村田基の逆転日記

親子関係から国際関係までを把握する統一理論がここに

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辺野古の埋め立て工事中止をホワイトハウスに請願するインターネット署名の呼びかけがりゅうちぇるさん、ローラさんらによって行われました。
30日以内に署名が10万人を越えるとアメリカ政府が検討することになっていますが、現在すでに16万人を越えています(期限は1月5日ごろまで)。著名な芸能人が呼びかけた効果です。
 
署名は次のサイト。
 
We the people
Stop thelandfill of Henoko / Oura Bay until a referendum can be held in Okinawa
 

辺野古埋め立て賛成派は、とりわけローラさんを批判しています。
 
TBSの「サンデー・ジャポン」において、コメンテーターの西川史子さんはローラさんについて、「辺野古に関してなにも解決策を言っていない」「もっと勉強して、ちゃんと言うべきですよ」とかなり激しい口調で語ったということです。
 
ローラさんが勉強してないと思うなら、自分が勉強した結果をコメントするべきで、それがコメンテーターの役割です。
 
同じ番組でデーブ・スペクター氏はローラさんについて、「どこに住んでいるのかわからない、何になりたいのかわからない。結局仕事はCMタレント」と辺野古問題と関係ない発言をしたあと、「じゃあ代案はどうなの」と批判しました。
 
「勉強してない」「代案がない」というのは、批判のための批判です。
 
西川さんの発言を聞いて、私は「マウンティング女子」という言葉を思い出しました。
自分はインテリのコメンテーターで、ローラさんはおバカなタレントという位置づけだったはずなのに、ローラさんが政治的な発言をして、それが注目されているため、「私のほうが上よ」というマウンティング発言をしてしまったのでしょう。
デーブ氏も「若い女性が政治的発言をする」という現実が受け入れられないものと思われます。
西川さんの場合は、「この小娘が」という序列意識、デーブさんの場合は、「女の子が」という性差別意識もあるでしょう。
 
沖縄の基地問題についてはいろいろな人が発言していますが、ローラさんは若くてバックもないということで批判されたわけです。
結局、弱い者いじめです。
 
反対にアメリカは日本にとって強者です。強者は批判しにくいものです。
辺野古を初めとする沖縄の基地問題も、アメリカのゴリ押しに日本政府が屈しているわけですが、アメリカを批判しないために問題の本質が見えてきません。そのため結局、弱い沖縄が犠牲になるわけです。
 
 
最初に戻って、辺野古の埋め立て工事中止をホワイトハウスに請願するインターネット署名ですが、案外うまくいく可能性があるのではないでしょうか。
 
トランプ大統領は米軍のシリア撤退を決め、さらにアフガンの米軍を半減させる方針です。
トランプ大統領は米韓合同軍事演習にも消極的ですし、在韓米軍の存在価値にも疑問を呈しています。
在日米軍の存在価値にも疑問を持っているはずです。
 
海外に米軍を駐留させている経費をむだと見なすのは、トランプ大統領の基本的な考え方です。これまで周りの反対が強くてできなかったのですが、中間選挙が終わって、本格的に駐留米軍の削減をやり始めたようです。
 
ただ、シリア撤退にはアメリカ国内でも反対の声が強く、トランプ大統領はそれが不満なようです。
朝日新聞の『シリア撤退でトルコと協議、トランプ氏「生産的だった」』という記事から一部を引用します。
 
 米軍撤退をめぐっては、ISが再起する懸念や、ロシアやイランの影響力が増すとして、欧州の同盟国から批判が出ている。米政権内でも異論が根強く、撤退に反対したマティス国防長官が辞任を表明するにまで至っている。
 トランプ氏は22日、撤退を決めたのが自分以外なら「その人物は米国で最も人気のあるヒーローになるだろう」とツイッターで主張。「私だと、フェイク(偽)ニュース・メディアは激しく攻撃してくる。狂っている!」と不満をあらわにした。(ワシントン=杉山正)
 
 
駐留米軍を削減したいトランプ大統領ですから、辺野古の埋め立て工事中止を決断してもおかしくありません。
これは環境問題でもあるので、アメリカ国内でも歓迎され、日本国民からも歓迎されます。
ただ、辺野古の新基地建設はすべて日本政府の負担ですから、アメリカにとって経費節減にはなりませんが、日米両国民から歓迎される決定は、トランプ大統領にとっても魅力的なはずです。
 
