村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

カテゴリ: トランプ大統領

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米軍によるソレイマニ司令官殺害は、どう見ても無法行為です。
アメリカはソレイマニ司令官をテロリストに指定していましたが、勝手に指定して、勝手に殺しただけです。
イラン国会はこの事件を受けて、すべての米軍をテロリストに指定する法案を可決しました。
無法の世界がどんどん拡大しています。

無法の世界といえば、西部劇がそうです。
私の世代は西部劇を見て育ったようなものです。子どものころ、映画はもちろんテレビでもアメリカ製の西部劇のドラマをいっぱいやっていました。

西部劇では、保安官は登場しても重要な役割は果たさず、主人公は自分の力で悪漢(あるいはインディアン)を倒さなければなりません。
法より力――というのが西部劇の基本原理です。

現在のアメリカは法の支配が行われていますが、銃を所持する権利も絶対視されています。法の支配は表面的なもので、一皮めくれば「法より力」の原理が現れます。

トランプ政権は2017年12月、安全保障政策のもっとも基本となる「国家安全保障戦略」を発表しましたが、その「四本柱」は次のようなものです。

I. 国土と国民、米国の生活様式を守る 
II. 米国の繁栄を促進する 
III. 力による平和を維持する 
IV. 米国の影響力を向上する
https://jp.usembassy.gov/ja/national-security-strategy-factsheet-ja/

「法の支配」も「世界」もありません。「アメリカ・ファースト」があるだけです。
「力による平和」は、銃で自分の身を守るという西部劇の原理です。

今のアメリカは法の支配が行き渡り、腰に銃をぶら下げていなくても警察が守ってくれますが、アメリカ人にとってフロンティアは世界に拡大し、アメリカ国外が西部劇の世界になりました。
世界に法の支配を広げるのではなく無法状態を広げるのがアメリカのやり方です。無法の世界では力のある者が得をするからです。

よくアメリカのことを「世界の警察官」にたとえますが、警察官なら法に従います。
今のアメリカをたとえるなら「自警団のボス」か「ギャングのボス」というべきです。

しかし、長い目で見れば今の無法の国際社会は過渡期で、いずれ法の支配が行き渡るに違いありません。

今の日本は「自警団のボス」に従っていますが、いつまでもこの状況は続きませんから、自分の手を汚さないようにしないといけません。


アメリカはソレイマニ司令官を殺害し、イランは米軍基地に弾道ミサイルで報復攻撃をしましたが、今のところアメリカもイランも抑制された対応をしているようです。
これはなぜかというと、「法の支配」はなくても「経済の支配」があるからです。
ソレイマニ司令官殺害の瞬間に株価は下がり、原油価格は上がりました。本格的な戦争になれば双方に大きな経済的損失が生じるのは目に見えています。

平和は「法の支配」でなく「経済の支配」でも達成できるのかもしれません。

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Photo by Jordy Meow on Unsplash

トランプ大統領の指令によりアメリカ軍はイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を空爆で殺害しました。
これはなんと言えばいいのでしょうか。暗殺でしょうか。それとも殺人でしょうか。

アメリカ国務省高官は「1942年にヤマモトを撃墜したようなものだ」と語りました(正しくは1943年)。
ウォール・ストリート・ジャーナルも「トランプの合法的な権限」という題名の社説で、山本五十六連合艦隊司令長官の搭乗機撃墜になぞらえて、ソレイマニ司令官殺害の正当性を主張しました。
アメリカのシンクタンク、ブルッキングス研究所のシニアフェロー、 マイケル・オハンロン氏も「ソレイマニ司令官殺害は、民間人指導者への攻撃より、山本五十六元帥の搭乗機撃墜により類似している」と述べました。
ソレイマニ司令官殺害を山本長官機撃墜になぞらえる発言が続々です。

しかし、当時の日米は戦争をしていましたが、今のアメリカとイランは戦争をしているわけではないので、状況がまったく違います。
ソレイマニ司令官が殺害されたのはイラクのバクダッド国際空港の近くで、車に同乗していたイラクのイスラム教シーア派武装組織の司令官らも死亡したとされます。
空港の近くですから、イラクに潜入して軍事作戦の指揮をとっていたわけではなく、イラク政府と交渉するなどの途中だったのでしょう。
イラク国内では、アメリカ軍によるソレイマニ司令官殺害はイラクの主権の侵害だという声が上がっています。

ソレイマニ司令官殺害を山本五十六長官殺害になぞらえるのは不適切ですが、ソレイマニ司令官は国民的人気があって、それは山本長官に似ています。
ソレイマニ司令官の葬儀には数十万の人が集まって通りを埋め尽くしました。
スクリーンショット (11)

アメリカとイランの間に報復の連鎖が起こるかもしれません。

アメリカ政府関係者もまずいことをやったと思っているのでしょう。
そのためソレイマニ司令官殺害を正当化しようとして、いろいろ語っています。
アメリカ政府は2007年にソレイマニ司令官をテロリストと認定して経済金融制裁の対象にしてきましたが、今回アメリカ米国務省は「ガセム・ソレイマニは、イラクで米軍人少なくとも603人を殺害し、数千人に障害を負わせた責任がある」とツイートしました。
ペンス副大統領は「ソレイマニ司令官は2001年9月11日の米同時多発攻撃の実行犯を支援していた」とツイートしましたが、これについてはアメリカのメディアに「米同時多発攻撃に関する独立調査委員会の585ページにわたる報告書にソレイマニ司令官の名前はない」と反論されています。
そして、さらに山本長官の名前を持ち出したというわけです。
そうすると山本長官はテロリストだということになります。

