村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

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韓国駆逐艦の自衛隊機に対するレーダー照射について、日本では韓国批判の威勢のいい声が上がっていますが、北方領土問題についてはロシアから言われっぱなしです。
 
1月14日、日露外相会談のあとの記者会見でラブロフ外相は、「第二次大戦の結果、北方領土のすべての島の主権がロシアに属することになった。日本側がこれを認めるのが第一歩だ」などと言いました。
菅官房長官は15日の記者会見でこの発言について質問されると、「政府の法的立場に変わりはありません」と言っただけで、「日本固有の領土」とも「ロシアの不法占拠」とも言いませんでした。
 
ラブロフ外相はまた、北方領土の呼び方にまで文句をつけたようです。
 
 ロシアでは北方領土は「南クリル」と呼ばれるが、ラブロフ氏は会見で「日本の法律では『北方領土』と記載されている」と苦言。「内政干渉ではないが」と断りながら、北方領土の名を記した日本の国内法の改正まで求めるような発言をした。
 
もし韓国の政府高官が「日本は竹島を独島と呼ぶように法律改正をするべきだ」などと言ったら、日本には反発の声が巻き起こったでしょう。
 
日本の世論が韓国とロシアでまったく反応が違うのは、ひとつには安倍政権のメディアに対するグリップが効いていることがあります。読売新聞などは日露外相会談が順調に進展したような書き方になっていますし、韓国については御用評論家みたいな人がこぞって批判の声を上げています。
そして、根本的には日本人の人種差別意識があります。
平均的な日本人は、韓国には威丈高になり、ロシアには卑屈になるのです。
安倍政権ももろにそうした人種差別外交をしています。
 
安倍首相はプーチン大統領と個人的に親密であることを、「ウラジミール」と呼ぶなどして誇示してきました。
習近平主席との親密さをアピールすることはしません。
この違いはなにかというと、習近平主席はアジア人で、プーチン大統領はヨーロッパの白人であることです。
 
日本人のほとんどは白人コンプレックスを持っています。
高級感を出したいデパートの広告には白人のモデルが多く起用されます。
ですから、中曽根首相とレーガン大統領がロン・ヤス関係といって個人的に親密な関係を築いたときは、日本人の多くは中曽根首相を賞賛しました。
 
そのころとは時代も変わり、日本人の白人コンプレックスも薄れました。
しかし、安倍首相はロン・ヤス関係を今も理想に思っているらしく、トランプ大統領と個人的に親密であることを誇示し、プーチン大統領とも同じです。
 
しかし、トランプ大統領もプーチン大統領も情に動かされるタイプの人間ではありません。
安倍首相が個人的に親密な関係をつくろうとしても、足元を見透かしていると思われます。
 
安倍首相はプーチン大統領との個人的な関係から北方領土返還がうまくいくと思って、2年ほど前、みずから国民の期待を大きく盛り上げたことがありました。
ところが、201612月、プーチン大統領を山口県長門市の温泉旅館に招いて首脳会談をしたところ、日本は3000億円の経済協力を約束するもののロシアから領土問題で前向きな発言はなにもなく、国民は肩透かしにあいました。
 
安倍首相の見込み違いも問題ですが、それよりもっと問題なのは、そのあとの安倍首相の対応です。
本来なら安倍首相はプーチン大統領には「ウラジミール、君には失望したよ」と言い、国民には「今回の交渉は進展しなくて、残念だった」と言うべきでした。
ところが、安倍首相は各局のニュース番組に出まくって、「『新たなアプローチ』に基づく交渉を開始することで合意した」とか「共同経済活動は北方領土問題解決への重要な一歩」などと言って、交渉は成功したというイメージを振りまいたのです。
“外交の安倍”というイメージを傷つけたくなかったのでしょう。
実際、国内ではそう失望の声は上がりませんでした。
 
しかし、ロシア側は、“やらずぼったくり”でも日本は文句を言わず、逆に成功したと言ってくれるということを学習しました。
これ以降、日本とロシアではまともな外交交渉が成立しなくなったと思われます。
 
安倍首相はいまだに外国首脳とロン・ヤス関係のような個人的に親密な関係をつくるのがよいと思っているようです。
ただ、その相手は白人国の首脳だけです。
中国、韓国、北朝鮮に対するときはまったく違います。
 
これは日本のイメージを損ないます。
たとえば安倍首相はトランプ大統領と個人的に親密であることをアピールしますが、これは「白人至上主義者にこびるアジア人」としか見えません。
 
