安倍政権の外国人労働者受け入れ拡大の方針が問題になっていますが、すでに日本は移民大国になっていると言われます。
厚生労働省の集計によると、2017年10月時点で約128万人の外国人が日本で働いていて、この10年で倍増しています。在留外国人という枠では約247万人いて、これは名古屋市民の数とほぼ同じです。また、年間増加数では世界第4位です。
私は東京に住んでいますが、確かにコンビニや外食チェーンには外国人がいっぱい働いています。また、明らかに観光客ではなく住んでいると思われる外国人も街でいっぱい見かけます。
しかし、外国人がふえたことによるトラブルというのはあまり聞きません。というか、マスコミはあまり報道しません。
二、三十年前、中国人留学生が急増したころ、アパートでの話し声がうるさいとか、ゴミ出しの規則を守らないとかのトラブルをよく聞きました。
案外日本人はうまく移民を受け入れているのでしょうか。
警察庁のホームページで犯罪の統計を調べてみると、来日外国人の検挙件数は2005年が4万7865件とピークで、2015年には1万4267件と三分の一以下にへっています。
外国人の総数はふえていることを考えると、たいへんなへりようです(犯罪がへっているというデータは警察もマスコミも隠そうとするので、知らない人が多いでしょう)。
へっている理由はよくわかりません。“よい外国人”を選んで入国させているとも思えません。
外国で移民が問題視されるのは、移民の犯罪が多くて、治安が悪化するというのが主な理由です。
移民の犯罪が多くなる理由はわかります。ヨーロッパでは人種差別がひどくて、イスラム教への敵意も強いからです。
フランスではパリ郊外に移民街ができて、犯罪と失業とイスラム色が満ちていて、一般のフランス人の嫌悪や敵意の対象になっていますが、移民街ができるのは、フランス人が移民を差別しているからです。
日本にも外国人の多い街というのがあります。埼玉県川口市にある芝園団地という巨大団地は、住民の高齢化に伴い中国人などがふえ、今では約五千人の住民の半数余りが外国人です。
朝日新聞の記事によると、中国人住民と日本人住民は交流が少なく、“静かな分断”という状況でしたが、だんだんと交流もふえているということです。
半数が外国人住民の巨大団地で 共存と「静かな分断」
日本人はアジア人に差別意識を持っていますが、白人の非白人にたいする差別意識と比べると、うんとましです。
これから移民をふやしても、日本人は移民との共存をうまくやってのけ、 “移民受け入れ国の優等生”になるかもしれません。
といって、移民をふやすのがいいとは思えません。
外国人労働者をふやす理由として、人手不足の深刻化が言われますが、人手不足が深刻なら給料を上げればいいのです。上げられないなら、その事業は世の中にたいして必要とされていないということですから、つぶれてもしかたありません。
安い労働力を入れるのは、事業主をもうけさせるためです。
その結果、日本人労働者の給料は低いままになります。
移民政策は、日本人と移民の分断が心配されますが、日本人同士の分断のほうを心配するべきです。