村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

カテゴリ: 対米従属ニッポン

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アメリカ大統領選挙はトランプ大統領対ジョー・バイデン元副大統領の対決となりました。

バイデン候補は、無難ですが、これという魅力がありません。
一方、トランプ大統領は、よくも悪くも人を引きつけます。

トランプ大統領の強みは、なんといっても人を攻撃する言語能力がずば抜けていることです。この点で対抗できる人は誰もいません。

そして、自分自身が人から攻撃されても平気です。カエルの面にションベン状態です。
2月、3月ごろ、トランプ大統領は「暖かくなればウイルスは奇跡のように消えてなくなる」とか「4月になればウイルスはなくなると思う」などと言っていました。そのことは当然批判されましたが、トランプ大統領は平気です。7月になっても「ウイルスは消える。最後に正しいのは私だ」と言っています。

人を攻撃する力は強くて、人から攻撃されても平気――これは戦う上では最強です。
トランプ大統領はこの能力でライバル候補を全部なぎ倒して大統領になったのです。

ですから、現時点の世論調査ではバイデン候補がトランプ大統領をリードしていますが、これから選挙運動が本格化していくと、トランプ大統領が巻き返すということが十分にありえます。


トランプ大統領を一言でいえば、「ウルトラ利己主義者」です。
ひたすら自分の利益を追求し、(不正な手段も含めて)それを実現してきました。
普通の人は利己主義者とはつきあいませんが、トランプ大統領が利益を得ると、その周辺にいる人間も利益を得ることができるので、寄ってくる人間もいます。


トランプ大統領のスローガンは「アメリカ・ファースト」です。
これは「アメリカ利己主義宣言」みたいなものです。

トランプ大統領は「公正」とか「公平」とか「対等」とか「平等」とかいう言葉を言ったことがありません(どこかで言っているのでしょうが、私は聞いたことがない)。

トランプ大統領がいつも言うのは、中国や日本やメキシコに「アメリカは食い物にされてきた」ということです。
「今度はアメリカが食い物にする番だ」とは言いませんが、心の中ではそう思っているに違いありません。
ウルトラ利己主義者の辞書に「平等互恵」とか「共存共栄」という言葉はなく、あるのは食うか食われるかだけです。


日本とアメリカの関係でいうと、アメリカはTPPを離脱し、日米で二国間の貿易協定を昨年末に改定し、今年1月1日から発効しました。
これによって日本はアメリカ産の牛肉や乳製品の関税を引き下げる一方、日本が要求していたアメリカにおける自動車関税の引き下げは先送りとなりました。
日本側も合意した以上、「不平等だ」とは言いませんが、二国間協議では力のあるほうが有利なので、実質は不平等に違いありません。

アメリカはカナダ、メキシコとの自由貿易協定NAFTAを再交渉してUSMCAを締結し、今年7月1日に発効しました。
アメリカはまた、韓国との自由貿易協定(米韓FTA)を改定し、2019年1月に発効しました。

トランプ政権が「アメリカ・ファースト」を掲げている以上、これらはすべてアメリカの利益になるように改定されたに違いありません。
ということは、これらはトランプ政権の実績です。

大統領選の最大の争点は、トランプ大統領があおってきた人種差別的な分断の評価であるかのような報道がされていますが、有権者の最大の関心は経済です。
トランプ政権によりアメリカ国民も利益を得ています。トランプ政権がある程度の支持を得ているのもそのためです。


「アメリカ・ファースト」というスローガンは、1940年にアメリカが対ドイツ戦に参戦するのを阻止するために唱えられたのが最初だということです。
 1992年の大統領選挙の予備選挙では、共和党右派のパトリック・ブキャナンが主張しました。

自国第一とか国益優先というのは、どこの国の政治でも言われることですが、基本的には国内向けに言うことです。
しかし、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」は、「アメリカを再び偉大に」とともに基本戦略ですから、対外的にも主張されていると見るべきです。
ですから、2016年の大統領選の段階で、世界各国は「アメリカといえども法の支配に従うべきで、われわれは『アメリカ・ファースト』など認めない」と言うべきでした。
トランプ大統領が当選してからは、安倍首相みたいにトランプ大統領にすり寄る国家指導者もいて、国際社会はまとまることができませんでした。


結局、ウルトラ利己主義者がアメリカ大統領になったので、アメリカはウルトラ利己主義国家になり、世界が迷惑をしています。
以前からアメリカは利己主義国家だったとはいえますが、表向きは「法の支配」とか「自由と民主主義」ということを押し立てていたので、そうひどいことはしませんでした。
トランプ大統領にそうした理念はなく、露骨な利己主義があるだけです。


これまでは経済のことばかり言ってきましたが、トランプ大統領はパリ協定離脱、イラン核合意離脱、中距離核戦力(INF)全廃条約離脱などを行ってきました。
これも「アメリカ・ファースト」の一環のようですが、果してアメリカの利益になっているのかはわかりません。
ただ、世界の不利益であるのは間違いありません。


バイデン候補は「アメリカ・ファースト」の否定を選挙の争点に持っていくということはしていないようですが、実質的には大きな争点でしょう。
バイデン候補が当選すれば、アメリカは「アメリカ・ファースト」を捨てて、まっとうな国として国際社会に復帰するはずです。

日本のメディアがアメリカの分断に比重を置いて報道しているのはおかしなことです。アメリカの分断はあくまでアメリカの国内問題です。
アメリカが「アメリカ・ファースト」を捨てるか否かは、世界にとっても日本にとっても重大事です。

それにしても、日本で「アメリカ・ファースト」を批判する人をほとんど見かけないのは、なんとも不思議なことです。

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8月6日の広島原爆投下の日に『日本に「大きな責任」求める 駐日大使指名ワインスタイン氏―米上院委』というニュースがあったので、アメリカはまだ原爆投下の責任を日本になすりつけようとしているのかと思いましたが、それは私の勘違いで、次期駐日大使のワインスタイン氏が日本に同盟国としてのより大きな責任を求めると米上院で証言したというニュースでした。

