーが参加する大規模なものです。当然、費用もかかります。聖火リレーの中止検討を表明した島根県の丸山達也知事は警備費などで7200万円の予算を計上しているということです。

組織委は感染対策を次のように行うとしています。
聖火リレーでの主なコロナ対策
<観覧客向け>
インターネットライブ中継での視聴を推奨
沿道観覧は居住地付近でするよう求める
沿道ではマスクを着用し、大声を出さず拍手による応援や配布グッズなど活用の応援を要請
過度な密集が生じた場合はリレー中断も
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-02-25/QP22LDDWX2PS01

ここまでして聖火リレーをする意味がわかりません。
人が集まりすぎると中断するということで、有名人のランナーが相次いで辞退しているのも当然です。

橋本会長は「コンセプトである『希望の道をつなごう』に沿って日本全国に希望をつなげる聖火リレーにしたい」と語りました。

組織委の決めた聖火リレーのコンセプトというのがあって、「Hope Lights Our Way(英語) / 希望の道を、つなごう。(日本語)」というもので、IOCの承認も得ているということです。

英語を直訳すると「希望はわれらの道を照らす」となって、なかなかよい言葉と思えますが、「希望の道を、つなごう」という日本語はほとんど意味不明です。


そもそも論をいえば、「聖火」というものは存在しません。
オリンピア遺跡で採火した火も、百円ライターでつけた火も、同じ火です。
ですから、聖火リレーも無意味なことです。
聖火台の火には見世物としての価値があるので、一人のランナーが国立競技場の聖火台に火をつけるパフォーマンスをすれば十分です。
「聖火」をありがたがるのは科学的精神に反しますし、子どもの教育にもよくありません。

3月2日のTBS系「ひるおび!」で、元JOC職員でスポーツコンサルタントの春日良一氏は「古代ギリシャでは4年に1度休戦するのがオリンピックだった。武器を置いてオリンピアに集まれということを各ポリスに伝えるメッセンジャーの役割をデフォルメしたのが聖火リレーだ」と言って、平和のメッセージの意義を強調していました。
しかし、聖火リレーをやったからといって世界が平和になるものではありません。
聖火は古代オリンピックで開催期間中にともされていて、1928年のアムステルダム大会で復活しましたが、聖火リレーは1936年のベルリン大会でナチスドイツが始めたものです。
聖火リレーにはナチスのオカルト趣味が入っているともいえます。

ただ、いきなり大会を始めるのではなく、聖火リレーをやりながらだんだんとオリンピック気分を盛り上げていくというのはうまいやり方です。
しかし、コロナ禍では盛り上がって人が集まってはいけないわけです。
「盛り上げるためにやるのに、盛り上がって人が集まるといけない」というジレンマに陥ります。
不要不急の聖火リレーは中止が当然です。

では、なぜ聖火リレーをやろうとするのでしょうか。
私が思うに、もし聖火リレーを中止すれば、ただでさえ大会開催に否定的な世論がさらに否定に傾いて、大会中止に追い込まれるのではないかという懸念があるからでしょう。
それぐらいしかやる理由が見当たりません。



では、コロナ禍でオリンピック大会をやる理由はなんでしょうか。

菅義偉首相は繰り返し「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として開催する」と言っています。
この表現は安倍前首相が言い出したものですが、言い出した当時は、今年7月ごろにはコロナに打ち勝っている可能性が少しはありました。
しかし、現時点では、7月に打ち勝っているということはまったく考えられません。
なにも考えずに昔の言葉を繰り返している菅首相にも困ったものです。

ということは現在、オリンピックを開催するまともな理由が示されていないのです。
「安全・安心を確保して開催する」などと言いますが、これは言葉の遊びで、開催すれば必然的に感染リスクは増大します。
世論調査で中止・延期が8割近くになるのも当然です。

では、中止すればいいかというと、そう単純ではありません。
開催したほうがいい理由もあります。
それは「お金」です。
開催中止になれば大きな損失が発生します。

ただ、その金額がどれぐらいになるのかがよくわかりません。
「東京オリンピック中止の経済損失」で検索すると、3兆4000億円、4兆5000億円、8兆円、29兆円などといろんな数字が出てきます。
これは要するに「経済波及効果」の数字で、もともと大きめに算出してあるのです。

単純に考えて、開催中止になればテレビ放映権料と入場料が入ってきませんし、スポンサー企業からの金も大幅に減額されるでしょう。
一方で開催にともなう出費はなくなるので、それを引いた額が純然たる経済損失です。
それを全部日本が負担するはずはなくて、IOCとの分担になります。

それがいくらになるかを組織委がちゃんと計算して、その数字をもとに菅首相が「中止すればこんなに損をする。だから開催するべきだ」と国民に訴えれば、説得力があります。
というか、これ以外に国民を説得することはできません。


ただ、ここで困ったことがあります。
人間は誰でも利己的で、利己的にふるまいますが、あからさまに利己的にふるまうと、周りの反発を買って、目的とする利益が得られません。
ですから、人間は「利他的に見せかけながら利己的にふるまう」という複雑なことをします。
たとえば、企業は営利が目的ですが、「顧客のため」とか「社会に貢献」とか「地球環境にやさしい」といった言葉で利他的なイメージをふりまきます。
商人は「赤字覚悟の出血サービス」と言いながら利益を得て、政治家は「国家国民のために身命を賭す」と言いながら利権を追求します。
つまり本音と建て前の使い分けをしているのですが、やっているうちに自分でも本音と建て前の区別ができなくなって、誰もが自分を利他的な人間だと勘違いしているのが実情です。

こうした考え方が進化倫理学の基本です。


ともかく、今の世の中、誰もが利己的に見られないように注意し、そして、あからさまに利己的にふるまう人間を見ると非難します。
ですから、菅首相が「中止すればこんなに損をする。だから開催するべきだ」と国民に訴えれば、国民は「お金のことしか考えないのか」「オリンピックに対する冒涜だ」などと言って、菅首相を非難するでしょう。
つまりお金のことはたいせつですが、あからさまに言ってはいけないのです。
大義名分が必要です。

「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証」というのも大義名分ですが、できが悪すぎます。

では、どんな大義名分がいいかというと、「世のため人のため」という利他的な意味のものが最善です。
具体的には「世界中のオリンピックファンとアスリートのために開催しよう」というのがいいでしょう。
実際、世界にはオリンピックを見たいと思っている人がたくさんいますし、アスリートはもちろん出場して活躍したいわけですから、単なる大義名分ではなく実質も伴っています。

中止になるとどれだけ経済損失があるかということを国民に周知しておき、「世界中のオリンピックファンとアスリートのために」ということを大義名分にして国民を鼓舞するのが、オリンピック開催を実現する最善の方法です。