ともかく、アメリカやロシアには卑屈になり、韓国には威丈高になるという人種差別的外交がろくな結果を招かないことは明らかです。

韓国駆逐艦の自衛隊哨戒機に対するレーダー照射事件ほどつまらないことはありません。
韓国駆逐艦は自衛隊機だと認識しているはずなので、攻撃するわけがありません。
自衛隊機もそれがわかっているので、防衛省が公表した動画でも、機長とクルーはずっと緊張感のない日常的な会話をしています。ただ、画面上に「FC(火器管制レーダー)探知」という赤い文字が警報のように明滅して危機感を演出しています。印象操作というしかありません。
 
韓国はレーダー照射をしたのにしていないと嘘をついているのかもしれませんが、その嘘をとがめだてしたところで、なんの国益にもなりません。
こんなことをしていると、世界中に日本の友好国はなくなってしまいます。
 
それにしても、安倍政権のあおりに乗って、レーダー照射が大ごとであるかのように報道するマスコミもひどいものです。
野党も、ここは安倍政権のやり方を批判しなければならないところですが、ほとんど沈黙を守っています。
 
 
ところで、安倍政権がレーダー照射問題で反韓感情をあおるのは、安倍外交がアメリカやロシアや中国になにも言えないので、その不満を韓国に向けさせる作戦かと思いました。
しかし、自民党の外交部会・外交調査会の合同会議で「韓国人に対する就労ビザの制限」「駐韓大使の帰国」「経済制裁」などを求める声が出て、菅官房長官も文在寅大統領の年頭記者会見の発言に対してすかさず「韓国側の責任を日本側に転嫁しようというものであり、極めて遺憾だ」と反論するなど、反韓路線を本格的にエスカレートさせています。
もしかすると、外交方針を大きく転換したのかもしれないと思い直しました。
 
日米安保体制は、もともと共産主義圏に対抗するものだったので、冷戦が崩壊するとその目的が失われました。そこで、「日米安保体制の再定義」をしなければならないとなったのですが、ろくに議論もされずに再定義問題は立ち消えになりました。
結局、拉致問題などで「北朝鮮の脅威」がクローズアップされ、さらに「中国の軍拡の脅威」もいわれて、それが日米安保体制の必要性の根拠となりました。
 
ところが、米朝首脳会談により北朝鮮の脅威をいうわけにいかなくなりました。
また、安倍首相は10月に訪中して習近平主席と首脳会談を行い、どうやら中国包囲網づくりは諦めて、親中路線に変更したようです。
となると、日米安保体制の根拠がなくなります。
これは日本の親米勢力にとっては困った事態です。
そこで、親米勢力は今度は「韓国の脅威」を言い立てる作戦に出たのではないかと思われます。
 
トランプ政権は韓国駐留米軍を引き上げたがっていますし、文政権は北朝鮮との関係を強化する方針です。
日本としては韓国と北朝鮮をまとめて仮想敵国にすると好都合です。
日本と韓国には歴史問題や竹島問題などがあり、ちょっとスイッチを入れるだけですぐに敵対モードになれます。
今回は徴用工問題にレーダー照射問題が重なったので、一気にうまくいきました。
 
日本と韓国が敵対してもなんの利益もなく、むしろマイナスですが、親米勢力にとっては対米従属を続けられるというメリットがあります。
 
沖縄の普天間基地返還のために代替基地を建設するという日米合意ができたのは1996年のことです。23年もたって国際情勢も変化しているのに、いまだにその合意を根拠に辺野古埋め立てが行われています。
親米派は「中国が攻めてくる」と言って辺野古移設を正当化してきましたが、安倍政権が親中路線を取ると、その説得力が失われます。
これからは「韓国の脅威」が辺野古移設の正当化のために喧伝されることになりそうです。

時代劇などの勧善懲悪の物語には、誰が見てもそうとわかる「典型的な悪人」が出てきます。
そんなものは物語の中だけのことかと思っていたら、最近の日本の韓国に対する態度が「典型的な悪人」です。
 
テレビの時代劇でもっともよく出てくる悪人は、善良な庶民をいじめる高利貸しです。高利貸しは証文をかざして善良な庶民に借金返済を迫り、金が返せないとなると、寝たきりの父親の布団をはぎ取ったり、娘を売り飛ばそうとしたりします。
昔は利息制限法がないので、借金の証文を持つ高利貸しのほうに正当性があります。水戸黄門や大岡越前や銭形平次もこの時点では手を出せません(高利貸しはほかにもっとあくどいことをしているために、最後はこらしめられます)
 
