村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

カテゴリ: 日記

木村
ツイッター「木村花HanaKimura」より

テレビのリアリティショー「テラスハウス」に出演していた女子プロレスラー木村花(22歳)さんが、SNS上で誹謗中傷され自殺した事件を受けて、SNSでの誹謗中傷を規制しようという動きが加速しています。
一方で、「テラスハウス」が木村さんを悪役に見せる過剰な演出をしたから誹謗中傷が生じたので、悪いのはテレビの演出だという意見もあります。

悪いのはどちらか――という問題の立て方が間違っています。
悪いのは両方です。
自殺の理由はひとつではなく、複合的であるからです。


私は「テラスハウス」がフジテレビで放送が始まったころ、一度見たことがあります。
シェアハウスの中に定点カメラが何か所か設置されていて、ハウス内のリアルな人間模様を描く番組だと思っていたら、2人が会話するシーンは、それぞれの顔がアップで映っていて、つまりドラマのようにカメラマンが映しているわけで、これではリアルな人間の姿が描けるわけがないと思って、それ以降はまったく見なくなりました。
しかし、演出だとは思わず、リアルな姿だと思って見ていた人もいるでしょう。


木村花さんは死の直前にツイッターに「毎日100件近く率直な意見。傷付いたのは否定できなかったから。死ね、気持ち悪い、消えろ、今までずっと私が1番私に思ってました。お母さん産んでくれてありがとう。愛されたかった人生でした」という遺書のような言葉を投稿していました。
私はこの中の「愛されたかった人生でした」という言葉が気になりました。
花さんの人生はどんなものだったのでしょう。


ウィキペディアの「木村花」の項目によると、木村花さんの母親は木村響子といって、やはり女子プロレスラーです(父親はインドネシア人で、どうやら離婚したようです)。
つまり母親と同じ道を歩むことになったのです。
これはリスク管理の上からは好ましくありません。

普通は、会社でいやなことがあっても、家に帰るといやされるということがあります。
逆に、家庭が不幸であっても、会社の人間関係に救われるということもあります。
ところが、親が仕事上の上司や師匠であるとなると、だめになるときは家庭も仕事もいっしょにだめになります。

木村花さんは、幼いころはダンサーを目指していたようですが、それは諦めて、高校を中退して女子プロレスの道に入りました。
ほんとうに自分の意志で入ったか気になります。

それに、高校を中退しているので、女子プロレスをやめてほかの道に行くのが困難です。
木村花さんが「テラスハウス」に出演できたのも、あくまで女子プロレスラーであるからです。
昔の武士は領地に生活のすべてがかかっていたので、それを「一所懸命」といいますが、木村花さんは女子プロレスラーという職業に「一所懸命」でした。
SNSで「女子プロレスラーとしての自分」を否定されると、すべてが否定されることになります。

「自殺」ではなく「過労死」の問題ですが、電通勤務の高橋まつりさんは上司のパワハラを受けて過労死しました。まつりさんは貧しい母子家庭で育ち、東大から電通に入り、母親のためにも電通を辞めるという選択肢がなく、「一所懸命」であったために起きた悲劇です。


最初のほうで、「自殺の理由は複合的である」と述べましたが、「自殺の理由は総合的である」と言ったほうがより正確です。
人間が自殺するか否かを判断するときは、すべてのことを総合して判断します。
SNSで誹謗中傷され、人格を否定されても、一方で家族や友人などのささえが十分にあれば、自殺にはいたりません。
また、現在はひどく不幸であっても、過去がずっと幸福であれば、いずれまた幸福な時がやってくるだろうと思って、現在の不幸に耐えることができます。

木村花さんの場合、家族や友人、過去の人生などのささえる力が十分ではなかったと考えられます。
中でも重要なのが母親の木村響子さんです。

木村響子さんは木村花さんの葬儀が終わった直後にこのようにツイートしました。

木村響子
@kimurarock
皆さんに お願いがあります

どうか 花のことで
ご自分を責めないでください

他の誰かを 責めないでください

なにかを 恨まないでください

ヘイトのスパイラルを
止めてください

もうこれ以上 
こんなことが起こらないように

花が望んだやさしい世界に
少しでも近づけるように
「どうか花のことでご自分を責めないでください」というのは、SNSで木村花さんを誹謗中傷した人たちに向けたものでしょう。
これはヘイトのスパイラルを止めるための、教科書に載せたいような完璧なメッセージです。
しかし、娘を亡くした母親のものとは思えません。

木村響子さんは、花さんが亡くなった翌日の24日にはこうツイートしています。

木村響子
@kimurarock

木村花 を

応援してくれたかた
仲良くしてくれたかた
愛してくれたかた

守ってあげれなくて ごめんなさい
辛い想いをさせて ごめんなさい

あなたが辛いと 花も辛いから
どうか楽しく元気な花を
心に置いてあげてください

花が伝えたかったことを
カタチにするために
もっと 強くなります

これは花さんのファンへのメッセージです。
娘を亡くした翌日に、ファンに配慮したメッセージを出すのは、社会的には称賛される行為です。
こういうことに文句をつけるのは、もしかすると私ぐらいのものかもしれません。

普通の母親なら娘を亡くして取り乱すところですが、木村響子さんは「社会的に完璧な母親」の姿を見せました。
そうした姿をずっと見ていた木村花さんは、母親の愛情を感じることができませんでした。
響子さんは花さんに向き合って、愛情を示すことが少なかったのではないでしょうか。
そうして花さんは「愛されたかった人生でした」との言葉を残して自殺したのです。

「社会的に完璧な母親」だから「家庭的にだめな母親」だとは限りませんが、少なくとも花さんは愛情を感じることが少なくて、誹謗中傷に負けない強さを身につけることができなかったのです。


SNSで匿名で誹謗中傷することを規制する議論が進んでいます。
「発言を規制する」というと問題がありますが、「発言に責任を持たせる」ということで、匿名の発信者を特定しやすくするのはいいことだと思います。

ただ、自殺予防という観点からは、それはあまり効果がないのではないかと思います。
リアルの世界でも誹謗中傷はあります。
問題は、そうしたことに耐える力を養うことです。

22歳という若い人の自殺の場合、家族のささえが重要だという当たり前のことを指摘しました。

ブルーインパルス
河野太郎ツイッターより

5月29日、自衛隊のブルーインパルスが新型コロナウイルスに対応中の医療従事者などへ「敬意と感謝をお届けするため」に東京上空を飛行しました。

前日にこの予告を聞いたとき、私は「空から病院へマスクや防護服などを投下するのか」と、皮肉を込めて思いました。
それから、空に赤十字のマークのような、医療を象徴するものを描くのかと思いました。これは皮肉ではなく、ブルーインパルスというと空に五輪のマークを描くというイメージがあるので、あるかもしれないと思いました。