原爆投下の責任でなくても、アメリカが日本に責任を求めることに変わりはなく、米軍駐留経費の負担や兵器の購入などで日本はさらに出費を求められそうです。


アメリカは日本に原爆投下を謝罪することもありませんし、日本がアメリカに謝罪を求めることもありません。
もっとも、日本がアメリカに原爆投下の謝罪を求めると、アメリカは「日本はパールハーバーの謝罪をしろ」と言ってきそうです。
日本も真珠湾攻撃の問題をうやむやにしてきました。


アメリカ人は真珠湾攻撃を「卑怯なだまし討ち」と思っています。
真珠湾攻撃のとき、日本政府の宣戦布告が攻撃開始から1時間遅れました。
もともと宣戦布告ないし最後通牒ののちに開戦するという国際慣習がありましたが、1907年の「開戦に関する条約」の第1条に「締約国は理由を付したる開戦宣言の形式、または条件付開戦宣言を含む最後通牒の形式を有する、明瞭かつ事前の通告なくして、其の相互間に戦争を開始すべからざることを承認す」とあるので、明白な国際法違反です。

ただ、自衛戦争の場合は宣戦布告の必要はありません。
靖国神社の遊就館には、大東亜戦争は「自存自衛」の戦争だったという展示がされています。
おそらく日本の保守派は自衛戦争だと見なして宣戦布告の遅れを無視してきたのかもしれませんが、「真珠湾攻撃は日本の自衛戦争だった」という理屈が、アメリカに対してもどこに対しても通じるわけがありません。

結局、日本は「卑怯なだまし討ち」をしたのに謝罪しない国ということになっています。

安倍首相は2015年4月29日、日本の総理大臣として初めて米国上下両院の合同会議でスピーチを行いました。
このときなど真珠湾攻撃について謝罪する絶好のチャンスでしたが、「私たちの同盟を希望の同盟と呼びましょう」などと空疎な言葉を述べただけでした。



宣戦布告の遅れの問題は誰でも知っていますが、もうひとつ、先制攻撃の問題はあまり認識されていないのではないでしょうか。

第一次世界大戦の反省から1928年に成立したパリ不戦条約では、戦争は禁止され、違法行為となりました。ただ、自衛戦争は合法であるという抜け道があり、制裁の規定もありませんでした。
日本が上海事変、満州事変と言って、「戦争」の言葉を使わなかったのは、このパリ不戦条約があったからです。
ドイツがポーランドに侵攻したときも、ポーランドが先に攻撃してきたという理由をつけました。
ただ、これに対してイギリス、フランスなどがドイツに宣戦布告したのは、パリ不戦条約からはありえないことで、このときにパリ不戦条約は有名無実化したのかもしれません。
さらにドイツが相互不可侵条約を破ってソ連に侵攻し、世界は無法状態になりました。

しかし、どんな無法の世界でも基本的な倫理というのは不変です。
それは、「喧嘩は先に手を出したほうが悪い」というものです。

決闘は、どちらが先に手を出してもかまわないというルールですが、たとえば西部劇のヒーローは、自分から先に銃を抜くことはありません。先に手を出すのは悪いという共通認識があるからです。

太平洋戦争は、日本が先に手を出した戦争ですから、日本が悪いに決まっています。パリ不戦条約があるので、法的にも違法です。
侵略か自衛かでいえば、日本が侵略、アメリカは自衛です。

アメリカ人も、宣戦布告の遅れなどは大して問題にしていなくて、先に手を出したことと不意討ちだったことで怒っているのです。

ですから、日本はむしろ宣戦布告の遅れよりも先制攻撃を謝罪しなければなりません。
そうすれば日本は原爆投下や都市無差別爆撃などでアメリカに謝罪を要求することができますし、さかのぼって黒船による砲艦外交で不平等条約を押し付けられたことも問題にできます。



ところで最近、敵基地攻撃能力の議論があって、その中に先制攻撃論もあります。
敵がわが国を攻撃することが明らかなときは敵基地を先制攻撃しようという議論です。
しかし、敵がわが国を攻撃するか否かを事前に察知することは至難の技で、それは真珠湾攻撃を振り返ってもわかります。

海軍航空隊は真珠湾攻撃の場合に備えて、地形のよく似た鹿児島湾を真珠湾に見立てて訓練をしていました。もしアメリカのスパイがそのことを察知すれば、日本にアメリカ攻撃の意志ありと判断したでしょう。
そして、南雲中将率いる機動部隊が出撃したことを察知すれば、攻撃行動に出たと判断して、もし可能ならアメリカ軍が機動部隊に対して先制攻撃をしたかもしれません。
しかし、実際は日本政府もぎりぎりまで日米交渉の妥結を目指していて、妥結すれば機動部隊は途中から引き返すことになっていました。艦隊が真珠湾に向かっているからといって、確実に攻撃するというわけではありません。

日本が敵国に攻撃の意志ありと判断して先制攻撃をしたところ、敵国は攻撃する意志も準備もなかったということが明らかになったとします。その場合、日本は敵国に対して謝罪して、先制攻撃で与えた損害の賠償をするのが筋ですが、そこまで考えているでしょうか(もっとも、アメリカは大量破壊兵器があると言ってイラクを攻撃し、大量破壊兵器がないことが明らかになっても、謝罪も損害賠償もしていませんが)。

ともかく、真珠湾攻撃を思い出せば、先制攻撃論の危うさがわかります。


ところで、なぜ今敵基地攻撃能力が議論されるかというと、イージス・アショアの配備が中止になって、代わりにアメリカからなにか高額な兵器を買わなければならないからです。
もちろんイージス・アショアの代わりになにかを買う義務はないのですが、日本は「卑怯なだまし討ち」をしたことを大目に見てもらっているという負い目があるので、対等な交渉ができません。
そういう意味でも真珠湾攻撃の謝罪をすることは重要です。