それで国民が鼓舞されなければ、開催は諦めるしかありません。


それにしても、中止の場合の損失も明示されないし、まともな大義名分も掲げられないのでは、開催を目指す人たちが愚かすぎるというしかありません。
利権のことしか考えていないのでしょうか。

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スキャンダルの渦中にあって弱っているとき、親から「完全に別人格ですからね」と言われた子どもは、どんな気持ちなのでしょうか。

菅義偉首相の長男・菅正剛氏による総務省高級官僚接待問題が国会で取り上げられたときの菅首相の発言ですが、正確には次のようなものです。

「(長男は)今もう40(歳)ぐらいですよ。私は普段ほとんど会ってないですよ。私の長男と結びつけるちゅうのは、いくらなんでもおかしいんじゃないでしょうか。私、完全に別人格ですからね、もう」

 2月4日の衆院予算委員会。野党議員の追及を受けた菅義偉首相(72)は、顔を強張らせると、珍しく答弁ペーパーから目を上げ、感情を露わにした。
https://news.livedoor.com/article/detail/19731015/
親からこんなことを言われた子どもは、「グレてやる!」と思うのではないでしょうか。

菅首相の長男の総務省官僚接待問題に火をつけたのは週刊文春ですが、文春オンラインの『「ササニシキ送りますよ」菅首相長男の“接待攻勢”音声』という記事に、菅正剛氏の写真が載っていました。

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いずれの写真も文春オンラインの記事より

ボサボサの長髪に、無精ひげ風のひげ、清潔感がなく、服装もだらしない感じです(服装は、そういう瞬間をねらって撮ったにしても、普通のサラリーマンならなかなかこういう格好はしません)。

こういう風体で高級官僚を接待していたというのは、なかなか信じがたいことですが、「グレてやる!」という思いがこういう格好になっているのでしょう。

もっとも、それは時系列が逆だと思われるかもしれませんが、正剛氏は幼少期から
菅首相のもとで育っているので、「グレてやる!」というのは若いころからの思いです。


菅首相は、家族関係がまったく謎でした。
秋田の貧しい農家で育ったことが原点だと言い、「ふるさと」を強調しますが、高卒で秋田を出て、それから秋田との縁はほぼ切れています。父親とはあまりいい関係ではなかったようですし、母親のこともそれほど語りません。
奥さんは表に出るのが嫌いな人だということで、ほとんど姿を現しませんし、夫婦関係もよくわかりません。
そして、子どもは息子が3人いるのですが、これもまた謎でした。

そうしたところ、長男の正剛氏のことが表面化して、やっと謎の一角が見えたわけです。


正剛氏はどんな育ち方をしたのでしょうか。
菅首相は家族のことをほとんど語らない人ですが、子育てについて語っている『菅官房長官が初めて語った「妻」と「息子」について 「次の総理候補と60分」』という記事がありました。

——ご家庭ではどんな夫、どんな父でしたか。

菅 もともと、夫婦間の会話が多いほうではありません。子どもには厳しかったですよ。いつも言っていたのは「中学高校では運動部に入れ」ということ。長男は柔道、次男はサッカー、3番目はバスケットをやりました。

——三男はその後、ご自身と同じ法政大学に進み、強豪の体育会アメリカンフットボール部に所属されたそうですね。

菅 はい。次男坊も東大でアメフトをやっていたんです。

——東大法学部を出られた息子さんですね。ご長男は?

菅 明治学院です。

——なぜ運動部入りを義務づけたんですか?

菅 私は仕事柄、家庭にあまりいられないので十分な躾ができないですから。部活というのは躾をしてくれますよね。部活をちゃんと続けられれば、社会に出ても、まあ一生飯は食っていけるだろうと思ったんです。

——いま息子さんたちを見て、その教育は正しかったですか。

菅 正しいかどうかはわからないですけど、3人とも、私に就職を頼んだりするのは一番嫌がる人間になりました。私も、親父が就職のアドバイスをするようなのは一番嫌なんだよね。

——「世襲はしない」と公言されています。

菅 私は世襲政治家を批判して出てきた人間だから、それだけはやっちゃいけない。「もし政治家になるんだったら、他の県に行って出ろ」と、昔から明快に言ってます。だから誰も言い出さない。3人とも民間の企業で働いています。

「中学高校では運動部に入れ」というのが菅首相の教育方針です。
今の世の中は、親がどんな教育方針を掲げてもいいことになっていますが、これは世の中が間違っているので、子どもに合わない教育方針を掲げてはいけません。
体育会系の部活が合う子どもも、文科系の部活が合う子どももいます。
正剛氏はのちにバンド活動をするミュージシャンになるのですから、音楽系の部活をするのが合っていて、柔道部は不本意だったのではないでしょうか。

ちなみに菅首相は空手部でした。空手、柔道、アメフトと、ハードなスポーツが菅首相の好みのようです。


大学進学後の正剛氏の人生は、『「完全に別人格ですからね」菅首相発言は本当か……“違法接待”長男のこれまでを検証する』という記事によると、このようなものです。

 地元横浜で生まれた正剛氏は明治学院大に進学後、「世界民族音楽研究会」に所属。音楽ユニット「キマグレン」の元メンバーと共に、「COTE-DOR」というバンドを組んで活躍。卒業後、同級生が社会人となる中、一向に定職に就かない長男の行く末を菅氏は非常に心配していたという。そして、06年に総務大臣として初入閣を果たすと、社会人経験のない25歳の長男を大臣秘書官に抜擢。後に菅氏は雑誌の取材に「バンドを辞めてプラプラしていたから」と語っている。

「大臣秘書官の給与は特別職給与法により、個々の秘書官の能力と経歴に基づいて決定されます。一番下の1号俸は06年当時、月額25万9100円。さらに期末勤勉手当(ボーナス)、地域手当、住居手当、通勤手当なども付きます。毎月の地域手当は東京の場合、俸給の20%が加算されることになります」(内閣人事局の担当者)

 ざっと計算すれば、ボーナスを含めて400万円ほどが支払われたことになる。
 
正剛氏を知る地元の知人が苦笑交じりにいう。

「正剛はその後、秘書官を辞めてからは仕事がなくて、ある日突然『バーを経営する』と言い出したことがあった。そんな姿を見かねた空手部出身の父から鉄拳制裁を食らい、『直立不動でそれを受けたんだ』と話していました。父の叱責に嫌気がさしたのか、正剛は一度家を飛び出した。でも、街中のそこかしこに父親のポスターが貼ってあるのが目につき、父の威光に観念して家に戻ったそうです」