日本人からしたら、山本長官がテロリストだとは考えもつかないことです。
しかし、山本長官は真珠湾攻撃の発案者であって、その実行責任者でもあります。
アメリカ人の感覚では真珠湾攻撃はテロと同じということかもしれません。
そして、アメリカ人にとっては当時の日本はテロ国家なので、戦後、国家の指導者を処刑したのも当然ということなのでしょう。
しかし、真珠湾攻撃はあくまで軍事行動で、しかも軍事施設を標的としたものなので、山本長官をテロリストと見るのは、やはり間違いです。



日本政府は、ソレイマニ司令官殺害に関してなんのコメントもしていません。
政府機関は正月休みですが、政治家は対応できるはずです。
安倍首相は1月4日、ゴルフをしていましたが、ゴルフ場で記者団に中東情勢について聞かれ、「今月、諸般の情勢が許せば中東を訪問する準備を進めたいと思っている」とだけ言って、ソレイマニ司令官殺害についてはなにも語りませんでした。
ありきたりですが、アメリカとイランの双方に自制を呼びかけるぐらいはするべきです。


イラクの議会は、イラク国内でソレイマニ司令官が殺害されたことに反発して5日、外国軍の撤退を求める決議を採択しました。するとトランプ大統領はイラクに対し「これまで米軍駐留に払った数十億ドルを返還しなければ、未曾有の経済制裁をする」とツイートしたということで、わけのわからない状況になっています。

こういう状況では安倍首相はますます発言することができないでしょう(安倍首相のメンタリティではできないという意味です。もちろん発言するべきです)。

そもそもは中東に米軍が存在していることが間違いです。
よく国際政治学者は「米軍が撤退すると力の空白が生じる」と言いますが、もともとその地域には各国の軍隊が存在していたのですから、「空白」にはなりません。米軍駐留によって「二重軍事力」の状態になっていたのが正常化されるだけです。

安倍首相に限らず多くの日本人はこういう根本問題について考えるのが苦手ですし、国際政治の世界で発言するのも苦手です。
とりあえずアメリカに対して「山本長官はテロリストではない」と発言することから始めるべきでしょう。
これは日本の名誉のためだけではなく、アメリカにソレイマニ司令官殺害がただの犯罪行為であることを自覚させ、世界平和に貢献することにつながります。

G7
首相官邸ホームページより

フランスのビアリッツで8月24日から26日にかけてG7サミットが行われましたが、わが国のマスコミはそのことよりも韓国のことばかりです。おかげで日本人は文在寅政権の支持率や文氏の側近のスキャンダルに詳しくなったはずです。

世界には重要な問題が山積しているのに、なぜ日本人は韓国のことばかりに目を奪われる愚か者になってしまったのかというと、やはりそれなりの仕掛けがありました。

次はフジテレビ系の「FNN.jpプライムオンライン」の記事ですが、G7サミットのことを書きながら、内容は韓国のことになっています。

「文大統領 信用できない」 トランプ大統領 G7の席で
G7サミットで、アメリカのトランプ大統領が、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を「信用できない」などと、2日にわたって痛烈に批判していたことが、FNNの取材でわかった。

トランプ氏が文大統領を批判したのは、フランスで開かれているG7(主要7カ国)首脳会議の初日の夜で、首脳らが外交安全保障に関する議論をしている最中に、「文在寅という人は信用できない」などと切り出したという。

政府関係者によると、トランプ氏はさらに、「金正恩(キム・ジョンウン)は、『文大統領はウソをつく人だ』と俺に言ったんだ」と重ねて批判したという。

そして、トランプ氏は、2日目の夜に行われた夕食会でも、文大統領について、「なんで、あんな人が大統領になったんだろうか」と疑問を投げかけ、同席した首脳らが、驚いた表情をする場面もあったという。

一連の発言に対して、安倍首相が反応することはなかった。

政府内には、トランプ氏の発言の背景には、韓国が日韓のGSOMIA(軍事情報包括保護協定)を破棄したことなどが念頭にあるとの見方がある。
https://www.fnn.jp/posts/00423006CX/201908262030_CX_CX

一読して、これはほんとうだろうかという疑問がわきます。
いくらトランプ大統領でも、その場にいない他国の首脳の悪口を言うだろうかと思いますし、誰にとっても興味のない話をするだろうかとも思います(金正恩委員長の話をして、その流れでというのはあるかもしれません)。
それに、「なんで、あんな人が大統領になったんだろうか」というのは愚痴に近く、トランプ大統領がもっとも言いそうにない言葉です。

もちろん、ほんとうのことかもしれません。
ほんとうだとして、問題はこの記事の書き方です。
これは本来は、「トランプ大統領が『文在寅という人は信用できない』と発言したので、各国首脳は驚いた(あきれた)」という記事になるはずです。
FNNは「親米・反韓」なので、逆の書き方をします。


この情報提供者は「政府関係者」だということです。
政府がオフレコの情報を提供し、メディアも政府の狙い通りの記事を書いています。
安倍政権とメディアが合作で嫌韓世論をつくっていることがわかります。

ここでのポイントは、アメリカを利用していることです。
日本人は嫌韓の人ばかりではありませんが、アメリカには弱いので、「アメリカが韓国に怒っている」とか「アメリカは韓国に失望した」とか言うことが世論の誘導には有効です。

