村田基の逆転日記

進化倫理学の威力を試すブログ

タグ:トランプ大統領

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嘘にまみれた安倍政権とトランプ政権が終わっても、トランプ大統領の嘘はこれからも生き続けるかもしれません。

トランプ大統領が「選挙は盗まれた」と主張するのに合わせて、さまざまな嘘が飛び交いました。
トランプ票が大量に燃やされたとか、投票機にソフトウェアを提供した企業の社長はバイデン氏の政権移行チームの一員であるといったものから、ドイツで投票機のサーバー押収をめぐって米軍特殊部隊とCIAが銃撃戦を演じて5人死亡したとか、オバマ前大統領が逮捕されたといったものまでありました。
しかも、日本にこうした嘘を拡散させる人が少なからずいました。

2017年のトランプ大統領就任式における観客はオバマ大統領のときより大幅に少なかったとメディアが報じると、トランプ大統領は「フェイクニュース」と言って猛反発し、報道官は過去最多だったと主張して、「オルタナティブファクト」と称しました。
それからトランプ大統領は嘘をつき続け、ワシントン・ポストは最初の1年間に2410回も嘘をついたと報じました。
「コロナウイルスはもうすぐ魔法のように消える」という罪の深い嘘もありましたが、トランプ大統領はこうした嘘について嘘と認めたり謝罪したりすることはありませんでした。


安倍前首相も任期中、モリカケ桜で嘘をつき続けて、桜を見る会問題では国会で118回の虚偽答弁をしたとされました。

しかし、トランプ大統領の嘘と安倍前首相の嘘は明らかに異質です。
安倍前首相の嘘は、自分が関わった不正をごまかすための嘘、要するに自己保身のための嘘です。
自己保身の嘘は誰でもつきますから、われわれの常識で理解できます。安倍前首相の場合は、公の場で異常に多くの嘘をついただけです。
しかし、トランプ大統領の嘘は常識では理解できません。


トランプ大統領の嘘を知る手がかりは、Qアノンです。
Qアノンはトランプ大統領の嘘に呼応して生まれました。

ウィキペディアによると、
「Qアノンの正確な始まりは、2017年10月に「Q」というハンドルネームの人物によって、匿名画像掲示板の4chanに投稿された一連の書き込みである」
「この陰謀論では、アメリカ合衆国連邦政府を裏で牛耳っており、世界規模の児童売春組織を運営している悪魔崇拝者・小児性愛者の秘密結社が存在し、ドナルド・トランプはその秘密結社と戦っている英雄であるとされている」
ということです。
政府を裏で支配する秘密結社はディープステートと呼ばれます。

私は最初、小児性愛者の秘密組織がアメリカを支配しているというふうにネットの記事で読みました。
小児性愛者の秘密組織は過去に摘発されたことがありますし、上流階級に存在する可能性はあります。しかし、そういう人間は自分の性的嗜好が満たされればいいわけで、国家を裏であやつる必要はありません。ですから、ばかばかしい話と思いました。

しかし、そのネット記事は不正確で、正しくは小児性愛者でかつ悪魔崇拝者の秘密組織だったわけです。
それなら話として成立します。


悪魔崇拝者というのは、ホラー映画やホラー小説にはいっぱい出てきますが、現実にはほとんどいないと思われます。
敵対する宗派や一部の人を攻撃するときに悪魔崇拝者というレッテル張りをしたのが実際のところでしょう。
ただ、そこにおどろおどろしいイメージが付与され、女性や小児を生贄にして性的快楽を得る儀式(サバト)を行うといったこともありました。
ですから、ディープステートが小児性愛者でかつ悪魔崇拝者の秘密組織だというのはありそうな設定です。
メインは悪魔崇拝で、小児性愛はつけ足しです。

もちろんすべてはQアノンのデマです。
Qアノンが敵に対して悪魔崇拝者のレッテル張りをするということは、Qアノンは政治勢力というより宗教勢力だということです。
「陰謀論」という言葉も適切ではありません。「ディープステートが国を支配している」というのは、Qアノンの「教義」というべきです。

トランプ大統領のコアな支持層は福音派という宗教勢力だとされています。Qアノンはそのさらにコアな支持層で、カルト集団みたいなものです。

そうすると、トランプ大統領はQアノンにとってなにかというと、ウィキペディアには「秘密結社と戦っている英雄」と書かれていましたが、「英雄」というより「救世主」というべきでしょう。
つまりQアノンはトランプ大統領を救世主として崇拝するネット上の宗教勢力で、民主党などを悪魔崇拝者として攻撃しているということになります。


こういう宗教勢力が生まれたのは、トランプ大統領の言動にカリスマ性があったからです。
トランプ大統領が言い続けたのは「アメリカは偉大だ」と「私は偉大だ」ということです。
こういう言い方がカリスマ性を高めます。

トランプ大統領の言葉は教祖が語る宗教の言葉なので、いちいちファクトチェックをしても意味がありません。
教祖は奇跡も行えるからです。
科学に従うのも教祖らしくありません。
「コロナウイルスは魔法のように消える」というのは、いかにも教祖らしい言葉でした。

しかし、トランプ大統領に奇跡を行う力はなく、日々の感染者数は増え続け、それがためにトランプ大統領のカリスマ性は失墜し、大統領選挙で落選する結果となりました。


ただ、アメリカはきわめて宗教性の強い国家で、今でも多くの州の学校で進化論を教えることができませんし、アメリカ国歌「星条旗」には「神」という言葉がありますし、大統領は議会での演説の最後に必ず「God bless America」と言いますし、大統領就任式では必ず左手を聖書の上に置いて宣誓します。同性愛差別、人工中絶禁止などの保守派の主張も宗教的価値観からきています。クリスマスに「メリークリスマス」と言うか「ハッピーホリデーズ」と言うかは大きな政治的争点です。

日本のメディアはアメリカを宗教国家と見なすことをタブーとしているので、Qアノンの実態も見えてきません。
トランプ大統領やQアノンの主張は宗教だと考えれば、「嘘だ」とか「事実に反する」と批判するのは的外れで、むしろ「政教分離」の観点から批判するべきだということになります(あるいはキリスト教の権威による「異端審問」も)。

宗教勢力は今後もトランプ大統領を教祖として担いでいこうとするでしょう。
あるいは、司法当局の追及や民事訴訟やマスコミの報道などでカリスマ性が失われていくかもしれません。



ところで、日本におけるトランプ支持者の多くは、統一教会系「ワシントン・タイムズ」と法輪功系「大紀元(EPOC TIMES)」の情報をよりどころにしているということですし、日本でトランプ支持デモを主催しているのは統一教会や幸福の科学だということです。
新宗教やカルトの人たちはトランプ大統領のカリスマ性にひかれるのでしょう。
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1月17日の福岡のデモに登場した“トランプみこし”(「水木しげるZZ」のツイートより)