そもそも曲芸飛行は、過去にいくつも悲惨な事故を起こしていて、するべきではないという意見もあります。
ただ、今回は曲芸飛行はなくて、スモークを出しながらの編隊飛行でした。


私が皮肉っぽいことを考えたのは、医療従事者へ「敬意と感謝をお届けするため」というところに“安倍臭さ”を感じたからです。
同じことを感じたのかどうかはわかりませんが、今回の飛行に反対する声がけっこうありました。

たとえばラサール石井氏はツイッターで、医療従事者には「空を見上げる余裕もない」「政府の緊急かつ具体的な支援を医療関係者の皆様にお願いします」と述べました。
共産党の紫野あすか三鷹市議は「ブルーインパルスが飛んだらなぜ医療従事者を励ます事に繋がるのか全く理解出来ない」とツイートしました。
どちらの意見も賛否両論を巻き起こしましたが、こういうことを言いたくなるのはわかります。

しかし、今回のブルーインパルスの飛行がまったく無意味とはいえません。
ジェット機の編隊飛行は、それだけでアトラクションとしての価値があるからです。
見て楽しんだ人も多かったはずです。

今はコロナ禍のために旅客機がほとんど飛んでいなくて、東京上空でアトラクションのための飛行をするにはちょうどチャンスです。
実にいいアイデアです。
多少の経費はかかっても、それ以上に東京都民を楽しませたはずで、その意味では成功でした。


ブルーインパルスの飛行自体はいいのですが、問題は「医療従事者のため」という理由をつけたことです。
ブルーインパルスの飛行の前では、医療関係者も一般人も反社勢力も区別がないので、どうしてこれが「医療従事者のため」なのかという疑問が生じます。
また、「医療従事者のため」を言うなら、マスクの一枚でも現場に届けろよということにもなります。

最初から「都民のみなさま、不自由な生活の気晴らしにブルーインパルスの飛行をお楽しみください」と言っていれば、よけいなことを考えずに純粋に楽しめました。


よけいな意味づけをするのは、安倍首相がよくやることです(今回の飛行は河野太郎防衛相のアイデアだったようですが、安倍首相風に意味づけされています)。

3月、安倍首相がIOCのバッハ会長と電話会談をして、東京オリンピックの1年程度の延期を決めたとき、安倍首相は「人類が新型コロナウイルス感染症を克服した証として五輪を開催したい」と語りました。
オリンピックが「感染症を克服した証」などという重荷を背負わされたのでは、楽しくありません。オリンピックはあくまでスポーツとして純粋に楽しみたいものです。

安倍首相は東京オリンピックを誘致するときも、「東日本大震災から復興した証」ということで「復興五輪」を掲げました。
これは誘致のときにアピール材料として使っただけで、今では「復興」ということはあまり意識されなくなりました。

しかし、もし来年東京オリンピックが開催され、「感染症を克服した証」という意味づけがされたら、たいへんです。
おそらくそのときには感染症はまだ完全には克服されていないので、「克服した証」という建て前で現実を塗りつぶすようなことをしなければなりません。これは考えるだけでうんざりです。

来年東京オリンピックが開催されるのはかなりむずかしそうですが、もし開催されたときは、「感染症を克服した証」などという意味づけはやめて、スポーツの祭典として純粋に楽しみたいものです。

スクリーンショット (20)
首相官邸HPより

賭け麻雀で辞職した黒川弘務検事長を訓告処分にしたのは誰かということが議論になっています。

最初はそんな議論があることが理解できませんでした。
処分は内閣か安倍首相の責任で行うものと思っていたからです。
しかし、免職、停職、減給、戒告という懲戒処分は法律によるものなので、黒川検事長の任命権者である内閣が行いますが、訓告と厳重注意という処分は法律によらず法務省の内規によるものなので、稲田伸夫検事総長が行うということです。
黒川検事長は訓告処分だったので、稲田検事総長が行いました。

しかし、稲田検事総長は、内閣が懲戒処分をしないと決めなければ訓告処分をすることができません。
森雅子法相も5月22日午前の記者会見で、「法務省内、任命権者である内閣とさまざまな協議を行った」とした上で、「最終的に内閣において決定がなされたものを、私が検事総長に『こういった処分が相当であるのではないか』と申し上げ、検事総長から訓告処分にするという知らせを受けた」と語りました。

ところが、同じ日の衆院厚生労働委員会で安倍首相は、「検事総長が事案の内容等、諸般の事情を考慮して処分をおこなったわけでございまして、森法務大臣もそれを了承したということについて、私に報告があったわけでございまして、これはもうすでに検事総長が判断をしていることでもございますから、私も諒としたということでございます」と言って、稲田検事総長が判断して、自分はそれを諒承しただけだと主張しました。

このころ、世の中では訓告処分は軽すぎるという批判の声が高まっていたので、安倍首相は稲田検事総長や森法相に責任をなすりつけたわけです。

森法相は25日の参院決算委員会で、「処分の主体は稲田検事総長」と答弁して、安倍首相に合わせて、前の自分の発言を修正しました。

しかし、共同通信は安倍首相と森法相の発言を否定する記事を配信しました。
黒川氏処分、首相官邸が実質決定 法務省は懲戒と判断、軽い訓告に
 賭けマージャンで辞職した黒川弘務前東京高検検事長(63)の処分を巡り、事実関係を調査し、首相官邸に報告した法務省は、国家公務員法に基づく懲戒が相当と判断していたが、官邸が懲戒にはしないと結論付け、法務省の内規に基づく「訓告」となったことが24日、分かった。複数の法務・検察関係者が共同通信の取材に証言した。
 安倍首相は国会で「検事総長が事案の内容など、諸般の事情を考慮し、適切に処分を行ったと承知している」と繰り返すのみだった。確かに訓告処分の主体は検事総長だが、実質的には事前に官邸で決めていたといい、その経緯に言及しない首相の姿勢に批判が高まるのは必至だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/27bc7764f48673e254ca4ee924b94cb65875cfc0
複数の法務・検察関係者が証言したということですから、安倍首相に責任をなすりつけられたことに対する反発が法務・検察内部にあるのでしょう。


この少し前にも、安倍首相は責任のなすりつけをしていました。
安倍首相は15日に櫻井よしこ氏のインターネットテレビ番組に出演し、検察庁法の定年規定をねじ曲げてまで黒川検事長の定年を延長したことについて、「法務省が人事案をもってきて、われわれはそれを承認しただけ」と語りました。

これはどういうことかというと、プチ鹿島氏が「黒川弘務検事長“賭けマージャン”辞職を、産経と朝日はどう報じたか?」という記事で解説していて、それがわかりやすかったので、そこから引用します。

しかし1月31日の定年延長の閣議決定には「前段」がある。5月23日の読売新聞が詳しい。
 記事から時系列をまとめてみる。

・昨年末、法務・検察が官邸に上げた幹部人事案は、2月に定年を迎える黒川氏を退職させ、東京高検検事長の後任に林氏を据えるというものだった。

・官邸がこれを退けた。

・すると法務省幹部は稲田氏に2月で退任し、黒川氏に検事総長の座を譲るように打診した。

・稲田氏は拒んだ。しかし稲田氏が退任しないと、2月が定年の黒川氏は後任に就けない。

・法務省は「苦肉の策」として、国家公務員法の規定に基づいて黒川氏の定年を半年延長する案を首相に示した。←ここ注目!