もちろん嫌韓に世論を誘導するのは、安倍外交が対米も対中も対露も対北朝鮮もまったくだめだということから国民の目を反らすためです。

しかし、毎日が嫌韓騒ぎでは、国民もいい加減飽きてくるのではないでしょうか。

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韓国が日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄したことについて、アメリカのポンペオ国務長官は「失望した」と述べ、米国防総省も「懸念と失望」の声明を出しました。
「失望」というのはかなり強い言葉ですから、日本の韓国嫌いの人たちは「韓国はアメリカの怒りを買った」と大喜びでした。
しかし、トランプ大統領は「韓国でなにが起こるか見てみよう」と言っただけでした。文大統領について「ひじょうによい友人だ」とも述べました。

振り返ると、ポンペオ長官がカメラの前で「失望した」と述べたとき、そんなに強い調子ではありませんでした。なにを言ってもトランプ大統領にひっくり返される可能性があるとわかっていたからでしょう。
ポンペオ長官は対北朝鮮強硬派で知られていましたが、今はそれを封印して、トランプ大統領に合わせています。


G7サミットが8月24日からフランスで開かれ、安倍首相はトランプ大統領と会談し、朝鮮半島情勢についても話し合いました。

北朝鮮のミサイルは「違反」? 日米首脳間で見解に相違
 北朝鮮が短距離弾道ミサイルの発射を繰り返していることについて、日米首脳会談の冒頭、安倍首相は「国連安保理決議に明確に違反する」と強調した。これに対し、トランプ米大統領は「首相の心情は理解できる」としつつ、「いい気分ではないが、(米朝の)合意には違反していない。長距離ミサイルの発射や核実験はしていない。ずっと通常型に近く、彼(金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長)だけでなく、多くの人(国)が実験している」と語った。日米首脳間の見解の相違をうかがわせた。(ビアリッツ=渡辺丘)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190826-00000003-asahi-int


NHKニュースによると、このときトランプ大統領は「先週キム委員長からとてもすばらしい手紙をもらったが、その中で彼は『韓国が戦争ゲームしている』と不満を示していた。私も米韓合同軍事演習は不必要だと考えている」と述べました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190825/k10012048141000.html


トランプ大統領の考えは、従来のアメリカの方針とはまったく違っています。トランプ大統領の考え方では、在韓米軍はほとんど不要で、そのうちまったく不要になります。
そして、在日米軍も同じようなものでしょう。

アメリカの基本戦略は、軍事力で世界に君臨するという覇権主義です。
トランプ大統領は、軍事費は増大させていますが、不思議なことに軍事力で世界に君臨するという発想がありません。
軍事に関しては、「伝統的なアメリカ」と「トランプのアメリカ」はまったく別なのです。
日本人はこのことをあまり理解していないようです。
トランプ大統領と金正恩委員長の仲良しぶりも、見て見ないふりをしています。

そのため、日本人はトランプ大統領についていけません。もちろん安倍首相もです。

安倍首相はついていけないだけでなく、振り回されています。
安倍首相は5月6日にトランプ大統領と電話会談したあと、記者団に対して「条件をつけずに金正恩委員長と向き合う」と語り、これまで北朝鮮にはひたすら「制裁と圧力」を強化し、拉致問題の解決を条件にして対話を拒んできた方針から大転換しました。
もちろんトランプ大統領から指示されたからです。トランプ大統領は前から「北朝鮮の非核化の費用は韓国と日本が出す」と言って、アメリカの負担は必要ないと国民に説明してきましたから、「シンゾー、早く金正恩に会って、金を出す段取りをしろ」などと言われたのでしょう。
しかし、方針を変えた安倍首相に対して北朝鮮の報道官は「執拗に平壌の門をたたいているが、ずうずうしい。わが国への敵視政策はなにも変わっていない」と罵倒しました。
それ以降、安倍首相も北朝鮮への対話呼びかけはやめたようです。

しかし、トランプ大統領の態度は一貫していて、北朝鮮に対して友好的です。
かつてはティラーソン国務長官とかマティス国防長官がトランプ大統領を抑えていましたが、今のポンペオ国務長官とかエスパー国防長官はイエスマンであるようです。

米朝の友好が進んで朝鮮半島の緊張が緩和すれば、GSOMIAなど必要ありません。文政権の決定はそれを先取りしていることになります。
文在寅大統領は北朝鮮に対してオリンピック共同開催を提言し、経済協力の先にワンコリアを実現させようと呼びかけていますが、これも「トランプのアメリカ」と連携した動きです。

日本では韓国のGSOMIA破棄によって日米韓の同盟が壊れたなどと言っていますが、日米韓の同盟を壊しているものがあるとすれば、それはトランプ大統領です。

トランプ大統領の政策にはほとんど賛成できませんが、米朝友好を進めることだけはすばらしいものです。朝鮮半島が平和になれば、日本にも大きな利益です。今は北朝鮮のミサイルが脅威だなどと言っていますが、敵対関係にあるから脅威なのであって、友好関係になれば脅威ではありません。

トランプ政権は少なくともあと1年余りは続くので、ここは平和実現の大きなチャンスです。
日本は米朝友好の後押しをするべきです。
韓国と対立している場合ではありません。

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Foto-RabeによるPixabayからの画像 

トランプ大統領は7月14日、民主党の4人の女性議員に対してツイッターで「アメリカで暮らして幸せでないなら出ていけばよい」「どうして彼女たちは完全に崩壊し、犯罪が横行するもとの国に戻って建て直さないのか」などと発言し、さらに17日に支持者を集めた集会で、「彼女たちがアメリカを好きでないなら出て行けばよい」と繰り返しました。
4人の女性議員は、もとはソマリアの難民だったり両親がパレスチナ人だったりするので、トランプ大統領は「もとの国」と言ったようです。