 バルコニーから横浜港が一望できる36階建てのタワーマンションの上層階を正剛氏が購入したのは、大臣秘書官を辞めた半年後の08年1月のこと。80平米超の3LDKで、販売価格は8000万円を下らない新築の高級物件だ。だが登記簿を確認すると、ローンはわずか2000万円。6000万円前後の頭金を自己資金として捻出していることになる。当時、正剛氏は独身で妻やその親族の援助はありえない。誰が6000万円を用意したのだろう。今住んでいるのは、4年前にこの物件を売り払って移った億ションだが、ここもローンは1800万円に過ぎない。

 08年に正剛氏は菅氏の後援者である植村伴次郎氏が創業した東北新社に入社。「総務省担当」を担うようになった。

大臣秘書官というのは、政治家の事務所にいる秘書とは違って、大臣を補佐する特別職公務員です。政治家秘書の経験もなく、総務省行政の知識もない若者が就くのは異例です。
菅首相(当時総務相)としては、秘書官の給料は国から出るので、身内を就けておけば、その給料を自分のものにできるといった感覚だったのでしょう。国会議員の公設秘書に妻を就けるみたいなものです(勤務実態のない者を秘書にするのは一時期問題になったので、最近はないはずです)。

25歳の若者ならいくらでも自力で就職できたはずです。菅首相が正剛氏を秘書官にしたのは、正剛氏の自助を妨げる行為です。
高額なマンションを買い与えたのも同様です。

その一方で「鉄拳制裁」もあったようです。
25.6歳の若者に暴力をふるうとは、空手をやっていた菅首相ならではですが、暴力はこれが初めてということはないでしょう(子育てについての記事で「子どもには厳しかったですよ」と語っています)。
それに、「バーを経営する」と言ったことが鉄拳制裁の理由というのも理解に苦しむところです。
菅首相の価値観では水商売やバンドマンはまともな職業ではないのでしょう。

大臣秘書官を経験した正剛氏は、一般企業に就職して新入社員として一からスタートする気にはならないでしょう。バー経営という道も否定されました。そこで選んだのが、父の威光を利用して東北新社の社員になることでした。

菅首相は自分が正剛氏の就職の世話をしたことは否定しています。
22日の国会答弁でも、「私は子どもが3人いるが、就職について自分が紹介するとかは一切やっていない」「長男が(創業者を)非常に慕い、(長男と創業者の)2人で(就職の)話を決めた」と語りました。

しかし、菅首相が直接話をしなかったとしても、東北新社が正剛氏を採用したのは「菅義偉の息子」だったからであることに疑う余地はありません。
そして、菅義偉氏が官房長官として力をふるい、さらには首相になると、「菅義偉の息子」という肩書きの威光はますます高まり、正剛氏は会社でも重みを増しました。

しかし、いくら「菅義偉の息子」として評価されても、正剛氏の承認欲求は満たされません。
それで、あのような不潔感のある風体をするのではないでしょうか。
あの風体は「菅正剛を見てくれ」という主張です。

正剛氏は世の中からドラ息子やバカ息子と言われていますが、最初からバカ息子だったわけではなく、そこに至るそれなりの道筋があります。

菅首相は「自助」や「絆」を言いますが、だいじなのは「世間体」で、そのために正剛氏の人生を振り回しました。
正剛氏がグレるのは当然です。
そして、正剛氏がスキャンダルに見舞われると、菅首相は自己保身のために「完全に別人格」と切り捨てました。

菅首相の顔にはつねに冷酷さがうかがえますが、子どもにとっても冷酷な父親であるようです。

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官房長官時代は有能だと言われ、首相になると無能だと言われ、ピーターの法則を地でいっている菅義偉首相です。

ちなみにピーターの法則というのは、課長のときは有能だった人間も、部長に昇進すると普通になり、役員に昇進すると無能になるというように、人間の器の大きさとポストの大きさの関係から、小さなポストで有能な人間は必然的に出世するので、世の中のあらゆるポストは次第に無能な人間によって埋め尽くされていくという法則です。
この法則は、人間の成長も世代交代も無視しているので、冗談と受け止めるべきですが、いくらかの真実は含んでいます。

昨年9月、首相就任の記者会見を見ていると、菅首相があまりにも弱々しく、不安そうな表情を浮かべているので、私はこの人に首相が務まるのかと心配になりました。
しかし、官房長官時代の実績から、そんな弱々しい人間のはずはなく、私の感覚がおかしいのかもしれないと思いました。
それに、首相就任直後ということもあります。経験を積めば首相らしくなるかもしれません。


ところが、そのあと日本学術会議任命拒否問題や新型コロナウイルス感染対策問題、それに「ガースーです」とあいさつしたのが批判されたことなどもあって、菅首相はますます弱々しくなりました。
体調にも問題があったのでしょう、せきが止まらず、声がかすれるということがあり、1月25日には野党議員から「体調はいかがですか」と聞かれ、「のどが痛くて声が出ないだけで、いたって大丈夫です」と答える場面もありました。

もともと菅首相は国民に向けて発信するのは得意ではないのですが、元気がなくなるとますます発信力が低下します。

そして、27日の参院予算委員会で立憲民主党の蓮舫議員の質問に対して菅首相が「少々失礼じゃないでしょうか」と反論する場面があり、このところ低姿勢で謝罪することの多かった菅首相だけに、この場面がマスコミにずいぶんと取り上げられました。

『「人間として未熟」「SNS気にしすぎ」 蓮舫氏の「糾弾型」質問、「サンジャポ」でも論議』という記事から、その場面を引用します。

 参院予算委では自宅や宿泊先で療養中に死亡した人が20年12月1日から21年1月25日にかけて29人いたことを受ける形で、蓮舫氏が

「総理、その重み分かりますか?」

と菅氏に発言を求めた。菅氏が「そこはあの、大変申し訳ない思いであります」と答弁すると、蓮舫氏は「もう少し言葉はありませんか?」と矢継ぎ早に質問。菅氏は「心から申し上げましたように、大変申し訳ない思いであります」と繰り返した。この答弁姿勢を、蓮舫氏は

「そんな答弁だから、言葉が伝わらないんですよ!そんなメッセージだから、国民に危機感が伝わらないんですよ!あなたには総理としての、自覚や責任感、それを言葉で伝えようとする、そういう思いはあるんですか?」

と語気を強めて非難した。蓮舫氏の追及に、菅氏は「少々失礼じゃないでしょうか」とし、続けて

「私は少なくとも総理大臣に昨年の9月16日に就任してから、何とかこのコロナ対策、1日も早い安心を取り戻したい。そういう思いで全力で取り組んできたんです」

などと取り組みの姿勢を強調した。
蓮舫議員の質問はそれほど失礼だったのかは、実際の映像を見ればわかります。




「総理としての自覚や責任感はあるのか」というのは確かに失礼かもしれません。菅首相も少々キレ気味に反論しています。
ところが、キレ気味なのに、言葉に全然力がなく、滑舌も悪いので、その気持ちが伝わりません。
蓮舫議員の言葉には迫力があるので、結局、蓮舫議員に菅首相が説教されている格好になりました。
しかも「そんな答弁だから、言葉が伝わらないんですよ!」という叱責には、蓮舫議員の“親心”すら感じられます。