 いかがだろうか。安倍首相の言う「法務省が人事案を持って来た」は最後の部分ということがわかる。ここしか時系列を説明していない。不都合な前段には触れていない。

官邸のゴリ押しに法務省が負けて「苦肉の策」として持ってきたわけで、原因は官邸のゴリ押しにあります。
しかも、「苦肉の策」を採用したのは官邸ですから、責任は官邸にあります。「法務省が持ってきた」というのは、責任逃れ以外のなにものでもありません。

やった仕事の評判が悪いと、「この企画は部下が考えたものだ」と言って責任逃れをする上司がいます。
政治家の場合は「秘書がやった」と言うのが常套手段です。
安倍首相は「部下がやった」と「部下が持ってきた」です。


安倍首相が「黒川検事長を訓告処分にしたのは稲田検事総長だ」と主張しているのも同じです。
野党は、黒川検事長を訓告処分と決めたのは官邸だと主張していて、たぶんその主張は正しいのですが、そういう議論自体が時間のむだです。
「黒川検事長の任命権者は内閣です。かりに稲田検事総長が判断したとしても、その責任は内閣にありますね」と言えば終わりです。


国民はこういう安倍首相をどう見ているのでしょうか。
私も最初はそうだったように、よくわからない人が多いかもしれません。
まさか首相たる者が「部下がやった」というような低次元の責任逃れを言っているとは思わないからです。

安倍首相のあまりの低次元ぶりに、批判しているこちらまで情けなくなります。

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5月25日、緊急事態宣言を解除するときの記者会見で安倍首相は、これまでの対策について「日本モデルの力を示した」「世界において卓越した模範である」と自画自賛しました。
こういうことを言うので、全体が信用できなくなります。事実だけを語ってほしいものです。

とはいえ、日本の感染者数と死者数が欧米各国などと比べて少ないのは事実です。ただ、それは対策がよかったからとは必ずしも言えません。アジアの国はみな少ないからです。

世界各国の感染状況は次のサイトで見ることができます。


新型コロナウイルス感染症まとめ(yahoo)

日本周辺の各国の感染状況は次のようになっています。

        感染者数 新規感染者数 死者数
【西太平洋地域】
中国        84 536     11     4 645
シンガポール  31 616        548     23
日本       16 581   31     830
フィリピン    14 035    258     868
大韓民国            11 206    16     267
マレーシア    7 245    60     115
オーストラリア  7 109    3     102
ニュージーランド1 154    0     21
ベトナム       325    0     0
ブルネイ           141    0     1
モンゴル           141    0     0
カンボジア   124    0     0
ラオス      19            0     0
フィジー           18            0     0
パプアニューギニア8    0     0
(領域)  
グアム     161            0     5
フランス領ポリネシア89      0     0
北マリアナ諸島22            0     2
ニューカレドニア18    0     0
(5月25日の数字)

これを見ると、日本が特別でないことがわかります。人口を考えると、少しうまくいっているかなという程度です。
逆にヨーロッパとアメリカがひどすぎるわけです。
最近、南米とアフリカでも感染が急拡大しているので、発生源のアジアが低いままなのが目立ちます。
なぜアジアで感染者や死者が少ないのかについてはいくつかの説がありますが、いずれにせよ「日本スゴイデスネ」と言うようなことではありません。


安倍首相の5月25日の記者会見での発言を読んでみると、全体がもやもやとしてつかみどころがありません。
安倍首相は「目指すは、新たな日常をつくり上げることです。ここから先は発想を変えていきましょう」と言いますが、「新たな日常」がなにかよくわかりませんし、どう発想を変えるのかもよくわかりません。

問題の核心は次のところにあると思われます。
 感染防止を徹底しながら、同時に社会経済活動を回復させていく。この両立は極めて難しいチャレンジであり、次なる流行のおそれは常にあります。それでも、この1か月余りで国民の皆様はこのウイルスを正しく恐れ、必要な行動変容に協力してくださいました。こまめな手洗い、今や外出するときはほとんどの方がマスクを着けておられます。店のレジは、人と人との距離を取って列をつくるなど、3つの密を避ける取組を実践してくださっています。こうした新しい生活様式をこれからも続けてくだされば、最悪の事態は回避できると私は信じます。

つまり「感染防止」と「社会経済活動」の両立こそが問題の核心です。
そして、安倍首相は「こうした新しい生活様式をこれからも続けてくだされば、最悪の事態は回避できると私は信じます」と言いますが、これは根拠のない楽観論です。
肝心のところをごまかしているので、全体に説得力がないのです。

みんなが知りたいのは、第二波はくるのかということです。
いや、なにをもって「第二波」とするのかです。

自粛を緩和すると、感染者が増えてくるでしょう。しかし、多くの人は、これまでのような外出自粛や休業はしたくないし、経済的にもできないので、ある程度感染者がふえても社会経済活動を続けたいと思っているはずです。
「ここまで感染者が増加すれば第二波と認定して、再び緊急事態宣言を出す」という基準があらかじめ決まっていれば、人々は日々の感染者数の推移を見ながら行動をコントロールできます。
そうした行動が「新たな日常」になります。


安倍首相が基準を示さないので、私なりに考えてみました。
手掛かりに、外国の感染対策のやり方を見てみます(「日本モデル」などと言って自慢している人は、日本と外国を客観的に比較することができないでしょう)。

ドイツはヨーロッパでの感染対策の優等生で、都市封鎖をしだいに緩和し、ブンデスリーガも無観客ながら5月16日に再開しました。

ドイツの過去1か月の新規感染者数のグラフです。
ドイツのグラフ
都市封鎖を緩和しても感染者は増加せず、ここ数日は500人前後で推移しています。
ドイツの人口は約8300万人ですから、日本に換算すれば750人ぐらいです。

