
アンジャッシュの渡部建氏が12月3日、謝罪の記者会見を開きましたが、記者の質問に終始苦しい表情でした。
ビートたけし氏は「芸能人にとってインタビューはひとつのショーだと思わないといけない。お笑いだったら笑いにもっていって、大爆笑で終わって『すいません』なんだ」と苦言を呈しました。
しかし、私がYouTubeで記者会見を見たところ、けっこう笑えました。もっとも、笑えたのは記者の質問のほうですが。
渡部氏は女性を六本木ヒルズ地下駐車場の多目的トイレに呼び出して、そこで性行為に及んだということですが、これについて記者からさまざまな質問が飛びました。
「多目的トイレは渡部さんにとってどういう場所なんですか」
「どうしてホテルに行かなかったんですか」
「性癖ですか」
渡部氏が正直に答えると、「短時間使用するのに都合のいい場所だったからです」ということになるでしょうが、そんなことを言えばまた炎上するのが目に見えていますから、ひたすら言葉を濁さざるをえません。
渡部氏は女性と密会するたびに1万円を渡していたということですが、これについても、
「なぜ1万円お渡しになっているんですか」
「どういう1万円になるんですか」
という質問が飛んでいました。
「安すぎてすみません」と言えばいいのでしょうか。
「女性が納得しているんだからいいじゃないですか」と言えば、またしても炎上です。
私はこの件に関して、6月に週刊文春の記事を読んで『渡部建不倫問題は「セフレがいただけ」だった』という記事を書きました。
渡部氏は多目的トイレを使用して性行為を行ったのは謝罪しなければなりませんが、それ以外に謝罪するべきことはありません。
奥さんの佐々木希さんに対して謝罪すればいいだけです。
文春の記事によると、渡部氏は少なくとも3人の女性とつきあっていて、どうやら短時間会ってセックスするだけの関係だったようです。
「女性を性のはけ口にしている」ということは言えますが、女性がそれで納得していれば、問題ありません。
女性は渡部氏という人気芸能人とつきあっていることに満足を見いだしていたのでしょう。1万円という“価格”もそういう関係で決定されたわけです。
世間を騒がせたりスポンサーに損害を与えたりということはありますが、それは文春がプライバシーを書いたせいです。
ですから、この会見で記者もそれほど追及することがありません。
渡部氏が「ガキの使いやあらへんで」年末特番の収録をすませたという情報があって、記者は繰り返しそのことを聞きますが、渡部氏は言えない事情があるらしく、なにも答えません。
ある記者が「われわれもガキの使いで来ているんじゃないんだから」とギャグを飛ばしましたが、笑えません。
芸能記者なら答えられない事情はわかるはずで、執拗に質問する態度は異様です。
それから渡部氏は、奥さんの佐々木希さんに関する質問にもほとんど答えませんでした。
離婚話など聞こえてこないことから、希さんは渡部氏を許しているに違いありません。しかし、そう言ってしまうと希さんが世間から批判される可能性があるために、言わなかったのでしょう。
渡部氏にはつねに複数のセックスフレンドがいたようです。
渡部氏はグルメ芸人で、食事はほとんど外食でした。女性についても“外食”をしていたわけです。
希さんは文春の記事の前から渡部氏の女性関係を知っていた節があります。
そういう夫婦がいてもなんの問題もありません。
不倫が責められるのは、配偶者を傷つけたり不倫相手(既婚者の場合はその配偶者も)を傷つけたりするからですが、このケースは誰も傷ついていない感じがします。
とはいえ、渡部氏を責めたくなる感情が広く存在しているのも理解できます。
昔、避妊法がなく処女崇拝があった時代に、多数の独身女性とセックスする男は“社会の敵”でしたし、女性は“ふしだら”ということで、どちらも非難されました。今も当時の道徳が尾を引いています。
それから、渡部氏は希さんという天下の美女と結婚し、さらに若い複数の女性とセックスしていたわけで、多くの男のねたみを買いました。
それに、渡部氏は軽薄で、お調子者というキャラで、しかも、このところ仕事は絶好調でした。どれも批判されやすい要素です。
そうしたことから、世論は圧倒的に渡部批判に傾きました。
しかし、冷静に考えると、多目的トイレを使用したこと以外に非難される要素はないのです。
ですから、記者会見でも記者たちは、「ガキ使」収録問題とか、もっと早く会見するべきだったのではとか、これは謝罪会見なのか復帰会見なのかとか、くだらないことばかり追及していました。
そして、なにも悪いことをしていない希さんが非難されるという奇妙なことが起きました。
希さんが杏さんらと対談する様子をインスタグラムにアップしたところ、希さんを批判するコメントが殺到したのです。
『渡部建“謝罪会見”が飛び火! 佐々木希のインスタ大荒れ「恥ずかしくないの?」』という記事から、批判のコメントを引用します。
なぜこんなことが起きたのでしょうか。《渡部テレビに出すな! ガキ使に出たいからって、今さら会見しても遅いよ》《誰も渡部の復帰を望んでないと思うし、需要なし》《会見には奥様も同席していただけますよね?》《妻として恥ずかしくないの? テレビ収録決まって謝罪会見なんて最低》《世の中が、あなたの旦那の不始末で完全に嫌な思いをさせられてるのに、笑顔でインスタ更新を続ける不気味さが信じられない》《杏さんの旦那は酷かったけど会見したのに、貴方の旦那は1万円連れ込み行為したの今日まで会見もしないでダメですね》《サレ妻が2人も… 色々凄いメンツ… けど大好き》《渡部が気持ち悪いんです。 本当に気持ち悪いんです》
世間は希さんに対して「夫の不倫に傷つく妻」という役割を期待していました。
希さんがその役割を果たせば、世間は渡部氏を「妻を傷つけた悪い夫」として遠慮なく非難できます。
ところが、希さんは「夫の不倫を気にしない妻」という感じなので、世間は渡部氏をあまり非難できません。その不満が希さんに向かったのでしょう。
男の不倫を非難するときは、「奥さんを傷つけた」というのが決まり文句で、ということは奥さんを思いやっているようですが、実際は男を非難するために奥さんを持ち出しているだけだということが、今回のことでよくわかりました。
そもそも不倫というのは夫婦のプライバシーの問題ですが、芸能人の場合は人気稼業という弱みもあって、マスコミがプライバシーに踏み込むのが当たり前になっています。
“自粛警察”という言葉にならっていえば、マスコミは“不倫警察”です。
しかし、今回は「奥さんを傷つけた」という大義名分がないため、“不倫警察”のみにくさが浮き彫りになったというわけです。