もっとも、日本がアメリカに真珠湾攻撃の謝罪をすると、中国や韓国やその他のアジア諸国も日本に謝罪を求めてきて、パンドラの箱を開けたみたいなことになりそうです。
確固とした歴史認識がないとできないことではあります。

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アメリカで歴史上の偉人とされる人物の像が引き倒されたり撤去されたりする動きが加速しています。
南軍のリー将軍の像が倒されるのはわかりますが、サンフランシスコで6月19日に北軍のグラント将軍(第18代大統領)の像も倒されました。奴隷の所有者だったというのが理由のようです。
同時に、同じ理由でアメリカ国歌「星条旗」の作詞者であるフランシス・スコット・キーの像も引き倒されました。

ニューヨーク市のアメリカ自然史博物館にある第26代大統領セオドア・ルーズベルトの像も撤去されることが決まりました。ルーズベルトが先住民族とアフリカ系男性を両脇に従えるようにして馬にまたがっている像で、人種差別と植民地主義を美化するものだとかねてから批判されていました。
オレゴン州ではワシントン大統領の像も破壊されましたし、コロンブス像の撤去も各地で進んでいます。

5月25日にミネソタ州ミネアポリス近郊で黒人男性のジョージ・フロイド氏が白人警官に首を膝で押さえられて殺害された事件をきっかけに人種差別反対運動が盛り上がったことの影響が大きいのはもちろんですが、そういう一時的なことではなく、もっと深いところでアメリカの歴史の見直しが進んでいるようです。


小田嶋隆氏の『「日本人感」って何なんだろう』というコラムは、水原希子さんがSNSで差別的な攻撃を受けていることを主に取り上げたものですが、Netflixの『13th -憲法修正第13条-』というドキュメンタリー映画も紹介していて、この映画がたいへんすばらしかったので、私もこのブログで紹介することにします。

現在、この映画はNetflixの契約者以外にもYouTubeで無料公開されていて、誰でも観ることができます(期間限定かもしれません)。




これはNetflixが2016年に制作した1時間40分のドキュメンタリー映画です。これを見ると、現在「Black Lives Matter」をスローガンにした運動が盛り上がっている背景がわかります。

私はマイケル・ムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン 」に匹敵する映画だと思いました。
「ボウリング・フォー・コロンバイン 」は銃規制を軸にしてアメリカ社会の病理を描いた映画で、「13th -憲法修正第13条-」は刑務所を軸にしてアメリカ社会の病理を描いた映画です。「ボウリング――」のほうは、マイケル・ムーア監督がエンターテインメントに仕上げていて、おもしろく観られますが、「13th -憲法修正第13条-」のほうは硬派のドキュメンタリーなので、観るのに少し骨が折れるかもしれません。しかし、観ると「そうだったのか」と、目からうろこがぼろぼろ落ちる気がします。

内容については小田嶋隆氏が要約したものを引用します。

 視聴する時間を作れない人のために、ざっと内容を紹介しておく。
 『13th』というタイトルは、「合衆国憲法修正第13条」を指している。タイトルにあえて憲法の条文を持ってきたのは、合衆国人民の隷属からの自由を謳った「合衆国憲法修正第13条」の中にある「ただし犯罪者(criminal)はその限りにあらず」という例外規定が、黒人の抑圧を正当化するキーになっているという見立てを、映画制作者たちが共有しているからだ。

 じっさい、作品の中で米国の歴史や現状について語るインタビュイーたちが、繰り返し訴えている通り、この「憲法第13条の抜け穴」は、黒人を永遠に「奴隷」の地位に縛りつけておくための、いわば「切り札」として機能している。

13条が切り札になった経緯は、以下の通りだ。

1.南北戦争終結当時、400万人の解放奴隷をかかえた南部の経済は破綻状態にあった。
2.その南部諸州の経済を立て直すべく、囚人(主に黒人)労働が利用されたわけなのだが、その囚人を確保するために、最初の刑務所ブームが起こった。
3.奴隷解放直後には、徘徊や放浪といった微罪で大量の黒人が投獄された。この時、修正13条の例外規定が盛大に利用され、以来、この規定は黒人を投獄しその労働力を利用するための魔法の杖となる。刑務所に収監された黒人たちの労働力は、鉄道の敷設や南部のインフラ整備にあてられた。
4.そんな中、1915年に制作・公開された映画史に残る初期の“傑作”長編『國民の創生(The Birth of a Nation)』は、白人観客の潜在意識の中に黒人を「犯罪者、強姦者」のイメージで刻印する上で大きな役割を果たした。
5.1960年代に公民権法が成立すると、南部から大量の黒人が北部、西部に移動し、全米各地で犯罪率が上昇した。政治家たちは、犯罪増加の原因を「黒人に自由を与えたからだ」として、政治的に利用した。
6.以来、麻薬戦争、不法移民排除などを理由に、有色人種コミュニティーを摘発すべく、各種の法律が順次厳格化され、裁判制度の不備や量刑の長期化などの影響もあって、次なる刑務所ブームが起こる。
7.1970年代には30万人に過ぎなかった刑務所収容者の数は、2010年代には230万人に膨れ上がる。これは、世界でも最も高水準の数で、世界全体の受刑者のうちの4人に1人が米国人という計算になる。
8.1980年代以降、刑務所、移民収容施設が民営化され、それらの産業は莫大な利益を生み出すようになる。
9.さらに刑務所関連経済は、増え続ける囚人労働を搾取することで「産獄複合体(Prison Industrial Complex)」と呼ばれる怪物を形成するに至る。
10.産獄複合体は、政治的ロビー団体を組織し、議会に対しても甚大な影響力を発揮するようになる。のみならず彼らは、アメリカのシステムそのものに組み込まれている。
 ごらんの通り、なんとも壮大かつ辛辣な見立てだ。