下は日本の過去4か月間の新規感染者数のグラフです。
日本の新規感染者数
感染者がいちばん多いときでも700人余りです。
つまり日本の最悪のレベルでドイツは緩和して、ブンデスリーガを再開しているのです。
日本は医療崩壊を恐れて過剰に反応していたかもしれません。
最近、日本に緊急事態宣言の必要はなかったという説が言われるのももっともです。

ということは、1日の感染者数がドイツ並みの750人ぐらいまでは日本も許容できるはずです(ちなみに、ここ10日間の日本の感染者数は50人以下です)。
もちろん医療体制を強化して、それだけの感染者数に耐えられるようにしなければなりません。
それと、感染者数が急速にふえずに、ある程度横ばいにコントロールされていることも重要です。


スウェーデンは、法律で禁止するのは「老人施設への訪問」と「50人以上の集会」だけで、リモートワークやソシアルディスタンスは推奨されますが、外出自粛や休業要請のようなものはなく、ほぼ通常の社会経済活動をしています。それによって「集団免疫」の獲得を目指すという方針です。
外国からはいろいろ言われていますが、この方針は国民から高い支持を得ています。なによりも通常に近い経済活動ができているのが強みです。

スウェーデンの過去1か月の新規感染者数のグラフです。
スウェーデンのグラフ

ずいぶん波がありますが、横ばいであるのは事実です。
平均すると1日400人から500人ぐらいです。
スウェーデンの人口は約1000万人なので、日本に換算すると5000人から6000人ぐらいです。

日本で毎日5000人の感染者が出るというと多いようですが、スウェーデン人が受け入れているのですから、日本人が受け入れられないという理屈はありません(医療体制の問題はありますが)。
日本の感染者の致死率は約2%ですから、年間約3万5000人が亡くなる計算です。

日本における肺炎の死者は年間約9万5000人です(誤嚥性肺炎を除く)。そこに約3万5000人の新型コロナ肺炎の死者が加わるわけです。
これはずっと続くわけではなく、1年か2年で集団免疫が獲得され、死者は減少します。
こう考えると、けっこう現実的な道ではないでしょうか。

ブラジルは国としての感染対策をほとんどせず、感染者が増大し続けていますし、アメリカもトランプ大統領が経済活動を優先させたがっているので、この両国がいち早く集団免疫を獲得する可能性があります。

集団免疫は意外と早く獲得できるかもしれないということを、西浦博教授が『8割おじさん・西浦教授が語る「コロナ新事実」』という記事で語っています。


このように外国の状況を見ると、日本人はこれまで感染者数の増大を恐れすぎていたことがわかります。


では、どのレベルで「第二波」と認定して、緊急事態宣言を発出すればいいのかということですが、とりあえずかつて日本で最悪の状況であり、かつ現在のドイツと同じレベルである、1日の感染者が700人程度とするのがいいのではないでしょうか。
日本人は一度経験しているので、その程度ならオーバーシュートしないという安心感が持てます。

いずれにせよ「新たな日常」とは、新型コロナウイルスと共存する生活になるはずです。

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週刊文春に「緊急事態宣言下の“三密”賭け麻雀」を報じられた黒川弘務検事長が辞職しました。
“文春砲”の威力を見せつけられましたが、黒川氏の麻雀好きは今に始まったことではなく、ほかのマスコミはなにをしていたのかということになります。
もっとも、産経新聞記者と朝日新聞社員は黒川氏といっしょに麻雀をやっていたので、書ける立場ではありませんが。

親しい仲間内の「賭け麻雀」は、違法であるとはいえ、半ば社会的に容認されたグレーゾーンの存在です。
ですから、わざわざ報道する必要はないという考え方もあります。

しかし、今回のことについては、緊急事態宣言下であり、自粛要請に反する行為です。
それに、検察官は取り締まる側で、一般人とは違います。
しかも黒川氏は、安倍政権が検察庁法の解釈をねじ曲げてまで定年を延長し、さらには検察庁法改正案提出まで招く原因になったキーマンです。
報道するのは当然です。


今回の麻雀には、産経新聞と朝日新聞が関わっていましたが、両社の関わり方はかなり違います。

週刊文春は5月1日と5月13日の2度の麻雀について書いていますが、どちらも産経新聞記者の自宅マンションで行われ、卓を囲んだのは産経新聞記者2人、朝日新聞社員、黒川氏で、黒川氏は深夜にハイヤーで帰宅しました。
検事長という“上級国民”を接待するとなると、タクシーではなくハイヤーを使うのだなあと感心しました。
このハイヤーはもちろん産経記者が個人で手配したわけではなく、産経新聞が手配したものです。
つまりこれは産経新聞社公認の接待麻雀です。

文春の報道があった直後、朝日新聞は社員が麻雀に同席していたことを認め、不適切な行為であったと謝罪しましたが、産経新聞は「取材に関することはお答えしない」「記事化された内容以外は取材源秘匿の原則に基づき、一切公表しておりません」としていました。
つまり産経新聞は麻雀を「取材」と見なしていたのです。

朝日新聞社員は、もとは検察担当記者でしたが、2017年に編集部門を離れたということです。黒川氏と旧知の間柄であることから麻雀に参加しました。黒川氏から情報を取ろうという気持ちもあったかもしれませんが、形の上では個人的なつきあいです。朝日新聞は「社員のプライベートの行為で、当社は関知しません」と言うことも可能です。
しかし、産経新聞は記者が賭け麻雀をしていたことを会社として認め、ハイヤーも手配していたわけで、これは罪が重いと言えます。


ともかく、この麻雀は、産経新聞が会社として検事長を供応接待し、そこに朝日新聞社員が個人として加わっていたというものです。
黒川氏がハイヤーを複数回利用したことは、国家公務員倫理規程5条の「職員は、利害関係者に該当しない事業者等であっても、その者から供応接待を繰り返し受ける等社会通念上相当と認められる程度を超えて供応接待又は財産上の利益の供与を受けてはならない」に違反する可能性があります。

ところが、法務省は週刊文春の記事について調査した結果を公表しましたが、それにはこう書かれています。

黒川検事長の賭けマージャン問題 法務省調査結果の全文
 黒川弘務・東京高検検事長=辞職=の賭けマージャン問題を報じた「週刊文春」(5月28日号)の記事について、法務省が22日に発表した調査結果の全文は次の通り。(肩書は調査時)
(中略)
イ 記事②「黒川検事長は、5月1日ごろの賭けマージャン終了後、記者の手配したハイヤーに同乗して、記者A方から帰宅する便宜を図ってもらっていた」について

