村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

カテゴリ: トランプ大統領

倫理の基本は「人にされていやなことを人にしてはいけない」あるいは「人にしてもらいたいことを人にしなさい」ということだと言われます。
自分だけ特別はいけない、自分も他人も同じルールに従わなければいけないということです。
 
トランプ大統領の言う「アメリカファースト」は自分だけ特別ということです。
一国でもこんな国があったら、国際社会の秩序が成り立ちません。
ところが、アメリカファーストを批判する声がほとんど上がりませんでした。
 
ただ、フランスのマクロン大統領は違います。
第1次世界大戦終結から100年となった1111日、トランプ大統領、プーチン大統領、メルケル首相ら各国首脳が出席する記念式典がパリで開かれ、マクロン大統領は演説で、「ナショナリズムは愛国心に対する裏切りです。自分たちの利益が第一であり、他の国はどうでもいいと言うことは国家が大切にしているもの、国家に命を与えるもの、国家を偉大にするもの、国家にとって本質的なもの、つまり国家の倫理的価値観を消し去ることになります」と語りました。
 
名指しこそしていませんが、「私はナショナリストだ」と公言するトランプ大統領のことを言っているのは明らかです。
 
フランス人は自国の文化、とりわけ哲学に誇りを持っているので、アメリカを批判できる強さがあります。イラク戦争のときもシラク大統領は最後まで戦争に反対したため、アメリカは国連決議なしで開戦しなければなりませんでした。
 
自国第一がだめなのは子どもでもわかる理屈ですが、これをはっきり言えるのはフランスぐらいです。
世界のほとんどの国は、アメリカの力を恐れてアメリカやトランプ大統領に対する批判を控えています。
しかし、アメリカは共通のルールに従うのを嫌って、二国間協議によってルールをつくろうとしています。二国間協議になると、どの国もアメリカの力に押されて、不利なルールを飲まされてしまいます。
 
では、どうすればいいかというと、各国が団結してアメリカに対抗するしかありません。
これも子どもでもわかる理屈です。
 
アメリカ国内では、トランプ派対反トランプ派が激しく争い、トランプ大統領の弾劾の可能性も言われています。
各国が反トランプの動きをすれば、アメリカ国内の反トランプ派と呼応してトランプ大統領を追い詰めることができます。
 
各国が団結するには、呼びかけ人というかリーダーになる国が必要です。
考えられるのはフランスやドイツでしょうか。
イギリスはアメリカに近すぎます。
中国はアメリカと同じ覇権主義の国なので、ふさわしくありません。
インドは冷戦時代は第三世界のリーダーでしたが、最近そういう役割はしていません。
本来なら日本はいいポジションにいるのですが、まったくありえないことです。
 
ともかく、なにもしなければ二国間協議で各個撃破されるだけです。
各国は団結して対抗するしかありません。
 
「万国の国家よ、団結せよ」です。

アメリカ中間選挙は、予想通り下院は民主党、上院は共和党の過半数となりました。
トランプ大統領は「今夜は素晴らしい成功だ。みんな、ありがとう」とツイートし、結果に満足しているようです。
トランプ大統領について改めて考えてみました。
 
トランプ大統領のやることはめちゃくちゃですが、唯一いいところがあるとすれば、アメリカが力で世界を支配しているという現実を見せてくれたことです。
 
トランプ大統領がアメリカファーストを掲げて登場したとき、各国の指導者で「その考え方は間違っている」とか「じゃあ、私も自国ファーストでいく」と言った人はほとんどいません(私の記憶ではフィリピンのドゥテルテ大統領がフィリピンファーストを言いました)
もちろん安倍首相も言いません。もし安倍首相が「ドナルド、君がアメリカファーストなら、私はジャパンファーストでいくよ」と言ったらどうなるでしょうか。
おそらくトランプ大統領は、「やれるものならやってみろ」と言うでしょう。
トランプ大統領がアメリカファーストと言えるのは、アメリカが強大な力を持っているからです。日本が言えるわけありません。
 