政治は権力を巡る戦いなので、どちらが強いかは決定的に重要です。
安倍前首相は国会で「嘘」や「嘘つき」という言葉を言われるたびに猛烈にキレるので、野党議員も「嘘」という言葉を言いにくくなりました(実際は安倍前首相は嘘をつきまくっていたわけです)。
トランプ前大統領は力強さという点では無敵でした。

首相が野党議員から上から目線で説教されていては、首相としての示しがつきません。そのまま政権崩壊につながってもおかしくない事態です。
政権側はなんとしてもこの事実を隠ぺいするか、それがむりなら事実を改変しなければなりません。
そこで、「失礼な蓮舫議員を菅首相が説教した」という“オルタナティブファクト”
がつくられました。
どこまで計算されたものかわかりませんが、テレビのコメンテーターはこぞって蓮舫議員の非礼を非難しました。
ネット上の記事でも、ざっと見ただけでもこれだけ目につきました。

【日本の選択】年長者に向かって罵声を浴びせ続ける蓮舫氏 これが野党の支持率上がらない原因
田村淳、蓮舫氏は「成人式で暴れている人と一緒」と苦言 報道方法に持論も

菅政権はまだこれだけメディアを支配しているのかと思いましたが、それだけではなさそうです。
今回のことは、女性議員が男性首相を説教するという、まさに“女性活躍”を絵に描いた出来事ですが、政権を支持するか否かに関係なく、女性が男性の上に立つのがいやという男が数多くいます。
つまりこれも“ガラスの天井”の一例です。


ともかく、菅首相は蓮舫議員から説教されても、弱々しい反論しかできなかったのが現実です。
官房長官のときは有能でも、首相になると無能レベルに達したのでしょうか。

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菅義偉政権のGoToトラベル・キャンペーンへのこだわりは異常です。
12月にGoToトラベルが一時停止になったこともあって大幅にGoTo事業の予算が余っているのに、第三次補正予算でさらに一兆円近い額を追加します。
年度内で消化できるとは思えず、野党から「不謹慎だ」という声が上がっています。
西村康稔経済再生担当相は1月26日の記者会見で、GoToトラベルの再開条件について、感染状況の指標がステージ2まで下がることだと述べました。再開する気は十分にあるようです。

菅政権がGoToトラベルにこだわることの異常さは、中国と比較するとよくわかります。
中国では春節に大規模な人の移動が起こりますが、それを抑えるために税金を使っています。

春節で17億人が移動予測 帰省しない人に報奨金やギガ
 旧正月の春節(2月12日)を控える中国で、帰省しない人に報奨金や特典を用意する地方政府が相次いでいる。今月28日からの40日間で延べ17億人が移動すると予測される中、帰省ラッシュを抑えることで新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ狙いだ。

 河北省唐山市は農民工(出稼ぎ労働者)が春節期間中に帰省しなかった場合、1人500元(約8千円)の「まごころ祝儀」を支給すると通知。天津市は市内に働きに来ている人が2月末まで市外に出なければ300元、その間に製造業などの職業訓練を受ければさらに300元を手当てするという。こうした報奨金を出す都市は沿岸部を中心に20以上に上っている。

 報奨金のほか、スマホのデータ通信量20ギガバイトのプレゼント(浙江省義烏市)や観光地や動物園の入場無料(山東省東営市)など特典をつける街もある。
 国営中央テレビも「今いる場所で年越しを」と号令をかけるなか、各地がキャンペーンを競い合う状況だ。

 例年だと春節の連休中は店や企業が軒並み閉じて休暇ムードに包まれるが、いつも通り仕事をする人や企業を支援することで帰省しない人を増やそうとする例もある。福建省アモイ市は期間中に道路清掃や公共交通機関などで働く人に1日50元(約800円)の追加手当を支給すると通知。同市翔安区は、春節前後の1週間、祝日も休まず操業した企業には職員1人あたり最高1500元を補助するとしている。

 中国本土では今年に入って河北省や黒竜江省などで感染が拡大し、国家衛生健康委員会は省をまたいで農村地方へ帰省する人に、7日以内のPCR検査を義務づけている。(平井良和)
https://digital.asahi.com/articles/ASP1W54J8P1WUHBI019.html?_requesturl=articles%2FASP1W54J8P1WUHBI019.html&pn=4

中国は感染対策がうまくいっていて、このところ1日の感染者数は100人前後です。
中国の感染対策は、当然ながら人の移動を抑えるほうに税金を使っています。
一方、日本は人の移動を促進させるほうに税金を使っているわけです。
しかも日本は、今年の夏にオリンピックをするつもりでいるのです。
中国と日本を比べると、日本の異常さがわかります。

GoToトラベル再開とオリンピック開催は両立するはずがありません。
ですから、私は菅政権はオリンピックは諦めたのかと思いました。
しかし、橋本聖子五輪相は26日の衆議院予算委員会で「1人5日間程度の勤務をお願いすることを前提に、大会期間中1万人程度の方に依頼をして医療スタッフ確保を図っている」と答弁しました。
菅政権がオリンピックを諦めず、かつGoToトラベル再開も目指しているとすれば、まったく理解不能です。


外国と比較すると見えてくることがあります。
日本ではワクチンの接種が2月末から始まるようですが、世界ではいくつもの国ですでにワクチンの接種が始まっています。
日経新聞のサイトによると、57の国と地域で始まっているそうです。
うち上位20か国は次の通りです。

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これを見ると、先進国である日本は遅すぎるのではないかと思えます。
イスラエルはやはり危機管理がしっかりしているようです。マスク不足のときは特殊部隊が空港で飛行機の積み荷を押収するなどをしていました。

日本は国内製薬メーカーの力が中国やロシア以下だということでしょうか。

そういえば、大阪では“大阪ワクチン”の開発が進められていて、昨年6月には吉村洋文知事が「今月末に人への投与、治験を実施いたします。市大の医学部附属病院の医療従事者に、まずは20例から30例の投与をする予定です」「今年中には10万から20万の単位での製造が可能になります」と希望の持てる話をしていました。
しかし、このところ“大阪ワクチン”の話を聞かないなと思っていたら、吉村知事は1月26日に出演したテレビ番組で「世界のワクチンに比べれば、周回遅れの状態になってますが、なんとか(次の)冬が来る前に大阪産ワクチンができればいいなと思っています」と語っていました。
去年の6月に言っていたことと違いすぎます。

行政のデジタル化の遅れも露呈しました。
10万円の特別定額給付金の申請をオンラインで行うとかえって遅くなるという奇妙なことが起きました。
また、役所において感染者数の報告がファックスで行われているということが世界に報道されて、あきれられました。