「ミナミの帝王」に出てくる悪徳業者も、法律にうとい善良な庶民をだまして金をむしり取ります。法律を盾にしているので、庶民は泣き寝入りするしかありません(萬田銀次郎は悪徳業者の上手をいく手口で悪徳業者をだまし、庶民を救います)
 
 
韓国の最高裁で日本企業に元徴用工への賠償金支払いを命じる判決が相次いで、日本では日韓請求権協定を盾に韓国を批判する声が高まっています。
これは、証文をかざしたり、法律を盾にしたりするという典型的な悪人の態度です。
 
もっとも、相手が不当な要求をしてきた場合は、証文をかざしたり、法律を盾にしたりして身を守らなければならないので、証文をかざしたり、法律を盾にしたりすることがつねに悪いとは限りません。
ただ、日韓請求権協定という証文をふりかざす態度が国際社会からどう見られるかということは知っておかなければなりません。
 
勧善懲悪の物語で、悪人は善良な庶民を苦しめます。これをもって悪人と判断されます。
日本は、戦時中に徴用工を苦しめたので、完全に悪人です。
もっとも、昔のことですから、ちゃんと謝罪と反省を示せば許されます。
ところが、今の日本は日韓請求権協定という証文をふりかざすだけで、謝罪と反省をまったく示しません。
しかもその証文は50年以上前のもので、相手は軍事クーデターで政権を得た朴正煕大統領でしたから、それほど値打ちがありません。
 
多くの日本人は韓国人に差別意識を持っているため、元徴用工への同情心がありません。そのため平気で証文をふりかざして、物語の典型的な悪人を演じてしまうのです。
 
今のところ、徴用工判決を巡る日韓の対立はほとんど世界から注目されていませんが、問題が大きくなって注目を浴びるようになると、日本が悪人と認定されます。
安倍首相、河野外相、菅官房長官らはこの問題について発言するとき、日本が悪人にならないように、枕詞のようにして必ず元徴用工に対する謝罪と同情の言葉を言わなければなりません。
韓国人への差別意識は急に改まらないとしても、それが政治家として当然の責務です。

韓国の最高裁が元徴用工問題で日本企業に賠償を命じる判決を下し、日韓ともに大騒ぎになっています。
これはやっかいな問題ですが、日米韓は軍事的に一体なので、外交関係がどんなに悪化しても日本と韓国は戦争になりませんし、日本政府も韓国政府も経済関係を悪化させる気はないはずです。
安倍首相はこの判決に対して「日本政府として毅然と対応していく」と語り、河野外相も「毅然とした対応を講ずる考えです」という談話を発表しましたが、こうした強気の発言ができるのも、日韓関係の土台が強固だからこそです。
 
危ういのは日本と中国の関係です。
安倍首相は1026日に訪中し、習近平主席と会談しましたが、会談冒頭の場面で習近平主席はまったく笑顔を見せませんでした。一方、安倍首相はわずかながらも愛想笑いを見せていました。
  


 
 このときの表情などについては次の記事が解説しています。
 
安倍首相はよく耐えた!
 
習近平主席は安倍首相を自国に迎えていながら笑顔を見せないとは失礼千万ですが、日本ではそういう声はほとんどありません。マスコミはむしろ中国は安倍首相を歓迎したという報道をしています。
 
安倍首相はプーチン大統領から領土問題抜きに平和条約を締結しようと提案されたときも愛想笑いを浮かべましたが、このときも日本ではプーチン大統領はけしからんという声はまったく上がりません。
 
今や日本人は、安倍首相が習近平主席やプーチン大統領からどういう扱いを受けてもしかたがないと思っているようです。
トランプ大統領については言うまでもありません。
 
日本人はまったく自信を失っていて、安倍首相がトランプ大統領やプーチン大統領と信頼関係があるとか、中国から歓迎されたとかいう報道があるだけで満足するようです。
 
自信のない日本人が唯一「毅然と対応する」という言葉を使えるのが韓国を相手にしたときです。
そういう意味で、韓国の徴用工判決が出たことで日本人はけっこう高揚した気分を味わっているのかもしれません。
 
 
もちろん日本はアメリカ、中国、ロシアにも「毅然と対応する」ということができなければなりません。
どうすればできるようになるかというと、徴用工判決にヒントがあります。
 