アメリカを語るときに「軍産複合体」ということがよく言われますが、ここには「産獄複合体」がキーワードとして出てきます。
刑務所システムそのものが大きなビジネスになっていて、しかも受刑者の労働力が産業に利用されて利益を生み出します。
そのため受刑者が増えるほど儲かるわけです。

1970年に35万人ほどだった受刑者は、80年には50万人、90年には117万人、2000年には200万人という恐ろしいスピードで増え続け、14年には230万人を突破しました。
アメリカもヨーロッパ諸国も同じような文明国ですが、アメリカだけ犯罪大国である理由が、この映画を観て初めてわかりました。

受刑者をふやすためのひとつの仕掛けが“麻薬戦争”です。
アメリカが長年“麻薬戦争”をやっていて、少しも成果が上がらないのを不思議に思っていましたが、「受刑者をふやす」というほうの成果は上がっているのです。

犯罪者の97%は裁判なしに刑務所送りにされているということも初めて知りました。
私の知識では、アメリカでは裁判官の前で罪を認めるとその場で刑が言い渡され、無実を主張すると陪審員つきの裁判に回されるのですが、実際は容疑者が検察官と取引して刑を認めているのです。容疑者が裁判を要求すると、印象を悪くして刑が重くなる可能性が大きいので、97%が裁判なしになります。

犯罪者だから刑務所に入るのではなく、刑務所に入る人間をふやすために犯罪者を仕立て上げていると考えるとよくわかるでしょうか。

刑務所送りになるのは黒人が多く、それが現在の「Black Lives Matter」の運動につながっているというわけです。

Netflixがこういう根源的なアメリカ批判の映画をつくって、しかも今回無料公開していることは大いに称賛に値します。


ところで、アメリカがこういう国であることは同盟国である日本にも当然影響してきます。

日本はヨーロッパから文句を言われながらも死刑制度を維持し、特定秘密保護法、共謀罪をつくり、司法取引を導入してきましたが、これは要するに司法のアメリカナイズをしているわけです。
幸い日本は犯罪はへり続けていますが、果してアメリカを手本に司法改革をしていていいのか、考え直さないといけません。

それから、この映画には出てきませんが、“テロ戦争”も“麻薬戦争”と同じなのではないかと思いました。
“テロ戦争”は産獄複合体と軍産複合体を同時に儲けさせる仕掛けと考えられます。

日本は同盟国の正体をしっかりと見きわめて、国のかじ取りを誤らないようにしないといけません。

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参院選が始まりましたが、争点はなんでしょうか。

安倍首相は改憲問題を争点にしたいようで、「憲法について、ただただ立ち止まって議論をしない政党か、正々堂々と議論する政党か、それを選ぶ選挙だ」と言いました。
しかし、「改憲をする・しない」ではなくて、「改憲を議論する・しない」ですから、明らかに後退しています。

自民党は3月に「改憲4項目」の素案というのを出しましたが、九条改正、緊急事態条項、参院選「合区」解消、教育の充実と並べているので、優先順位がわかりません。
本来なら九条改正を前面に打ち出すべきでしょう。
しかし、自民党の九条改正案は、「自衛隊」は明記されても、「戦力の不保持」はそのままですから、かえってわかりにくくなっています。改憲派も盛り上がっていません。
九条の議論から逃げるために4項目を並べたのではないかと思えます。

憲法施行から72年たって、改憲論議は後退しているのですから、もう終わりにするべきでしょう。


7月3日付朝日新聞が「各党の公約 特徴と主張」と題して、争点をわかりやすく示していました。


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消費増税については、与野党で賛否が分かれています。
これがわかりやすい争点かもしれません。

「年金」という項目がありませんが、年金制度の改革を巡って対立しているわけではないので、争点にはならないのかもしれません。

「外交」という項目もありません。
その代わりに「沖縄」という項目があります。これは辺野古移設に賛成か反対かというものです。
辺野古移設問題は、対米関係をどう考えるかという問題と直結しているので、これが「外交」に近いのかもしれません。

外交についての国論は、日本はアメリカ依存を続けるべきだという主張と、日本はアメリカ依存を脱するべきだという主張とで二分されます。

この対立は、トランプ政権の誕生でより深刻化しました。
対米依存派は「アメリカファースト」の踏み絵を踏まされたからです。
安倍首相は踏み絵を踏んで、トランプ大統領から言われるままにさまざまな武器を買い、アメリカとの二国間通商交渉にも応じています。
ブッシュ政権やオバマ政権にはある程度の良識がありましたが、トランプ政権にそういうものはないので、対米依存の道は日本を危うくします。

こうした安倍外交こそ参院選の争点であるべきです。

もっとも、「安倍外交」を論じるより「トランプ政権」を論じたほうが盛り上がるでしょう。トランプ大統領のキャラが立っているからです。

これから各党の党首は、「トランプ政権」をどう評価するかを語ってほしいものです。

訪韓した安倍首相は2月9日、文在寅大統領と会談し、日韓合意について「国と国との約束であり、政権が変わっても約束を守るのは国際的かつ普遍的に認められた原則だ」と強調し、「合意の約束を全て実行してほしい」と述べたということです。
ずいぶんと偉そうに言っていますが、トランプ政権はオバマ政権の約束を破ってTPPからもパリ協定からも離脱しています。そのとき安倍首相はトランプ大統領になにか言ったでしょうか。
強い者にへつらい、弱い者に威丈高になるという情けない姿です。
 
日本の政治家は、アメリカにさえ気に入られるようにしていれば安泰です。安倍首相が長期政権を維持してきたのも、そのツボを押さえていたからです。
 
河野太郎外相もそのへんのことがわかってきたようです。
河野外相は8日の衆院予算委員会で、米国の「核戦略体制の見直し」(NPR)に関連して、「小型の戦術核の開発を進め、利用しようとしているのはロシアだ。(小型核運用は)米側に欠如している部分を埋めようとしているものだ」と述べ、ロシアから反論されました。
 