PCR検査数は、日本は世界でも最低レベルで、安倍前首相は「人的な目詰まりがあった」と言いました。
国立感染症研究所、厚生労働省、学者などの感染症専門家の利権が目詰まりの原因と思われますが、そういう問題を追及するのは週刊誌ぐらいで、結局どういう目詰まりがあったのかよくわかりません。
また、日本はアメリカやヨーロッパよりヒトケタ以上感染者数が少ないのに医療崩壊の危機が言われていて、これも不可解なことです。
本来こうした問題を追及するべき新聞、テレビなどのマスメディアも利権構造に組み込まれているので、わけがわかりません。
ただ、原因はわからなくても、おかしいということはわかります。


新型コロナウイルスをめぐる日本の対応はおかしなことだらけです。
新型コロナウイルスという世界共通の基準があるおかげで日本のおかしさがくっきりと見えるのは皮肉なことです。

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菅義偉首相は衆院代表質問において立憲民主党の枝野幸男代表から新型コロナウイルス対策の遅れを追及されると、「根拠なき楽観論で対応が遅れたとは考えていない」と反論しました。
また、枝野代表が「リーダーの説得力と真剣さが備わった呼び掛けが必要だ」と指摘すると、菅首相は「節目節目で国民に説明している」と反論しました。

菅首相の言葉は空疎すぎます。大本営発表の「勝った。勝った」を連想させます。
安倍前首相が高支持率を背景にこうした言い方をしていたのを真似たのでしょう。
しかし、安倍前首相はコロナ対策で失敗して退陣したのですから、コロナ対策に関しては安倍前首相のやり方を真似てはいけません。

ところが、菅首相は施政方針演説で、東京オリンピックについて「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として」開催すると、安倍前首相と同じ表現を使いました。

菅首相はオリンピックを成功させて衆院の解散総選挙に持ち込むという政治日程を重視しているそうです。そうであるなら自分の頭で考えないといけません。

現在、ワクチン接種が始まっているのは先進国だけです。オリンピック開催の7月にアフリカや南アメリカにワクチンが十分に行き渡っているということはまったく考えられません。
そのときに「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証」などと言えば、「コロナ禍で苦しむ国の人たちを無視するのか」と批判されるに決まっています。
ですから、菅首相が言うとすれば、「コロナ禍で苦しむ国の人たちに夢と希望を届けるためにも大会開催を実現したい」ということでしょう。


新型コロナウイルスは最初は未知のウイルスでしたから、対応に右往左往しましたが、今ではかなり科学的に解明されてきたので、科学的知見と合理的思考力で十分に立ち向かえます。
菅首相がどうしても東京オリンピックを開催したいのなら、そのための方法も考えられます。

開催するか否かは3月末ごろには決めなければならないという説があります。
もしそうならば、そのころには日本国内の感染が十分に抑えられていなければいけません。
ところが、菅政権は緊急事態宣言は発出したものの、最初は一都三県に限定していましたし、飲食店の営業時短要請が主な内容で、期間も一か月となっていました。
あまりにも手ぬるいやり方で、オリンピック開催を目指すこととまったく矛盾しています。
神風が吹いてウイルスを吹き飛ばしてくれるとでも思っているのでしょうか。

本気でオリンピック開催を目指すなら、最初の緊急事態宣言並みのきびしい行動制限をして、期限も設けずに、たとえば一日の新規感染者百人以下という目標達成まで続けるというようにしなければなりません。
もちろんそれをすれば経済が痛みます。
経済を取るかオリンピックを取るかという問題です。

ただ、知恵を絞ればもう少しやり方があります。
オリンピックはマラソンやサッカーを別にすれば、ほぼ東京、神奈川、埼玉、千葉で行われます。この地域だけきびしい対策をして、感染を抑えればいいのです。
ダイヤモンドプリンセス号のとき、グリーンゾーンとレッドゾーンということが話題になりましたが、東京周辺だけグリーンゾーンにして、それ以外のレッドゾーンでは自由な経済活動を可能にし、ふたつのゾーンの往来は制限します。そうすればオリンピック開催は可能になります。

もっとも、東京で感染を抑えると、感染の広がった外国から選手団が入ってくるのは困ります。
また、一部の国が不参加を決めたことで大会の開催がとりやめになるのも困ります。
それに対処するには、人口10万人当たりの感染者が何人以下の国は参加可能とあらかじめ決めて、つまりグリーン国とレッド国に分けて、グリーン国だけ参加するようにすればいいわけです。

つまり国内と世界をグリーンゾーンとレッドゾーンに分けるわけです。そうすれば世界的に感染が続く中でもオリンピック開催が可能になります。

もっとも、そんなことをしていてはオリンピックが楽しくありません。そこまでやらなくてもという結論になりそうです。

つまり、オリンピック開催の可能性を探れば探るほど不可能に思えてくるのです。

大会関係者は私などよりも真剣に大会開催の可能性を考えています。そうすると、やはり不可能という結論に至っているはずです。

そう考えると、次の報道にも納得がいきます。

日本「五輪中止」非公式に結論と英紙報道、2032年目指す
【ロンドン=板東和正】英紙タイムズ(電子版)は21日、日本政府が新型コロナウイルスの感染拡大で、東京五輪・パラリンピックを中止せざるをえないと非公式に結論づけたと報じた。同紙によると、政府は次に可能な2032年大会の開催を確保することに焦点を当てているという。

 夏季五輪は24年がフランスのパリ、28年が米ロサンゼルスで開催することがすでに決まっている。

 タイムズは21日の記事で、日本の連立与党幹部の話として「既に1年延期された大会は絶望的だとの認識で一致している」と伝えた。同幹部は「誰もが最初にそう言いたくないが、総意は(開催は)難しすぎるということだ。個人的には開催はされないと思う」と同紙に語ったという。

 東京五輪をめぐっては、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が同日、非公開のオンライン会議でIOC委員と意見交換し、東京五輪を予定通りに開催する考えを伝えた。
https://www.sankei.com/tokyo2020/news/210122/tko2101220003-n1.html
この報道に対して、政府関係者や大会関係者はこぞって否定する発言をしましたが、「火のないところに煙は立たない」です。
政府の中途半端な感染対策も、もう開催は諦めているからだと考えると納得がいきます。

日本政府もIOCも中止報道を否定するのは、先に中止を言い出すと費用の分担で不利になるというような思惑があるのかもしれません。


最終的に決めるのは菅首相です。
菅首相の言うことを聞いてもなにもわかりません。
菅首相は決定する最後の瞬間まで自分の考えを周囲に知らせないということをする人なので、周囲の人もわからないのかもしれません。
しかし、客観的には東京オリンピック開催はほとんど不可能です。