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アメリカ大統領選挙を通してわかったのは、日本に盲目的なトランプ信者がかなりいるということです。
彼らはいまだに「民主党が選挙を盗んだ」というトランプ大統領の吹聴する陰謀論を信じていたりします。
こんなにトランプ信者がいるのは、アメリカ以外では日本ぐらいではないでしょうか。

日本のトランプ信者のほとんどが保守派、右翼、ネトウヨです。
彼らは一応愛国者を自認しているので、それに合わせてトランプ支持の理由づけをしています。
それは、「トランプは中国にきびしいから」というものです(「バイデンは中国の手先だ」という陰謀論も信じていそうです)。

トランプ氏でもバイデン氏でも対中国政策にそれほど変わりはないだろうというのが一般的な見方ですが、とりあえず今は、おそらく新型コロナウイルスによる被害を中国に責任転嫁するために、トランプ政権が中国にきびしく当たっているのは事実です。


反中国の感情は、ネトウヨに限らず日本人に広く蔓延しています。
11月17日に発表されたNPO法人「言論NPO」などによる日中共同の世論調査によると、中国への印象が「良くない」「どちらかといえば良くない」とした日本人は89・7%で前年比5ポイント増だったということです。
習近平政権は独裁色を強め、香港の民主化運動を弾圧しているので、それが反映されたのでしょう。

しかし、今では日本にとって中国は最大の貿易相手国です。
日中関係をこじれさせるわけにいきません。
ほとんどの日本人はそのことがわかっていますし、自民党政権も同じです。

しかし、わかろうとしない人もいます。
かつて日本の経済力が中国を上回っていたころ、中国を見下していた人たちです。
中国経済が次第に日本に追いついてきても、「中国経済はもうすぐ大崩壊する」などという本や雑誌記事を読んで信じていました。

しかし、中国のGDPが2010年に日本を超え、その差が年々拡大してくると、「中国経済は崩壊する」という説は見なくなりました。
また、「南京虐殺はなかった」というのは、「従軍慰安婦の強制連行はなかった」というのと並んでネトウヨの主張の定番でしたが、最近「南京虐殺はなかった」という主張はとんと見なくなりました。

今では中国のGDPは日本の3倍近くになっています。
ネトウヨも反中国の旗をおろさざるをえなくなって、もっぱら慰安婦像問題や徴用工問題などで反韓国の旗を振るしかないというときに、トランプ大統領が強硬な反中国政策を取り始めたのです。
ネトウヨは大喜びしたでしょう。
アメリカが中国をやっつけてくれて、日本もアメリカの威を借りる形で中国に強く出られそうだからです。

そうしてネトウヨはトランプ信者になったというわけです。


もともと多くの日本人は、強いアメリカに媚び、弱い中国や韓国や北朝鮮に威張るという精神構造をしていました。
この精神構造は、半島と大陸を植民地化したことからきていますが、若い人の場合、学校でのいじめとも関係しているかもしれません。
クラスで強い者が弱い者をいじめるという現実の中で育ってきて、国際社会も同じようなものだと思っているのではないでしょうか。

しかし、アメリカの覇権はいつまでも続くとは限りません。将来は覇権が中国に移るということは十分に考えられます。
日本がアメリカの威を借りて中国に対処していると、そのときみっともないことになります。

アメリカであれ中国であれ、覇権主義に反対するというのが日本外交の基本でなけれはなりません。

覇権主義に代わるものは「法の支配」です。
日本は人権、平和、法の支配といった価値観で世界から信頼される国になるしかありません。

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AP通信写真家のエヴァン・ヴッチの写真――Elizabeth May (on semi-hiatus)のツイートより

アメリカ大統領選挙はバイデン候補の当選で決着しました。
もっとも、トランプ大統領は「選挙は私が大差で勝った!」とツイートし、さらに「月曜日から選挙に関わる法律がきちんと執行され本当の勝者が決まるように裁判を通じて求めていく」との声明を出したので、裁判闘争が続くのかもしれません。
しかし、選挙不正の証拠も示されないので、裁判の帰趨は明らかです。


この4年間、世界はトランプ大統領の毒気にあてられてきました。
これから毒気を抜いて健康を回復しなければなりません。
それにはトランプ大統領をよく理解することです。

頭を冷やして振り返ると、トランプ大統領にもいいところはありました。
なによりも新しい戦争をしませんでした。
継続中の戦争も縮小の方向でした。
トランプ政権は軍事費を増大させたので、私はトランプ大統領は好戦的な人間で、どこかで戦争を始めるだろうと思っていましたが、それは私の見込み違いでした。

それから、よくも悪くも実行力があったのは事実です。
たとえば、金正恩委員長との会談は、ホワイトハウスで賛成するのは誰もいないような状況でしたが、実現させました。
もっとも、会談は実現しましたが、そのあとはとくに進展がありません。トランプ大統領は戦争を防いだと自慢していますが。


私が考えるに、トランプ大統領はアメリカファースト以前に自分ファーストの人間で、つねに自分が中心にいて注目されたいのです。
戦争が始まってしまうと、戦況や司令官に注目が集まります。そういう事態は避けたのでしょう。

軍事費を増大させたのも、強大な軍事力を持つ大統領として世界から仰ぎ見られたかったからでしょう。

金正恩委員長と会談したのも、その会談が世界でもっとも注目される会談だったからです。
同盟国の首脳といくら会談しても大して注目されません。
会談で注目されれば満足なので、会談が終わればそれきりです。

なお、トランプ大統領はASEAN首脳会議に一度も出席したことがありません。サミットには出席しますが、あまり楽しそうではありません。ワンオブゼムの立場がいやなのでしょう。


トランプ大統領は実際にブロレスのリングにのぼったことがありますし、バラエティ番組の司会で「お前はクビだ!」の決め台詞で人気を博しました。
そのままの感覚で大統領になって、同じことをやっているのです。

ですから、私たちもプロレスを見物する感覚でトランプ大統領を見ることができれば楽しいのですが、このプロレスラーは核のボタンを持っているので、この見物は精神衛生によくありません。

“トランプレスラー”の得意技は言葉を使っての攻撃です。
トランプ大統領は特殊な言語能力を持っています。
言葉の攻撃力を持っていることも戦争しなかった原因かもしれません。

たとえばバイデン候補とのテレビ討論会で、暴力的極右団体プラウド・ボーイズに対してなにか言わないのかと司会者に問われると、トランプ大統領は「プラウド・ボーイズ、下がって待機せよ」と言いました。
これは行動への準備を命じたようなものだと批判されましたが、「行動するな」という意味でもあり、実に巧妙な言い方です。とっさにこういう言葉の出てくるところにトランプ大統領の優れた言語能力があります。