こうした発言に対して、「アメリカは移民の国だ。トランプ大統領も移民の子孫なのに、出ていけというのはおかしい」という声がありますが、それはアメリカについて考え違いをしています。
アメリカは白人が先住民を追い出してつくった国ですから、白人が非白人に対して出ていけと言うのは建国の理念にかなっています。
ついでにいうと、白人は銃を使って銃を持たない先住民を追い出したので、白人が銃を持つことも建国の理念にかなっています。
アメリカ独立宣言には基本的人権がうたわれましたが、先住民にも黒人にも人権は認められませんでした。ということは人種差別がアメリカの建国の理念なのです。
リンカーン大統領は奴隷解放という偉業を成し遂げたとされますが、ヨーロッパは奴隷制を廃止していたのにアメリカは最後まで奴隷制を続けていただけのことです。

つまりアメリカは世界最悪の人種差別国家です。
トランプ大統領が言ったことはアメリカの建国の理念であり、白人至上主義者の本音です。


とはいえ、差別主義の発言に世界から批判が集まるのは当然です。
イギリスのメイ首相は「まったく受け入れられない」、ドイツのメルケル首相は「強いアメリカと矛盾する」、ニュージーランドのアーダーン首相は「ニュージーランドでは人々が正反対の考え方を持っていることを誇りに思う」、カナダのトルドー首相は「カナダで私たちがとる対応ではない」といった具合です。

わか安倍首相はというと、もちろんなにも言いません。
トランプ大統領に従うことしか考えていませんし、それに、もともと人権感覚がほとんどないからです。

トランプ大統領の差別発言を批判しないのは日本のメディアも同じです。
そもそも日本のメディアは、トランプ大統領の差別発言を差別発言でないようにごまかして報道しています。
たとえば、次の日経新聞の記事がその典型です。

トランプ氏「国へ帰れ」発言が波紋、与野党が批判
【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領の人種差別と受け取られかねない発言が米政界で波紋を広げている。祖先の出身地が中東やアフリカの野党・民主党の女性下院議員に「国に帰ったらどうか」と促した。不法移民対策の停滞に不満を示し保守層にアピールする狙いがあるとみられるが、非白人議員を狙い撃ちした批判に民主党は猛反発し、与党・共和党内からも「限度を超えている」と非難する声が出ている。
「彼女らは(過激派組織の)アルカイダに近い」。トランプ氏は15日、ツイッターでソマリア出身のオマル、パレスチナ系のタリーブ両下院議員らを念頭に断じた。両議員らがトランプ政権の批判を繰り返す姿勢に不満をにじませ「この国を愛せないのであれば、国を去った方がよい!」と訴えた。
オマル、タリーブ両氏は2018年秋の中間選挙でイスラム教徒女性として連邦下院議員に初当選した。同時に当選したプエルトリコ系の母親を持つオカシオコルテス氏、アフリカ系のプレスリー氏と合わせた新人女性議員4人は民主党の急進リベラル派の中核的存在だ。トランプ氏の不法移民政策を厳しく批判してきたことでも知られる。
オマル氏は15日、他の3議員とともに緊急記者会見を開いて「トランプ氏は白人至上主義者の主張をしている」と痛烈に非難した。タリーブ氏はトランプ氏の言動が弾劾に値するとの考えも示し、対決姿勢を鮮明にした。
トランプ氏の発言は不法移民対策の進捗への不満を反映したとの受け止めが多い。米税関・国境取締局(CBP)によると、メキシコ国境での拘束数は18年10月~19年6月の9カ月間で約69万人と、すでに18会計年度(17年10月~18年9月)の通年実績の1.7倍に上った。
(中略)
だが人種差別とも受け取られるトランプ氏の言動は米社会の分断を広げかねない。トランプ氏はこれまでも白人至上主義者と反対派が衝突し死者を出した事件を巡り、白人至上主義を非難せず激しい批判を浴びた。ユダヤ教の礼拝堂で銃乱射事件が相次いだのも、トランプ氏の人種間の分断をあおる言動が一因だとの指摘は根強い。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47408260W9A710C1EA1000/

「人種差別と受け取られかねない発言」とか「人種差別とも受け取られるトランプ氏の言動」というように、人種差別と断定しない書き方になっています。

では、トランプ大統領はなぜそんな発言をしたかというと、選挙対策のために「保守層にアピールする狙い」であり「不法移民対策の進捗への不満を反映」したものであるので、差別主義からではないということになります。
しかし、それはあくまで記者の推測です。そうしたことは解説や論説で書くべきで、こうした短い記事は事実だけでいいはずです。

差別主義の発言ではなく再選戦略のための発言だ――という論理でトランプ大統領の差別発言を擁護することは、日本のあらゆるメディアが行っています。
今回の差別発言に限ってもそうした記事がいくつも目につきます。

たとえば毎日新聞の『「国に帰れ」 裏に再選戦略 岩盤支持層にアピール、野党左傾化を印象付け』という記事はこう書いています。

発言からは、保守派の「岩盤支持層」にアピールすると共に、野党・民主党の「左傾化」を強く印象付けて批判材料にしようとするトランプ氏の再選戦略が透けて見える。 
https://mainichi.jp/articles/20190718/ddm/007/030/134000c

日刊スポーツの『トランプ大統領、非白人議員に「国に帰れ」撤回せず』という記事はこうです。

トランプ氏には来年の大統領選に向け、保守派支持層にアピールする狙いがある。女性議員らがペロシ下院議長ら民主党指導部ともあつれきを生んでいる点を突き、同党内の亀裂を深めさせる思惑もありそうだ。
https://www.nikkansports.com/general/news/201907160000109.html