 
河野太郎外相、ロシアの反発はお門違い 米核戦略めぐる発言で
 河野太郎外相は9日午前の記者会見で、米国の新たな核政策指針「核戦略体制の見直し」(NPR)をめぐる自身の発言に、ロシア政府が反発している状況について「それは米国に言ってほしい。私がNPRの作成に関与したわけではない」と、ロシアの指摘は“お門違い”との認識を示した。
 河野氏が8日の衆院予算委員会で「小型の戦術核の開発を進め、利用しようとしているのはロシアだ」と発言した件に、露外務省は「平和条約締結問題の協議を含む二国間関係に悪影響を及ぼす」と反発している。
 これに対し、河野氏は「(予算委での発言は)NPRが述べていることを紹介しただけだ」として、露側に反論した。
 
 
最初は自分の認識として発言したのに、ロシアから抗議されるとアメリカが述べていることを紹介しただけだと弁解しました。
そこには、アメリカと同じ意見を言っている限りは問題にならないだろうという認識がうかがえます。
しかし、国内では問題にならなかったとしても、ロシアなど外国には通用しません。

それにしても、「それは米国に言ってほしい」というのは、いかにも属国の外務大臣らしいセリフです。
 
 
安倍政権の属国根性はどんどん深化していっています。
安倍政権をどのメディアよりも支持する産経新聞の「誤報」にもそれが表れています。
 
昨年12月に沖縄市内の高速道路で多重事故があり、1人の米海兵隊員が重体となりましたが、産経新聞は海兵隊員は日本人を助けて自分が事故にあったのだという自己犠牲の美談として報じ、この美談を報道しない沖縄2紙を「報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と批判しました。しかし、海兵隊員が日本人を助けたという事実は確認されず、産経新聞は誤報であることを認めて謝罪しました。
産経新聞は最初、「海兵隊員の勇敢な行動がネット上で称賛されている」という情報を入手し、海兵隊員の夫人のフェイスブックや米NBCテレビの報道を確認した上で、海兵隊に取材しましたが、県警と助けられたという日本人と沖縄2紙には取材しませんでした。
つまりアメリカ側だけ取材して、日本側は取材せずに記事を書いたのです。
その記事は、米兵の“美談”を称賛し、沖縄メディアを批判するものでした。
これは誤報以前に、産経新聞は売国メディアないし反日メディア化していると言わざるをえません。
 
 
安倍首相は「全ての選択肢がテーブルの上にあるとのトランプ大統領の立場を支持する」と語っています。
これは売国政治家でなければ言えないセリフです。
安倍首相の認識としては、アメリカがゲームのプレーヤーで、日本は将棋の駒みたいなものなのでしょう(安保法制が成立しているので日本は駒のように動くことができます)
 
北朝鮮問題もだいじですが、日本にとっては「日米関係の正常化」が先決です。
 

トランプ大統領がエルサレムをイスラエルの首都と認めたことが世界各国から批判されているのは当然です。北朝鮮がミサイル試射をすると「挑発」だといって批判されますが、今回のトランプ大統領の決定もイスラム世界に対する「挑発」です。
 
トランプ大統領は真珠湾攻撃の記念日にも日本を「挑発」するようなことを言っています。
 
 
トランプ氏、真珠湾攻撃は「邪悪な急襲」
 【ワシントン=永沢毅】1941年の日本軍の真珠湾攻撃から76年を迎えた7日、トランプ米大統領は攻撃から生き延びた元米兵をホワイトハウスに招いた。真珠湾攻撃について「邪悪な急襲だ」と批判し、「米国のために戦った勇敢な戦士たちを決して忘れない」と称賛した。
 トランプ大統領はこれに先立ち、ツイッターに「リメンバー・パールハーバー(真珠湾を忘れるな)」と書き込んだ。
 
 
「邪悪」とか「リメンバー・パールハーバー」とか言われて、日本人はどう反応したかというと、今のところなんの反応もしていません。
左翼はもともと真珠湾攻撃を批判していましたが、右翼は「自存自衛」の戦いだったとか、コミンテルンやルーズベルトにはめられたとかいって真珠湾攻撃を正当化していたので、ここは反論するべき場面です。
しかし、右翼がものを言えるのは韓国や中国に対してだけのようです。
いや、左翼もアメリカにはものが言えません。沖縄の基地問題も、アメリカよりはもっぱら日本政府を批判しています。
 
 
ゆがんだ日米関係がどうして生じたかについて、白井聡氏は「永続敗戦論」という本で「敗戦の否認」という言葉を使って説明しています。日本人は敗戦を否認するがゆえに、今もアメリカに敗戦し続けているというのです。
 
私はそれに加えて「アメリカへの恐怖」というものを想定すると、うまく説明できると思います。
 
戦後の日本人は無意識にアメリカを恐怖し続けています。
この恐怖から逃れるひとつの手段は、アメリカの懐に飛び込むことです。
「窮鳥懐に入れば猟師も殺さず」です。
日本が安全保障政策で限りなくアメリカとの一体化を追求しているのはそのためです。
 
ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のスタッフであるダニエル・フーグスタ氏は、JNNの取材に「日本は核兵器廃絶のリーダーになる力がある。アメリカの核の傘から離れるべきだ」と語りました。
 
これに対して5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)では、
「核がないから、核落とされたのにバカだろ」
「護衛の兵士から離れてジャングルの中を丸腰で進めと? どんだけ無慈悲やねん」
といった反論ばかりです。
核の傘から離脱するのがよほど恐怖のようです。
 
この恐怖は中国やロシアや北朝鮮の核兵器に対するものばかりとは思えません。
核の傘から離脱するということは、日米安保体制を見直して、日本はアメリカから自立するということでしょう。
日本とアメリカは普通の国と国の関係になります。そうすると、ときには対立し、対立がこじれることもあるでしょう。
アメリカはもう2発原爆を落としていますから、3発目を落とすハードルはかなり低くなっています。
アメリカと普通の関係になることが日本人は怖いのではないでしょうか。
 