もともとアメリカは力で世界を支配してきました。
いや、力というより暴力といったほうがぴったりします。
ただ、表面的には「自由と民主主義」を掲げていました。トランプ大統領はそういう看板を投げ捨てただけです。
 
アメリカは先住民を虐殺して土地を奪い、アフリカから連れてきた黒人を奴隷として使い、イギリス軍と戦って独立しました。暴力で成立した国です。
現在、銃規制に強固な反対があるのも、銃が国家成立とつながっているからです。
 
アメリカは国際法や国連などを、つごうのよいときだけ利用し、つごうの悪いときは平気で無視し、二次大戦後も数限りない戦争をしてきました。
 
こういうアメリカの姿は、妻子に暴力をふるうDV男にたとえるとよくわかるでしょう。
 
トランプ大統領はアメリカの暴力的な面を体現した人間です。
彼は世界に対してDV男としてふるまうだけでなく、国内においてもDV男のようにふるまっています。
ですから、今回の中間選挙でも女性と若者の多くは反トランプに動きました。
トランプ派も反トランプ派もきわめて感情的になるのは、心理にDV問題が投映されているからです。
 
 
今回の選挙結果を受けて、西村康稔官房副長官は11月7日の記者会見で、「日米同盟は揺るぎなく、引き続きさまざまな分野で米国との連携を進めていきたい」と語りました。
まるで壊れたレコードです。
気まぐれなトランプ大統領と揺るぎない関係を築けるわけがありません。
 
戦後の日本はずっとDV男に依存する女性みたいなものでした。
そうした女性は依存しているという自覚がありません。
しかし、トランプ大統領をよく観察すれば、その本質がDV男だとわかります。
日本はアメリカ依存から脱却するチャンスを迎えています。安倍政権には期待できませんが。

明けましておめでとうございます。
 
新年にふさわしい明るい話題はないかと探しましたが、なかなか見当たりません。
今年も去年の継続です。
 
金正恩委員長は「新年の辞」において、「米本土全域が核攻撃射程圏内にあり、核のボタンが事務室の机の上にいつもある」と述べました。
それに対してトランプ大統領はツイッターで「私も核のボタンを持っていて、それは彼のものよりはるかに大きく、はるかに強力だ。私のボタンは実際に作動する!」と述べました。
まるで子どもの口喧嘩です。
 
こういうやりとりを見ると、「トランプ大統領はバカだ」と思いたくなります。しかし、トランプ大統領は、自分は知能指数が高いと自慢しています。
 
ティラーソン国務長官がトランプ大統領をバカ呼ばわりしたと報じられたとき、トランプ大統領はインタビューの中で「もしティラーソン長官が自分を『ばか』呼ばわりしたのなら、我々はIQテストを受け、比べなければならない。どちらが勝つのか、わかりきっている」と述べました。
大統領選挙中にも、トランプ氏がイスラム教徒の入国を禁止すると主張したことについてロンドン市長から批判されると、「IQテストをしよう」と反論したことがあります。
また、トランプ大統領は就任式の前日,共和党幹部が集まった昼食会で自分が選んだ閣僚たちを紹介して「賢い人たちを閣僚に集めた。歴代の政権の中で最もIQが高い」と述べました。
 
ネットで調べると、トランプ大統領の知能指数は高いという説があります(根拠は示されませんが)。
 
一方、ニュースサイト「バズフィード」によると、マクマスター大統領補佐官は「トランプ大統領の知能レベルは幼稚園児並み」「安全保障について理解する能力がない」などと批判したということです。
いったいどちらが正しいのでしょうか。
 
私が思うに、アメリカの大統領になるぐらいですから、知能は高いはずです。むしろ場当たり的な主張やいい加減な政策でも大統領が務まっているので、かなり高いともいえます。
とくに言語能力が秀でていると思います。
予備選挙のとき、トランプ氏はすぐに消えると思われていましたが、ライバル候補を罵倒することで次々と撃破していきました。トランプ氏から“口撃”されることを恐れてトランプ批判をしない候補者もいました。
 
