村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

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SMAPの5人は1月21日、公開謝罪後初めての全員そろっての仕事として「SMAP×SMAP」の収録を行い、翌日のスポーツ紙各紙はその様子を「笑顔が戻る」などの見出しで大きく報じました。
私は22日の午後のワイドショーをチャンネルを変えながら見ましたが、どの局も「SMAP存続が決まってよかった」といったムード一色でした。キャスターもコメンテーターも、キムタク以外の4人が明らかに傷ついていることへの言及もなければ、もちろんジャニーズ事務所に対する批判もありません。
日本伝統の「翼賛報道」とはこのことかと思いました。
 
もっとも、「いろいろ納得いかないことはあるが、SMAPの分裂や解散が回避されて存続が決まったのはよかった」と思っている人は多いかもしれません。
しかし、かりにキムタクがジャニーズ事務所に残り、4人が独立していったとしても、SMAPがそのまま存続することは可能です。
 
たとえばAKB48やその姉妹グループの場合、各メンバーの所属事務所はバラバラです。
AKB48の現在の主要なメンバーの所属事務所はこうなっています。
 
小嶋陽菜 プロダクション尾木
島崎遥香 ビッグアップル
山本彩  KYORAKU吉本.ホールディングス
柏木由紀 ワタナベエンターテインメント
横山由依 太田プロダクション
 
ですから、SMAPの場合も、各メンバーの所属事務所が違ってもSMAPとして活動していくことは可能です。
ただ、ジャニーズ事務所は「SMAP」を商標登録しているということなので、ジャニーズ事務所がそれを許可しなければなりません。
SMAPの今回の騒ぎは中国や欧米でも報道され、SMAPは今や国民的のみならず国際的な存在ですから、「SMAP」の名前の使用を許さないとすれば、ジャニーズ事務所はあまりにも狭量です。それにSMAPの活動から利益を得ることもできます(5人全員を事務所にかかえているよりは少なくなりますが)
 
しかし、「メンバーがジャニーズ事務所を抜けても、ジャニーズ事務所はSMAPの存続を認めるべきだ」という意見を聞いたことがありません。
マスコミはジャニーズ事務所批判をしないだけではなく、ジャニーズ事務所に意見を言うことすらできないようです。
 
 
SMAPの生放送における公開謝罪についてはいろいろ意見がありますが、いちばんの問題は、そのあと記者会見が行われなかったことでしょう。
 
よく企業が不祥事を起こした場合、経営陣がそろって頭を下げる映像がニュースで流れますが、実際はあのあと記者との質疑応答が行われるわけです。
マスコミはつね日ごろ「説明責任を果たせ」と言っているのに、今回はなぜ言わないのでしょうか。
各メンバーがどういう思いでいるのかということと、経営陣からの説明を聞きたいところです
 
フジテレビ内における「SMAP×SMAP」の収録のときは、多数の警備員による厳戒態勢がとられ、「日刊スポーツ」によると、「メンバーが局内を移動する際は警備員がピタリと付くなど、ピリピリムードだった」「トイレに行く時もスーツ姿の警備員が付いた」ということです。
あるワイドショーでは「なにから厳戒しているのか」という声が上がっていました。
フジテレビ内ですから、あやしい人物がいるとは思えません。
ですから、どこかの記者が現れて、「中居さん、今の心境は?」などと声をかけてくることを警戒しているのでしょう。
 
そこまでシャットアウトされながら、ジャニーズ「翼賛報道」を続けるマスコミはつくづく情けない存在です。

SMAPを巡る騒動を見ていると、日本のマスコミやジャーナリズムのひどさが浮き彫りになった気がします。
 
SMAPのメンバーは18日に放送されたフジテレビ系「SMAP×SMAP」に生出演して、謝罪の言葉を述べました。





一応謝罪はしていますが、今後どうするかということはまったく語っていません。それでもマスコミは「分裂回避」「SMAP存続」と報道しています。
 
これについてファンの反応は、「見せしめ」「お通夜」「私が知っているSMAPじゃない。まるで別人」「見ていられない」「納得できていないまま立っているのが分かる」「言わされている感じ」「生放送での公開パワハラ」といったものが多いそうです。
 