そう考えると、かつてあった非武装中立論というのも理解できます。
丸腰になってしまえばアメリカは攻撃できないだろうということで、それはそれで安心が得られます。
 
つまり戦後の日本人は「アメリカへの恐怖」を持ち続けて、それから逃れるために窮鳥作戦と丸腰作戦のふたつの方法を考えたのです(核武装して自立するという作戦も一部にありました)
 
今は窮鳥作戦を採用しています。
窮鳥は懐にいる限り猟師から守ってもらえますが、自立しようと飛び立てば、そのとたんに撃たれるでしょう。
 
日本は経済問題ではアメリカとある程度対等に近い交渉ができますが、安全保障問題についてはひたすら従うだけです。
こういう現状から抜け出すには、日本人が根深く持っている「アメリカへの恐怖」を自覚しなければいけないと思います。

トランプ大統領は今回の訪日に際し、エアフォースワンで横田基地に到着しました。これまでアメリカ政府の要人は成田空港か羽田空港に到着していましたから、新機軸です。軍事重視の姿勢を表したのでしょう。
 
このときはヘリコプターで埼玉のゴルフ場に向かいましたが、通常は横田基地から六本木の米軍基地のヘリポートに行きます。このルートを使うと、アメリカの政府や軍の関係者はパスポートチェックなしに日本に入国することができます。つまり一部のアメリカ人にとって国境はないも同然で、これは日本が属国であることの証です。

このことは矢部浩治氏の「知ってはいけない隠された日本支配の構造」(講談社現代新書)などの本でようやく知られるようになりました。

 
 
私はこれを知って、六本木とドラッグが結びついている訳がやっとわかりました。
 
ひところ上野公園でイラン人がドラッグを売っていたとか、歌舞伎町では香港マフィアが売っているとか、あるいは北朝鮮ルートの覚せい剤があるとか、ドラッグについては「○○ルート」ということが言われます。しかし、六本木では昔からドラッグが出回っていて、最近も芸能人が六本木でドラッグを買って逮捕されたりしていますが、六本木のドラッグについては「○○ルート」ということが言われず、どこからきているのか不思議でした。
しかし、実は「米軍ルート」だったのですね。
 
マスコミも警察もそういうことはまったく発表しないのでわかりませんでした。
 
 
マスコミが報じないことでは「年次改革要望書」というのがあって、1994年から毎年アメリカ政府が日本政府に改革してほしいことを列記しているのですが、たとえば建築基準法改正、法科大学院設置、裁判員制度などの司法制度改革、労働者派遣法改正、郵政民営化といったこともすべて書かれています。ということは、日本がやってきた改革はすべてアメリカの要求に応えているだけだということになります。
この要望書はすべてウェブ上に公開されているのですが、日本ではまったく報道されませんでした。
2004年に刊行された「拒否できない日本」(関岡英之著)によって初めて知られるようになりましたが、マスコミはほとんど無視しているので、いまだに知る人ぞ知るです。
 
なお、年次改革要望書は鳩山政権のときに廃止されましたが、今も形を変えて続いているということです。
 
 
同様に「アーミテージ・ナイリポート」というのもあって、ジャパン・ハンドラーの代表格であるリチャード・アーミテージ氏とジョセフ・ナイ氏らが2000年、2007年、2012年に出した日本の安全保障政策などに関する提言ですが、そこに解釈改憲による集団的自衛権行使容認と新安保法制なども提言されています。つまり安倍政権の安保政策はアーミテージ・ナイリポートの要求に応えているだけなのです。
これもマスコミはあまり報道しないので、やはり知る人ぞ知るです。
 
日本がアメリカにあやつられているということは、マスコミにとっても“不都合な真実”であるようです。
 
 
先の総選挙についてもアメリカが裏であやつっていたということを週刊朝日が報じています。
 
小池百合子、前原誠司の失脚の裏に米国政府 在米日本大使館の内部文書入手
 
この記事から一部を引用します。
 
 
総選挙後、在米日本大使館がまとめた内部文書を本誌は入手した。
 
《改憲勢力が発議可能な3分の2を確保した総選挙結果は米国には大歓迎の状況だ。むしろ米国が意図して作り上げたとみていい。民進党を事実上、解党させて東アジアの安全保障負担を日本に負わせる環境が改憲により整う非常に好都合な結果を生み出した》
 
 そして《日本が着実に戦争ができる国になりつつある》と分析。こう続く。
 
《米国には朝鮮有事など不測の事態が発生した時に、現実的な対応が出来る政治体制が整う必要があったが、希望の小池百合子代表が踏み絵を行ったのは米国の意思とも合致する》
 
 前出の孫崎氏は、166月に撮影されたラッセル国務次官補(当時)と森本敏元防衛相、小野寺五典防衛相、前原誠司前民進党代表、林芳正文部科学相、西村康稔官房副長官、自民党の福田達夫議員、希望の党の細野豪志、長島昭久両議員、JICA前理事長の田中明彦氏らが安全保障について話し合った国際会議「富士山会合」の写真を示しつつ、こう解説する。
 
「米国の政策当局者は長年、親米の安倍シンパ議員や野党の親米派議員らに接触、反安保に対抗できる安全保障問題の論客として育成してきた。その結果、前原氏が民進党を解体し、同じく親米の小池、細野、長島各氏らが踏み絵をリベラル派に迫り、結果として米国にとって最も都合のよい安倍政権の大勝となった」
 
 
ここに書かれていることは、私が前回書いた「マスコミの異様なトランプ歓迎」とも符合します。
 
アメリカの意向に従って動く政治家は「売国政治家」というしかありません。
そして、その実態を報道しないマスコミは「売国マスコミ」です。
「売国」という言葉はあまり品のいい言葉ではありませんが、ここでは「売国」以上に適切な言葉がありません。
 
もちろん売国政治家の筆頭は安倍首相です。
安倍首相はトランプ大統領が韓国に向かうとすぐにこんなツイートをしました。
 
イメージ 1


 
安倍首相がトランプ大統領をもてなしたのですから、「ありがとう」を言うのはトランプ大統領のほうです。安倍首相はアメリカの武器を買うなどの約束をしたのですから、なおさらです。
なお、トランプ大統領は安倍首相のこのツイートをリツイートしましたが、返信はしていません。