 (調査結果)

 黒川検事長が、5月1日ごろに、記者A方でマージャンを行った後、記者Bの手配したハイヤーに同乗して帰宅した事実及び当該ハイヤーの料金を支払っていない事実が認められた。

 なお、この点については、検事長の立場にある者として軽率な行為であるとのそしりを免れないものの、黒川検事長個人のために手配されたハイヤーを利用したものではなく、記者Bが帰宅するハイヤーに同乗したものであったと認められる。

 ウ 記事③「黒川検事長は、5月13日ごろにも、記者A方において、同人及び記者Bと賭けマージャンを行い、記者Bの手配したハイヤーで帰宅した」について

 (調査結果)

 黒川検事長が、緊急事態宣言下の5月13日ごろの勤務時間外に、記者A方において、同人、記者Bらと金銭を賭けてマージャンを行っていた事実が認められた。

 この日もいわゆる点ピンと呼ばれるレートで行われており、参加した者の間で、1万円から2万円程度の現金のやり取りがなされていた。

 また、記者A方でマージャンを行った後、記者Bの手配したハイヤーに同乗して帰宅した事実及び当該ハイヤーの料金を支払っていない事実が認められたが、黒川検事長個人のために手配されたハイヤーを利用したものではなく、記者Bが帰宅するハイヤーに同乗したものであったと認められる。
(後略)
https://www.asahi.com/articles/ASN5Q7JFBN5QUTIL05S.html?iref=pc_ss_date

「黒川検事長個人のために手配されたハイヤーを利用したものではなく、記者Bが帰宅するハイヤーに同乗したものであった」とは信じられない説明です。
産経新聞記者は黒川検事長がいなくてもハイヤーを使ったというのでしょうか。
普通の会社でも社員が接待目的なしにハイヤーを使うのはありえないことですし、経営の苦しい産経新聞社ではなおさらです。


結局、黒川氏は訓告という甘い処分を受けただけで辞職が認められました。
甘い処分の理由のひとつに、いわゆる「テンピン」のレートが高額でないからだという説明があり、世間から「テンピンのレートは合法なのか」という突っ込みが入っています。
もうひとつの理由に、「産経新聞記者は黒川氏のためではなく自分のためにハイヤーを使った」ということもあるわけで、こちらにも突っ込みが必要です。

なお、産経新聞社もハイヤーを誰のために手配したのかを説明する責任があります。

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航空自衛隊の「宇宙作戦隊」が5月18日に発足しました。
アメリカの「宇宙軍」が2019年12月に発足したのを受けたものです。

「宇宙作戦隊」という名称は、昭和風でダサいのではないかという声があり、立憲民主党の小西洋之議員からは「作戦部や作戦課という名称は旧日本軍で用いられていた。専守防衛の自衛隊にふさわしくないのではないか」という指摘もあり、河野太郎防衛相も見直す可能性を示唆していました。

河野防衛相は、米国防総省が4月末にUFOとされる映像を公開したのを受けて、記者会見で「自衛隊のパイロットが、万が一遭遇したときの手順をしっかり定めたい」と語りました。かつて政府は「地球外から我が国に飛来した場合の対応について特段の検討を行っていない」とする答弁書を決定していたので、方針転換であるとしてニュースになりました。
おそらく河野防衛相の頭の中に宇宙作戦軍のことがあったので、踏み込んだ発言になったものと思われます。

私も「宇宙作戦隊」に代わる名称を考えました。
そして、思いついたのは「地球防衛軍日本支部」です。
ウルトラマンシリーズにも「地球防衛軍」が出てきます。
「軍」という言葉を使うので、右翼も大喜びでしょう。


人類の宇宙進出は、大航海時代から続いてきたロマンでした。
宇宙に進出すれば異星人と出会うかもしれません。そのときには人類はひとつになっていなければ不都合です。
昔のSFドラマの「スタートレック」や「宇宙家族ロビンソン」でも、国と国の対立などはありえないことです。

しかし、現実の宇宙進出は違いました。
1969年、アポロ11号の2人の宇宙飛行士が月面に降り立ったとき、アメリカ国旗を月面に突き立てたのです(あとで国連旗も立てましたが)。
それを見たとき私の中で、宇宙進出とともに人類がひとつになるという夢がもろくも壊れました。
アメリカは国威発揚のために月への有人宇宙飛行を行ったのです。

南極については南極条約があり、領土主権の凍結と軍事利用の禁止がうたわれ、実現しています。
宇宙についても同じであっていいはずですが、アメリカは人類がひとつになるという夢を打ち壊しました。

現在もその延長上にあります。
アメリカは宇宙の軍事利用を進め、ロシアや中国も対抗しています。
これを当たり前のことと思っている人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。軍事費がかさむばかりです。
宇宙の軍事利用禁止が当たり前のことです。


宇宙作戦隊の発足と同時に隊旗も定められ、河野防衛相から阿式俊英隊長に隊旗が授与されました。
河野防衛相はツイッターで隊旗を披露しています。

スクリーンショット (18)

鷲の紋章がデザインされています。
これは航空自衛隊で使われているものと共通です。

これにネットでかなり突っ込みがあったといいます。
宇宙で翼は役に立たないではないかという突っ込みです。
確かに宇宙にふさわしいデザインにするべきでしょう。

私自身は、日本の伝統にない鷲の紋章が使われているのが気になります。
鷲の紋章はもともと古代ローマ帝国の国章であって、ヨーロッパで広く使われ、現在ではドイツ、アメリカ、ロシア、エジプトの国章としても使われています。つまりヨーロッパ文明と不可分です。
そんなものを航空自衛隊が使っているのが理解できません。
航空自衛隊創設のときにアメリカの影響が大きかったのでしょうが、日本の魂を売り渡しているみたいなものです。


トランプ大統領はアメリカ宇宙軍の軍旗のデザインをツイッターで公表しました。

スクリーンショット (19)

これはいかにも宇宙軍らしいデザインですが、「スタートレック」の宇宙艦隊の紋章に似ていると言われています。

今までにない宇宙軍をつくるのですから、日本もアメリカみたいにやればよかったと思います。


結局、「宇宙作戦隊(仮称)」はそのまま「宇宙作戦隊」になりました。
「地球防衛軍日本支部」にはもちろんなりません。
実態は「アメリカ宇宙軍日本支部」だからです。

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記者会見で「気のゆるみ」を連発する西村康稔新型コロナ担当大臣(ウソ)