トランプ大統領はツイッターに毎日のように多数の投稿をしていますが、世界最高の権力者が思いつくままに発言して通用しているのも驚くべきことです。


トランプ大統領は今回の選挙について「彼らは選挙を盗もうとしている」とツイートして、ツイッター社に警告をつけられました。

「選挙を盗む(steal the election)」とは不思議な言葉です。ファンタジー小説に出てきそうな言葉で、巨大な悪を想像させます。
「投票用紙を盗む」とか「投票箱を盗む」ならわかりますし、「そんな事実はない」と反論もできますが、「選挙を盗む」と言われると、どう反論していいのか困ります。

トランプ大統領はほかにも「郵便投票は腐敗した制度だ」とか「合法的な集計をすれば、我々は楽勝だ」とか「不正はやめろ」とかいろいろ言っていますが、「選挙を盗む」という言葉の威力で、証拠もなしに不正選挙のイメージづくりにある程度成功しました。


しかし、トランプ大統領の言葉の攻撃力もウイルスには通用しませんでした。
新型コロナウイルスの蔓延を防げなかったことでトランプ大統領の支持率は低下ししました。
もし新型コロナがなかったら、トランプ大統領は楽勝していたでしょう。



トランプ信者は日本にも多くいます。
ヤフーニュースのコメント欄には、選挙の不正を主張する意見がいっぱいあります。
こういう人たちは菅首相にまで文句をつけています。

菅首相「バイデン祝福」にかみつく人たち 「まだ決まってない」「裁判を見極めて」などと主張が
菅義偉首相が2020年11月8日、米大統領選で「勝利宣言」したジョー・バイデン氏への祝意をツイートしたところ、リプライ欄に反発の声が少なからず書き込まれる事態となった。

「まだ決まってない」「まだトランプ大統領は争っています」「1月に正式に決まった時点で祝辞を送った方が賢明」「不正による当選した方に祝辞を送るな」「裁判を見極めて!! 」

■各国のリーダーも同様に声明

 こうしたリプライが相次いで寄せられているのは、菅氏が8日早朝、ツイッターに書き込んだ下記の投稿だ。

「ジョー・バイデン氏及びカマラ・ハリス氏に心よりお祝い申し上げます。日米同盟をさらに強固なものとするために、また、インド太平洋地域及び世界の平和,自由及び繁栄を確保するために、ともに取り組んでいくことを楽しみにしております」

(中略)

日本でも拡散した「不正選挙」言説
 投稿から約7時間、13時過ぎの時点で、ツイートには1700件を超えるリプライ(返信)が寄せられている。しかし、目立つのは上記のように、祝意に反発する投稿だ。

 あるアカウントは、「菅さん、社交辞令はわかりますが、時期そうそうですよ!」(原文ママ)と主張。この投稿には700件を超える「いいね」が寄せられている。ほかの「まだ、決まってませんよ」とするリプライにも1000件以上のいいねが。

 もちろん、「他の国が祝辞出してるから」と理解を示すツイートもあるが、リプライ欄の上位に掲載された投稿の中では少数派だ。

 現職のドナルド・トランプ氏は、選挙で不正が行われた可能性を繰り返し示唆し、法廷闘争に持ち込む姿勢を崩していない。支持者の間では不正の「証拠」とされる画像や動画などが、日々拡散され続けている。こうした情報は日本にも広まり、注目を集めているが、これらの言説はすでにメディアなどの調査で否定、あるいは疑義が示されているものが少なくない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/cfa04a5895e0a7070e33efe359919354b18d219c

外国の大統領の主張を信じて、日本の首相の判断に文句をつけるとは、まさに「売国」というしかありません。
まあ、菅首相のカリスマ性がトランプ大統領のそれに遠く及ばないだけのことかもしれませんが。

トランプ信者はトランプ大統領の毒気にあてられているのですから、早く解毒しなければなりません。

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10月26日、菅義偉首相の初めての所信表明演説が行われましたが、演説の途中で拍手が起こったのは2度だけでした。
1度目は、コロナ禍でがんばる医療関係者に対して「心からの感謝の意を表します」と言ったところで、2度目は、「2050年、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことをここに宣言いたします」と言ったところでした。
このことから脱炭素社会の実現がこの演説の最大の目玉だったことがわかります。

拍手が起こらないのは、強く言い切ったあとに間を空けて拍手を催促するというテクニックを使わなかったからでもあります。けれん味がなくてよいとも言えます。

内容にこれというところがないので、野党も「学術会議任命拒否の説明はなしか」ということ以外に批判のしようがないようです。

従来は争点だった改憲問題については、このように言及しています。
 国の礎である憲法について、そのあるべき姿を最終的に決めるのは、主権者である国民の皆様です。憲法審査会において、各政党がそれぞれの考え方を示した上で、与野党の枠を超えて建設的な議論を行い、国民的な議論につなげていくことを期待いたします。
https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2020/1026shoshinhyomei.html
とくに改憲の意欲はなさそうです。

演説の内容に注目できないので、どうしても菅首相のキャラクターに注目がいきます。
アメリカ大統領選のさ中ということもあって、私はトランプ大統領と比べてしまいました。
菅首相とトランプ大統領はなにもかもが正反対です。


トランプ大統領は選挙演説が得意で、聴衆を大いにわかせます。原稿もなしに、たいてい1時間以上しゃべりますし、本人もノリノリで、声も張っています。
菅首相は活舌が悪く、声に張りもありません。
菅首相も選挙演説はよくしますが、聴衆をわかせるような演説はしていないでしょう。

体格も大いに違います。
トランプ大統領の身長は190センチだそうです。
政治家の身長は意外とだいじで、アメリカ大統領選では身長の記録が残るようになって以降、主要な2人の候補のうち、2期目のジミー・カーター大統領以外、つねに背の高いほうが勝っているという説があります。

ちなみにバイデン候補は183センチだそうです。
体格も圧倒的にトランプ大統領のほうがたくましくて、もしトランプ大統領とバイデン候補が殴り合いの喧嘩をしたら、トランプ大統領が圧勝するでしょう(トランプ大統領は口喧嘩も達者です)。
群れをつくるたいていの動物では、喧嘩の強いほうが群れで上位になり、いちばん強い個体が群れのリーダーになります。
人間も基本的な部分は同じです。アメリカの有権者が本能的に行動すればトランプ氏を選ぶことになります。
もっとも、今回のテレビ討論会では、コロナのせいで両候補は離れて立っていたので、体格の違いはそれほど意識されませんでした。その影響がどう出るでしょうか。