トランプ大統領が11月5日に初来日しましたが、マスコミの報道があまりにも歓迎ムードで気持ち悪いです。
北朝鮮問題という“国難”もそっちのけですし、トランプ大統領の差別主義への批判もまったくありません。
トランプ大統領は当然日本人を差別しています。日本人がトランプ大統領を歓迎したら、世界中の差別主義に反対する人たちを失望させます。
 
ネット上にはトランプ大統領に対する批判的な声がけっこうありますから、日本のマスコミの対米従属ぶりが異常です。
 
日本は「政・官・財・マスコミ」という上部構造ほど対米従属的です。リチャード・アーミテージ、マイケル・グリーン、ジョセフ・ナイといったジャパン・ハンドラーが牛耳っているからです。
 
ちなみに軍用犬を主人公にした「マックス」というアメリカ映画では、軍用犬を訓練するのがトレーナー、軍用犬を使うのがハンドラーと呼ばれていました。
 
民進党と希望の党が合流するときに起きた騒動も、背後でジャパン・ハンドラーが動いていたという「リテラ」の記事を読んで、納得がいきました。
これは201511月の記事ですから、そのときからすでに仕組まれていたのです。
 

民主党解党を画策の前原、細野、長島の本音は安保法制推進!背後に米国ジャパンハンドラーとの癒着が

 
この記事から一か所だけ引用しておきます。
 
大手紙政治部記者が解説する。
「まさに民主党内のイデオロギー闘争と言っていいでしょう。主役は前原、細野、長島の3人です。彼らが恐れているのは共産党が提唱する『国民連合政府』構想が実現して、安保法制が廃止になること。岡田代表も『連合政府』には躊躇があるが、候補者調整などの選挙協力なら歓迎との姿勢を見せたことがあった。たとえ選挙協力だけでも共産党と手を組めば、安保法制廃止、辺野古反対に舵を切らざるを得ないので、それをさせないためにも、あの手この手で揺さぶりをかけているんです」
要は、前原氏らが目指しているのは、反共産の“安保法制推進党”ということなのだ。
前原氏自身もそのことは隠していない。今月14日の読売テレビの番組で「政権を取りに行くのであれば(安全保障政策は)現実対応すべきだ」と述べ、安保法制の廃止や撤回を考えていないことを明言している。また、共産党との連携についても「(共産党は)シロアリみたいなもの。協力したら(民主党の)土台が崩れる」と端から否定の立場なのだ。なぜ、そうなのか。
 
 そもそも前原氏は京大で親米現実主義保守派の理論的支柱とされた高坂正堯教授の薫陶を受け、松下政経塾を経て政治家になった人物だ。安倍晋三首相とは同期当選で議員会館も隣の部屋だったことから、安保政策では気心の知れる仲になった。2000年代の初めには自民党防衛族の石破茂氏らとも気脈を通じ、勉強会を開いて、集団的自衛権行使容認はもとより、徴兵制や核武装論にまで言及していたという。その石破氏に、やはり自民党の米田建三氏らを加えて「新世紀の安全保障を確立する若手議員の会」(新世紀安保議連)の世話人をやっていたこともある。
 
 彼らに共通するのは、若手議員のころからCSIS(米戦略国際問題研究所)などの在米シンクタンクを頻繁に訪れ、アメリカの超党派知日派(ジャパンハンドラー)との交流に熱心だったことだ。リチャード・アーミテージやジョセフ・ナイ、マイケル・グリーンといった連中だ。集団的自衛権行使容認は彼らジャパンハンドラーの悲願だった。
 
 
小池百合子氏も前原氏と同じ考えだったでしょう。ですから、「排除します」と言ったり、民進党議員への踏み絵に安保法制容認と改憲賛成が入っていたのも当然です。
安保法制反対派を排除して保守二大政党制にするつもりだったわけですが、少し過激にやりすぎて、枝野新党ができてしまったのは、彼らの誤算でした。
しかし、これで対立軸がはっきりして、結果的にはよいことになりました。
 
それにしても、ジャパン・ハンドラーは日本の政治を支配するために実に戦略的に動いているということがわかります。
マスコミを支配しているのも、なにか巧妙な戦略があるからでしょう。
 
一方、安保法制反対派は「アメリカの戦争に巻き込まれたくない」という感情だけで動いていて、戦略というものがないように思えます。
そのため日米地位協定の見直しすらできません。
 
アメリカは世界支配、つまり覇権主義の大きな戦略を持っています。日本はその世界戦略の中のひとつのコマです。
安保法制反対派も、世界平和戦略を持って、アメリカの世界支配戦略に対抗しなければなりません。

稲田朋美防衛相は、過去の核武装容認発言と今の考えとの違いを追及されてしどろもどろになり、蓮舫民進党代表に「気持ちいいぐらいの変節ですね」と決めつけられました。
その前には、海外出張を理由に全国戦没者追悼式を欠席したことを辻元議員に追及され、涙ぐむという場面がありました。
 
これは稲田防衛相の個人的な問題だけではなく、右翼政治家の宿命みたいなものです。
つまり一政治家としては言いたいことを言っていても、アメリカからその発言が注目される立場になると、アメリカの意向に反することは言えなくなるのです。
 
これは安倍首相も同じです。右翼的主張を封印してアメリカに迎合することで政権の長期化をはかってきました。
 
 
ところで、稲田防衛相が全国戦没者追悼式を欠席したのはジブチの自衛隊基地を訪問するためでした。終戦記念日に靖国神社に参拝するとアメリカに怒られるし、参拝しないと国内の右翼勢力に怒られるので、海外出張でごまかそうとしたわけです。
 