韓国は1965年の日韓請求権協定において徴用工問題などの請求権を放棄しています。しかし、盧武鉉大統領は2005年の演説で「請求権問題は協定で消滅しているが、人類普遍の倫理から日本には賠償責任がある」と述べ、こうしたことが今回の判決につながっているようです。
 
徴用工問題や慰安婦問題を日韓の二国間の問題ととらえるのではなく、「人類普遍の倫理」の問題ととらえるのは意味のあることです。
欧米はいまだに植民地主義に対する謝罪も賠償もしていません。しかし、日本は賠償をして、村山談話において「植民地支配と侵略」について「反省」と「お詫び」を述べています。
「人類普遍の倫理」においては日本のほうが欧米よりも上にあるのです。
 
ところが、安倍政権はその優位をぶち壊しにしました。
その結果、日本人は自信を失い、卑屈になっています。
 
徴用工問題を金勘定だけで見るのではなく、世界史的視野で植民地主義の問題ととらえ、欧米も巻き込んでいくと、日本人は世界をリードすることができますし、当然自信にもつながるはずです。

このところ麻生財務相は失言を連発して、「失言王」の面目躍如です。
安倍首相が嘘まみれになっているので、麻生財務相の失言のハードルも下がっているのでしょう。
 
麻生財務相は5月16日の自民党議員のパーティで、北朝鮮の政府専用機についてこんなことを言いました。
「あの見てくれの悪い飛行機が無事シンガポールまで飛んで行ってくれることを期待するが、途中で落っこちちゃったら話にならん」
 
日本と北朝鮮は国交がないとはいえ、北朝鮮の最高指導者の死を暗示した言葉を口にするとは失礼千万です。北朝鮮の飛行機がちゃんと飛ぶのかという疑いを持った人は多いでしょうが、財務相兼副総理という立場で口に出す言葉ではありません。
 
ただ、この言葉は今の安倍政権の願望を表現したものでしょう。今、日本は“蚊帳の外”ですが、米朝首脳会談が成功すればすっかり置き去りになってしまいます。
 
それから、この言葉は北朝鮮をバカにしています。飛行機もまともに飛ばせない国だという認識です。
 
確かに北朝鮮は愚かなところがいっぱいある国ですが、こと外交力に関しては超一流です。日本と比べると月とスッポンです。
 
 
北朝鮮は拘束していた3人のアメリカ人を解放し、5月10日、空港に3人を出迎えたトランプ大統領は「金委員長に感謝したい」と語り、米朝交渉が進展するムードは最高に高まりました。
ところが、北朝鮮は16日、その日に予定されていた南北閣僚級会議を中止すると一方的に通告しました。まさに当日のドタキャンです。さらに米朝首脳会談の中止の可能性にも言及しました。
 
日本人は自分から空気を壊してはいけないという気持ちがあって、友好ムードが高まっているときに水を差すということはなかなかできませんが、北朝鮮はそういうときにこそ水を差してきます。
小国が大国を振り回すテクニックでしょう。
 
トランプ大統領は17日、「北朝鮮については、リビア方式は全く念頭にない」と北朝鮮に譲歩を示し、米朝首脳会談についても「北朝鮮はなにも変わっていない。会談はとても成功するんじゃないかと思う」と語りました。
トランプ大統領は米朝会談の成功を支持率アップにつなげたいわけです。
 
今の米朝関係をチキンレースにたとえる向きがありますが、チキンレースに関しては北朝鮮は世界最強かもしれません。つねにアメリカと対峙して、毎日が崖っぷちみたいなものだからです。
 
北朝鮮は中国と同盟関係にありますが、軍事的に中国に頼ろうとするところはまったくありません。経済について改革開放をしろとか口を出されるのがいやだからでしょう。
 
日本は軍事的に完全にアメリカに頼り、そのためあらゆる面でアメリカに従属しています。北朝鮮と対照的です。
そのため北朝鮮の考え方がまったく理解できなくなっています。
 
理解できないからといってバカにするのは間違いです。
麻生財務相は北朝鮮の政府専用機を心配しましたが、北朝鮮はICBMを開発するぐらいの国ですから、よけいなお世話です。
 
では、北朝鮮はなにを目指しているかというと、おとなしく核放棄をするとは思えません。
アメリカを手玉にとって時間稼ぎをし、核保有国として生き残るつもりではないでしょうか。
いずれにしても日本は、安倍政権のせいで“蚊帳の外”なので、なにもできずに見ているだけです。