強い者にこび、弱い者をいじめるというのは、みにくい人間の典型です。
強い者と戦うことはできなくても、知恵を使って強い者を動かすことはできていいはずです。

アメリカ中間選挙は、予想通り下院は民主党、上院は共和党の過半数となりました。
トランプ大統領は「今夜は素晴らしい成功だ。みんな、ありがとう」とツイートし、結果に満足しているようです。
トランプ大統領について改めて考えてみました。
 
トランプ大統領のやることはめちゃくちゃですが、唯一いいところがあるとすれば、アメリカが力で世界を支配しているという現実を見せてくれたことです。
 
トランプ大統領がアメリカファーストを掲げて登場したとき、各国の指導者で「その考え方は間違っている」とか「じゃあ、私も自国ファーストでいく」と言った人はほとんどいません(私の記憶ではフィリピンのドゥテルテ大統領がフィリピンファーストを言いました)
もちろん安倍首相も言いません。もし安倍首相が「ドナルド、君がアメリカファーストなら、私はジャパンファーストでいくよ」と言ったらどうなるでしょうか。
おそらくトランプ大統領は、「やれるものならやってみろ」と言うでしょう。
トランプ大統領がアメリカファーストと言えるのは、アメリカが強大な力を持っているからです。日本が言えるわけありません。
 
もともとアメリカは力で世界を支配してきました。
いや、力というより暴力といったほうがぴったりします。
ただ、表面的には「自由と民主主義」を掲げていました。トランプ大統領はそういう看板を投げ捨てただけです。
 
アメリカは先住民を虐殺して土地を奪い、アフリカから連れてきた黒人を奴隷として使い、イギリス軍と戦って独立しました。暴力で成立した国です。
現在、銃規制に強固な反対があるのも、銃が国家成立とつながっているからです。
 
アメリカは国際法や国連などを、つごうのよいときだけ利用し、つごうの悪いときは平気で無視し、二次大戦後も数限りない戦争をしてきました。
 
こういうアメリカの姿は、妻子に暴力をふるうDV男にたとえるとよくわかるでしょう。
 
トランプ大統領はアメリカの暴力的な面を体現した人間です。
彼は世界に対してDV男としてふるまうだけでなく、国内においてもDV男のようにふるまっています。
ですから、今回の中間選挙でも女性と若者の多くは反トランプに動きました。
トランプ派も反トランプ派もきわめて感情的になるのは、心理にDV問題が投映されているからです。
 
 
今回の選挙結果を受けて、西村康稔官房副長官は11月7日の記者会見で、「日米同盟は揺るぎなく、引き続きさまざまな分野で米国との連携を進めていきたい」と語りました。
まるで壊れたレコードです。
気まぐれなトランプ大統領と揺るぎない関係を築けるわけがありません。
 
戦後の日本はずっとDV男に依存する女性みたいなものでした。
そうした女性は依存しているという自覚がありません。
しかし、トランプ大統領をよく観察すれば、その本質がDV男だとわかります。
日本はアメリカ依存から脱却するチャンスを迎えています。安倍政権には期待できませんが。

フロリダ州の高校で17人が殺される銃乱射事件が起き、銃規制を求める声が高まっているのに対してトランプ大統領は、「銃の扱いに精通した教師がいれば襲撃を早く鎮圧できただろう」と言い、教師に銃を所持させる案を示しました。
 
私はこれを聞いて、西部劇みたいに腰に銃をぶら下げた教師が校内を歩く姿を思い浮かべました。
この考え方を敷衍すると、そのうち一般の人も拳銃を携行するようになり、西部開拓時代に逆戻りします。日本のビジネスマンがアメリカに商談に行くと、向こうのビジネスマンは机の下からいつ拳銃を取り出すかわかりません。
 
そんなことにはなりませんが、アメリカの銃規制反対派は西部開拓時代を基準にものを考えている気がします。
 
もっとも、男が腰に武器をつけているというのは、武士や騎士もそうでしたから、アメリカが特別なわけではありません(刀と拳銃では危険性が段違いですが)
しかし、近代国家のもとで警察が十分に機能するようになると、個人が身を守るために武器を携行する必要はなくなり、逆に個人の武器所持は治安悪化の原因になりますから、どこの国でも銃所持は、狩猟やスポーツなどの目的以外には禁止されるはずです。
 
なぜアメリカはそうならなかったのかと考えると、銃所持には護身用以外の理由があることに思い至りました。
 
武士や騎士がつねに刀やサーベルを携行していたのは、護身用というよりも、支配階級であることを示すシンボルとしてでした。
江戸時代は、武士階級と庶民階級は名字帯刀によって区別されました。ヨーロッパでもサーベルを携行しているのは騎士だけだったでしょう。
 