西村康稔新型コロナ担当相は5月16日の記者会見で、「39県の解除で、あちこちで少し気のゆるみが見られることを心配している。気のゆるみがあると、再び大きな流行になる」などと「気のゆるみ」という言葉を連発し、「上から目線」「責任を国民に転嫁している」などの批判の声が上がっています。

批判されるのは当然です。
新型コロナ担当相という責任ある立場の人間が「気のゆるみ」などという客観性のない言葉を使ってはいけません。「こういう行動がふえているのはよくない」と具体的に言うべきです。通勤客がふえているのは、「つい気がゆるんで通勤した」ということではないはずです。
それに、「気のゆるみ」という言葉は、学校やら部活やらで「お前らは気がゆるんでるぞ」と説教された記憶を喚起するので、不愉快です。

そして、根底には、国民の間に「いったいいつまで気を引き締めてなければいけないのか」という不満が高まっていることがあります。


2月初めごろ、新型コロナウイルスの実態がよくわからず、恐怖をあおる報道が過熱したため、「正しく怖がる」ということが言われました。
それにならって言えば、今は「正しく気をゆるめる」ことが必要です。
「正しく怖がる」と「正しく気をゆるめる」はコインの両面みたいなものです。


私が新型コロナウイルスについてこのブログで初めて書いた記事は「新型肺炎で日本人はみな視野狭窄に」というものでした。
その記事に、肺炎はもともと怖い病気で、日本では肺炎によって年間約9万5000人の死者(誤嚥性肺炎を除く)が出ているのだから、そこに新型コロナウイルスの肺炎が加わったところでたいしたことはないだろうと書きました。

その後、イタリア、スペインで爆発的な感染拡大が起きると、私も「たいしたことはない」とは言えなくなりました。
このころは「どこまで感染が拡大するのかわからない」という恐怖があったと思います。

しかし、日本で緊急事態宣言が出され、1か月余りして感染者数がへってくると、「これぐらい自粛すれば感染拡大は防げる」ということが体感でき、オーバーシュートや医療崩壊への無闇な恐怖はなくなりました。


恐怖がなくなれば、今後のことが冷静に考えられます。
そうすると、つねに第二波に警戒し続けなければならないことがわかります。
韓国や中国でも、やはり警戒をゆるめるとクラスターが発生しますし、北海道でも第二波がきました。
安倍首相も緊急事態宣言を延長するときに「持久戦を覚悟しなければならない」と言いました。

つまりこれからは「持続可能な自粛」をすることになります。
どれくらい持続するのかというと、最低でも1年、おそらく2年ぐらいになるでしょう。
そうすると、今よりもかなり気をゆるめないとやっていけません。
いや、精神の問題ではなく経済の問題としても、今の状態ではやっていけないはずです。

そういうことを考えると、「気のゆるみ」を戒めるばかりの西村大臣は、「持久戦の覚悟」を言う安倍首相ともちぐはぐで、長期戦略の欠如を感じさせます。

自粛をゆるめ、経済活動を再開すると、第二波がくるかもしれません。そうするとまた自粛を強め、波が収まるとまた自粛をゆるめるということを繰り返し、第三波、第四波をやりすごすうちに「持続可能な自粛」体制が確立されることになります。


それは新型コロナウイルスとある程度共存するものになるはずです。

先ほど肺炎による死者は年間約9万5000人だと言いましたが、その中で最も多い肺炎の原因は肺炎球菌によるもので、肺炎球菌による死者は年間約1万7800人です。
肺炎球菌に効くワクチンがあって、高齢者には接種が推奨されていますが、それでもこの死者数です。

現時点でわが国における新型コロナによる死者は700人弱です。
おどろくほど少数です。
日本人は肺炎球菌と共存しているのですから、新型コロナウイルスと共存できないわけがありません。
今よりもうんと気をゆるめてもいいはずです。

下のグラフのどこかに「新型コロナウイルス」という項目ができると考えればいいのではないでしょうか。

肺炎の原因

https://www.haien-yobou.jp/pneumococcal_infection.xhtml

オールナイトニッポン
『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』HPより

岡村隆史氏の「コロナが収束したら絶対おもしろいことあるんです。美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」という発言は、女性差別発言の中でも最悪レベルのものです。
あまりにも“闇が深い”ので、安易に批判するとこちらまで暗黒面に落ちかねません。

しかし、世の中には岡村発言を擁護する人がいました。
高須クリニックの高須克弥院長はツイッターに「攻撃がくどいよ。もうやめなよ」などと投稿しました。こういう擁護はまだ罪が軽いといえます。
問題は松本人志氏です。
松本氏はフジテレビ系『ワイドナショー』で「そこまで悪いやつじゃないやん。悪いこと言うやつがすべて悪者じゃないから、そこは許したってほしいなーって、オレは思いますね」と言いました。

「悪いこと言うやつがすべて悪者じゃない」というのは、その通りです。
問題発言をしたからといって、その人の人格攻撃をするのはよくありません。
しかし、それは一般論です。
岡村氏の発言については、人格を問題にせざるをえません。


岡村氏の発言の正確な内容を把握する必要がありますが、岡村氏の「オールナイトニッポン」での発言全文を書き起こしたサイトがあったので、そこから私なりに要約したものを示しておきます。

リスナーからの「コロナの影響で今後しばらくは風俗に行けないし、女の子とエッチなこともできないと思う」という投稿に対して、岡村氏は次のように語りました。

今おもしろくなかったとしても、コロナが収束したら、もの凄く絶対おもしろいことあるんです。
コロナ明けたら、なかなかのかわいい人が短期間ですけれども、美人さんがお嬢やります。何故かと言うと、短時間でお金を稼がないと苦しいですから、そうなった時に今までのお仕事よりかは。
これ、僕3カ月やと思っています。3カ月の間、集中的にかわいい子がそういうところでパッと働きます。で、パッとやめます。それなりの生活に戻ったら。
その3カ月は今まで『えっ?こんな子、入ってた?』っていうような人たちが絶対、入ってきますから。だから今、我慢しましょう。われわれ風俗野郎Aチームみたいなもんは、風俗に行くお金を貯めておき、そして、いろいろ仕事ない人もアレですけども、切り詰めて切り詰めて、今、歯食いしばって踏ん張りましょう。
そうしたら、コロナ明けた時に、見てみ?行ってみ?『えっ?こんな子、入ってた?マジっすか』。僕はそれを信じて今、頑張っています。

岡村氏は、現在の社会情勢を正しくとらえて、コロナ禍が明けたあとのことまで見通しています。
私などは、コロナ禍がどういう形で収束するだろうとは考えますが、収束したあとのことまではなかなか考えが及ばないので、素直に感心してしまいました。