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菅義偉首相の新型コロナ対策が後手後手になるのは、東京オリンピック開催のためだとか、観光業界利権を持つ二階俊博幹事長への忖度のためだとか言われていますが、もうひとつ納得がいきません。
内閣支持率が下がってからバタバタと動くのなら、どうしてその前から動かないのでしょうか。

そうしたところ、菅首相はスマホではなくガラケーを使っているということがわかりました。
「選択」1月号の『「孤立の宰相」菅の余命』という記事にこう書かれています。

十二月十三日の毎日新聞朝刊が決定打となった。内閣支持率は前月と比べて十七ポイント減の四〇%、不支持率は四九%となり、支持、不支持が逆転した。「勝負の三週間」が終わる前に状況は暗転した。慌てた菅は方針転換に動く。十四日午後、自民党幹事長二階俊博の携帯電話が鳴った。ともにガラ携を使うツートップの電話会談で菅が一方的に結論を伝えた。
「GoToを全国で一時停止させることにしました。これから官邸でそのための協議に入ります」
二階は短く返事をした。
「総理がお決めになったのならやむを得ない」
https://www.sentaku.co.jp/articles/view/20597

菅首相も二階幹事長もガラケーなのです。
二人の年齢を考えれば、ガラケーであってもおかしくありません。
ただ、菅首相はデジタル庁をつくって行政のデジタル化を推進することと携帯料金の値下げを政策の大きな柱にしていましたから、意外な感じもします。

検索すると、菅首相がガラケーを使っていることは、少なくとも読売新聞と神奈川新聞が記事にしていましたから、国家機密というわけではありません。

菅首相はパソコンも使っていないようです。「菅首相 パソコン」で検索しても、菅首相がパソコンを使っているということはまったく出てきません。

菅首相には公式ホームページがあり、公式ツイッター、公式インスタグラム、 公式ブログ、公式フェイスブックもあります。公式ツイッターはけっこう頻繁に投稿されていますが、活動報告みたいなものがほとんどです。
すべて事務所のスタッフが運営しているのでしょう。

菅首相の毎朝のルーティンに散歩や新聞のチェックなどはありますが、「パソコンで情報をチェック」というのはありません。


少し前まではパソコン、スマホが使えなくてもたいして問題視されませんでしたし、高齢者であればなおさらです。
しかし、今の時代、とくに政治家においては、ネットの情報に接していないのは致命的です。

とりわけ菅首相のような立場になると、耳に痛い情報というのは誰も上げてこなくなります。
自分でマウスを操作してネットサーフィン(古い?)をすれば、たとえばヤフコメ欄などで否応なくそうした情報が目に入ります。


ちなみに森喜朗元首相もガラケーのようで、東京五輪・パラリンピック組織委員会の職員に対する年頭あいさつを行ったという記事に、こんなことが書かれていました。
先日、森会長は「不安はまったくない。(五輪を)やることは決まっている。準備はほとんど終わっている。どうして7月のことを今議論するのか」と開催への自信を示したが、世間からの反発は強く「うちの家内がスマホばかりみているんですが、私の悪口ばかりだったそうです。『森は何を考えているのか、バカじゃないか』と。菅さん以上に悪口ばかり。こんなのは長い人生で初めて。森内閣でもこんなに酷くなかった」と苦笑いを浮かべた。
https://www.daily.co.jp/general/2021/01/12/0013999863.shtml
森元首相は奥さんのスマホを通してネットの情報に接して、多少は世の中の空気を理解しました。

もちろんネットの論調は偏っているので、うのみにしてはいけません。偏っていることを知って、頭の中で修正する必要があります。

菅政権のコロナ対応が後手後手であるのは、菅首相と二階幹事長がネット音痴であることでだいたい説明がつきます。

とくにイギリスで感染力の強いウイルスの変異種が発見されて、日本に入ってくることが懸念されているときに、政府は11の国と地域とのビジネス往来を止めませんでした。菅首相は1月8日に報道ステーションに出演したときも、「(相手国の)市中で1例でも発生したら止める」と言って、すぐに停止するとは言いませんでした。
新聞やテレビはこの問題をそれほど重視していませんでしたが、ネットではすぐに止めるべきだという声が圧倒的でした。
とくに菅政権のコアな支持層が強硬に主張していました。
しかし、ネット音痴の菅首相にはそうしたことがわからなかったのでしょう。

結局、菅首相は13日の記者会見でビジネス往来の一時停止を発表しました。
ネット音痴であるがゆえに後手に回った典型例です。


安倍前首相はネットの世論をきわめて気にして、うまく対応していました。
ただ、そのために安倍前首相自身がネトウヨ化してしまいましたが。
モリカケ桜問題で強気の対応を貫けたのも、ネットである程度支持されていたからでしょう。
しかし、アベノマスクと星野源コラボ動画では圧倒的に批判されました。
いや、批判されたというより、バカにされ、嘲笑されました。
安倍前首相が辞任したのは、その精神的ダメージが大きかったからではないでしょうか。


ともかく、今の時代にネット音痴では政治家は務まりません。
菅首相は今からでもスマホを購入して(ガラケーと併用でいいので)、ネットで自分や自分の政策がどう評価されているかを知るべきです。
もっとも、支持率の低下した今の段階では、悪口ばかり目にすることになって、安倍前首相のように辞任したくなるかもしれませんが。

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官邸ホームページより

菅義偉首相は1月7日、緊急事態宣言を発出することを表明しましたが、例によって後出し、小出しの対策です。

すでにいろいろ批判されていますが、根本的な問題として、菅首相は平気で会食を続けていたように、新型コロナウイルスに対する危機感がないのでしょう。

それから、首相就任時に「感染症対策と経済の両立」と言ったのも問題でした。
感染症対策は入院や隔離生活みたいなもので、元気に働くこととは両立しません。
最初に入院して十分な治療を受けて、健康体になってから働く――つまり徹底した感染症対策で台湾やニュージーランドみたいに完全に抑え込むのが、経済を回すための正しいやり方でした。
あるいは、アメリカやブラジルやスウェーデンみたいに経済を止めないというやり方もあるかもしれません。その場合は感染者が増えるので、医療崩壊しないように医療体制を徹底的に強化することが必要です。
日本は感染症の抑え込みが中途半端だったために感染の拡大を招き、医療体制の強化も中途半端だったために、医療崩壊の危機に瀕しています。
菅首相が「感染症対策と経済の両立」という間違った目標を立てたのが最大の失敗です。