南北首脳会談によって半島情勢が急転換していますが、その中で安倍政権がもっぱら発信しているのは拉致問題の解決です。
といって、みずからなにかをするわけではなく、トランプ大統領と文大統領に頼むだけなのですが。
それに、半島の非核化が実現するか否かという大問題の前に拉致問題を提起することが果たして適切なのかどうか。
世界から見て、日本だけが平和への流れに棹をさす“痛い”国になっているのではないでしょうか。
 
 
そもそも「拉致問題の解決」とはどういうことなのでしょうか。
 
日本政府が拉致被害者として認定したのは17人で、うち5人が帰国ずみなので、残りは12人です。
この12人について北朝鮮は、「8人は死亡、4人は入国していない」と主張しています。
それに対して日本政府は、北朝鮮側の説明には不自然で曖昧な点が多く、捜査によって判明した事実との矛盾も多く、信ぴょう性が疑われるとし、政府が認定した以外の拉致被害者がいる可能性もあるとしています。
 
しかし、北朝鮮の説明がいい加減だとしても、拉致被害者が今も生きているということにはなりません。
かりに生きていたとしても、それは北朝鮮にとっては不都合な真実です。言いにくいことですが、現実を嘘の説明に合わせた可能性が高いでしょう。
北朝鮮が「あの説明は嘘でした。実は生きているので、返します」と言うことを日本政府は求めているわけですが、とうていありえないことに思えます。
 
横田めぐみさんは拉致被害者の象徴的存在です。
北朝鮮は横田めぐみさんの「遺骨」を日本に送ってきましたが、その一部からめぐみさんのものと違うDNAが発見されるなどのことがあって、死亡説は疑わしいとされました。しかし、死亡説が疑わしいからといって、生存しているということにはなりません。
 
拉致問題については日本政府の公式サイトが詳しく説明しています。
 
北朝鮮による日本人拉致問題
 
このサイトを見ると、日本政府は拉致問題を利用してきたのではないかと思わざるをえません。
たとえば、横田めぐみさんについてはこのように記述されています。
 
 
めぐみさんは、明るく朗らかな少女でした。家族にとって、まるで太陽のような存在でした。歌うのも、絵を描くのも大好きで、習字やクラシックバレエも習っていました。
 
めぐみさんがいなくなる前日の1114日はお父さんの誕生日。めぐみさんは、お父さんにくしをプレゼントしました。「これからはおしゃれに気をつけてね」という言葉とともに。
 
めぐみさんがいなくなった日から、家族の生活は一変しました。にぎやかだった食卓は火が消えたようになりました。
お父さんは毎朝少し早めに家を出て海岸を見て回りました。お母さんも、家事を終えると町のあちこちを歩き回り、めぐみさんの名前を呼びながら海岸を何キロも歩きました。
夜になると、お父さんはお風呂で泣きました。お母さんも、家族に分からないように一人で泣きました。どうしてこんな悲しい目にあうのだろう、もう死んでしまいたい、とも考えました。
そんな悲しみと苦しみの中、手がかりもないまま時は流れました。---
 
 
日本政府の公式サイトに、まるで北朝鮮のようなプロパガンダ臭の強い文章が載っています。
とりわけ安倍政権は、拉致問題を人気取りに利用してきました。
 
人気取りが一概に悪いとはいえません。
しかし、非核化という重大問題があるときに拉致問題を持ち出すことは、世界にとっても日本にとってもマイナスでしかありません。
 
拉致問題は「犯罪」であり「人権」問題でもあります。
しかし今、日本は拉致問題を棚上げにするという勇気ある決断をするべきではないでしょうか。
 

韓国の特使と金正恩委員長が会談し、その合意内容がかなりのサプライズでした。
中でも「北朝鮮側は、朝鮮半島非核化の意志を明確にし、北朝鮮に対する軍事的脅威が解消されて体制の安全が保障されれば、核を保有する理由がないという点を明確にした」ということについて、北朝鮮はどこまで本気かということが議論されています。
 
しかし、朝鮮半島の問題に関しては、アメリカが最強のプレーヤーとしてゲームを支配しています。ですから、北朝鮮の考えよりアメリカの考えのほうが重要です。
 
北朝鮮の「体制の安全が保障されれば、核を保有する理由がない」というのは嘘ではないでしょう。
問題は、アメリカのほうに北朝鮮の体制の安全を保障する意志があるかどうかですし、さらにはそれを北朝鮮にわからせることができるかどうかです。
 