トランプ大統領は“ディール”を得意としています。これも言葉を駆使して相手を動かす能力が秀でているからでしょう。
 
トランプ大統領はツイッターも駆使しています。かなりむちゃくちゃな発言をしていますが、ツイッターをやることは支持率を下げるよりは上げることに貢献しているに違いありません。
 
すべてトランプ大統領の言語能力が優れていることを示しています。
しかし、トランプ大統領はその言語能力の使い方を間違えています。

政治家の言語能力が優れているというと、なにかの思想があって、一貫した主張を述べるというイメージですが、トランプ大統領の場合はまったく違います。トランプ大統領の言葉は思想の表現ではなく、相手を攻撃する道具です。
 
これはボクシングにたとえるといいでしょう。
トランプ大統領の言葉はボクサーのパンチのようなものです。相手がパンチを出すと、打ち返します。「私の核のボタンは彼のよりも強力だ」というのは、打ち返したパンチです。
パンチは相手の動きに合わせて、相手の弱点をねらって出すので、そこに一貫性を求めても意味がありません。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」です。
 
ボクサーは、パンチ力があり、手数が多く、KO率の高い選手に人気があります。トランプ大統領はまさにそういうタイプです。ツイッターではつねに誰かにパンチを出しています。反トランプ派の人もトランプ大統領の動きから目を離せません。人気ボクサーの試合が高視聴率をとるのと同じです。
 
「劇場型の政治」という言葉がありますが、トランプ大統領の場合は「ボクシングリング型の政治」です。
「劇場型の政治」にはストーリーがありますが、「ボクシングリング型の政治」には打ち合いがあるだけです。
 
願わくば言葉だけの打ち合いにとどめてほしいものです。

今年を振り返ってみると、トランプ政権に振り回された一年だったなあと思います。
 
北朝鮮問題にしても、北の核が脅威だというよりも、トランプ政権が武力行使をしそうなことのほうがよほど脅威でした。
パリ協定離脱とかイスラエルのエルサレム首都認定とか、トランプ政権は確実に世界を悪くしています。
 
すべてのもとは、トランプ大統領が「アメリカファースト」を掲げて世界に出てきたとき、誰もそれをたしなめなかったことです。
もし子どもが「自分第一だ」と言ったら、親や教師は「みんなが自分第一だと言ったらどうなると思う?」と言ってたしなめるはずです。
利己主義はよくないというのは倫理の基本です。
 
安倍首相が「じゃあ私はジャパンファーストで行く」と言うのもひとつの手です。これもトランプ大統領をたしなめることになります。
しかし、世界の首脳でそういうことを言う人はいなかったと思います。
 
もっとも、マクロン大統領が「トランプ大統領がアメリカファーストなら、われわれはフランスファーストだ」と言ったとしても、トランプ大統領はマクロン大統領を罵倒して終わりでしょう。
トランプ大統領は、アメリカは特別な国で、ほかの国とは比べものにならないと思っているに違いありません。
 
特別な国というのは、要するに「神の国」ということです。もともとアメリカはきわめて宗教的な国ですが、トランプ大統領の支持層はとくに宗教的です。
たとえば、最近アメリカではクリスマスに「メリークリスマス」ではなく「ハッピーホリデー」という言葉を使う傾向がありましたが、トランプ大統領は選挙中から「当選したらメリークリスマスを使う」と約束していて、ニュースによると、最近約束通り「メリークリスマス」という言葉を連発しているそうです。
 
それはアメリカの国内問題ですが、エルサレムをイスラエルの首都と認定してアメリカ大使館を移転するとなると、国際問題です。
日本のマスコミは、これはアメリカ国内の支持者向けの政策だと解説していますが、だったら国連総会に首都認定の撤回を求める決議案が出されたとき、法的拘束力のない決議案ですから、無視していればいいのです。ところが、トランプ政権は決議案に賛成した国には援助を削減すると脅しをかけました。
エルサレムはキリスト教にとっても聖地です。エルサレムはユダヤ・キリスト教のものだと世界に(とくにイスラム教徒に)認めさせたいのでしょう。
 