FNNPRIMに木村太郎氏が執筆した記事は、民主党の4人の女性議員を過激な「独立愚連隊」と見なすNBCニュースの記事を紹介する形でこう書いています。

反トランプの立場を貫いているNBCニュースのサイトに「トランプは民主党が急進左派に縛られるよう期待し、その通りになった」という分析記事が16日掲載された。

それによると、トランプ大統領は来年の大統領選で対立候補が誰であれ急進過激派に近ければ「国を率いるには過激すぎる」と攻撃して有利な立場になると計算してシナリオを作り、まず「独立愚連隊」に攻撃を仕掛けた。案の定民主党内では反発が広がり、もともとは「独立愚連隊」と党内で対立していたペロシ下院議長も大統領の主張は「米国を白人第一に」とするものだと非難する声明を発表した。

大統領の狙い通り、民主党を「独立愚連隊」の周囲に結束させることになったわけだが、これについてNBCニュースの分析記事はこう評している。

「トランプが喋ったりツイートする誹謗中傷の全てが彼の天才的な駆け引きの賜物であると考えるのは間違いだが、彼のメッセージが何の思惑もなく発せられていると考えるのも間違っている」

民主党は、トランプ大統領の「罠」にハマったのだろうか?
https://www.fnn.jp/posts/00047257HDK/201907161730_tarokimura_HDK

こうした分析に当たっているところがあるかもしれませんが、過激な差別発言はコアな白人支持層にしかアピールしません。再選されるには中間層に支持を広げる必要があり、もしこれが再選戦略であるなら、間違った再選戦略です。

ともかく、日本のメディアはトランプ大統領の差別発言を、あの手この手で差別発言でないように報道しています。
トランプ大統領は今でも40%ぐらいの支持率があります。トランプ大統領の差別主義はアメリカの根幹とつながっています。
トランプ氏個人を批判することはできても、アメリカの根幹を批判することはできないということでしょう。
首相もメディアも属国根性です。

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どう動くかわからないトランプ大統領の外交ですが、よく観察すると一貫性があります。
好きな国と嫌いな国、好きな指導者と嫌いな指導者がはっきりしているのです。

大阪でのG20が終わるとトランプ大統領は韓国に飛び、非武装地帯で北朝鮮の金正恩委員長と首脳会談を行いました。
6月29日にトランプ大統領がツイッターで金委員長に提案し、それで急遽会談が実現したということです。まさに電撃的な会談です。

米朝関係は、昨年6月のシンガポールでの首脳会談はうまくいき、今年2月のハノイでの会談は決裂し、そして今回の会談はうまくいったということで、まったく一貫しないようですが、そうではありません。ハノイでの決裂がイレギュラーだったのです。

トランプ大統領は一貫して金委員長に好意的で、米朝関係を改善しようと思っています。
しかし、アメリカ政府内でそんなことを考えているのはトランプ大統領だけです。側近は全員が反対です。北朝鮮が非核化を実行するとは信じがたいことですし、かりにすべてうまくいって朝鮮半島が平和になるのもアメリカにとって好ましくないからです。
ですから、トランプ大統領の強引さだけで米朝関係は牽引されていました。

ハノイでの会談は2月27日、28日に行われましたが、27日は会談、夕食会が順調に進行し、トランプ大統領は「あすは忙しくなる。多くのことが解決されると期待している」と語りました。しかし、28日は、首脳会談は30分で終わり、そのあと予定になかったポンペオ国務長官らを含めた拡大会合になり、そして、昼食会と署名式は中止となりました。
つまり27日と28日の間になにかがあったのです。なにがあったかというと、米下院の公聴会でトランプ氏の元顧問弁護士だったマイケル・コーエン氏が証言したこと以外にありません。

コーエン氏は10年間もトランプ大統領の顧問弁護士を務めた腹心で、トランプ大統領の裏側を知り尽くしています。そのコーエン氏が議会証言でトランプ氏のことを「人種差別主義者、詐欺師、ペテン師」とののしり、ポルノ女優への口止め料支払いを依頼されたこと、選挙期間中もモスクワにトランプ・タワーを建設しようとしていたこと、納税額を少なくするために資産を過少報告したことなどを証言しました。これはテレビ中継され、トランプ大統領もハノイのホテルで夜中に中継を見ていたようです。28日の朝の会談冒頭には「終始、疲れた表情を浮かべ」と朝日新聞に書かれています。
トランプ大統領が精神的に落ち込んだ瞬間を狙って、側近が一気に巻き返しをはかり、会談を決裂に持ち込んだのです。

多くの人はなぜ急に会談が決裂したのか理解できていませんが、あのときのコーエン証言がアメリカ国内でビッグイベントで、トランプ大統領の弾劾の可能性まで言われたことからすれば、十分にありうることです。

トランプ大統領は一時的に落ち込みましたが、すぐに回復し、そうすると米朝会談を決裂させたことを後悔し、修復をはかろうとしました。しかし、親書の交換はできても、側近は次の米朝会談のおぜん立てをなかなかしてくれません。そこで、大阪のG20のあと韓国へ飛び、自分でツイッターで金委員長に呼びかけて、今回の非武装地帯での会談を実現させたというわけです。

トランプ大統領がいかに金委員長を気に入って、米朝関係の改善を重視しているかが、今回の電撃会談実現でよくわかります。


トランプ大統領は好き嫌いがひじょうにはっきりした人間です。
そして、この好き嫌いは一貫して、ほとんど変わることがありません。
外交というとなにか戦略があるようですが、トランプ大統領の外交はすべて好き嫌いで動きます。
たとえばイラン核合意からの離脱は、イラン嫌いと、核合意を主導したオバマ大統領嫌いから決定され、それ以外の理由はありません。