まずアメリカが在韓米軍をすべて撤収することは最低限必要ですが、まだ在日米軍もあり、空母や戦略爆撃機やミサイルもあるので、北朝鮮は安全が保障されたとはとても思えないでしょう。
ですから、アメリカと北朝鮮の間に平和条約か不可侵条約みたいなものを締結する必要がありますが、それには北朝鮮が核放棄をすることが前提になります。北朝鮮はアメリカの目の前で核兵器を処分することになりますが、ほかに隠し持っているのではないかという疑いがありますから、アメリカは北朝鮮のあらゆる場所を査察する権利を主張します。
これはフセイン体制のイラクが大量破壊兵器保有の疑いをかけられ、アメリカ(名目は国連査察団)がさんざん査察した挙句、イラクは査察を拒否したから大量破壊兵器を保有していると主張して戦争に踏み切った状況を想起させます。
 
リビアのカダフィ大佐は、アメリカなどの圧力で核開発を断念しましたが、その見返りが得られずに体制崩壊に追い込まれたために後悔したといわれます。
 
そういうことを考えると、アメリカは北朝鮮にとって信頼できない相手なので、 話し合いの成否は、アメリカがいかに北朝鮮に誠意を示せるかにかかっています(アメリカサイドから見ていると、こういう発想は出てきません。物事を公平に見る視点が必要です)
 
しかし、アメリカはあくまで自己中心的なので、きっとうまくいかないでしょう。
 
 
トランプ大統領は「韓国と北朝鮮の声明は非常に前向きだった。世界にとって良いことだろう」「北朝鮮は誠実だと思うし、そう願う」などと述べて北朝鮮の態度を歓迎していますが、アメリカ政府の専門スタッフはまったく別の考えです。
 
 
北朝鮮が核放棄の兆候なし
米情報長官「私は懐疑的」
【ワシントン共同】コーツ米国家情報長官は6日、上院軍事委員会の公聴会で証言し、非核化に向けた北朝鮮との対話進展の可能性について「非常に懐疑的だ」と述べ、「北朝鮮が核放棄に応じることを示す兆候はない」と指摘した。
 コーツ氏は歴代米政権の交渉努力は北朝鮮が核開発をさらに進展させるための時間稼ぎに使われただけで「全て失敗に終わった」と楽観論にくぎを刺した。
 アシュレー国防情報局長も、北朝鮮に「核・ミサイル開発を停止する意向はない」と断言した。
 コーツ氏らは北朝鮮が対米攻撃能力の獲得を急いでいる現状に変化はないと述べた。
 
 
今回の韓国特使と金正恩委員長の会談に続いて、4月には南北首脳会談が行われる予定ですが、これこそが「対話のための対話」です。
しかし、対話を続けていれば戦争は起こらない理屈ですから、ずっと「対話のための対話」を続けていればいいのです。
 
今、東アジアが直面しているのは、「核放棄のための戦争」か「核保有のある平和」かの二者択一です。
 

安倍首相は一生懸命トランプ大統領に忠勤を尽くしていますが、トランプ大統領は相変わらずアメリカファースト、自分ファーストなので、安倍首相を利用する相手としか見ていないようです。
 
 
防衛費負担で対日批判=「不公平」と議論蒸し返す-米大統領
【ワシントン時事】トランプ米大統領は13日、ホワイトハウスで開かれた与野党議員らとの貿易に関する会合で、日本や韓国の防衛費負担に言及し、「防衛費用のほんの一部しか払わないのは不公平だ」と批判した。
 トランプ氏は2016年の大統領選挙戦で、日本に米軍駐留経費の全額負担を求めるなどと表明。大統領就任後はこうした発言を控えていたが、再び議論を蒸し返し、11月の中間選挙を前に対外強硬姿勢を鮮明にした形だ。
 トランプ氏は、米国がこれまで、日本や中国、韓国など多くの国の経済成長を支援してきたと強調。その上で「米国は日本や韓国、サウジアラビアを防衛しているが、これらの国は費用のわずか一部しか負担していない。これは貿易とは無関係だが、現実の問題だ」と不満をあらわにした。(2018/02/14-11:18
 
 
私がこれを読んで思ったのは、アメリカは北朝鮮の核問題を解決する気がないのだなあということです。
 
いくら経済制裁をしたところで、北朝鮮は核放棄をするはずがありません。
プーチン大統領は「北朝鮮は安全を約束されたとの感触を得ない限り、草を食べてでも核兵器開発を続けるだろう」「北朝鮮への制裁強化は無益で効果がない」と語っていますが、どう考えてもこれがまっとうな認識です。
トランプ大統領や安倍首相が制裁だの圧力だのと言っているのは、北朝鮮のために時間稼ぎをしてやっているようなものです。
 