ともかく、アメリカは「神の国」で、ほかの国と違うのだから、アメリカファーストを主張するのは当然だというのがトランプ大統領の考えでしょう。
 
主権国家はどの国も国際法に従うべきで、これは法の支配の精神からも当然です。
「法の支配」の反対語は「人の支配」で、要するに王様が支配している状態です。
アメリカファーストの主張が通用する世界は、アメリカが王様としてわがままにふるまっている世界です。
 
前からアメリカは王様のようにふるまってきましたが、トランプ大統領が登場して、それが露骨になりました。
アメリカは相対的に世界における地位を下げ続けてきて、これが最後のあがきというところです。
誰かが「王様は裸だ」と叫んでもいいときです。

トランプ大統領は11月初めに予定されている訪韓の際に、南北軍事境界線の板門店を視察することを検討していると報じられていましたが、結局トランプ大統領の安全を考慮して視察はしないことになりました。
トランプ大統領の訪韓は1泊2日の日程なのに、そこに板門店視察を押し込もうとしたのは、よほど板門店を見たかったのでしょう。
 
代わりにというわけではないでしょうが、トランプ大統領に先立って訪韓したマティス国防長官は1027日、韓国の宋永武国防相とともに板門店を訪問しました。
 
トランプ政権高官は板門店訪問が好きなようです。
ティラーソン国務長官は3月17日に、ペンス副大統領は4月17日に板門店を訪問しています。
 
非武装地帯をはさんで両軍がにらみ合っているという休戦状態のところは、世界で朝鮮半島にしかありません。
ですから、ここは一種の観光名所になっています。
 
私も数年前に板門店ツアーに参加したことがあります。
「なにがあっても責任を問いません」みたいな文書に署名させられ、手を振ってはいけないとか笑ってはいけないとかの注意を受けます。
軍事境界線のちょうど上に会議場があって、周囲には両軍の警備兵がいて、緊張感があります。会議場の中に入ることもできますが、向こう側のドアに近づくなと注意されます。急にドアが開いて向こう側に拉致されるかもしれないというのです。
非武装地帯は野生動物の楽園になっているということです。
 
あたりを見物していると、軍事境界線の向こうのほうに人の集団が見えます。ガイドが言うには、やはり板門店見物にきた中国人観光客だそうです。北朝鮮も板門店ツアーをやって外貨稼ぎをしているのです。彼らもこちらを見ていて、観光客の見物の対象になるのは妙な気分です。
 
トランプ政権の高官たちはどういうつもりで板門店を訪れるのでしょうか。外交的に意味がある行為とも思えません。やはり休戦状態なるものを一度見物しておきたいということでしょう。
 
朝鮮休戦協定が成立したのは1953年ですから、もう64年も休戦状態のままです。なぜこんなことになったのかというと、アメリカが朝鮮半島から撤退するという約束を破って平和条約を締結しなかったからです。このことは前に書いたことがあります。
 
知らなかった朝鮮休戦協定の話
 
ですから、いつまでも休戦状態が続いているのはアメリカが望んだことなのです。
アメリカ政府高官たちも、それが望ましい状態だから見にくるのでしょう。
 
なぜアメリカはそんなことを望むかというと、覇権主義のためというしかありません。
アメリカは世界の70以上の国と地域に約800の軍事基地を有しています。
朝鮮半島の基地は、アメリカから見て西方の最前線です。アメリカは建国以来、西へ西へと開拓を進めてきて、とうとうここまでたどり着いたのです。
 
アメリカが軍事基地を置いておくには一定の軍事的緊張が必要です。休戦状態というのは実に好都合で、そのため64年も続いてきたのでしょう。
ただ、その結果、北朝鮮の開発したICBMがアメリカ本土に届くかもしれないという事態になり、アメリカも少々あわてているというところでしょう。
 
現在、アメリカが北朝鮮を攻撃するかしないかという話になっていますが、そもそもアメリカは朝鮮半島をどうしたいのかということが問われないといけません。
平和条約を締結して朝鮮半島を平和にしたいのか、それとも軍事的緊張状態を続けたいのか、どちらかということです。
 