ここにいたるいきさつについてはいろいろ書かれていますが、ひとつ確実に言えるのは、キムタク以外の4人はジャニーズ事務所の力に屈服させられたということです。
そういう意味ではまさに「生放送での公開パワハラ」です。
 
ジャニーズ事務所は芸能界において圧倒的な力を持っています。狭い芸能界でジャニーズ事務所ににらまれては生きていけません。4人が屈服したのはしかたのないことです(ジャニーズ事務所に対抗できる有力な事務所に移籍しようとしたのですが、その話が土壇場でだめになったということのようです)
 
問題はマスコミの報道のしかたです。
こういう芸能界の力学を解説するのではなく、SMAPのマネージャーと4人が事務所の恩を忘れて独立を画策し、キムタクにたしなめられて反省したというような“道徳の物語”になってしまっています。
要するにマスコミも芸能界の力学の中に取り込まれているのです。クラスの中にイジメがあるとき、イジメを止めるのではなく、イジメに加担しているみたいなものです。
 
 
ところで、マスコミの報道姿勢については、古舘伊知郎キャスターがインタビューで、「キャスターはどういう役割か」と聞かれて、「生意気な言い方だが、権力に対して警鐘を鳴らす、権力を監視する」「基本的にニュースキャスターは反権力であり、反暴力であり、表現の自由を守る側面もある」と語りましたが、産経新聞の記事がこれにかみついています。
 
 
 政権の政策には当然、評価に値し推進すべきものもあれば、問題があって修正すべきものもあります。それらを全て「反権力」の視点で、対案を示さずにあら探しばかりをしていたら、国民の間には政治不信が広がるだけで、政策は停滞してしまいますから、結果的に国益に反します。
古舘氏が12年間も放送法の規定を理解しないままキャスターを務めてきた責任は重く、まだ3月末まで続けるというなら、まずは先の「キャスターは反権力」という発言を撤回し、「政治的公平」に基づいた報道に徹してもらいたいと思います。
 
 
こんな考えだから、産経新聞は安倍政権批判の記事が書けないのでしょう。
この記事は人間性についての基本的な理解に欠けています。
 
たとえば、「政権の政策には当然、評価に値し推進すべきものもあれば、問題があって修正すべきものもあります」とありますが、これを書いた記者は自分はそれを正しく判断できると思っているのでしょう。しかし、権力がからむと、ほとんどの人は正しい判断ができません。人間は権力に尻尾を振るように生まれついていて、そこに認知バイアスがあるからです(人間は「反権力」でなければ「公平」な判断はできないわけです)。
 
権力に尻尾を振るのは、生きるのにそうしたほうがいいからです。たとえばサラリーマンが「反権力」の姿勢でいたら、出世なんかできません。
しかし、会社が赤字続きで、あるサラリーマンが経営改革案を出すプロジェクトチームのトップに任命されたとします。経営改革案というのは、これまでのやり方の非を指摘するものですから、当然会社の上層部と軋轢を生みます。「反権力」の姿勢がなければ正しい改革案は出せません。
 
ジャーナリストやキャスターは、世の中をよくするための役割が期待される職業ですが、どんな世直しも権力との軋轢を生みます。普通の人間は権力の網の目にからみとられて生きていますが、ジャーナリストはそれとは別のスタンスが必要なわけです。
 
芸能報道でも同じことです。「反権力」の姿勢がないマスコミは、芸能事務所と所属タレントの関係を正しく報道することができません。
しかし、一般のファンは芸能界の権力とは無縁の立場ですから、客観的に評価しています。
今回のSMAP報道で、権力に弱いマスコミの体質があらわになった感があります。

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