菅首相の身長については、公式発表はないようで、ネットでの推測によると165~167センチです。
総裁選で石破氏や岸田氏と並んでも、身長の低さが目立ちました。
討論会では、カンペを見ながらぼそぼそしゃべるという感じで、石破氏と岸田氏が力強く言い切っていたのと対照的でした。


菅氏が首相にまでなれたのは、人事権をうまく使ったからと言われていますが、人事のやり方についてもトランプ大統領とは対照的です。

トランプ大統領の人事はオープンです。
トランプ政権の最初の国務長官だったティラーソン長官の場合、だんだんトランプ大統領との対立が表面化して、ティラーソン長官がトランプ大統領のことを「間抜け」と言ったと報道され、ティラーソン長官がそれを否定しなかったということなどがあって、最後にトランプ大統領は「イランの核開発問題などをめぐる意見の不一致があった」ということを理由に解任しました。
ボルトン補佐官の場合は、アフガニスタンやイランなどの外交政策をめぐって意見が対立し、トランプ大統領はツイッターで「私は昨夜、ジョン・ボルトンに対し、彼の任務はホワイトハウスで必要なくなったと伝えた」と述べて、解任を発表しましたが、ボルトン補佐官はツイッターで「私は昨夜、自ら辞職を申し出た。トランプ大統領は『明日、それについて話し合おう』と言った」と主張し、解任か辞任かでも対立しました。

トランプ大統領の場合、人事の対立も劇場型になります。
おそらく「お前はクビだ!」というところを大衆に見せて、自分のリーダーシップをアピールしたいからでしょう。

菅首相の人事は密室型です。いきなり官僚を左遷すると、周りの人間はその理由を推測し、あのとき菅首相の意見に反対したからだろうということになり、それ以降、官僚は菅首相の気持ちを忖度するばかりで、反対意見など言えなくなるという仕組みです。

学術会議の任命拒否も同じやり方ですが、官僚の人事とは根本的に違うので、内閣支持率を下げてしまいました。
人は得意なことで失敗するという典型です。

もしトランプ大統領が学術会議の任命拒否をやったとしたら、どう言うか考えてみました。
「6人は政府の方針に反対したバカだと聞いている。バカを学術会議に入れろというのか?」
こんなところでしょうか。
むちゃくちゃですが、なにも説明しないよりおもしろいかもしれません。

いや、菅首相は任命拒否について少し説明をしました。
26日、NHKのニュース番組に出演した菅首相は、会員の人選について「一部の大学に偏っていることも客観的に見たら事実だ」と、任命拒否を正当化するようなことを言いました。
前に突然「推薦名簿を見ていない」と言って世の中を驚かせたのと似ています。
世の中から批判されると、つい責任逃れのことを言ってしまうのです。

その点、トランプ大統領は世の中からなにを言われても、即座に反論するか無視するかで、まったく動揺を見せません。大統領就任から4年もたっているのに、いまだに納税記録の公表を拒んで、平気な顔をしています。



私がこの記事を書こうとしたそもそもの狙いは、菅首相とトランプ大統領を比較して、密室で選ばれた菅首相はあまりにもみすぼらしいという決論に持っていくことでした。
しかし、トランプ大統領はけた外れの人間で、比較の対象にするのは間違いでした。
トランプ大統領と比べると、誰でもみすぼらしくなってしまいます。

ですから、石破氏、岸田氏、安倍前首相と比べるべきでした。
誰と比べても、菅首相は体格に劣り、活力がなく、性格の暗さが出て、見映えがしません。

裏方が似合った人間が首相になって大丈夫かと前から思っていましたが、所信表明演説を見て、改めてそう思いました。


(菅首相の所信表明演説はこちらで見られます)

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朝日新聞が9月3日、4日に実施した世論調査によれば、安倍政権の7年8か月間の評価を聞くと、「大いに」17%、「ある程度」54%を合わせて71%が「評価する」と答え、「評価しない」は、「あまり」19%、「全く」9%を合わせて28%でした。
71%が評価するというのは驚きの高評価です。

どんな政策を評価するかというと、「外交・安全保障」の30%が最も多く、「経済」24%、「社会保障」14%、「憲法改正」は5%でした。
「外交・安全保障」にこれといった成果はなく、これも意外な高い数字です。

こうした数字に反安倍の人はとまどったでしょう。
「安倍を評価するなんて国民はバカだ」と思ったかもしれません。

私も反安倍ですが、そんなふうには思いません。
逆に「国民が正しくて、自分がバカなのかもしれない」と思います。
こういうふうに自分を絶対化せず、地動説的発想のできるのが私の偉いところだと、自画自賛しておきます。


安倍首相を評価する声に、「がんばっている」「一生懸命やっている」というのがあります。
こうした声に「政治は結果だ」と反論するのは容易ですが、ここが考えどころです。

確かに安倍首相はずいぶんとがんばってきました。
私が安倍首相のがんばりで思い出すのは、昨年5月、令和初の国賓としてトランプ大統領を招いて、茂原カントリー俱楽部で二人でゴルフをしたときのことです。
安倍首相はバンカーで手間取り、ようやくボールを出して、先に歩き出したトランプ大統領を追いかけようとして斜面ですっ転んだのです。その瞬間をテレビ東京のカメラがとらえていました。



転んだことをバカにするのではありません。トランプ大統領のご機嫌をとるために必死になって追いつこうとするから転んだので、そのご機嫌とりの姿がみっともないと思いました。

この日の夕方は二人で大相撲の観戦をしました。国技館にトランプ大統領のためにわざわざ特別席を設置しました。私は枡席に椅子を置けばいいではないかと思いましたが、安倍首相はそれではだめだと思ったのでしょう。
トランプ大統領は格闘技好きだということで組まれたスケジュールですが、トランプ大統領はまったくつまらなさそうな顔で大相撲観戦をしていました。人種差別主義者のトランプ大統領には日本の伝統文化など興味がなかったようです。

結局、いくらおもてなしをしても、トランプ大統領がそれによって対日要求を緩和するということはなかったのではないかと思います。

私はトランプ大統領のご機嫌とりをする安倍首相をみっともないと思いましたが、安倍首相が一生懸命やっていたのは事実です。


プーチン大統領に対しても同じようなことがあります。
安倍首相はプーチン大統領のことを何度も「ウラジミール」と呼んで親密さをアピールし、二人そろっての記者会見で「ウラジミール、ゴールまで二人の力で駆けて、駆けて、駆け抜けようではありませんか」と熱く語ったこともありますが、プーチン大統領のほうは安倍首相のことを「シンゾー」とは呼びません。
親密でないのに親密なふりをする安倍首相を、私はみっともないと思いましたが、安倍首相が一生懸命やっていたのも事実です。
親密でないのに親密なふりをするというのは、そうとうな精神力(演技力?)がないとできません。