本来なら安倍首相がトランプ大統領に会ったときに問いただすべきですが、トランプ大統領に追随するだけの安倍首相にできるわけがありません。

トランプ大統領が11月5日から2泊3日で来日することが決まりました。
拉致被害者家族の横田夫妻とも面会するそうです。
安倍首相とトランプ大統領がゴルフをする方向で調整という報道もあります。
 
安倍首相、来日するトランプ大統領とゴルフを計画
場所は埼玉県川越市の「霞ケ関カンツリー倶楽部」で調整
 
世界から白い目で見られているトランプ大統領理と親しげにゴルフをする姿が世界に報道されることの意味が安倍首相にはわかっていないようです。
 
海上自衛隊のヘリ空母「いずも」に安倍首相とともに乗艦し、日米両国の結束を示すことも検討されているそうです。
 
トランプ米大統領、来日時に海自「いずも」乗艦検討 安倍晋三首相も
 
「いずも」は海自最大の自衛艦で、日本の自慢かもしれませんが、米軍の空母と比べればしょぼいものです。なぜそんなものをトランプ大統領に見せるのかと思いましたが、「アメリカのためにこんなものをつくりました」とアピールしたいのでしょう。自衛隊はほとんど米軍と一体化した存在だからです。
 
トランプ大統領の韓国訪問は1泊2日の日程なので、韓国では日本に差をつけられたと不満の声が出ているそうですが、そういうことを報じる日本のマスコミも韓国との差を気にしているのでしょう。まるで殿の寵愛をめぐって争う大奥の女みたいです。
 
 
日本人にとってアメリカ大統領は特別な存在なのかもしれません。
私が子どものころは、子ども向けの偉人伝の中に「キュリー夫人伝」や「エジソン伝」とともに必ず「ワシントン伝」と「リンカーン伝」がありました。
ワシントンやリンカーンはアメリカ人にとっては重要人物ですが、日本人までが重要人物だと思い、しかも偉人だと思っていたのは、やはりアメリカによる占領で日本人が洗脳されていたからでしょう。
それが今まで尾を引いているのか、トランプ大統領に媚びようとする安倍政権の姿は情けないというしかありません。
 
 
情けないといえば、このところ米軍のオスプレイやヘリコプターの事故が相次いで、そのたびに小野寺防衛相が米軍に飛行中止の要請をしていますが、まったく無視されています。
飛行機事故は日本人の人命にかかわる問題です。それにもかかわらず「要請」するだけで「命令」できないというのは、日米安保条約と日米地位協定が不平等条約になっているからですが、多くの人はこれが不平等条約だという認識すらないようです。逆にアメリカに守ってもらっているという引け目を感じていたりします。
 
こうしたアメリカ観のゆがみは、そもそもペリー来航のときから始まっているというのが私の考えです。
アメリカの武力の脅しによる開国要求は、先住民虐殺や黒人奴隷化の延長上にあるもので、当時の日本人が反発して攘夷に沸き返ったのは当然です。
幕府は脅しに屈して開国し、1858年に日米修好通商条約を締結しましたが、これが不平等条約だったためにますます攘夷の世論は高まり、それを背景に1866年、薩長連合が成立し、倒幕がなって明治政府が成立しました。しかし、薩長は攘夷の旗を降ろして国民を裏切り、明治政府は開国はよいことだとしました。
 
開国はいいことだったにせよ、開国は自主的な判断で行うことで、脅されてすることではありません。
「押しつけられた開国はよかった」という認識はゆがんでいます。
このゆがみを正そうとする心理が今の「押しつけ憲法」論につながっている気がします。
 
その後、明治政府はたいへんな努力の末に不平等条約を改定します。
ここのところはちゃんとしていました。
しかし、戦後の自民党政府は江戸幕府のようなもので、アメリカから不平等条約を押しつけられっぱなしで、関係を対等にしようという意欲がありません。
 
で、民進党と希望の党が薩長連合のように手を結んで、自民党幕府を倒そうというのが前原誠司氏の思いだったでしょうが、小池百合子氏のほうはさらさらそういう気はなかったようで、安倍政権と戦うのではなく、民進党内のリベラル派と戦うというそっぽに行ったので、希望の党は失速し、安倍政権有利の展開になってしまいました。
 