日本軍では、将校は軍刀を所持することになっていましたが、これも実用のためというより身分を示すシンボルでした。
 
アメリカの歴史では、そういう身分を示すシンボルとしての刀やサーベルはなかったので、代わりに拳銃がその役割を担ったのでしょう。
 
白人成人男性は、先住民、黒人、女子どもに対して支配階級でした。拳銃を携行していることが支配階級のシンボルだったのです。

トランプ大統領が教師に銃を所持させる案を示したのも、学校において教師は生徒に対する支配階級だからでしょう。

武士階級や騎士階級は近代国家の形成とともに解体されましたが、白人成人男性は自分たちがつくった国なので、今でも支配階級だと思っているのです。
 
 
今、銃規制反対派の人たちはほとんど白人成人男性のはずです。
この人たちは人種差別主義者かつ性差別主義者でもあります。
つまり銃所持、人種差別、性差別は三位一体です。
 
今は誰でも銃所持ができるので、白人成人男性もそれによって危険にさらされます。銃規制に反対するのは非合理的ですが、それでも支配階級のシンボルは手放したくないのでしょう。
 
 
アメリカの軍事戦略も同じ論理です。
国連軍を創設して、それに世界の治安維持を任せれば、アメリカは軍事費を大幅に削減できます。アメリカが主導すればそう困難なことではないと思われますが、アメリカがそれをしようとしないのは、軍事力で世界を支配する国家でありたいからでしょう。

アメリカは、白人成人男性という支配階級を解体して真の近代国家になる必要があります。
 

フロリダ州の高校で17人が死亡する銃乱射事件があり、改めて“銃社会アメリカ”の病理に注目が集まっています。
 
逮捕されたニコラス・クルーズ容疑者(19)は、幼少時に養子となり、養父はその数年後、養母は昨年11月に亡くなり、友人の家で暮らすようになりました。うつの症状があったため、事件の5日前には心理カウンセリングを受けたということです。また、白人至上主義者の団体に所属し、軍隊式の訓練に参加したこともあったそうです。
 
動機の解明はたいせつですが、容易でないこともわかります。
とりあえず有効な対策は銃規制です。
 
しかし、巧みに問題をすり替える人がいます。
 
たとえばケンタッキー州のマット・ベビン知事(共和党)は、この事件に触れたとき、暴力的なビデオゲームを槍玉に上げました。
 
「年齢制限のかかったビデオゲームを、年齢が満たない子どもたちもプレイしていて、皆が見て見ぬふりをしている。子どもたちが遊ぶのを阻止する方法もない」
「子どもたちは(ゲームの中での)殺人を楽しんでいる。学校内での乱射事件とそっくりなシチュエーションでスコアを稼ぎ、倒れて命乞いをする人にとどめを刺すとさらにボーナスポイントを獲得できるようなゲームが存在する」
 
なお、ベビン知事は、全米ライフル協会の支持を受け、ライフル協会関連の集会でスピーチを行ったこともある人物だということです。
 
 
トランプ大統領はこの事件に関し、ツイッターで「容疑者は精神的に不安定だったという多くの兆候があり、素行が悪く退学になっていた」「近所の人やクラスメートは、彼は大問題だと分かっていた。そうした事例は何度も当局に通報しなければならない」などと主張しましたが、銃規制については触れませんでした。
 
 
また、クルーズ容疑者に近い人物がFBIに対して「学校を銃撃する可能性」について情報を提供していたにもかかわらずFBIがなんの手も打たなかったことが判明し、FBIへの批判が高まりました。
 
同様のことはよくあります。テロ事件が起こったあとで、治安当局は犯人を監視対象にしていたにもかかわらず事件を防げなかったとして当局が批判されるなどです。
しかし、まだなにもしていない人間に対して当局が打てる手は限られています。説教や警告をするぐらいです。監視するといっても限度があります。
FBIへの批判も問題のすり替えに近いものがあります。
 
 
しかし、銃規制を主張する人たちも問題のすり替えを行っているきらいがあります。
彼らは、全米ライフル協会とそこから献金を受ける政治家を槍玉に上げます。
しかし、ライフル協会がそれほど力を持っているのは、それなりの土壌、つまり銃を許容するアメリカ文化があるからです。
問題はライフル協会でなくアメリカ文化です。
 
銃を許容するアメリカ文化を象徴するような言葉が、乱射事件後も銃の見本市が盛況であることを伝えるニュース記事の中にありました。
それは、
「銃を持った悪いやつを止められるのは、銃を持った良いやつだけだ」
という言葉です。
 