トランプ大統領は金委員長のほかにプーチン大統領も好きです。ただ、ロシアがアメリカ大統領選挙に介入したという疑惑があるために、それほど仲良くすることはできませんが、好意を持っていることはトランプ大統領の言動のはしばしにうかがえます。
米中は現在、貿易戦争を演じていますが、トランプ大統領はもともと習近平主席に好意的でした。ですから、米中貿易戦争はいつ終結しても不思議ではありません。

北朝鮮、ロシア、中国と、本来はイデオロギー的にアメリカと対立するはずの国ですが、トランプ大統領はむしろ好意的です。よほど天邪鬼な性格なのでしょう。

もっとも好きな国は、イギリスとイスラエルです。これはアメリカの歴史からして当然です。

では、トランプ大統領が嫌いな国はというと、いっぱいあります。たとえば隣のメキシコです。カナダもあまり好きではありません。近隣国ではキューバはとくに嫌いです。

NATOの国も、イギリス以外のドイツ、フランス、トルコは嫌いです。
好き嫌いに同盟関係は関係ないようです。

イスラム圏の国はどこも嫌いです。中でもイランが嫌いなのは、過去のアメリカとの対立関係を考えると不思議ではありません。サウジアラビアは、利用価値があるので、嫌いの感情を出さないようにしているのでしょう。


では、日本はどうかというと、もちろん嫌いです。
トランプ大統領は大統領になる前から日本を繰り返し槍玉にあげていました。

「日本の科学者は車やVTRを作り、アメリカの科学者は日本を守るためのミサイルを作っている」 
「日本人はウォール街でアメリカの会社を買い、ニューヨークで不動産を買っている。(中略)どうみても彼らはこちらをコケにするためだけに法外な金額を払っているとしか思えない」(米プレイボーイ誌1990年5月号)

「日本は我々に親切ではありません。何十万台、何百万台ものコンピューターや車などを売りに来ますが、日本人は我々に食料を売らせません」(2014年の英デイリーメール紙のインタビュー)

「日本は米国に何百万台もの車を送ってくるが、東京でシボレーを見たことがありますか? 我々は日本人には叩かれっぱなしだ」
「中国、日本、メキシコから米国に雇用を取り戻す」(今年6月16日にニューヨークのトランプタワーで開かれた出馬表明演説)
http://1000nichi.blog73.fc2.com/blog-entry-7367.html

しかし、安倍首相と会って、利用価値のある存在と気づいたようです。安倍首相は大量の防衛装備品を買ってくれますし、ノーベル平和賞の推薦もしてくれます。
しかし、日本嫌いが日本好きに変わるということはありません。安倍首相を利用しているだけです。

ちなみに、トランプ大統領は数日前に「アメリカが攻撃されても日本人はソニーのテレビでそれを見ているだけだ」と安保条約の不公平性を指摘する発言をしましたが、今回検索していると、大統領選のときにもまったく同じ発言をしていたことがわかりました。トランプ大統領の頭の中は今も昔も変わりません。

安倍首相も日本国民も、トランプ大統領から好かれようという気持ちを捨てなければなりません。
安倍首相はむしろトランプ大統領にきびしい態度で臨んだほうがうまくいくのではないでしょうか。

安倍首相によるトランプ大統領の“おもてなし”ぶりは涙ぐましいほどでした。
それがトランプ氏の譲歩を引き出して、通商交渉が有利に進むなら、やった意味はありますが、トランプ氏はまったく譲歩する気配はありません。逆にトランプ氏は「日本は新型戦闘機F35105機購入する意向を示してくれた。日本はF35を最も多く保有する同盟国になる」と自分の成果を誇示しました。安倍首相のほうが譲歩しているのです。
 
いや、トランプ氏はツイッターで通商交渉について「7月の選挙まで待つ」と言って、参院選を控える安倍首相に配慮しました。これは安倍首相がトランプ氏の譲歩を引き出したといえます。
しかし、これは日本の国益とは関係ありません。安倍首相の政権維持のためです。
 
安倍首相においては、国益は二の次、三の次です。
安倍首相は「トランプ大統領とは完全に一致しました」とか「日米は完全に一致しました」ということを繰り返し言っています。
「アメリカファースト」を掲げるトランプ大統領と「完全に一致」したら、安倍首相は「アメリカファースト」を受け入れたということになります。
 
ということは、安倍首相においては、アメリカ第一、自分第二、日本第三という順番になると思われます。
 
安倍首相だけでなく、日本の保守や右翼はほとんどが「アメリカファースト」です。
 
たとえば、トランプ氏が大相撲を観戦して退場する際、近くの升席にいた作家の門田隆将氏、評論家の金美齢氏、ジャーナリストの櫻井よしこ氏と握手するシーンがテレビに映り、この3人は安倍首相のお友だちと見られるだけに、「コネを使ってトランプと握手した」とか「安倍首相のお友だち優先」とかの批判の声が上がりました。
 