選挙結果はどうあれ、今後の日本にとって最大の課題は、アメリカからいかに自立するかということです。
日本の安全保障をアメリカに丸投げするという安倍政権の方針は、アメリカが相対的に地盤沈下し、世界が多極化していく中でいつまでも続くはずがありません。

トランプ政権が発足して2月20日でちょうど1か月ですが、トランプ大統領は大統領令に署名するパフォーマンスをするだけで、まったく実行力がないということが見えてきました。
なにもかもがうまくいっていませんが、いちばんの問題は、メキシコ国境の壁の建設費をメキシコが払いそうにないことです。アメリカ国民の税金で建設費を払うのなら、トランプ支持者もがっかりでしょう。
 
トランプ大統領は18日にフロリダ州メルボルンで支持者を前に演説し、政権の混乱を伝えるメディアを攻撃し、「メディアが国民に嘘をついたら必ず罰してやる」などと言いました。
それに対してマケイン上院議員は「自由な報道が失われれば、独裁の始まりとなる」と批判しました。
 
トランプ大統領の人種差別主義と独裁的手法から、彼をヒトラーにたとえる向きもあります。しかし、ヒトラーとは大きく違うこともわかってきました。
 
ヒトラーのナチ党には突撃隊がいて、共産党など敵対組織とつねに殴り合いを演じて、死者を出すことも珍しくありませんでした。政権を握ってからは国会議事堂放火事件を理由に反対派を多数逮捕し、ゲシュタポも使って、反対派や一般市民に恐怖を与えました。また、ナチ党内でも突撃隊を粛清するなどしています。
ヒトラー自身も、その鋭い目つきや激しい語調で人々に恐怖を与えました。
つまりヒトラーの独裁は多分に恐怖を利用したものでした。
日本の軍部独裁も、五・一五事件、血盟団事件など暗殺の恐怖があったからこそです。
 
トランプ支持派に突撃隊のような実力部隊はいませんし、おそらく制度的にトランプ大統領がFBIやCIAを使って反対派を弾圧するということもできないでしょう。
トランプ大統領がどんな人間かもわかってきました。タフでパワフルですが、要するにひたすら自己中心的な人間です。そういうことがわかると、恐怖も感じません。
これではヒトラーのような独裁はむりです。
 
むしろこれからはトランプ大統領はどんどんバカにされるようになるのではないでしょうか。
たとえば、写真を加工して「小さいトランプ」をおもしろがるということがすでに流行しているということです。
 

トランプ米大統領を小人化した「小さいトランプ」画像が大流行!なんかカワイイwwwww

 
権力者は多くの人から笑われたりバカにされたりすると、権力者でなくなってしまいます。
 
トランプ大統領の行く末が見えてきました。
 
 
 
 

トランプ大統領は選挙中に「安倍は頭が切れる。キャロライン・ケネディは安倍に飲まされ食わされ、日本が望むことを何でもするようになった」と語っていました。
これはかなり悪意のある言葉です。
安倍首相はトランプ大統領に夕食をごちそうになるとき、「まさか私がケネディ大使にしたのと同じことをするつもりじゃないでしょうね」くらいの皮肉を言うべきですが、安倍首相にはむりでしょう。
 
日米首脳会談において、アメリカ側は貿易赤字問題を持ち出さなかったということで、日本側は安堵しましたが、これもおかしな話です。
トランプ大統領は「日本では、我々の車の販売を難しくしているのに数十万台の車が大きな船で米国に入ってくる」「公平ではなく、話し合わなければならない」と語っていました。これについては日本のほうから議題にして、「われわれは不公平なことはしていない。アメリカの貿易赤字は公平な貿易の結果だ」と主張するべきです。なにも言わないと、トランプ大統領の言ったことを認めたことになります。
 