岡村氏は、経済的に苦しい若い女性が多いので、コロナ禍が明けると風俗嬢になる人がふえると予想します。そういう人は、お金のためにやむをえずなるのですから、必要なお金を稼げばすぐに辞めるとも予想します。
その期間が3か月だというのは、正しいかどうかわかりませんが、若い女性の立場や心理を考えて予想しているのは間違いありません。


普通、男が女性差別発言をする場合、自己中心的で、女性の気持ちを考えずに、思いつきで発言するものです。
こうした発言をする男性は、要するに思慮が浅いわけですから、批判されて認識を改めることもありえます。
たとえば昔、セクハラが問題になりだしたころ、「自分の妻や娘が職場でひわいなことを言われたり、お尻を触られたりしてもいいのか」と言われることでセクハラの問題に気づいたという男性もいました。

しかし、岡村氏は経済的に苦しい女性のことを正しく理解した上で発言しています。つまり現状認識に間違いはないので、そこは批判できません。
では、なにを批判すればいいのかというと、岡村氏の人格です。
「お前は若い女性が経済的に苦しくて風俗嬢になることがそんなにうれしいのか。ゲス野郎!」ということです。

一般的に人の人格をあげつらうのはよいこととはされません。
「そう言うお前の人格はどうなのだ」という反論もありえます。
しかし、岡村氏の発言について考えると、どうしても人格批判に行き着きます。

松本人志氏は「そこまで悪いやつじゃないやん」と言って、人格を擁護しましたが、根本的な間違いです。
松本氏の人格も疑われます。



岡村氏の問題発言の1週間後、相方である矢部浩之氏が「岡村隆史のオールナイトニッポン」に出演し、公開説教みたいなことをしました。

『岡村隆史、矢部浩之が説いた「結婚」以外の方法で“変わる”にはどうするべきか』という記事に、その内容が紹介されていたので、そこから一部を紹介したいと思います。

矢部サンも、岡村サンの女性に対する意見にドン引きすることはあったらしく、こんなエピソードを挙げていました。
■矢部サンが「結婚して、うまくいくコツは何か?」と聞かれ、「ありがとうとごめんなさいを言うこと」と答えたら、岡村サンが「白旗あげたんか」と答えた。女性を敵として見ている。

矢部サンが、岡村サンに指摘したことを箇条書きにしてみます。
■岡村サンは本番中や人がいるところでしか謝らない(オフでは矢部サンに謝らない)。
■プロデューサーやマネージャーにコーヒーをいれてもらっても、「ありがとう」と言わない。
■目上の人に食事に誘われると「ぜひ行かせてください」と表では言うが、マネージャーに「仕事だったことにして」と断らせる。

岡村氏は大物芸能人になったことで、弱者や女性に配慮しない人間になったのでしょうか。

岡村氏は発言について謝罪しましたが、問題は発言ではなく人格にあるので、今後テレビで岡村氏を見ると、悪印象がつきまとう気がします。

ただ、人格といっても変わることはあります。
岡村氏は結婚願望はあるようですから、幸せな結婚をするにはどうすればいいかと真剣に考えることが変わるきっかけになるでしょう。

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近くの駅前広場の植え込みに、サツキの花が盛りになっています。
天気もよくて、美しい光景のはずですが、見てもあまり美しいと感じません。
緊急事態宣言で、花を見て楽しむ心の余裕がなくなっているようです。

東日本大震災のあとも似たような感じでした。
あのときは大きな余震がしょっちゅうあって、原発事故もまだ収束していないので、心がずっと緊張状態でした(私は東京在住です)。
緊急事態宣言によって、あのころに引き戻された感じです。


緊急事態宣言以降、国民は緊張状態にあるのではないでしょうか。
飲食店はアルコール提供夜7時まで、営業夜8時までということになりました。居酒屋がこんな要請を守っていては商売にならないので、要請を無視するところがけっこうあるのではないかと思ったら、ほとんどの店が8時で閉めています。
休業する飲食店も多くあります。ということは、要請以上のことをしているわけです。
営業している飲食店にも客はあまり入っていないので、国民も十分に要請に応えています。
休業しないパチンコ店が問題になるのも、ほかの業種はみな要請に応えているからでしょう。
企業も出勤者をへらし、通勤電車はかなり空いています。
地元の商店街やスーパーが混雑するという問題はありますが、緊急事態宣言は想像以上にうまくいっています。

ところが、緊急事態宣言は1か月程度延長されることになりそうです。
確かに感染者はそれほど減少していません。
今のやり方では不十分なのです。なにが不十分かということは、専門家会議が指摘しています。
『「通勤続く限り、8割減無理」 専門家会議がデータ公開』という記事にはこう書かれています。

 また、端末所有者の居住地域別では、神奈川・千葉・埼玉の3県と、東京都との間の接触頻度の減少率は昼間、35~41%と小さかった。大阪を中心とする関西圏でも同様の傾向がみられた。これは東京と大阪のオフィス街への他府県からの移動を反映しているとみられ、提言は「都心等への通勤を続ける限り、生産年齢人口の接触頻度の減少度合いは少ない」と結論した。西浦教授は会見で、「都心との通勤を続ける限りは、(強制ではなく)自粛要請のレベルでは限界があることがデータからわかった」などと述べた。

企業は通勤者をへらしていますが、まだ不十分だということです。

政府はこれまで隠してきましたが、クラスターがいちばん多く生まれている場所は企業です。
「ITmediaビジネスONLINE」4月21日の『新型コロナが複数判明した場所、企業などの「事業所」が医療施設と並び最多――クラスター源か』という記事によると、『SNSの投稿データ分析などを手掛けるJX通信社(東京・千代田)が、公的情報を元に複数人の感染事例が判明している施設の数を集計したところ、「医療施設」と並んで「事業所」が感染者数トップになった』ということです。
事業所クラスター

ですから、人との接触機会8割削減という目標を達成するには、生活インフラを維持する以外の企業活動を停止すること、つまり欧米並みのロックダウンをするしかありません。
専門家会議の指摘を受け止めると、そういうことになります。


では、政府は強力なロックダウンに踏み切るのかというと、そんなことはありません。
安倍首相は4月30日、記者団に対して「5月7日からかつての日常に戻ることは困難だ。ある程度の持久戦を覚悟しなければならない」と語りました。
どうやら今のやり方を続けるつもりのようです。
いや、西村新型コロナ担当相は、経済活動の自粛を緩和し、経済活動再開の手順を検討していることを明らかにしました。