ジブチには自衛隊唯一の海外基地があります。この基地をつくったときにすでに日本は専守防衛を捨てていたわけです。
もっとも、ジブチに基地をつくったのはソマリア沖の海賊対策のためという名目です。
海賊対策というと、軍事というより警察行為というイメージがあります。
 
それにしても、海賊対策のために基地までつくる必要があるのでしょうか。
外務省のデータによると、ソマリア沖の海賊事件はへり続け、2011年に237件あったのが、2015年には0件になっています。
 
しかし、これは各国の海賊対策が功を奏しているためだから、海賊対策をやめるわけにはいかないという理屈のようです。
 
ジブチにはアメリカ軍の基地もあります。「日経ビジネスオンライン」の「ジブチに集う欧米と日本の自衛隊」という記事から引用します。
 
 
 レモニエ基地はアメリカにとって、アフリカにおける唯一の軍事基地だ。面積は500エーカー(約202ヘクタール)。ジブチにある自衛隊の拠点の20倍弱に及ぶ。その威容は、ジブチのアンブリ国際空港に立つと分かる。3500メートルの滑走路を持つ同空港施設の片側1面がすべて米軍基地なのだ。
 
 実は、この基地の活動目的は海賊対処ではない。海賊対処はバーレーンに拠点を置く米中央軍が管轄している。レモニエ基地が担っているのはアフリカの角地域を安定化させる任務だ。主に、テロリスト攻撃作戦、各国軍のキャパシティビルディング支援、そして民生支援活動を行っている。
 
 
なお、ジブチには旧宗主国のフランスも基地を持っています。
さらに、今年に入って中国も基地建設を始めました。これは中国にとって初めての海外基地です(ジブチは基地ビジネスで稼いでいるようです)
 
ともかく、自衛隊の基地は海賊対策のためだけとは思えません。むしろアメリカ軍の助けをするための基地ではないかと思われます。
要するに「思いやり予算」の海外版で、予算のほかに人員も出しているということです。
 
民進党にはここも追及してもらいたいところですが、実はジブチに自衛隊基地をつくると決めたのは2011年で、菅政権のときです。ですから、ジブチの自衛隊基地は与野党の争点になりません(共産党は別です)
そのため、日本の唯一の海外基地にもかかわらず、その存在を知らない人も多いのではないでしょうか。
 
それにしても、ジブチに派遣された自衛隊員はつらいところです。
この任務は、国を守るためではないし、海賊対策の意味もなくなって、やっぱりアメリカのためかと思っているでしょう。
 
稲田防衛相はジブチを視察してなにを感じたのでしょうか――と言いたいところですが、なにを感じようと、アメリカに追随していくのが安倍政権の進む道です。

アメリカ大統領選の第1回テレビ討論会で、日本の基地負担の問題がひとつの争点になり、トランプ候補は、「公平な負担をしないなら日本を守ることはできない」と主張しました。
きっとこの主張は、かなりのアメリカ人の共感を呼んでいるのでしょう。
このような勘違いを生んだのは日本政府のせいでもあります。
 
アメリカ軍が外国に駐留しているのは、必ずしもその国を守るためではありません。
 
アメリカ軍の駐留する人数の多い国のベスト5は次の通りです(ウィキペディアの「アメリカ軍」の項より)
 
ドイツ 68000
日本 38000
韓国 37000
イタリア 10800
イギリス 10600
 
ドイツ、日本、韓国、イタリアと、要するに二次大戦の敗戦国に主に駐留しているのです。
ですから、その国を守るためであるよりは、その国を抑えつけておくためであるかもしれません。
実際のところは、占領したときの惰性で駐留しているのでしょう。
 
ベトナム戦争のときは沖縄の基地から空爆し、コソボ紛争のときは主にイタリアの基地から空爆が行われました。
基地の地理的条件は重要ですが、基地の国籍はどうでもいいことです。
 
アメリカがいちばん守りたい国はおそらくイスラエルでしょう。しかし、イスラエルにアメリカ軍の基地はありません。
台湾も、アメリカとは蒋介石の時代からのつきあいですから、守りたい国であるはずですが、アメリカ軍の基地はありません。
 
日本は、アメリカにとって地理的に重要で、その経済力も重要ですが、守りたいというような精神的な絆はありません。
むしろ真珠湾奇襲攻撃の過去がありますから、根底には不信感を持たれています。
ですから日本は、思いやり予算を提供したり、安保法制をつくったりしているわけですが、やればやるほど信頼を得るどころか、トランプ候補みたいな考え方が広がってしまっています。
 
 
ともかく、アメリカにとっては「基地を置いておきたい国」と「守りたい国」は明確に区別されているようです。
オバマ政権は軍事費をどんどん削減していますが、イスラエルは別格です。
 
 
イスラエル軍事支援、3.8兆円 米が調印 関係改善アピール
 
米・イスラエル両政府は14日、米国がイスラエルに2018年から10年間で380億ドル(約3兆8900億円)を軍事支援する覚書に調印した。二国間での軍事支援では、米国史上最高額。オバマ米大統領は「イスラエルの安全保障への不動の取り組みの表れだ」とし、冷え込んでいた関係の改善をアピールした。
 
 新たな軍事支援は、現在の毎年31億ドルの支援の失効に伴うもの。380億ドルのうち50億ドルはミサイル防衛システムにあてられる。
(後略)
 
 
トランプ候補もイスラエルへの軍事援助をへらすべきだとか、イスラエルは応分の負担をするべきだとかは主張しません。
 
アメリカにとってイスラエルは親藩、日本は外様です。日本はなんとか譜代に昇格させてもらおうと必死のところです。
 
クリントン候補は、日本に対してトランプ候補のようにきびしいことは言いません。
かといって、クリントン候補が日本のことを思いやってくれているわけではありません。
アメリカにとって、広大な基地を提供し、思いやり予算まで払ってくれる日本は、金の卵を産むニワトリのようなものです。トランプ候補はニワトリを殺しかねませんが、クリントン候補は殺さないようにしたほうが得だと知っているだけのことです。

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