では、安倍首相が一生懸命やっているのを見て、私は低く評価し、国民の一部は高く評価したのはなぜでしょうか。

いろいろ考えるに、かつて日本は世界第二の経済大国になり、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とか「日米は対等のパートナーシップ」と言われたころのイメージがまだ私の頭の中に残っているのです。
一方、若い人たちは、もの心ついたころにはバブル崩壊後の不況で、就職氷河期があり、経済は長期停滞で、見下していた中国にあれよあれよという間に抜き去られ、最初から“経済小国”の現実が身に染みついているのです。

ですから、私は安倍首相を見て、大国の首相なのにみっともないと思い、若い人は小国の首相なのによくやっていると思うのです。
こう考えると、若い世代に安倍内閣の支持率が高いことが理解できます。


安倍首相がこれまでやってきたのは、分相応の小国外交です。それが国民から支持されました。

安倍首相が習近平主席を国賓として招待することを決めたのは、安倍応援団には評判が悪かったですが、国民はおおむね受け入れていました。小国の日本が大国のアメリカと大国の中国のご機嫌とりをするのは当然のことです。

北方領土返還がほとんど不可能になっても、小国外交なんだからしかたがないという受け止めが多いためか、まったく問題にされません。

ただ、そういう小国外交だけでは国民の不満がたまります。
そこで、安倍政権は慰安婦像や自衛隊哨戒機へのレーザー照射や徴用工などの問題を大きくして、韓国を不満のはけ口にしました。
これは安倍政権の実にうまいやり方です(前は北朝鮮も不満のはけ口にしていましたが、トランプ大統領に言われて日本から無条件の話し合いを求めるようになって、そうはいかなくなりました)。


若い世代に限らず「日本は小国である」という認識はかなり広まっています。
しかし、そのことははっきりとは認めたくないという心理もあります。
そのため、逆に「ニッポンすごいですね」という番組がやたらにつくられます。
また、国力の国際比較もタブー化しています。
安倍政権は、前と比べて雇用者数や有効求人倍率や株価が改善したなどと成果をアピールしましたが、経済成長率の国際比較などはしません。
国際比較をするのは、蓮舫議員の「二位じゃだめなんですか」発言のあったスパコンが世界一になったときぐらいです。
野党も日本の経済成長率の低さをやり玉にあげたりはしません。それをすると「対案を出せ」と言われて、対案がないからです。

最近、財政健全化のこともすっかり言われなくなりました。
借金を返すには稼ぐ力が必要で、日本にそういう力はないと思われているのでしょう。
日米地位協定の改定などは、夢のまた夢です。

大国幻想を振り払ってみれば、安倍首相が小国の首相としてよくやったということがわかりますし、71%の評価も納得がいきます。

なお、安倍首相の辞任表明はいち早く中国でも報道され、SNSでは「お疲れさまでした」「いい首相だった」「尊敬できる政治家だ」など好意的な意見が多かったということです。
小日本にふさわしい首相と見られていたからでしょう。



ただ、小国というのはあくまで経済小国という意味です。
文化大国、平和大国、環境大国、人権大国など、日本が元気になる道はいくらでもあります。
再び経済大国になることも不可能と決まったわけではありません。

安倍政権の小国外交がさらに日本の小国化を推し進めたということもあるのではないでしょうか。

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アメリカ大統領選挙はトランプ大統領対ジョー・バイデン元副大統領の対決となりました。

バイデン候補は、無難ですが、これという魅力がありません。
一方、トランプ大統領は、よくも悪くも人を引きつけます。

トランプ大統領の強みは、なんといっても人を攻撃する言語能力がずば抜けていることです。この点で対抗できる人は誰もいません。

そして、自分自身が人から攻撃されても平気です。カエルの面にションベン状態です。
2月、3月ごろ、トランプ大統領は「暖かくなればウイルスは奇跡のように消えてなくなる」とか「4月になればウイルスはなくなると思う」などと言っていました。そのことは当然批判されましたが、トランプ大統領は平気です。7月になっても「ウイルスは消える。最後に正しいのは私だ」と言っています。

人を攻撃する力は強くて、人から攻撃されても平気――これは戦う上では最強です。
トランプ大統領はこの能力でライバル候補を全部なぎ倒して大統領になったのです。

ですから、現時点の世論調査ではバイデン候補がトランプ大統領をリードしていますが、これから選挙運動が本格化していくと、トランプ大統領が巻き返すということが十分にありえます。


トランプ大統領を一言でいえば、「ウルトラ利己主義者」です。
ひたすら自分の利益を追求し、(不正な手段も含めて)それを実現してきました。
普通の人は利己主義者とはつきあいませんが、トランプ大統領が利益を得ると、その周辺にいる人間も利益を得ることができるので、寄ってくる人間もいます。


トランプ大統領のスローガンは「アメリカ・ファースト」です。
これは「アメリカ利己主義宣言」みたいなものです。

トランプ大統領は「公正」とか「公平」とか「対等」とか「平等」とかいう言葉を言ったことがありません(どこかで言っているのでしょうが、私は聞いたことがない)。

トランプ大統領がいつも言うのは、中国や日本やメキシコに「アメリカは食い物にされてきた」ということです。
「今度はアメリカが食い物にする番だ」とは言いませんが、心の中ではそう思っているに違いありません。
ウルトラ利己主義者の辞書に「平等互恵」とか「共存共栄」という言葉はなく、あるのは食うか食われるかだけです。


日本とアメリカの関係でいうと、アメリカはTPPを離脱し、日米で二国間の貿易協定を昨年末に改定し、今年1月1日から発効しました。
これによって日本はアメリカ産の牛肉や乳製品の関税を引き下げる一方、日本が要求していたアメリカにおける自動車関税の引き下げは先送りとなりました。
日本側も合意した以上、「不平等だ」とは言いませんが、二国間協議では力のあるほうが有利なので、実質は不平等に違いありません。

アメリカはカナダ、メキシコとの自由貿易協定NAFTAを再交渉してUSMCAを締結し、今年7月1日に発効しました。
アメリカはまた、韓国との自由貿易協定(米韓FTA)を改定し、2019年1月に発効しました。

トランプ政権が「アメリカ・ファースト」を掲げている以上、これらはすべてアメリカの利益になるように改定されたに違いありません。
ということは、これらはトランプ政権の実績です。

大統領選の最大の争点は、トランプ大統領があおってきた人種差別的な分断の評価であるかのような報道がされていますが、有権者の最大の関心は経済です。
トランプ政権によりアメリカ国民も利益を得ています。トランプ政権がある程度の支持を得ているのもそのためです。