私は菅首相のキャラクターや発想法に興味があって、菅首相の記者会見を改めて見てみました。

菅首相の記者会見の動画と書き起こし文は、官邸ホームページで見ることができます。

令和3年1月7日 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見

菅首相はいつものように原稿棒読みですし、記者との質疑応答もあらかじめ決められていたのが明らかです。

緊急事態宣言とまったく関係ない質問をする記者がいました。2月にバイデン次期米大統領に会うときに核兵器禁止条約にどのような方針で臨むかという質問です。
これに対して菅首相はほとんど下を向いて紙を読みながら答えていました。
つまりこの記者が指名されて、この質問をすることは決まっていたのです。
ほかに「感染症対策をする上で“憲法の壁”みたいなものを感じることはないか」という質問をする記者もいて、菅首相はやはり紙を読みながら答えていました。

国民は緊急事態宣言について知りたいと思っているのに、官邸と記者がなれ合って、時間つぶしの応答をしているのです。

細かいことですが、菅首相は冒頭発言の最後に「今一度ご協力を賜りますことをお願いして私からの挨拶とさせていただきます」と言ったので、「記者会見は挨拶だったのか」とか「パーティと勘違いしている」などのつっこみが入っています。
ここだけ原稿から目を離して自分の言葉でしゃべったようです。

細かいことついでにもうひとつ言うと、会見の最後で秘書官が「次の日程がございますので」と言って会見を終了させたのですが、「日程」というのは「一日の予定」のことですから、ここは「次の予定」というのが正しい日本語です。
安倍首相のときに、むりやり会見を打ち切るのに秘書官が「外交日程があるので」とデタラメを言って、それが慣習となって「日程」という言葉が使われるようになったのですが、官邸のスタッフが日本語を乱してはいけません。


緊急事態宣言についてわからないことがいっぱいあります。
これは、菅首相自身が感染症対策のことをよくわかっていないということもありますが、菅首相がわざとわかりにくくしているということもあります。

菅首相は1月4日の年頭記者会見で、「国として緊急事態宣言の検討に入ります」と表明しました。
「検討に入る」であって、「宣言する」とは言っていないのです。
ただ、このときの報道は宣言することを前提としたものばかりでしたし、実際に宣言はなされました。
つまり菅首相は、ほんとうは宣言することを決めているのに、「検討に入ります」という言い方をしたのです。

「宣言することを決めました。7日に具体策を発表し、8日から実施します」と言えばわかりやすく、国民も心構えができますし、企業もリモートワークの段取りなどができます。
「検討に入ります」という言い方では、国民は宣言しないかもしれないと思って不安になりますし、準備もできません。

しかし、これこそが菅首相のねらいです。
ぎりぎりまで決定を延ばすことで周囲を振り回し、自分に決定権があることを思い知らせるのです。


緊急事態宣言の期間は1か月後の2月7日までとされましたが、誰も1か月で終わるとは思わず、どこまで感染が減少すれば解除になるのかが気になるところです。
ある記者も「取り組む国民の一体感のためにも、科学的な数値目標を示すことが必要ではないか」と質問しました。
しかし、菅首相も尾身茂会長も具体的な数値は言いませんでした。
西村担当相は、緊急事態宣言解除の基準として東京都で新規感染者数が500人以下という数字を示しましたが、首相が同調しないのではあまり意味がありません。

つまり全国民が緊急事態宣言はいつどうなれば解除されるのかわからないという状態に置かれているのです。
これも菅首相の意図したものです。
宣言の解除を決めるのは菅首相なので、全国民が菅首相の意向に振り回されるのです。


緊急事態宣言は一都三県が対象で、大阪や愛知は対象外です。
一都三県の感染者数が多いといっても、それほど違うわけではなく、これもわかりにくいところです。

菅首相は4日の年頭記者会見のときから一都三県、とくに東京都が飲食店の営業時短をしなかったことが問題だと、しつこいくらいに述べています。

12月の人出は多くの場所で減少しましたが、特に東京と近県の繁華街の夜の人出はあまり減っておりませんでした。
   *
1都3県について、改めて先般、時間短縮の20時までの前倒しを要請いたしました。
   *
北海道、大阪など、時間短縮を行った県は結果が出ています。東京といわゆる首都3県においては、三が日も感染者数は減少せずに、極めて高い水準であります。1都3県で全国の新規感染者数の半分という結果が出ております。
   *
北海道、大阪など、これは時間短縮、こうしたことを行った県では効果が出て、陽性者が下降してきております。ただ、東京とその近県3県が感染者が減少せずに高い水準になっているということもこれは事実であります。
   *
まず、東京都とその近県で12月の人出があまり減らなかったということです。また、三が日も感染者数は減少しないで、極めて高い水準になっている。
   *
全国でこの2週間、1都3県だけで約半分になっています。こうした状況を見て、政府として、4人の知事の要望も判断の一つの要素でありますけれども、全体として見れば、やはり首都圏だけが抜きん出て感染者が多くなってきている。ここについて危惧する中で行っていきたい。それで判断をしたということであります。
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0104kaiken.html
菅首相の狙いは“分断支配”です。
支配下を「よいグループ」と「悪いグループ」に分けて、競わせようというわけです。

実際のところは一都三県だけに問題があるわけではなく、大阪や愛知も感染者が増加しています。
菅首相がむりやり分断しているだけです。

菅首相はGoToトラベルを開始するときも東京都発着だけ除外するということをして、「わかりにくい」と批判され、混乱を招きましたが、これも得意の“分断”でした。


また、決定がつねに“唐突”です。
GoToトラベルの開始は、当初は8月中旬が予定されていましたが、7月10日に突然7月22日から実施すると発表され、準備不足から混乱が起きました。
そして、GoToトラベルを一時停止するときも、菅首相は12月11日にニコニコ動画において「まだそこは考えていません」と言ったのに、政府は14日夜に28日から全国一斉に停止すると発表しました。このときも準備不足から混乱が起きました。


菅首相の権力行使のやり方は「説明せず、分断し、唐突に」決定するというものです。
なぜそんなやり方をするかというと、自分の権力を最大化するためです。
菅首相の周りはつねに振り回されます。そうならないようにするには菅首相の意向を忖度して先回りしなければなりません。


新聞読み芸人のプチ鹿島氏は菅首相の『政治家の覚悟』という本を読んで、「話題の菅総理本『政治家の覚悟』をプチ鹿島が読んでみた…収録されている“実はヤバい部分“とは?」という記事を書いていますが、その中で菅首相のことを「権力快感おじさん」と名づけています。
菅首相は気に入らない部下や自分に逆らった部下を更迭した体験を自慢げに書いていて、そうした権力行使に快感を感じているというのです。

日本学術会議の6人の任命拒否問題も、菅首相にとっては快感なのでしょう。


宣言解除の具体的な目安が示されれば、国民もやる気が出ますが、そうすると首相の裁量の余地が狭くなります。
菅首相が権力の快感を味わうために、国民は分断され、五里霧中の歩みを強いられているというわけです。