制裁が無効だとすると、アメリカは北朝鮮に軍事力を行使するかもしれません。
しかし、それをするには本腰を入れて作戦を立てねばなりませんが、トランプ政権の腰の定まらない姿を見ていると、そんなことが可能とは思えません。
トランプ大統領は軍事パレード実施を検討するよう国防総省に指示したということで、軍事力行使とは逆の方向に行っています。
 
となると、北朝鮮に核放棄させる方法はひとつしかありません。
アメリカが北朝鮮と国交正常化し、平和条約を締結して、朝鮮半島の休戦状態を終わらせ、北朝鮮の安全保障をするというものです。
北朝鮮が乗ってくるとは限りませんが、経済援助のおまけもつけて、国連や中国やロシアが保証人になるなどすれば、なんとかなるかもしれません。
 
むしろ問題はアメリカのほうです。
この方法は、アメリカがその気になればいつでもできたわけです。
しかし、それをしてしまうと、アメリカは朝鮮国連軍を解散し、韓国に駐留している米軍を引き上げなければなりません。
また、それで朝鮮半島が平和になると、米軍が日本に駐留している理由もほとんどなくなります。
これは、覇権国として世界に君臨したいという(半ば無意識の)野望を持っているアメリカには好ましくありません。
 
となると、現状維持のまま時間が経過して、北朝鮮に核保有を許すということになります。
 
つまり今アメリカは、北朝鮮と平和条約を結ぶか、北朝鮮の核保有を容認するかという二者択一を迫られていることになります。
 
そうした状況で、トランプ大統領は日本と韓国の防衛費負担を求める発言をしたわけです。
これはもう、現状維持を続け、北朝鮮の核保有を容認するつもりとしか思えません。
核保有国のロシア、中国に北朝鮮が加わるだけですから、容認できないことではありません。
 
朝鮮半島の緊張が持続することは安倍首相にとっても利益です。
つまり日米は一致して、北朝鮮の核保有容認をするつもりと思われます。
制裁だ圧力だと言っているのは、そのための時間稼ぎです。
その結果、日本はトランプ大統領に防衛費負担をむしり取られることになりますが。
 
 

安倍首相は1月24日、平昌冬季五輪の開会式に出席する意向を表明して、ネトウヨから大ブーイングを浴びています。
 
これまで官邸は出席しないようなことを言っていましたから、突然の路線変更です。
こういう場合は、たいてい水面下でアメリカの意向があるものです。安倍首相が靖国参拝をしなくなったのもしかりですし、そもそも慰安婦問題の日韓合意がアメリカの意向に従ったものでした。
そう思って調べると、首相の平昌五輪出席をスクープした産経新聞(1月24日付)がちゃんと書いていました。
 
 「実は、米ホワイトハウスからも、安倍首相に開会式に出てほしいという強い要請があった」
 政府高官はこう明かす。韓国に対し、行き過ぎた対北朝鮮融和政策に走らないようクギを刺したい米国が、パートナーとして安倍首相を指名した形だ。
 
実際のところは、「北朝鮮問題があるのに日韓は対立するな」とアメリカに一喝されたのでしょう。
ネトウヨからブーイングされても安倍首相はアメリカに従うしかないわけです。
 
 
それにしても、オリンピックと政治の関係がグチャグチャです。
「安倍首相は平昌五輪に出席するべきではない」と主張していた人は、慰安婦問題を理由にしていましたが、この理由で出席しないのではオリンピックに政治を持ち込んだことになります。テレビのコメンテーターまでそういう主張をしていたのにはあきれました。
 
しかも、そういう人が一方で、北朝鮮の五輪参加に反対して、「文在寅大統領はオリンピックを政治利用している」と主張しています。
しかし、北朝鮮が五輪に参加するのは当たり前のことで、政治利用ではありません。統一旗を掲げての入場も前に行われたことです。
 
もっとも、韓国でも北朝鮮の参加に反対する人がかなりいるようです。
反対派は22日、ソウル駅前で集会を開き、金正恩氏のポスターを燃やすなどしました。これは明らかに政治的行為ですから、反対派はオリンピックに政治を持ち込んだことになります。
 
反対派は「北朝鮮が参加すると平昌五輪が平壌五輪になる」などと言っていますが、運営も会場もすべて韓国ですから、ありえない理屈です。
北朝鮮が参加すると、当然南北の友好ムードが高まります。そのことに反対しているのでしょう。
 