「アメリカ・ファースト」というスローガンは、1940年にアメリカが対ドイツ戦に参戦するのを阻止するために唱えられたのが最初だということです。
 1992年の大統領選挙の予備選挙では、共和党右派のパトリック・ブキャナンが主張しました。

自国第一とか国益優先というのは、どこの国の政治でも言われることですが、基本的には国内向けに言うことです。
しかし、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」は、「アメリカを再び偉大に」とともに基本戦略ですから、対外的にも主張されていると見るべきです。
ですから、2016年の大統領選の段階で、世界各国は「アメリカといえども法の支配に従うべきで、われわれは『アメリカ・ファースト』など認めない」と言うべきでした。
トランプ大統領が当選してからは、安倍首相みたいにトランプ大統領にすり寄る国家指導者もいて、国際社会はまとまることができませんでした。


結局、ウルトラ利己主義者がアメリカ大統領になったので、アメリカはウルトラ利己主義国家になり、世界が迷惑をしています。
以前からアメリカは利己主義国家だったとはいえますが、表向きは「法の支配」とか「自由と民主主義」ということを押し立てていたので、そうひどいことはしませんでした。
トランプ大統領にそうした理念はなく、露骨な利己主義があるだけです。


これまでは経済のことばかり言ってきましたが、トランプ大統領はパリ協定離脱、イラン核合意離脱、中距離核戦力(INF)全廃条約離脱などを行ってきました。
これも「アメリカ・ファースト」の一環のようですが、果してアメリカの利益になっているのかはわかりません。
ただ、世界の不利益であるのは間違いありません。


バイデン候補は「アメリカ・ファースト」の否定を選挙の争点に持っていくということはしていないようですが、実質的には大きな争点でしょう。
バイデン候補が当選すれば、アメリカは「アメリカ・ファースト」を捨てて、まっとうな国として国際社会に復帰するはずです。

日本のメディアがアメリカの分断に比重を置いて報道しているのはおかしなことです。アメリカの分断はあくまでアメリカの国内問題です。
アメリカが「アメリカ・ファースト」を捨てるか否かは、世界にとっても日本にとっても重大事です。

それにしても、日本で「アメリカ・ファースト」を批判する人をほとんど見かけないのは、なんとも不思議なことです。

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新型コロナウイルスの感染者が急増し、「第二波」が到来したと言うしかない状況です。

そんな中、7月21日発売の月刊「WiLL」9月号(ワック出版)が「新型コロナ第二波はこない」と断言した記事を目玉にして、「壮大に予想を外した」と評判になっています。


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月刊誌なので書店に並んだときには状況が変わっていたということではなくて、編集部はこの内容に自信を持っているようです。
発売に合わせてYouTubeで配信された「WILL増刊号インターネット版」では、山根真デスクはこの記事が文芸春秋最新号の特集「第二波に備えよ」にケンカを売る内容であるとして、「自信あるんで、もうかかってこいって感じですよね」と語っています。

「新型コロナ第二波はこない」の執筆者として2人の名前があがっていますが、上久保靖彦京都大学大学院特定教授は、日本で新型コロナ感染症の死者が少ないのは日本人がすでに新型コロナに対する集団免疫を獲得しているからだという仮説を発表した人で、もう1人の小川榮太郎氏は、自称文芸評論家で、『約束の日 安倍晋三試論』という著書もある、安倍応援団の筆頭格の人です。

「WiLL」自体が安倍応援雑誌みたいなものですが、9月号の表紙を見ると、壮大に外しているのは「新型コロナ第二波はこない」だけではなくて、「日本のメディアが伝えない米大統領選はトランプ圧勝」も同じです。

このふたつの記事はつながっています。
トランプ大統領は、「ウイルスはすぐに消え去る」などと言って感染拡大を軽視してきました。「第二波はこない」と同じです。もしそれが正しければ「トランプ圧勝」も正しかったでしょう。
現実にはウイルスは猛威をふるい、トランプ大統領はバイデン候補に大きく水をあけられています。


「第二波はこない」はトランプ大統領の言いそうなことです。
「バイデンはボケてるョ!」という記事もありますが、これもトランプ大統領の言いそうなことです。

「WiLL」のバックナンバーを見てみると、安倍応援記事ばかりでなく、トランプ応援記事と、トランプ大統領の言い分と同じような記事が多く目につきます。

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「新型コロナウイルスは中国の陰謀だ」と「人種差別反対運動は反トランプの陰謀だ」という記事がやたら目につきます。「ディープステート」という言葉も出てきます。まるでアメリカ保守派の雑誌みたいです。

トランプ大統領は「中国ウイルス」という言葉を使って中国に責任転嫁する一方で、「ウイルスはすぐに消え去る」とも言ってきて、7月4日の独立記念日の演説では、新型コロナウイルスの症例の「99%は無害」と言いました。
ですから、「WiLL」にウイルス中国陰謀説とともに「第二波はこない」という記事が載るのも不思議ではありません。



「第二波はこない」という記事は、おかしな雑誌が予想を外したというだけのことではすまないかもしれません。
というのは、執筆者の一人の小川榮太郎氏は安倍首相にきわめて近い人物で、それなりの影響力があるかもしれないからです。

小川氏はFacebookにこんなことを書いています。

小川栄太郎


上久保靖彦教授の日本人集団免疫仮説に基づく「第二波はこない」説を自民党や担当大臣にレクチャーしているのです(担当大臣というのは常識的には西村康稔新型コロナ担当大臣のことでしょう)。

安倍政権は唐突に「Go Toトラベル」を前倒しして実施すると発表し、明らかに第二波が襲来していると思われる中でも強行して世の中を混乱させていますが、その判断にはこのことも影響していたのかもしれません。


トランプ大統領の妄想が日本の保守派に浸透し、それが安倍政権を動かしているかもしれないということです。
“中国ウイルス”ならぬ“トランプウイルス”の脅威です。

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日本では新型コロナウイルスの新規感染者数が7月3日、4日と200人を越え、第2波の到来が懸念されていますが、アメリカではこのところ連日、新規感染者数が5万人を越えています。
アメリカと日本の人口の違いを考慮しても、アメリカは日本の100倍も感染者が出ていることになります。
ヨーロッパではある程度抑え込みに成功していますが、アメリカではむしろ増加ペースが高まっています。

国別感染者グラフ
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/country_count.html

ブラジルは、ボルソナロ大統領が新型コロナウイルス感染症を「ちょっとした風邪」と呼び、経済活動を止めないという方針なので(州政府は独自に対応)、感染拡大もやむをえないのかなと思いますが、アメリカは一応対策をとっていながらこの数字です。