それに対して門田氏は、升席は自費で確保したものだとブログで反論しています。
 
 
産経新聞がトランプ氏の大相撲観戦の予定をスクープしたのは、4月12日朝刊だった。記事を見た私は、即座にコミッションドクターとしてボクシング界やプロレス界といった格闘技界、あるいは自身が慈恵医大の相撲部だったこともあり、大相撲界にも広い人脈を持つ旧知の富家孝医師にすぐ連絡し、マス席を確保してもらった。
さすがに普段より値段が高く、かなりの金額だった。私は富家氏と相談し、いつもお世話になっている金美齢さん、櫻井よしこさんのお二人をご招待することにしたのだ。
マス席は西方だったが、通路のすぐ横だった。それはトランプ氏らが出入りする通路。朝乃山関への表彰が終わって退場する時、思わず、4人が「Mr.President!」と声をかけるとトランプ氏がニコニコしながら近づいてきて、金美齢さんと握手をしてくれた。
私も手を出すと、大きな手でぐっと握ってきた。カサカサしていて、アスリートのような手だった。私は、野球選手の手のようだと思ったが、考えたらトランプ氏はゴルフの腕前がシングルなので、それはゴルフ選手の手だったのだろう。私のあと櫻井さんも握手したが、富家氏だけがしそびれてしまった。
 
 
まるで偶然握手できたかのようですが、一般人との接触はSPが止めるはずで、やはり仕組まれていたものではないでしょうか。
 
いずれにしても、門田隆将、金美齢、櫻井よしこという日本の保守を代表する論客が、わざわざトランプ氏のくる日に大相撲観戦に行き、自分から手を出してトランプ氏と握手したのは事実です。
まるでアイドルのファンのような行動です。
日本の保守にとってトランプ氏は崇拝の対象であるようです。
 
安倍首相がいくらアメリカから戦闘機を買っても保守や右翼から批判の声は上がりません。辺野古埋め立てにも保守や右翼は賛成です。
 
「親米右翼」や「親米保守」という言葉がありますが、「売国右翼」や「売国保守」といったほうが適切です。
 
少なくともトランプ氏と握手して喜んでいるような人間は、右翼とも保守とも言えません

倫理の基本は「人にされていやなことを人にしてはいけない」あるいは「人にしてもらいたいことを人にしなさい」ということだと言われます。
自分だけ特別はいけない、自分も他人も同じルールに従わなければいけないということです。
 
トランプ大統領の言う「アメリカファースト」は自分だけ特別ということです。
一国でもこんな国があったら、国際社会の秩序が成り立ちません。
ところが、アメリカファーストを批判する声がほとんど上がりませんでした。
 
ただ、フランスのマクロン大統領は違います。
第1次世界大戦終結から100年となった1111日、トランプ大統領、プーチン大統領、メルケル首相ら各国首脳が出席する記念式典がパリで開かれ、マクロン大統領は演説で、「ナショナリズムは愛国心に対する裏切りです。自分たちの利益が第一であり、他の国はどうでもいいと言うことは国家が大切にしているもの、国家に命を与えるもの、国家を偉大にするもの、国家にとって本質的なもの、つまり国家の倫理的価値観を消し去ることになります」と語りました。
 
名指しこそしていませんが、「私はナショナリストだ」と公言するトランプ大統領のことを言っているのは明らかです。
 
フランス人は自国の文化、とりわけ哲学に誇りを持っているので、アメリカを批判できる強さがあります。イラク戦争のときもシラク大統領は最後まで戦争に反対したため、アメリカは国連決議なしで開戦しなければなりませんでした。
 
自国第一がだめなのは子どもでもわかる理屈ですが、これをはっきり言えるのはフランスぐらいです。
世界のほとんどの国は、アメリカの力を恐れてアメリカやトランプ大統領に対する批判を控えています。
しかし、アメリカは共通のルールに従うのを嫌って、二国間協議によってルールをつくろうとしています。二国間協議になると、どの国もアメリカの力に押されて、不利なルールを飲まされてしまいます。
 
では、どうすればいいかというと、各国が団結してアメリカに対抗するしかありません。
これも子どもでもわかる理屈です。
 
アメリカ国内では、トランプ派対反トランプ派が激しく争い、トランプ大統領の弾劾の可能性も言われています。
各国が反トランプの動きをすれば、アメリカ国内の反トランプ派と呼応してトランプ大統領を追い詰めることができます。
 
各国が団結するには、呼びかけ人というかリーダーになる国が必要です。
考えられるのはフランスやドイツでしょうか。
イギリスはアメリカに近すぎます。
中国はアメリカと同じ覇権主義の国なので、ふさわしくありません。
インドは冷戦時代は第三世界のリーダーでしたが、最近そういう役割はしていません。
本来なら日本はいいポジションにいるのですが、まったくありえないことです。
 
ともかく、なにもしなければ二国間協議で各個撃破されるだけです。
各国は団結して対抗するしかありません。
 
「万国の国家よ、団結せよ」です。

アメリカ中間選挙は、予想通り下院は民主党、上院は共和党の過半数となりました。
トランプ大統領は「今夜は素晴らしい成功だ。みんな、ありがとう」とツイートし、結果に満足しているようです。
トランプ大統領について改めて考えてみました。
 
トランプ大統領のやることはめちゃくちゃですが、唯一いいところがあるとすれば、アメリカが力で世界を支配しているという現実を見せてくれたことです。
 
トランプ大統領がアメリカファーストを掲げて登場したとき、各国の指導者で「その考え方は間違っている」とか「じゃあ、私も自国ファーストでいく」と言った人はほとんどいません(私の記憶ではフィリピンのドゥテルテ大統領がフィリピンファーストを言いました)
もちろん安倍首相も言いません。もし安倍首相が「ドナルド、君がアメリカファーストなら、私はジャパンファーストでいくよ」と言ったらどうなるでしょうか。
おそらくトランプ大統領は、「やれるものならやってみろ」と言うでしょう。
トランプ大統領がアメリカファーストと言えるのは、アメリカが強大な力を持っているからです。日本が言えるわけありません。
 
