食事におけるマナーはたいせつです。
スープを音を立ててすすったり、ナイフやフォークを必要以上にカチャカチャさせたりするのは、周りの人を不快にさせます。
では、箸の持ち方がおかしいというのはどうでしょうか。
音を立てたり唾を飛ばしたりするのと違って、どんな箸の持ち方をしても人の迷惑になることはありません。
箸の持ち方がおかしいと食べにくいということはあるでしょうが、それは本人の問題です。
ところが、世の中には「お箸の持ち方がおかしい」と言ってクレームをつける人がかなりいます。
不登校のYouTuber、“少年革命家ゆたぼん”の父親が、ゆたぼんがお寿司を食べる写真をツイートしたところ、「お箸の持ち方がおかしい」というクレームが殺到したそうです。
「中村幸也@ゆたぼんのパパ」のツイートより
ゆたぼんさんが批判されているのを見て、ダルビッシュ有選手が「ゆたぼんさんのお箸の持ち方どうこうってあんなん俺からしたら上手く持ててるからな」とツイートして、自分の箸の持ち方の動画を投稿しました。
https://twitter.com/faridyu/status/1224426899981520896
ダルビッシュ選手は前に箸の持ち方でバッシングされたことがあり、それ以来、この問題にはこだわりがあるようです。ツイッターのプロフィールには「箸が箸であればどんな使われ方をされても愛せ。そして箸を使う人すべてを愛せ」という言葉を書いています。
私が思うに、「機能的で、見た目にも美しい箸の持ち方」というのはあるでしょうし、それを目指すのはいいことです。しかし、我流の持ち方をしたからといって非難される筋合いはありません。
ダルビッシュ選手も、「鉛筆の持ち方が変だからといって叩かれないし、歩き方や走り方が変だからといって叩かれない。なぜお箸の持ち方だけ叩かれるのか」という主旨の主張をしています。
問題は、へんな箸の持ち方をする人にあるのではなく、箸の持ち方が悪いと非難する人のほうにあります。
それは、「発言小町」に投稿された次の悩みを読めばわかるはずです。
箸の持ち方を直してほしいこぶた 2013年7月31日 21:4633歳会社員です。お付き合いしている彼に箸の持ち方を直してほしいのですが何と言うのがよいでしょうか。付き合い始めくらいに、直してほしいと一度言ったことがあります。彼は自分でもおかしな持ち方をしているのは自覚していて、「上司と一緒の時やきちんとした席では直しているから大丈夫」みたいな言い訳をされました。それ以来は気なりつつ口に出していません。その前にお付き合いした彼もきちんと箸を持てない人で指摘をすると、誰にも迷惑をかけていないし、誰がそんなルールを決めたんだ?という風に逆切れ気味に言い返されたこともあり、直してほしいけど何と言えば気持ちよく直してくれるのか悩んでいます。私としては、マナーとして当然と思っており、できないことは恥ずかしく思います。また、それをどうでもいいと思っている人は根本的な所で価値観が合わないかもとすら思います。皆さんなら、パートナーの箸の持ち方がおかしい時はどうしますか?https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2013/0731/608705.htm
この悩み相談に対して、「別れればよい」という回答が多数です。
こうした回答は無責任です。
稼ぎのない男、暴力をふるう男、自分勝手な男、浮気をする男などとは別れたほうが賢明です。
しかし、「箸の持ち方が悪い男」と別れるのは愚かです。そんなことは欠点のうちに入りません。男選びの基準が間違っています。
箸の持ち方を異常に気にするこの女性に問題があるのは明らかです。
ゆたぼんさんやダルビッシュ選手の箸の持ち方をたたく人は、この女性と同じ精神構造と思われます。
どうしてこのような精神構造になってしまったのか、それもこの女性の次の書き込みから推測できます。
こぶた 2013年8月7日 21:30私が持ち方を直してほしいと彼に言おうと思ったきっかけは、お正月には両親に彼を紹介しようと思ったからです。(遠方で年に一度しか帰省しません。)私の価値観ができあがったように、当然両親は箸の持ち方を見る人です。口には出さないでしょうか、内心よく思わないでしょう。その前に直してほしかったのです。https://komachi.yomiuri.co.jp/t/2013/0731/608705.htm?o=2&g=04&rj=1
基本的に子どもの箸の持ち方は親がしつけます。子どもは当然、箸がうまく使えません。そのときに強引なしつけ方をすると、それが子どものトラウマになります。この女性とか、ゆたぼんやダルビッシュ選手をたたいている人たちは、そうしたトラウマがあるのでしょう。
幼児虐待で逮捕された親はたいてい「しつけのためにやった」と言います。
こういう親は決して特別ではなくて、虐待の程度の軽い親はいっぱいいて、軽いトラウマを受けた子どももいっぱいいて、そうした子どもがおとなになると、ゆたぼんさんやダルビッシュ選手の箸の持ち方をたたくようになります。
こういう人は、自分のしつけのされ方を振り返るといいと思います。
食事のマナーはたいせつです。
箸の持ち方のような細かいことにこだわらず、楽しく食事することが最大のマナーです。