この言葉には根本的な間違いがあります。銃を持った良いやつが悪いやつを止められるとは限りません。やられてしまうこともあります。
ですから、正しくはこう言うべきです。
「銃を持ったやつを止められるのは、より強力な銃を持ったやつだけだ」
 
良い悪いは関係ありません。どちらの銃が強力かということがすべてです。
 
これがアメリカの根本的な思想です。銃を持った入植者が銃を持たない先住民を虐殺しながら建国したのがアメリカです。
そのため、現在も銃規制をしませんし、軍備規制も核兵器規制もしません。
 
二度の世界大戦をしたのに世界平和が実現しないのは、アメリカがいつまでも建国以来の考えを捨てないからです。
アメリカの銃規制の実現は、決してアメリカの内政問題ではなく、世界平和の実現のためにも必要なことです。

明けましておめでとうございます。
 
新年にふさわしい明るい話題はないかと探しましたが、なかなか見当たりません。
今年も去年の継続です。
 
金正恩委員長は「新年の辞」において、「米本土全域が核攻撃射程圏内にあり、核のボタンが事務室の机の上にいつもある」と述べました。
それに対してトランプ大統領はツイッターで「私も核のボタンを持っていて、それは彼のものよりはるかに大きく、はるかに強力だ。私のボタンは実際に作動する!」と述べました。
まるで子どもの口喧嘩です。
 
こういうやりとりを見ると、「トランプ大統領はバカだ」と思いたくなります。しかし、トランプ大統領は、自分は知能指数が高いと自慢しています。
 
ティラーソン国務長官がトランプ大統領をバカ呼ばわりしたと報じられたとき、トランプ大統領はインタビューの中で「もしティラーソン長官が自分を『ばか』呼ばわりしたのなら、我々はIQテストを受け、比べなければならない。どちらが勝つのか、わかりきっている」と述べました。
大統領選挙中にも、トランプ氏がイスラム教徒の入国を禁止すると主張したことについてロンドン市長から批判されると、「IQテストをしよう」と反論したことがあります。
また、トランプ大統領は就任式の前日,共和党幹部が集まった昼食会で自分が選んだ閣僚たちを紹介して「賢い人たちを閣僚に集めた。歴代の政権の中で最もIQが高い」と述べました。
 
ネットで調べると、トランプ大統領の知能指数は高いという説があります(根拠は示されませんが)。
 
一方、ニュースサイト「バズフィード」によると、マクマスター大統領補佐官は「トランプ大統領の知能レベルは幼稚園児並み」「安全保障について理解する能力がない」などと批判したということです。
いったいどちらが正しいのでしょうか。
 
私が思うに、アメリカの大統領になるぐらいですから、知能は高いはずです。むしろ場当たり的な主張やいい加減な政策でも大統領が務まっているので、かなり高いともいえます。
とくに言語能力が秀でていると思います。
予備選挙のとき、トランプ氏はすぐに消えると思われていましたが、ライバル候補を罵倒することで次々と撃破していきました。トランプ氏から“口撃”されることを恐れてトランプ批判をしない候補者もいました。
 
トランプ大統領は“ディール”を得意としています。これも言葉を駆使して相手を動かす能力が秀でているからでしょう。
 
トランプ大統領はツイッターも駆使しています。かなりむちゃくちゃな発言をしていますが、ツイッターをやることは支持率を下げるよりは上げることに貢献しているに違いありません。
 
すべてトランプ大統領の言語能力が優れていることを示しています。
しかし、トランプ大統領はその言語能力の使い方を間違えています。

政治家の言語能力が優れているというと、なにかの思想があって、一貫した主張を述べるというイメージですが、トランプ大統領の場合はまったく違います。トランプ大統領の言葉は思想の表現ではなく、相手を攻撃する道具です。
 
これはボクシングにたとえるといいでしょう。
トランプ大統領の言葉はボクサーのパンチのようなものです。相手がパンチを出すと、打ち返します。「私の核のボタンは彼のよりも強力だ」というのは、打ち返したパンチです。
パンチは相手の動きに合わせて、相手の弱点をねらって出すので、そこに一貫性を求めても意味がありません。「蝶のように舞い、蜂のように刺す」です。
 
ボクサーは、パンチ力があり、手数が多く、KO率の高い選手に人気があります。トランプ大統領はまさにそういうタイプです。ツイッターではつねに誰かにパンチを出しています。反トランプ派の人もトランプ大統領の動きから目を離せません。人気ボクサーの試合が高視聴率をとるのと同じです。
 
「劇場型の政治」という言葉がありますが、トランプ大統領の場合は「ボクシングリング型の政治」です。
「劇場型の政治」にはストーリーがありますが、「ボクシングリング型の政治」には打ち合いがあるだけです。
 