新型コロナウイルスの感染については地域差がひじょうに大きくて、その理由はまだよくわかっていませんが、私はとりあえず文化的社会的な側面について、なぜアメリカで感染がこれほど拡大するのかについて考えてみたいと思います。


手掛かりはマスクです。

日本から見て不思議に思うのは、欧米人はマスクを着けることに妙な心理的抵抗があるらしいことです。
私は最初、マスクを着けるのはアジア人というイメージがあるので、欧米人はアジア人への差別意識からマスクを着けないのかと思いました(欧米では握手をしなくなっているので、代わりにおじぎをすればいいと思うのですが、やっていません。これも差別意識かもしれません)。

しかし、ヨーロッパではマスクを着けるのが今では普通に行われるようになっています。
問題はアメリカです。アメリカではトランプ大統領を初め今でもマスクを着けない人が多くいます。


なぜアメリカ人はマスクを嫌うのでしょうか。
西部劇などの銀行ギャングはスカーフで顔を隠すので、顔を隠すのは悪人のイメージだからだという説があります。しかし、悪いことをするときに顔を隠すのはアメリカ人に限りません。
テレビである心理学者が、アジア人は相手の目を見て心理を読むが、欧米人は口元を見て心理を読むのだと言っていました。だから、サングラスは欧米で普及しても日本ではあまり普及しないのだということです。
テレビ朝日系「大下容子ワイド!スクランブル」では、アメリカでは正義のヒーローは目を隠しても口は隠さないのだと言って、例としてキャプテンアメリカやバットマンやロボコップを挙げていました。
これらは話としてはおもしろいのですが、理由としては弱い気がします。

もっと単純に、マスクをするのは弱いイメージだからだという説が有力だと思います。

ウイルスから自分を守るためにマスクをするのだとすると、マスクをつける人間はウイルスを恐れる弱い人間だということになります。
トランプ大統領は、ディールを得意としていますが、つねに強さを誇示して相手を圧倒するというやり方です。少しでも弱みを見せるとディールは不利になるので、自分のマスク姿は見せたくないでしょう。

強さを誇示するやり方は、男性性と結びつけて、マチズモとか男性優位主義と言うのが一般的です。
しかし、最近は強さを誇示することは男性に限るものではないので、マチズモという言葉は当てはまらない気がします。
とりあえず「強さを誇示する文化」とでも呼んでおきます。

アメリカは独立戦争以来、強さを誇示しながら発展してきました。先住民の土地を奪うときも、黒人奴隷を使役するときも、強さを誇示すると有利に運びます。西部では男は腰に銃をぶら下げるのが普通でした。
ですから、強さを誇示するのはアメリカの伝統文化です。
アメリカの保守派はこうした伝統文化を重んじ、銃規制に反対しますし、マスク着用にも反対です。

トランプ大統領の演説会に集まる人たちはほとんどマスクをしていません。
一方、「Black Lives Matter」を掲げてデモをする人たちはほとんどマスクをしています。
保守派とリベラルの違いがマスクに表れています。

マスクをしないような人は、手洗いやソシアルディスタンスもきちんとしないでしょう。
トランプ支持の保守派は人口の4割程度います。イタリアやスペインで爆発的に感染が広がったころの生活習慣を持った人が今もアメリカに4割程度いるため、アメリカで感染が広がり続けているのだと思われます。


トランプ大統領は感染が始まった初期の段階から、「ウイルスは暖かくなれば消え去る」と楽観論を述べ、感染が拡大してくると、「アメリカがほかの国より検査を多く行っているためで、名誉の印だ」と言い、5月8日には「新型コロナウイルスはワクチンがなくても消滅する」とまったく根拠のないことを言いました。

7月2日には、2日連続で感染者が5万人を越えましたが、トランプ大統領は記者会見で「我々はこの病気を理解している。すぐに収束できる」と楽観論を語り、ペンス副大統領も「個々の局所的なものだ」と言いました。
普通なら感染が拡大すると、「事態は深刻だ。国民はいっそう感染防止に努めてもらいたい」と国民の危機意識に訴えかけるところですが、まったく逆のことをやっています。

ちなみに日本では、マスコミが感染の初期の段階で危機感をあおりすぎて、今でもまだ恐れすぎの傾向があるかもしれません。アメリカの100分の1程度の感染で騒いでいます。


トランプ大統領は国民をウイルスから守らねばならないのですが、「守る」というのは弱い人間のすることだと思っているので、できません。その代わりにもっぱら「攻撃」をします。
トランプ大統領は国内で感染が拡大すると、中国とWHOに責任があると言ってひたすら「攻撃」しました。
また、感染のごく初期の段階でいち早く中国とヨーロッパからの入国を禁止しましたが、これもトランプ大統領においては「攻撃」だったからでしょう。

4月23日には、家庭用漂白剤が新型コロナウイルスの消毒にも有効だという研究発表を受けて、トランプ大統領は「(新型ウイルスを)1分でやっつける消毒剤もあるだろう。1分だ。そういうのをやる方法はあるかな? 体内への注射とか」と語り、消毒剤を注射してもいいのかという電話相談が急増するという騒ぎになりました。
5月18日には、新型コロナウイルスの感染予防のため抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を毎日服用していると言いました。この薬は新型コロナウイルス治療薬としては未承認であり、さらに深刻な副作用のリスクが指摘されたことから、20日には服用をやめると表明しました。
まったくのでたらめをやっているようですが、トランプ大統領においては、消毒剤や治療薬はウイルスに対する「攻撃」なのでしょう。


現在、「Black Lives Matter」を掲げるデモや、アメリカの歴史上の偉人の像を撤去する運動が盛り上がっています。
日本から見ていると、なにも新型コロナの感染が拡大する真っ最中にしなくてもいいのにと思えますが、アメリカでは、感染拡大を防げないトランプ大統領ら保守派の権威が失墜し、今まで抑え込まれてきたマイノリティやリベラルが力を解き放っている状況なのでしょう。
そういう意味で、新型コロナウイルスはアメリカ社会を根底から揺り動かしているのかもしれません。


トランプ大統領は7月1日、FOXビジネスのインタビューで「マスクには大賛成だ」と述べ、公的な場で自分がマスクを着用することには「なんの問題もない」として、方針転換したようです。
しかし、7月4日の独立記念日の祝典で花火大会と大規模な集会を開催し、トランプ大統領が演説したとき、大統領はもちろん集会に参加した数千人はほとんどマスクをつけていませんでした。

現在、アメリカでは保守派対ウイルスの戦いが行われていて、その成り行き次第で、保守派対リベラルの力関係も、大統領選挙の結果も決まるのではないかと思われます。

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航空自衛隊の「宇宙作戦隊」が5月18日に発足しました。
アメリカの「宇宙軍」が2019年12月に発足したのを受けたものです。