日本がアメリカにものが言えないのは異常なほどです。安保法制にしても、日本はアメリカに言われたことをやるだけです。
 
ただ、これらは国益の問題です。もっと大きな、世界史的な問題もあります。
 
 
トランプ大統領は1月28日、イギリスのメイ首相との共同記者会見の場で、「(米英の)特別な関係は正義と平和にとって偉大な力の一つとなってきた」と語りました。
「正義」という言葉を持ち出したのは、第二次世界大戦で枢軸国を相手に戦ったことを念頭に置いているのでしょう。英米が正義で、枢軸国は悪だというわけです。
 
日本の左翼は、日本軍国主義を悪だと思っているので、この発言に反発はしないでしょうが、日本の右翼は、日本軍国主義を悪とするのは東京裁判史観であり、日本人に罪悪感を植え付ける洗脳プログラム(WGIP)のせいだと主張しているので、この言葉には反発しなければなりません。
しかし、日本でこの言葉はまったく問題にされていません。
右翼は慰安婦や南京事件で中国韓国にはものが言えますが、アメリカにはまったく言えないのです。
 
 
また、メイ首相は1月26日、フィラデルフィアでのアメリカ共和党の集会で演説し、「英米が、世界を自らのイメージに合わせて作りかえるために主権国家に介入した時代は終わった」と語りました。
「時代は終わった」と言っているだけで、主家国家に介入してきたことについて謝罪も反省もしていません。
いや、メイ首相はその言葉のあと、「だが、脅威が本物であり介入がわれわれ自身の利益になる場合においては、手をこまぬいているわけにはいかない」と述べています。つまりこれからも主権国家に介入するぞと言っているのです。
現にアメリカはアフガニスタンやイラクで主権国家を自分のイメージに合わせてつくりかえています。
民族自決権なんか完全に無視です。こうした米英の傲慢な態度こそがテロを生み出しており、世界平和にとって最大の脅威となっています。
 
しかし、こうしたことにも右翼はなにも言いません。
左翼にはまだ言う人がいますが、ごく少数です。
 
日本とアメリカでは圧倒的に国力の差があるので、二国間交渉ではどうしても不利になります。安倍政権は一国安全保障主義なので、軍事に関してはアメリカの言いなりです。
しかし、トランプ政権はアメリカファーストですから、日本が世界的な視野に立てば、有利になる可能性があります。
一国安全保障主義から世界平和主義への転換が急がれます。
 

訪米した安倍首相は、トランプ大統領との会談のあとゴルフをして、親密さを演出する作戦です。
 
イギリスのメイ首相も、1月27日にホワイトハウスでトランプ大統領と会談したときは、手をつないで歩くなどして親密さを演出しました。しかし、帰国すると「トランプのプードル」と批判され、メイ首相自身もトランプ大統領のイスラム圏7カ国からの入国禁止政策を批判するなど軌道修正をはかっています。
 
安倍首相は前車の轍を踏んでいます。
しかし、日本では事情が違うかもしれません。すでに「日米会談は100パーセント近い成果」と報道するマスコミもあります。「トランプのポチ」と批判する声は少なそうです。
 
日本人はいまだにアメリカ大統領を神格化しているのかもしれません。
 
昔はアメリカでも大統領は雲の上の人で、映画に大統領が姿を現すなんていうことはまずありませんでした。ある西部劇は、インディアンと騎兵隊が決戦をするという直前に大統領の特使が到着し、インディアンに居留地での待遇を約束することで戦いが回避され、ハッピーエンドになります。映画の常道としては、クライマックスで戦いがあるもので、私もそれを期待して観ていたのですが、「大統領の特使」が到着するというのもひとつのクライマックスとして成立していました。
 
日本映画でも、天皇陛下が姿を現すなんていうことは、一部の史実に基づく映画を例外として、まずありません。アメリカ大統領もそれに近い存在で、大統領の特使であってもありがたかったわけです。
 
アメリカ映画での大統領のイメージがまったく変わったのは、1997年制作の「エアフォース・ワン」です。ハリソン・フォード扮するアメリカ大統領は、大統領専用機を乗っ取ったテロリストに単身戦いを挑みます。
 