もともとアメリカは力で世界を支配してきました。
いや、力というより暴力といったほうがぴったりします。
ただ、表面的には「自由と民主主義」を掲げていました。トランプ大統領はそういう看板を投げ捨てただけです。
 
アメリカは先住民を虐殺して土地を奪い、アフリカから連れてきた黒人を奴隷として使い、イギリス軍と戦って独立しました。暴力で成立した国です。
現在、銃規制に強固な反対があるのも、銃が国家成立とつながっているからです。
 
アメリカは国際法や国連などを、つごうのよいときだけ利用し、つごうの悪いときは平気で無視し、二次大戦後も数限りない戦争をしてきました。
 
こういうアメリカの姿は、妻子に暴力をふるうDV男にたとえるとよくわかるでしょう。
 
トランプ大統領はアメリカの暴力的な面を体現した人間です。
彼は世界に対してDV男としてふるまうだけでなく、国内においてもDV男のようにふるまっています。
ですから、今回の中間選挙でも女性と若者の多くは反トランプに動きました。
トランプ派も反トランプ派もきわめて感情的になるのは、心理にDV問題が投映されているからです。
 
 
今回の選挙結果を受けて、西村康稔官房副長官は11月7日の記者会見で、「日米同盟は揺るぎなく、引き続きさまざまな分野で米国との連携を進めていきたい」と語りました。
まるで壊れたレコードです。
気まぐれなトランプ大統領と揺るぎない関係を築けるわけがありません。
 
戦後の日本はずっとDV男に依存する女性みたいなものでした。
そうした女性は依存しているという自覚がありません。
しかし、トランプ大統領をよく観察すれば、その本質がDV男だとわかります。
日本はアメリカ依存から脱却するチャンスを迎えています。安倍政権には期待できませんが。

明けましておめでとうございます。
 
新年にふさわしい明るい話題はないかと探しましたが、なかなか見当たりません。
今年も去年の継続です。
 
金正恩委員長は「新年の辞」において、「米本土全域が核攻撃射程圏内にあり、核のボタンが事務室の机の上にいつもある」と述べました。
それに対してトランプ大統領はツイッターで「私も核のボタンを持っていて、それは彼のものよりはるかに大きく、はるかに強力だ。私のボタンは実際に作動する!」と述べました。
まるで子どもの口喧嘩です。
 
こういうやりとりを見ると、「トランプ大統領はバカだ」と思いたくなります。しかし、トランプ大統領は、自分は知能指数が高いと自慢しています。
 
ティラーソン国務長官がトランプ大統領をバカ呼ばわりしたと報じられたとき、トランプ大統領はインタビューの中で「もしティラーソン長官が自分を『ばか』呼ばわりしたのなら、我々はIQテストを受け、比べなければならない。どちらが勝つのか、わかりきっている」と述べました。
大統領選挙中にも、トランプ氏がイスラム教徒の入国を禁止すると主張したことについてロンドン市長から批判されると、「IQテストをしよう」と反論したことがあります。
また、トランプ大統領は就任式の前日,共和党幹部が集まった昼食会で自分が選んだ閣僚たちを紹介して「賢い人たちを閣僚に集めた。歴代の政権の中で最もIQが高い」と述べました。
 
ネットで調べると、トランプ大統領の知能指数は高いという説があります(根拠は示されませんが)。
 
一方、ニュースサイト「バズフィード」によると、マクマスター大統領補佐官は「トランプ大統領の知能レベルは幼稚園児並み」「安全保障について理解する能力がない」などと批判したということです。
いったいどちらが正しいのでしょうか。
 
私が思うに、アメリカの大統領になるぐらいですから、知能は高いはずです。むしろ場当たり的な主張やいい加減な政策でも大統領が務まっているので、かなり高いともいえます。
とくに言語能力が秀でていると思います。
予備選挙のとき、トランプ氏はすぐに消えると思われていましたが、ライバル候補を罵倒することで次々と撃破していきました。トランプ氏から“口撃”されることを恐れてトランプ批判をしない候補者もいました。
 
トランプ大統領は“ディール”を得意としています。これも言葉を駆使して相手を動かす能力が秀でているからでしょう。
 
トランプ大統領はツイッターも駆使しています。かなりむちゃくちゃな発言をしていますが、ツイッターをやることは支持率を下げるよりは上げることに貢献しているに違いありません。
 
すべてトランプ大統領の言語能力が優れていることを示しています。
しかし、トランプ大統領はその言語能力の使い方を間違えています。

政治家の言語能力が優れているというと、なにかの思想があって、一貫した主張を述べるというイメージですが、トランプ大統領の場合はまったく違います。トランプ大統領の言葉は思想の表現ではなく、相手を攻撃する道具です。
 
これはボクシングにたとえるといいでしょう。
トランプ大統領の言葉はボクサーのパンチのようなものです。相手がパンチを出すと、打ち返します。「私の核のボタンは彼のよりも強力だ」というのは、打ち返したパンチです。
パンチは相手の動きに合わせて、相手の弱点をねらって出すので、そこに一貫性を求めても意味がありません。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」です。
 
ボクサーは、パンチ力があり、手数が多く、KO率の高い選手に人気があります。トランプ大統領はまさにそういうタイプです。ツイッターではつねに誰かにパンチを出しています。反トランプ派の人もトランプ大統領の動きから目を離せません。人気ボクサーの試合が高視聴率をとるのと同じです。
 
「劇場型の政治」という言葉がありますが、トランプ大統領の場合は「ボクシングリング型の政治」です。
「劇場型の政治」にはストーリーがありますが、「ボクシングリング型の政治」には打ち合いがあるだけです。
 
願わくば言葉だけの打ち合いにとどめてほしいものです。

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