専門家会議の目指す方向と西村大臣の目指す方向が逆で、安倍首相はどちらを目指してるのかよくわかりません。
日本は針路の定まらない船みたいなものです。

欧米並みのロックダウンをすると経済がひどい打撃を受け、かといって安易に緩和すると、北海道のように第二波に襲われます。
その中間の道を行くと、安倍首相の言う「持久戦」になりますが、これとても長くは続けられません。
完全にジレンマです。


このジレンマから脱出する道があります。
それは韓国のやり方を学ぶことです。
だいたい日本人は欧米ばかり見ているので、ロックダウンか否かという発想になってしまいます。
韓国はロックダウンせずにウイルス対策を成功させ、最近では1日の感染者が10人前後に抑えられ、4月30日には感染者ゼロを記録しました。

韓国のやり方は、「徹底した検査と徹底した隔離」というものです。
たとえば大邱市では、新興宗教団体の集会で大規模なクラスターが発生しましたが、市当局は信者約1万人全員の検査を1か月以内に終わらせ、検査件数は約10万件に達しました。最終的に市全体で7000人近い感染者が出ましたが、軽症者用の生活治療センターをつくって隔離し、今では感染は抑え込まれ、市の中心部にある西門市場は買い物客でごった返しているということです。

現時点で日本の感染者数は1万4000人程度で、100万人越えのアメリカは別にして、スペイン、イタリア、イギリスは20万人前後ですから、まだまだ少ない数字です。感染者を徹底的に明らかにするという韓国方式はまだ可能なはずです。

「人との接触機会8割削減」という目標は、市中のどこに感染者がいるかわからないという状況が前提です。感染者が特定され、隔離されれば、外出自粛など必要なくなります。


ただ、日本ではPCR検査数がきわめて少ないという問題があります。
日本はオリンピックのためやら医療崩壊を防ぐためやらでPCR検査数を抑えるという初期対応をとり、検査を受けたいのに受けられないという状況が報道されても、安倍応援団は「検査をふやすと医療崩壊が起きる」「陽性とわかっても治療法がないので意味がない」などと言い、韓国がPCR検査数をふやしてドライブスルー方式を考案したりするのをずっとバカにしてきました。

今はさすがにPCR検査数をふやすべきでないという人はいないでしょう。
安倍首相も「PCR検査体制を1日2万件に増やす」と表明しています。

ところが、安倍首相の表明にもかかわらず、PCR検査数の伸びは遅々としたものです。
4月28日時点の数字ですが、OECD36か国において、人口1000人当たり何人がPCR検査を受けたかという数字で、日本は下から2番目です。

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https://www.oecd.org/coronavirus/policy-responses/testing-for-covid-19-a-way-to-lift-confinement-restrictions/

安倍首相が検査数をふやすと言ってもふえないのは、厚労省、国立感染症研究所、専門家会議などの人間が無能だからです(まさか悪質なサボタージュをしているということはないでしょう)。
そして、安倍首相や自民党は、官僚や専門家が無能なとき、なすすべを知りません。

原発事故のとき、菅直人首相は官僚や専門家が全員無能なことを知ると、どなりまくり、外部の専門家を呼んで、なんとか対処しました。
そこが安倍首相と菅首相の決定的な違いです。

安倍首相は無能の乗組員を従えた無能の船長です。
新型コロナウイルスの海を日本丸は漂うだけです。

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新型コロナウイルス感染症に乗じて、世界的に差別的言動がふえています。

中でも目立っているのがトランプ大統領です。
トランプ大統領はWHOのテドロス事務局長をしきりに非難しますが、これはテドロス事務局長がエチオピア出身の黒人だからです。トランプ大統領はオバマ元大統領のように黒人が高い地位につくことが許せません。
トランプ大統領はまた、新型コロナウイルスを“チャイナ・ウイルス”と呼び、「中国はウイルスの発生源で、素早く食い止められたはずだし、そうしていれば世界中に拡大しなかった」と言って、中国に損害賠償請求をする可能性に言及していますが、これも中国人への差別からです。
そして、テドロス事務局長は中国寄りだとして、両者をまとめて非難しています。

確かにWHOと中国はいろいろと間違いを犯しましたが、多くの国の政府も間違いを犯しています。
中でもひどいのがトランプ政権です。オバマ政権が強化したCDC(米疾病管理予防センター)の予算を大幅に削減し、今年1月末には武漢での状況を伝える報告書が上がっていたにもかかわらず、トランプ大統領は「暖かくなる4月にはウイルスは消えてなくなる」などと楽観論を述べて、中国からの入国を禁止する以外の手をほとんど打ちませんでした。トランプ政権が中国に対して損害賠償請求をすることが可能なら、アメリカ国民はトランプ政権に対してもっと巨額の損害賠償請求をすることが可能でしょう。


日本でも、トランプ大統領の尻馬に乗って、テドロス事務局長は中国寄りでけしからんと非難する人がいますが、これも差別意識からきた非難です。

日本人は欧米に対してコンプレックスを持っているので、たとえばWHOの事務局長がフランス人で、アメリカ寄りだったとしても、「あの事務局長はアメリカ寄りだからけしからん」という人はいません。テドロス氏がエチオピア人で、中国寄りだから非難しているのです。

日本人は国際機関のトップを批判したことはほとんどありませんが、例外が潘基文国連事務総長です。それまで国連事務総長批判などしたことのない日本人が、潘基文氏については任期中ずっと批判しっぱなしでした。もちろんこれは潘基文氏が韓国人だからです。潘基文氏がポルトガル人のアントニオ・グテーレス氏に替わると、批判はぱったりとやみました。

新型コロナウイルスは中国起源で、最初は日本と韓国に広がったことから、海外ではウイルスにからめて日本人も差別の対象になりました。
その日本人が“武漢ウイルス”などという言葉を使って、ウイルスと中国人を関連づけようとしているのは情けない限りで、それは日本人にも返ってくることになります。
中国政府の対応を批判するなら、“武漢ウイルス”などという言葉を使わずにするべきです。


新型コロナウイルスに関連した差別はいっぱい見られます。
休業要請に応じないパチンコ店に非難が集中し、店名をさらされたりしているのは、やはりパチンコ業界の社会的地位が低いからでしょう。
キャバレーやクラブなどもそうです。警察が夜の歌舞伎町をこれ見よがしにパトロールするのも公平ではありません。
湘南の海に集まるサーファーがやたら非難されるのも、スポーツ愛好家の中でもサーファーが低く見られているからではないでしょうか。
少なくともゴルフ練習場に集まるゴルファーと扱いが違うと思われます。


テドロス事務局長やパチンコ店を非難している人は、自分が差別感情から非難しているとは思っていないでしょうが、差別主義とはそういうものなので、注意が必要です。

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