その前年に制作された「インディペンデンス・デイ」では、元戦闘機パイロットで湾岸戦争の英雄だったという設定のアメリカ大統領がみずから戦闘機に乗り込んで敵の宇宙船を攻撃します。
 
大統領が雲の上の人から、現場で戦うヒーローになったわけです。

その後、リンカーン大統領が吸血鬼と戦う「リンカーン/秘密の書」、ゾンビと戦う「リンカーン vs ゾンビ」なんていうのも制作されています。
 
トランプ大統領の出現もそういう流れの中にあります。
ただ、トランプ大統領はヒーローというイメージでなく、用心棒や借金取立人というところでしょう。
用心棒や借金取立人は凶暴なほうがいい。そういうことでトランプ大統領は支持されているのではないでしょうか。
 
犬にたとえれば、トランプ大統領はドーベルマンというところです。ポチやプードルでは、同じ土俵では勝負になりません。
 
今回の会談で、トランプ大統領は安倍首相と握手するとき、おそらく強烈な力で握りしめ、安倍首相は辟易した顔になっていたことが次の記事で示されています。
 
 
トランプ大統領、安倍首相と握手19秒 たかが握手、されど全てを物語る(動画)
 
 
握手で相手を威圧するというのはなんとも原始的なやり方です。安倍首相もプライドを傷つけられた可能性があります。日本国民はどうでしょうか。

安倍首相は2月10日のトランプ大統領との会談に、約17兆円の米国へのインフラ投資などで約70万人の雇用を創出するプランを手土産に持っていくということです。
日本人の雇用よりアメリカ人の雇用に奉仕するとは、「朝貢外交」と言われて当然です。
 
安倍首相はトランプ大統領といっしょにゴルフをやるという話もあります。白人至上主義者にかわいがられようとする有色人種の姿は、世界から笑われるか、哀れに思われるか、どちらかです。
 
安倍首相がトランプ大統領に会ったとき、するべきことはゴルフではなく、自民党得意の「道徳教育」です。
トランプ大統領ほど道徳教育が必要な人はいません。
 
たとえば、トランプ大統領は水責めなどの拷問を肯定する発言をしています。
安倍首相は「トランプさんはアメリカ兵が水責めされてもいいのですか。自分がされていやなことを人にしてはいけません」と教えるべきです。
 
また、アメリカのヘイリー国連大使は「アメリカの国益が優先されなければ国連分担金の一部拠出停止も辞さない」と発言しています。
安倍首相は「国連はアメリカの国益のためにあるのではありません。アメリカは大国の責任を自覚してもっと国連に貢献するべきです」とトランプ大統領に教えるべきです。
 
ほかにもトランプ大統領に教えることはいろいろあります。
 
「貧しいメキシコに壁をつくる費用を払わせるのは間違っています。豊かなアメリカは逆にメキシコの福祉の費用を払えばどうですか。そうすればメキシコ人の不法移民はへりますよ」
 
「アメリカを偉大な国にするとおっしゃっていますが、偉大であるかどうかは、自分で決めることではなく、周りが決めることです」
 
「アメリカファーストとおっしゃっていますが、世界中の国が自国第一主義になったら、どうなると思いますか」
 
 
もっとも、安倍首相はこういうことは言えないでしょう。
というのは、自民党の道徳教育は、自分より力のある者に対してものを言うということを教えていないからです。
 
自民党の道徳教育は、教師や親に従順な子どもをつくり、さらには企業に従順な労働者をつくるのが目的です。
ですから、イジメはよくないということは教えても、イジメにどう対処すればいいかということは教えませんし、勤勉のたいせつさは教えても、ブラック企業にどう対処すればいいかということは教えません。
 
「自己家畜化」という言葉があります。人間はブタやニワトリを家畜化して人間に都合のよいものにしてきましたが、人間は自分自身もまた人間に都合のよいものにしてきたのではないかという考え方です。
 
安倍首相や自民党は、日本人を権力に従順にしようと教育しているうちに、自分自身も権力に従順な存在に教育してしまったに違いありません。
そのため安倍政権はアメリカにすっかり従順になり、安倍首相はトランプ大統領に会っても媚びを売ることしかできないわけです。

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