願わくば言葉だけの打ち合いにとどめてほしいものです。

バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者と反対派が衝突して1人が死亡したのは、南軍のリー将軍の像を撤去することがきっかけでした。
リー将軍の像や南軍旗が白人至上主義者のシンボルとして利用されているので、像の撤去が各地で行われているそうです。
 
しかし、これは方向性が違うと思います。
 
上野公園には西郷隆盛像があります。政府への反逆者の像が建てられていて、人々から敬愛されているのは不思議な光景ですが、社会の寛容さの表れともいえます。
リー将軍の像も同じように受け入れればいいのです。
 
アメリカの映画やドラマで南北戦争は数限りなく取り上げられていますが、正義対悪の戦いとして描かれることはまずありません。むしろ敗者の南軍側に同情的に描かれる傾向があります。そのため物語に深みが出ます。もっぱら南軍側の視点に立った「風と共に去りぬ」などはその典型です。
正義対悪の戦いを描く近ごろのハリウッド映画がみな薄っぺらになるのとは対照的です。
 
リー将軍像を撤去しようとする人たちは、南軍は悪で、北軍やリンカーン大統領は正義だったという歴史観に立っているのでしょうか。
 
リンカーン大統領は偉大な人間のように思われていますが、普通の人種差別主義者でした。生物学者のスティーブン・J・グールドが差別主義に関する本の中で、リンカーン大統領自身の差別主義的な発言を紹介しているので、ここに引用しておきます。
 
「白人と黒人の間には肉体的相違があり、そのため、社会的、政治的平等の名の下に一緒に生活することは永久にできないであろう。彼らはそのようには暮らせないのだから、一緒に留まっている間には、優劣の立場が生じるに違いない。他の人々と同様、私も白人に優位な立場が与えられることを支持する。」(「人間の測りまちがい――差別の科学史」スティーブン・J・グールド著74ページ)
 
北軍対南軍といっても、要するにどちらも白人であって、人種差別主義者同士の戦いでした。そのため北軍が勝利しても、黒人は奴隷から解放されたとはいえ、人権は回復されず、選挙権も付与されませんでした。結局、黒人は下層労働者になるしかなく、奴隷制時代とそれほど変わらなかったのです。
 
奴隷解放戦争のあるべき姿は、当然ながら白人対白人ではなく、黒人対白人でなければなりません。
具体的に言うと、南部の黒人奴隷が一斉に蜂起して白人農場主たちに戦いを挑み、北部諸州の助けを得ながら戦いに勝利し、みずから黒人人権宣言を出して、白人と同等の権利を獲得する――。
もしこのような戦いがあれば、アメリカは黒人差別のない国になっていたでしょう。
 
現実のアメリカはいまだに差別大国です。
 
今、トランプ支持派と反トランプ派が差別問題を巡って対立していますが、報道を見ていると、反トランプ派で声を上げている人の多くは白人です。白人対白人というのは南北戦争と同じパターンです。
トランプ大統領の人種差別政策にもっとも反対なのは、黒人、ヒスパニック、アジア系などの人たちのはずです。そういう人たちが立ち上がって運動の前面に立ち、反差別主義の白人たちが加勢する形になって、戦いに勝利すれば、アメリカはすべての人種が平等な、差別のない偉大な国になります。
 
有色人種が立ち上がって前面に立つと、分断が深まったなどと批判されるかもしれませんが、気にすることはありません。アメリカにおいては自分たちも主人公なのです。
有色人種がハリウッド映画のヒーローのように果敢に戦って勝利すれば、白人至上主義者たちも考えを改めるでしょう(ついでにハリウッド映画も変わるでしょう)。

トランプ大統領はバノン主席戦略官を更迭しました。
バノン氏はトランプ大統領と思想的にいちばん近い人間です。「お前はクビだ!」が決めゼリフとはいえ、この調子では味方が誰もいなくなります。
トランプ政権が崩壊の過程に入ったことは明白です。
 
トランプ大統領は敵をつくり、攻撃することで人気を得てきました。
こういう政治家は普通、人気を得るための戦略でやっているものですが、トランプ大統領の場合は、それが本性で、戦略ではありません。
そのため、身内で結束するということもできず、身内にも敵をつくってしまいます。
 
バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義団体と反対派が衝突し、1人が死亡した事件について、トランプ大統領は白人至上主義団体を名指しで非難しなかったことで世論から批判されました。そのため翌日、トランプ大統領は紙を読みながらKKKなどを非難し、「人種差別は悪だ」などと述べました。ところが、その翌日の記者会見で記者に質問されたことをきっかけに、「突撃してきた反対派の『オルト・レフト』はどうだ? 彼らに罪はないのか?」「両者に非がある」などと語り、またも世論から批判されました。
 
こういういきさつを見ると、トランプ大統領は戦略よりも感情を優先させて失敗していることがわかります。
 
戦略よりも感情の人というのは、選挙戦のときのテレビ討論などでは有利に働きました。瞬間的に相手に反論できるからです。
大統領になれば戦略的に行動するようになるだろうという期待がありましたが、大統領になってもツイッターで、誰かを批判することと、自分をアピールすることを言い続けました。政権運営よりも“自分ファースト”の感情を優先させたのです。
 
ところが、今でも新聞などは、「トランプ大統領が白人至上主義者擁護の発言をしたのは白人支持層をつなぎとめるためだ」などとトランプ大統領の“狙い”を解説したりしています。
北朝鮮問題に関しても、マスコミや識者はトランプ政権の対北朝鮮政策についていろいろ解説したり推測したりしています。しかし、トランプ大統領に戦略などあるわけがなく、推測するだけむだです(ただ、共和党主流派や軍は戦争をする気がないのははっきりしていると思います)

しかし、「アメリカ大統領は偉大である」という思い込みの強い人は、なかなか現実が見えません。
また、「強固な白人支持層がいる」ということでトランプ大統領を評価する人もいますが、その白人支持層というのは要するに白人至上主義者で、経済的には黒人よりもはるかに恵まれています(2012年のアメリカ国勢調査で黒人の貧困率は27.2%、白人の貧困率は12.7)
 
トランプ大統領の支持率が下がったことに対して、誰かが立て直しの戦略を立てたところで、トランプ大統領がその通りに行動することはないので、立て直すことは不可能です。
 
これから考えなければならないのは、どうやってトランプ政権崩壊をソフトランディングさせるかということです。

 
なぜこういう人がアメリカ大統領になったかというと、インターネットの普及でヘイトスピーチが当たり前になった世の中の流れに乗ったからです。
トランプ政権の崩壊で、ヘイトスピーチをする人間がいかにだめであるかが誰の目にもはっきりすれば、この愚かな政権に世界が振り回されたこともむだではなかったということになります。

トランプ大統領は4月16日、ツイッターで「北朝鮮問題でわれわれと協力している中国を為替操作国とどうして呼べようか」と述べました。
私はこれを読んだとき、アメリカは水面下で中国と話をつけていて、北朝鮮に核放棄を迫る戦略ができているのかと思いました。
だとすれば、表面の動きだけ見て論じてきたのは無意味です。
 
しかし、経済問題と安全保障問題をからめて取引することは、現実ではあるにしても、公言するべきことではありません。
改めて考えてみると、アメリカ財務省は14日公表した外国為替報告書で中国を為替操作国に認定することを見送ったのでした。トランプ大統領は選挙中に「大統領に就任した初日に中国を為替操作国に認定する」と公約していましたから、明白な公約違反です。トランプ大統領もさすがにバツが悪くて、少しでも正当化するために北朝鮮を持ち出したのだと想像できます。
 
トランプ大統領の発想はつねに「自分ファースト」です。自分がよく思われるためにはなんでも言うのです。
 
また、トランプ大統領は4月6日、北朝鮮への対応について「すべての選択肢がテーブルの上にある」と語りました。
シリア政府軍に対する攻撃直後のことでもあり、これは軍事的攻撃で北朝鮮の体制を崩壊させるという意味ではないかと、急に緊張が高まりました。
しかし、これは単に北朝鮮問題について「イロハから勉強している」というぐらいの意味だったようです。
ワシントン・ポストは14日、トランプ政権が北朝鮮政策について、体制転換を目指すのではなく、核・ミサイル開発を放棄させるために「最大限の圧力」をかける方針を決めたと報じました。
 