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今にして思えば、「ガースー」発言が転換点でした。

菅義偉首相は12月11日、ニコニコ生放送に出演し、冒頭で「みなさんこんにちは。ガースーです」とあいさつして大スベリし、「こんなたいへんなときにふざけるな」などの批判が殺到しました。

「ガースー」発言については、誰か側近が「ニコ生では『ガースー』と言うと受けますよ」などと助言し、菅首相はそれを真に受けたのだろうと思われています。
しかし、もし誰かが菅首相に助言していたとしたら、菅首相は恥をかかされたと激怒して、その人は地獄の底へ左遷されてしまうに違いありません。菅首相は自分に反対した人間をすぐに左遷するそうですから。
そんなリスクの大きい助言をする人がいるでしょうか。

菅首相は改元のときに官房長官として「令和」の額を掲げると、「令和おじさん」として急に人気になりました。菅氏が首相になれたのはその人気のおかげと言っても過言ではありません。
それから、パンケーキが好きだと言うと、「パンケーキおじさん」と呼ばれて、また人気が出ました。
本人はこれで人気者になろうと意図したわけではありません。
なにも考えずにバットを振ったら、まぐれでボールが当たってヒットになったようなものです。
ともかく、これが菅首相の成功体験になりました。

今回「ガースー」と言ったのも、内閣支持率が急落する中、人気を挽回しようと思ってとりあえずバットを振ってみたということでしょう。
もちろんまぐれ当たりは何度もありません。


菅首相は自分の判断でやって大スベリしたので、精神的ダメージを受け、自分の判断力に疑問を持ったのかもしれません。
そうして決定されたのがGoToトラベル一時停止です。

この決定には誰もが「ブレた」という印象を持ったでしょう。
菅首相は「一度決めたことは人になんと言われても曲げない」というイメージをつくりあげてきました。とくにGoToトラベルは菅首相の肝煎り政策なので、いくら批判されても除外地域を追加する程度の手直しでお茶を濁すだろうと見られていました。

「一度決めたことは人になんと言われても曲げない」というイメージが確立すると、周りの人間はすぐに反対するのを諦めるので、自分の言い分がなんでも通るようになります。
菅首相は体も小さく、声にも力がなく、原稿を棒読みするだけで、権力者らしいところがまるでありませんが、「ブレない」というイメージがあることでリーダーシップを発揮してきました。

しかし、GoToトラベル一時停止で「ブレない」というイメージが崩れてしまいました。
政治は戦いですから、弱みを見せると、相手はかさにかかって攻めてきます。

そこで批判されたのが、菅首相が多人数で会食していた問題です。
最初にやり玉にあがったのは、GoToトラベル一時停止を発表した14日、王貞治氏、みのもんた氏、杉良太郎氏、二階俊博幹事長ら8人程度で忘年会をしたことです。
ノーマスクだったこと、店にアクリル板はなかったことなどが次々と報じられ、批判が高まりました。

すると菅首相は16日、記者の前で「反省」を表明しました。
これも意外な感じでした。
これまでなら「情報収集と人脈づくりのために会食は総理として重要な仕事ですので、感染防止に極力配慮して行ってきましたが、今後は控えたいと思います」程度の談話ですませていたでしょう。

しかも、「反省」表明のとき原稿を読まなかったのも、これまでのやり方と違います。
それが裏目に出て、「国民の誤解を招くという意味においては真摯に反省しております」と言い、「どこが国民の誤解だ」というさらなる批判を招いてしまいました。

その後、人数を4人以下にしたものの、1日に2件会食をしたので、「ハシゴ会食はいいのか」という批判も浴びました。
一度弱みを見せると、次々と攻め込まれるというパターンです。

菅首相の「反省」表明は側近も想定していなかったようです。
西村経済再生担当相は16日午前の衆院内閣委で野党議員から「5人以上の会食はいいのか悪いのか」と追及されると、「一律に5人以上はダメだということを申し上げているわけではございません」「もしどうしてもされる場合には、アクリル板のある店を選んでくださいとか、換気に注意してくださいとか、こういったことも併せて申し上げております」と首相を擁護しました。ところが、その日の午後に首相が「反省」表明をしたわけです。


急に会食への批判が巻き起こったのは、菅首相がブレたからです。
菅首相がGoToイートの適用を「原則4人以下」での飲食に制限するよう要請したのは11月16日のことです。
そのときにマスク着用の会食を呼びかけ、「私も今日から徹底したい」と言いました。
しかし、それからも菅首相は毎日会食を続けました。5人以上の会食もあったことは新聞の「首相動静」を見ればわかります。そのときマスク会食をしていたか否かも少し取材すればわかることです。
しかし、「5人以上でノーマスク会食をしている」と批判されたことはありません。
ところが、「ブレた」と思われたとたん、批判が起こったのです。
政治は力関係で動いていることがよくわかります。


そして、力関係が変わったことで見えてきたこともあります。
自民、夜会合を続々中止 大人数会食批判を考慮か
 菅義偉首相による5人以上の会食に批判が出ていることを受け、自民党では16日、大人数での会食の中止が続々と決まった。

 二階、岸田両派は17日にそれぞれ予定していた忘年会を中止した。

 二階派は17日夜、東京都内の日本料理店で所属議員48人らに呼び掛け、忘年会を計画していた。しかし、同派の山口壮事務総長が16日、所属議員に文書で「新型コロナウイルスの感染状況」を理由に中止を伝えた。

 二階俊博幹事長と佐藤勉総務会長ら総務会メンバーによる18日夜の会食も取りやめとなった。佐藤氏は16日の記者会見で「批判があったことも踏まえ、われわれも襟を正さなければいけない」と述べた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/b10f02be569549fbce8032c01fd7c2f38e8e2b16

自民党は、国民には会食は4人以下と要請していながら、自分たちは平気で大規模な宴会を計画していたのです。
おそらくGoTo停止がなければ、マスコミはこうしたことも報じなかったでしょう。

自民党のおごりがうかがえますが、同時に自民党の「コロナ軽視」もうかがえます。
政府のコロナ対策はつねに後手後手ですが、その理由はこのへんにありそうです。


菅首相がブレたために、菅応援団も困ったでしょう。
菅応援団は、経済を回すのにGoToは必要だと主張して、野党やマスコミを批判してきたので、完全にハシゴを外されました。
安倍首相の応援団は、安倍首相が森友学園問題で数々の不正行為を働いても、教育勅語を唱和する軍国主義教育の学校をつくるというイデオロギーを共有しているので、安倍首相を応援し続けました。
しかし、菅首相にそういうイデオロギーはないので、菅応援団は一度ハシゴを外されると、応援する気を失うのではないでしょうか。


政治の世界では「ブレた」と見なされると、急に風向きが変わります。
菅首相はここから体勢を立て直せるでしょうか。

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