安倍マスク
首相官邸HPより

安倍首相が全国のすべての世帯に2枚ずつ布マスクを配布すると表明したら、大炎上しました。

安倍首相がマスク配布を表明したのは4月1日の夕方です。
翌日の朝日新聞朝刊には、マスク配布については10行ほど書かれていただけでしたが、ネットで炎上したのを受けて、夕刊では一面トップの記事で、マスク配布の背景や評価などが書かれていました。
朝日新聞は最初、10行ぐらいのニュースバリューと判断したのでしょう。

しかし、今は休業補償をどうするとか、全国民に10万円配布しろという議論が行われているさ中で、そのタイミングでマスク2枚が出てきたのは衝撃的でした。
安倍政権の中で「国民に金は払いたくないが、国民の不満が高まるのは困る。そうだ、マスクを配れば国民は喜ぶだろう」みたいな議論が行われたのではないかと想像してしまいます。

安倍政権は新型コロナ問題でお粗末な対応を続けてきましたが、マスク不足はそれを象徴しています。
マスク不足の経緯について振り返ってみました。


もともと日本はマスクの8割を輸入していて、そのほとんどは中国からです。
新型コロナウイルスで日本国内のマスク需要が急増し、同時に中国からの輸入が止まったので、一気にマスク不足になりました。
政府は国内メーカーに増産を依頼し、それは順調にいっていると菅官房長官は2月12日に明言しました。

マスクの品薄、来週以降に解消したい=官房長官
[東京 12日 ロイター] - 菅義偉官房長官は12日午後の会見で、品薄になっているマスクの供給に関し、できるだけ早い品薄解消に努めていると説明し、現在、想定している時期は来週以降であると述べた。

午前の会見で、毎週1億枚の供給を目指していると発言したことに関連し「生産・流通のきめ細かい状況の把握に努めている」とし、官民一体となって早期の品薄解消に向け対応していると語った。
https://jp.reuters.com/article/suga-mask-idJPKBN2060ST

しかし、マスク不足はまったく解消されませんでした。
転売目的で買い占める“転売ヤー”のせいだということで、批判が高まり、政令改正でマスク転売禁止の措置がとられました。
私は、不安から多めに買う人がいなくなれば、品薄はいずれ解消するものと思っていました。

ところが、菅官房長官の3月27日の会見を伝える次の記事を見て、考えが変わりました。

マスク供給、4月1億枚増加 品薄解消は「一定程度の時間」 新型コロナ
 新型コロナウイルスの感染拡大で品薄が続くマスクについて、菅義偉官房長官は27日の会見で、4月の国内供給量が現在の月6億枚から1億枚程度上積みできるとの見通しを示した。ただ、医療機関や介護施設などに優先的に提供していることもあり、店頭での品薄解消までには「一定程度の時間を要する」と述べた。
 マスクの国内供給量はもともと月4億枚だった。感染拡大後、政府は各メーカーに増産を要請し、生産ラインを増設する企業に補助金を出すなどして、3月は月6億枚に増えたと説明している。ただ、1月の1週間だけで9億枚が売れるなど、膨らんだ需要に供給が追いついていない。
(後略)
https://digital.asahi.com/articles/DA3S14419947.html?pn=2

もともと月4億枚が消費されていたのですから、新型コロナウイルスで需要が急増した現在、月6億枚とか7億枚で足りるわけがありません。
一般社団法人日本衛生材料工業連合会のホームページにも年間50億枚程度が生産・輸入されていたことが示されています。

マスクの統計

マスクの需要は、おそらくコロナショック以前の3倍から4倍くらいになっているのではないでしょうか。
以前は、街を歩いている人でマスク着用の人は、1割か、多く見積もっても2割に届かなかったと思います。今は、8割とまではいかなくても7割ぐらいの人はマスク着用です。ずっと家にいる人や過疎地の人のことを考えても、最低でも3倍は必要だと思います。

ともかく、月6億枚とか7億枚では全然足りません。
すぐに品薄は解消するようなことを言っていた菅官房長官は、愚かすぎるか国民を欺こうとしたか、どちらかです。

政府はマスク不足を解消する努力をしていませんでした。
それは次の記事を見てもわかります。
スペイン、中国からマスク爆買い 人工呼吸器など含め計520億円
【パリ共同】スペイン政府は25日、新型コロナウイルスの大流行により国内で不足しているマスクや人工呼吸器など計4億3200万ユーロ(約520億円)分の医療用具を中国から購入する契約を結んだと発表した。

 感染が急拡大したスペインの死者はイタリアに次ぐ規模で、25日に死者が約3400人となり、中国の公式発表数を超えた。病院などでも必要な物品が不足し、医療従事者の感染も深刻化している。

 購入するのはマスク5億5千万枚、人工呼吸器950台、550万回分の迅速なウイルス検査キット、手袋1100万枚。今月から6月の間に全て納入されるという。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200326-00000030-kyodonews-int
スペインが中国からマスクを買えるなら、日本も買えたはずです。日本の官僚が仕事をしていないのです。

それから、台湾も日本と同じくマスク不足に陥りましたが、素早く対応して、今ではマスクを海外に送れるまでになりました。
台湾がマスク外交 人道支援で海外に1000万枚寄贈
【台北時事】台湾の蔡英文総統は1日、記者会見し、人道支援の一環として、新型コロナウイルスの感染が深刻な欧米など友好国の医療従事者向けにマスク計1000万枚を寄贈すると発表した。増産により台湾内で必要な量を確保しているほか、感染拡大も効果的に抑制しており、蔡氏は「今こそ国際社会に支援の手を差し伸べる時だ」と強調した。
 台湾は、「一つの中国」原則を主張する中国の圧力で、世界保健機関(WHO)から排除されている。マスク外交により、国際社会における台湾の存在感を内外に示し、台湾が目指すWHOへのオブザーバー参加など国際活動の拡大に向け、各国の支援を仰ぎたい考えだ。
 マスクは、米国に200万枚、イタリアやスペイン、フランスなど欧州11カ国に700万枚、外交関係のある友好国に100万枚をそれぞれ無償提供する。米国には今でも毎週10万枚を供与しているが、感染者が急増している実態を踏まえ、別途支給する。今後の情勢を鑑み、第2弾の国際支援も検討している。 
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020040100961&g=int
いまだにマスク不足の日本と、マスクの海外支援までできる台湾と、歴然たる差がつきました(日本は台湾からもマスクを買えたはずです)。

海外からマスクを買ったり、国内メーカーに増産を手配したりするのは、政治家ではなく官僚の仕事です。
官僚にまったくやる気がないとしか思えません。

これはマスク以外のことでも同じです。
最近、医療崩壊を防ぐために早く緊急事態宣言をするべきだという声がありますが、現時点で日本における新型コロナウイルス感染者の数は3000人程度です。こんな数で医療崩壊が起きるとしたら、医療体制が脆弱すぎます。
感染者用の病床を増やし、軽症者用の隔離施設をつくり、人工呼吸器などを手配するという当然のことがまったくできていないのです。
最近になってバタバタしている始末です。

安倍政権は人事権を握ることで官僚を支配してきましたが、仕事のできる官僚を取り立てるのではなく、政権に都合のよいことをする官僚を取り立ててきました。
その結果、官僚は官邸の顔色ばかりをうかがうようになりました。

官僚が出世しようと思えば、政権の支持率を上げるような政策を出すことです。
布マスク2枚の全世帯配布はまさにそれです。

ただ、あまりにも露骨でした。
新型コロナウイルスの感染拡大が深刻なだけに、こんなときにも人気取りに走る安倍政権に、さすがの国民もあきれたというわけです。