トランプ大統領の言うことを真に受けるのは愚かなことです。このことはしだいに広く認識されてきています。
 
トランプは悪性の人格障害!?米で精神科医らが解任求める
 
この記事によると、トランプ大統領の人格障害を理由に解任を求める署名運動に3万人を越える精神医療の専門家が署名しているということです。
記事の一部を引用します。
 
 
 トランプ大統領は就任後も選挙戦中と同様、根拠のない発言を繰り返している。たとえば、就任式の参加者数がオバマ前大統領の時より少なかったと報じたマスコミを「嘘つきだ!」と非難し、「過去最大規模の人出だった」と主張した。CNNテレビなどが流した両者の就任式の映像を比べればトランプ氏の方が少ないことは明らかなのに、また、就任式当日のワシントンの地下鉄の乗降者数でもトランプ氏の方が少なかったことが報道されたにもかかわらず、トランプ氏は主張を変えなかった。
 選挙結果にしても、トランプ氏は選挙人数で民主党のヒラリー・クリントン候補を上回ったが、総得票数ではクリントン氏より約300万票少なかった。この事実を受け入れられなかったのか、トランプ氏は何の根拠も示さずに「得票数で負けたのは300万~500万人の不法移民が不正に投票したからだ」などと突拍子もないことを言い出した。
 ジョンズ・ホプキンス医科大学での精神療法を含め、35年以上の実績と経験を持つジョン・ガートナー精神科医はトランプ氏の一連の言動をこう分析する。
「自分はベストで偉大だと思い込む誇大妄想の傾向が強いので、そこそこの勝利では我慢できないのだと思います。普通なら、“選挙に勝って大統領になったのだから十分だ”と考えるだろうが、彼の場合は“選挙人数でも得票数でも勝っていた”と主張しないと気がすまないのでしょう。就任式の参加者数でも同じことが言えます。トランプ氏は自分に都合の悪い現実を受け入れることができない。本当に危険なのは、彼が事実をねじ曲げ、自分の空想と一致するような“もう1つの事実”(嘘)を作り上げてしまうことです」
 トランプ氏は選挙戦中からずっと事実と異なる発言(嘘)を繰り返してきたが、目的を遂げるためなら平気で嘘をつき、それに対して自責の念を感じることも謝罪することもないというのが多くの専門家の意見だ。実際「トランプ氏の選挙戦中の発言のうち、77%は嘘だった」(『ポリティファクト』)との調査結果もある。
 そして、ロシアによる米大統領選介入にトランプ陣営が関わっていたのではないかとするFBI調査で追い詰められる中、トランプ氏は国民やメディアの関心をそらそうとしたのか、新たな暴言を吐いた。34日の朝、「なんということだ。オバマが投票日直前、トランプタワーを盗聴していたことがわかった。何も見つからなかったが、これはマッカーシズム(赤狩り)だ」とツイッターでつぶやいた。さらにこの後、「神聖な選挙戦の最中、私の電話を盗聴するとはオバマはどこまで落ちたのか。ニクソンのウォーターゲートと同じ悪い奴だ」などと立て続けに3回書き込みをした。
 結局、トランプ大統領からは何の証拠も示されず、FBIのジェームズ・コミー長官は「盗聴は起きていません」と議会で証言し、「トランプ大統領が言う盗聴を裏づける証拠はない」と明言した。
 
 
日本はこれまでずっとアメリカ依存でやってきて、安倍政権による切れ目のない安保法制でますます依存は深まっています。
しかし、トランプ政権に依存するわけにはいきません。
これは日本にとってアメリカから自立するチャンスです。
しかし、安倍政権ではこのチャンスも生かせそうにありませんが。
 

トランプ政権が発足して2月20日でちょうど1か月ですが、トランプ大統領は大統領令に署名するパフォーマンスをするだけで、まったく実行力がないということが見えてきました。
なにもかもがうまくいっていませんが、いちばんの問題は、メキシコ国境の壁の建設費をメキシコが払いそうにないことです。アメリカ国民の税金で建設費を払うのなら、トランプ支持者もがっかりでしょう。
 
トランプ大統領は18日にフロリダ州メルボルンで支持者を前に演説し、政権の混乱を伝えるメディアを攻撃し、「メディアが国民に嘘をついたら必ず罰してやる」などと言いました。
それに対してマケイン上院議員は「自由な報道が失われれば、独裁の始まりとなる」と批判しました。
 
トランプ大統領の人種差別主義と独裁的手法から、彼をヒトラーにたとえる向きもあります。しかし、ヒトラーとは大きく違うこともわかってきました。
 
ヒトラーのナチ党には突撃隊がいて、共産党など敵対組織とつねに殴り合いを演じて、死者を出すことも珍しくありませんでした。政権を握ってからは国会議事堂放火事件を理由に反対派を多数逮捕し、ゲシュタポも使って、反対派や一般市民に恐怖を与えました。また、ナチ党内でも突撃隊を粛清するなどしています。
ヒトラー自身も、その鋭い目つきや激しい語調で人々に恐怖を与えました。
つまりヒトラーの独裁は多分に恐怖を利用したものでした。
日本の軍部独裁も、五・一五事件、血盟団事件など暗殺の恐怖があったからこそです。
 