「宇宙作戦隊」という名称は、昭和風でダサいのではないかという声があり、立憲民主党の小西洋之議員からは「作戦部や作戦課という名称は旧日本軍で用いられていた。専守防衛の自衛隊にふさわしくないのではないか」という指摘もあり、河野太郎防衛相も見直す可能性を示唆していました。

河野防衛相は、米国防総省が4月末にUFOとされる映像を公開したのを受けて、記者会見で「自衛隊のパイロットが、万が一遭遇したときの手順をしっかり定めたい」と語りました。かつて政府は「地球外から我が国に飛来した場合の対応について特段の検討を行っていない」とする答弁書を決定していたので、方針転換であるとしてニュースになりました。
おそらく河野防衛相の頭の中に宇宙作戦軍のことがあったので、踏み込んだ発言になったものと思われます。

私も「宇宙作戦隊」に代わる名称を考えました。
そして、思いついたのは「地球防衛軍日本支部」です。
ウルトラマンシリーズにも「地球防衛軍」が出てきます。
「軍」という言葉を使うので、右翼も大喜びでしょう。


人類の宇宙進出は、大航海時代から続いてきたロマンでした。
宇宙に進出すれば異星人と出会うかもしれません。そのときには人類はひとつになっていなければ不都合です。
昔のSFドラマの「スタートレック」や「宇宙家族ロビンソン」でも、国と国の対立などはありえないことです。

しかし、現実の宇宙進出は違いました。
1969年、アポロ11号の2人の宇宙飛行士が月面に降り立ったとき、アメリカ国旗を月面に突き立てたのです(あとで国連旗も立てましたが)。
それを見たとき私の中で、宇宙進出とともに人類がひとつになるという夢がもろくも壊れました。
アメリカは国威発揚のために月への有人宇宙飛行を行ったのです。

南極については南極条約があり、領土主権の凍結と軍事利用の禁止がうたわれ、実現しています。
宇宙についても同じであっていいはずですが、アメリカは人類がひとつになるという夢を打ち壊しました。

現在もその延長上にあります。
アメリカは宇宙の軍事利用を進め、ロシアや中国も対抗しています。
これを当たり前のことと思っている人がいるかもしれませんが、そんなことはありません。軍事費がかさむばかりです。
宇宙の軍事利用禁止が当たり前のことです。


宇宙作戦隊の発足と同時に隊旗も定められ、河野防衛相から阿式俊英隊長に隊旗が授与されました。
河野防衛相はツイッターで隊旗を披露しています。

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鷲の紋章がデザインされています。
これは航空自衛隊で使われているものと共通です。

これにネットでかなり突っ込みがあったといいます。
宇宙で翼は役に立たないではないかという突っ込みです。
確かに宇宙にふさわしいデザインにするべきでしょう。

私自身は、日本の伝統にない鷲の紋章が使われているのが気になります。
鷲の紋章はもともと古代ローマ帝国の国章であって、ヨーロッパで広く使われ、現在ではドイツ、アメリカ、ロシア、エジプトの国章としても使われています。つまりヨーロッパ文明と不可分です。
そんなものを航空自衛隊が使っているのが理解できません。
航空自衛隊創設のときにアメリカの影響が大きかったのでしょうが、日本の魂を売り渡しているみたいなものです。


トランプ大統領はアメリカ宇宙軍の軍旗のデザインをツイッターで公表しました。

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これはいかにも宇宙軍らしいデザインですが、「スタートレック」の宇宙艦隊の紋章に似ていると言われています。

今までにない宇宙軍をつくるのですから、日本もアメリカみたいにやればよかったと思います。


結局、「宇宙作戦隊(仮称)」はそのまま「宇宙作戦隊」になりました。
「地球防衛軍日本支部」にはもちろんなりません。
実態は「アメリカ宇宙軍日本支部」だからです。

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米軍によるソレイマニ司令官殺害は、どう見ても無法行為です。
アメリカはソレイマニ司令官をテロリストに指定していましたが、勝手に指定して、勝手に殺しただけです。
イラン国会はこの事件を受けて、すべての米軍をテロリストに指定する法案を可決しました。
無法の世界がどんどん拡大しています。

無法の世界といえば、西部劇がそうです。
私の世代は西部劇を見て育ったようなものです。子どものころ、映画はもちろんテレビでもアメリカ製の西部劇のドラマをいっぱいやっていました。

西部劇では、保安官は登場しても重要な役割は果たさず、主人公は自分の力で悪漢(あるいはインディアン)を倒さなければなりません。
法より力――というのが西部劇の基本原理です。

現在のアメリカは法の支配が行われていますが、銃を所持する権利も絶対視されています。法の支配は表面的なもので、一皮めくれば「法より力」の原理が現れます。

トランプ政権は2017年12月、安全保障政策のもっとも基本となる「国家安全保障戦略」を発表しましたが、その「四本柱」は次のようなものです。

I. 国土と国民、米国の生活様式を守る 
II. 米国の繁栄を促進する 
III. 力による平和を維持する 
IV. 米国の影響力を向上する
https://jp.usembassy.gov/ja/national-security-strategy-factsheet-ja/

「法の支配」も「世界」もありません。「アメリカ・ファースト」があるだけです。
「力による平和」は、銃で自分の身を守るという西部劇の原理です。

今のアメリカは法の支配が行き渡り、腰に銃をぶら下げていなくても警察が守ってくれますが、アメリカ人にとってフロンティアは世界に拡大し、アメリカ国外が西部劇の世界になりました。
世界に法の支配を広げるのではなく無法状態を広げるのがアメリカのやり方です。無法の世界では力のある者が得をするからです。

よくアメリカのことを「世界の警察官」にたとえますが、警察官なら法に従います。
今のアメリカをたとえるなら「自警団のボス」か「ギャングのボス」というべきです。

しかし、長い目で見れば今の無法の国際社会は過渡期で、いずれ法の支配が行き渡るに違いありません。

今の日本は「自警団のボス」に従っていますが、いつまでもこの状況は続きませんから、自分の手を汚さないようにしないといけません。


アメリカはソレイマニ司令官を殺害し、イランは米軍基地に弾道ミサイルで報復攻撃をしましたが、今のところアメリカもイランも抑制された対応をしているようです。
これはなぜかというと、「法の支配」はなくても「経済の支配」があるからです。
ソレイマニ司令官殺害の瞬間に株価は下がり、原油価格は上がりました。本格的な戦争になれば双方に大きな経済的損失が生じるのは目に見えています。

平和は「法の支配」でなく「経済の支配」でも達成できるのかもしれません。

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