オリンピックは「平和の祭典」とされます。オリンピック憲章にも、目的として「平和な社会を推進すること」と書かれています。
戦争を望む人にとってオリンピックは不都合な存在です。
 
今、朝鮮半島は戦争か平和かという岐路にあります。
そういうときに、日韓の保守派は北朝鮮の五輪参加に「政治利用だ」とか「平昌五輪が平壌五輪になる」などとイチャモンをつけて反対しています。これは戦争を望んでいるとしか思えません。
 
北朝鮮の平昌五輪参加問題は、平和主義者か好戦主義者かを見分けるいいバロメーターです。 

北朝鮮が平昌冬季五輪に参加することになりましたが、日本のマスコミはあまり歓迎していません。1月18日の「ひるおび!」は、女子アイスホッケーが韓国と北朝鮮の合同チームになることの問題点をずっと取り上げていました。
急に合同チームを編成すると選手同士の連携がうまくいかずにたいへんだ――というのはもっともなことですが、所詮はマイナースポーツのチーム内のことで、朝鮮半島が戦争か平和かの岐路に立っていることを思えば、比較にもならない小さな話です。小さいことを大きく取り上げることで、北朝鮮の参加が悪いことのように思わせる印象操作です。
 
北朝鮮は弱小国で、アメリカと韓国の軍事力は圧倒的です。昔は中国が後ろ盾になっていましたが、最近の中国はアメリカと経済的に深く結びついているので、北朝鮮は中国を頼りにすることができません。
弱い国が強い国のイジメに耐えてがんばっている――というのが北朝鮮問題の真実ですが、さまざまな印象操作によって真実が隠されています。
 
たとえば次の記事などもそうです。
 
 
米爆撃機3機種、グアム集結
米空軍は16日、核兵器を搭載できるB52戦略爆撃機6機が米領グアムに展開したことを明らかにした。今月、同じく核を搭載でき高いステルス性能を持つB2戦略爆撃機3機も派遣。すでに配備されている戦略爆撃機B1Bと合わせ、米軍の3種の主力爆撃機が集結する形となった。
 平昌冬季五輪を控え、北朝鮮による挑発を抑止する狙いがあるとみられる。韓国と北朝鮮による南北閣僚級協議を受け対話の機運が高まる中、米軍として北朝鮮に圧力を加えていく姿勢が鮮明になった。
 (バンクーバー=峯村健司)
 
北朝鮮がミサイル試射などをすると必ず「挑発」と言われますが、アメリカが軍事的な動きをすると逆に「挑発を抑止」となります。
ミサイル試射はあくまで兵器開発の一段階ですが、戦略爆撃機配備は戦争に直結する行為で、こちらのほうがよほど「挑発」です。
 
マティス国防長官も過激なことを言っています。
 
 
米国防長官「戦争計画もある」 北朝鮮関係国の外相会合
 米国のマティス国防長官が、16日にカナダ・バンクーバーであった北朝鮮関係国外相会合に先立つ夕食会で「(米軍は)準備をしており、戦争計画(War Plan)もある」と語っていたことがわかった。出席者が明らかにした。米国の強い意思を改めて示すことで、北朝鮮を牽制(けんせい)する狙いがあったとみられる。
出席者によると、15日夜の夕食会であいさつしたマティス氏は、朝鮮戦争で国連軍に部隊を派遣した国や日本など20カ国の外相らを前に「もしも今回の外相会合でうまくいかなければ、次は防衛相会合だ」とも述べた。
(後略)
 
 
「戦争計画もある」と語ることがやはり「北朝鮮を牽制」と表現されますが、これはどう見ても国連憲章で禁止された「武力による威嚇」です。
 
北朝鮮も過激なことをいっぱい言っていますが、具体的な軍事行動を伴わない言葉だけの威嚇であり挑発です。
しかし、アメリカは戦略爆撃機を配備したり、空母を動かしたり、大規模な軍事演習をしたりして、軍事力の裏付けのある威嚇です。
ところが、マスコミの報道を見ていると、まったく逆の印象になります。
 
アメリカは圧倒的な核戦力を持ち、核兵器の先制使用も否定していません。ところが、北朝鮮が核兵器を持とうとするのは許さないわけです。
これは誰がどう考えてもアメリカが不当な主張をしているわけですが、マスコミにかかると北朝鮮のほうが不当なことをしているようになってしまいます。
 
アメリカの圧倒的な力は日本のマスコミも支配しているということです。
マスコミの印象操作を見抜く“真実の目”が必要です。

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