トランプ支持派に突撃隊のような実力部隊はいませんし、おそらく制度的にトランプ大統領がFBIやCIAを使って反対派を弾圧するということもできないでしょう。
トランプ大統領がどんな人間かもわかってきました。タフでパワフルですが、要するにひたすら自己中心的な人間です。そういうことがわかると、恐怖も感じません。
これではヒトラーのような独裁はむりです。
 
むしろこれからはトランプ大統領はどんどんバカにされるようになるのではないでしょうか。
たとえば、写真を加工して「小さいトランプ」をおもしろがるということがすでに流行しているということです。
 

トランプ米大統領を小人化した「小さいトランプ」画像が大流行!なんかカワイイwwwww

 
権力者は多くの人から笑われたりバカにされたりすると、権力者でなくなってしまいます。
 
トランプ大統領の行く末が見えてきました。
 
 
 
 

トランプ大統領が就任してわずか2週間余りですが、トランプ大統領の言動により世界は大揺れです。
普通の人間の感覚なら、就任してしばらくは、ハンドルさばきに慣れるまで安全運転を心がけるものです。そのため最初の100日間はハネムーン期間として、マスコミも批判を控えるという慣習がありますが、トランプ大統領の場合は、最初からアクセル全開です。
 
国際政治学者の三浦瑠璃氏は、これは初動で敵を圧倒しようという軍事における「衝撃と畏怖」戦略に似ていると分析していますが、トランプ大統領を美化しすぎです。私が思うに、トランプ大統領に戦略なんかありません。

イスラム圏7か国からの入国禁止令にしても、それによってテロが防げるはずがないので、個人的な反イスラム感情を政策にしただけと思われます。ですから、ワシントン州の連邦地裁が禁止令の効力一時停止の判決を出したのは当然です。それに対してトランプ大統領はまたしても感情的に反応し、ツイッターで判事の個人攻撃をしました。
 
トランプ大統領のやることは戦略ではなく感情ですが、その感情(つまり差別感情)に共感する層はトランプ大統領を支持します。
 
トランプ大統領のやることなすことがトラブルを引き起こしていますが、彼はそれを楽しんでいるはずです。トラブルがいやなら、よけいなツイートなどはしません。
つまり今の状態は、アクセル全開のように見えますが、トランプ大統領にとっては巡航速度なのです。
 
そうすると、同じことをやっていたのでは刺激がだんだん薄れてくるので、これからはもっとエスカレートするはずです。
それで行き着く先は、結局戦争でしょう。
 
 
トランプ氏、メキシコへ軍派遣を示唆? 麻薬組織制圧で
トランプ米大統領が先月27日にメキシコのペニャニエト大統領と電話会談した際、麻薬組織を制圧する目的でメキシコへの米軍派遣を示唆する発言をしたと、AP通信などが報じた。メキシコ政府は報道内容を否定したが、メキシコ国内では「内政干渉だ」などと批判が広がっている。
 国境の壁の建設費を巡って意見が対立している両首脳は先月27日、約1時間にわたって電話で会談。AP通信が1日に報じた内容によると、トランプ氏は「メキシコには悪い連中がたくさんいる。メキシコの軍隊はおびえている。米軍を送ることもできる」などと語ったとされる。
 またAP通信は2日、匿名の米ホワイトハウス関係者のコメントとして「一連の会話は、麻薬組織を制圧するための話し合いでなされた」と伝え、発言は「軽い調子で」なされたとも報じた。米CNNも、トランプ氏がメキシコへの軍派遣を申し出たと伝えた。
(後略)
 
 
トランプ大統領は、メキシコを侵略すると言ったのではなく、アメリカ軍の力でメキシコの犯罪組織をやっつけようと言ったわけですが、メキシコを侮辱した発言です。
 
それはともかく、軍隊で犯罪組織をやっつけるというのがトランプ流の発想なのでしょう。
トランプ大統領はまた、統合作戦本部にIS殲滅作戦を30日以内に提出するよう命令していますが、これも軍隊の力でテロリストを殲滅するというトランプ流です。
 
トランプ大統領はすでにイエメンで対テロ軍事作戦を実施して、民間人に犠牲者が出、アメリカ軍にも戦死者が出たことから批判が高まっています。
しかし、トランプ大統領はこうした批判は平気です。むしろ生きがいになっているかもしれません。
 
これまではトランプ大統領の暴言が世界を騒がせてきましたが、これからは軍事力で世界を騒がせることになるのでしょう。

安倍首相はトランプ大統領とゴルフなんかしている場合ではありません。

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