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10月12日から13日にかけて台風19号が首都圏から東北を直撃しました。
これは大型のひじょうに強い台風で、「今までに経験したことのないような大雨」への警戒が呼びかけられました。
今年の夏はひじょうに暑かったですし、大雨などの災害も多く、やはり地球温暖化からくる気候変動が起こっているようです。


16歳の環境運動家、グレタ・トゥーンベリさんが国連で演説をし、二酸化炭素排出規制に取り組まない世界を激烈に批判し、話題となりました。

これに対して武田邦彦教授は例によって、「炭素排出による地球温暖化説は非科学的」と主張しました。武田教授によると、今の世界は氷河期であり寒冷化しているのだそうです。

トランプ大統領も地球は温暖化していないという考えのようです。今年1月にアメリカが寒波に襲われたとき、「温暖化はどうなったんだ?」「お願いだから早く戻ってくれ、君が必要だ!」などとツイートしました。

5年ぐらい前なら武田教授の説にもある程度信ぴょう性があったかもしれませんが、今では温暖化否定説を信じる人はまずいないでしょう。
予想されたよりは進行がゆるやかかもしれませんが、温暖化は確実に進んで、最近の異常気象もそのせいかと思えます。


プーチン大統領は、トゥーンベリさんに対して、別の観点から批判しました。

トゥンベリさんの国連演説、興奮を共有していない=露大統領
[モスクワ 2日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は2日、環境活動家のスウェーデン人高校生グレタ・トゥンベリさん(16)が行った国連演説について、興奮を共有していないとの感想を述べた。

大統領は、当地で行われたエネルギー関連フォーラムで、「(みなさんを)失望させてしまうかもしれないが、私はグレタ・トゥンベリさんの演説を巡る共通の興奮を共有していない。彼女に対して誰も、近代世界は複雑かつ多彩で、アフリカや一部アジア諸国の人々はスウェーデン同様の豊かな生活水準を望んでいるということを説明してあげていない」と述べた。

トランプ米大統領はトゥンベリさんを嘲笑、カナダのマキシム・ベルニエ議員は、トゥンベリさんは人騒がせで精神的に不安定だと発言した。
https://jp.reuters.com/article/russia-putin-thunberg-idJPL3N26O15B
プーチン大統領は「途上国に太陽光発電を強要するとコストの問題はどうなるのか」とも発言しています。
つまり南北問題から地球温暖化をとらえているのです。

先進国はこれまでさんざん炭素を排出して経済成長し、途上国が同じことをしようとすると、先進国がそれを止めようとする――そういう構図になっています。
自分たちはクジラをさんざん捕ってきて、あとから日本が同じことをしようとすると、クジラが絶滅するから捕るなと主張する反捕鯨国の論理と同じです。
トゥーンベリさんもそうですが、環境問題に熱心なのはだいたい先進国の人間です。

プーチン大統領は「炭素排出による地球温暖化説」は否定していません。それが武田教授やトランプ大統領と違うところです。


プーチン大統領ははっきりとは言いませんが、地球温暖化を歓迎しているに違いありません。
ロシアの国土はほとんどが寒冷地ですから、地球温暖化が進めば人間にとって住みやすくなりますし、農業生産もふえるからです。

当たり前のことですが、地球温暖化にはプラスとマイナスの両面があります。
ところが、世界のメディアは温暖化のマイナス面しか取り上げません。それも非科学的で情緒的な取り上げ方です。

その典型が、温暖化が進んでシロクマの生存がおびやかされている、シロクマがかわいそうだ――というものです。
しかし、シロクマはアザラシを主な食糧としているので、シロクマの数がへると、アザラシが喜ぶ理屈です。また、シロクマの数がへるとそのテリトリーに南から入ってくるなにかの動物がいるはずで、その動物にとってはうれしいことです。
シロクマの数がへってアザラシの数がふえようが、シロクマの数がふえてアザラシの数がへろうが、地球環境にとってはどちらでもいいことです。

温暖化でマラリア蚊の棲息範囲が広がったと言われますが、これは要するに人間にとって不利益だということです。
しかし、温暖化によって、たとえばインフルエンザの脅威はへっているはずなので、それは人間にとって利益です。
サンマが不漁なのは温暖化のせいだという説があります。そうかもしれませんが、寒流に棲息する魚がへれば、暖流に棲息する魚がふえます。
氷河が後退していると言われますが、人間にとってたいした不利益はありません。

地球温暖化は人間にとってプラスとマイナスの両面があると言いましたが、人類の祖先は中央アフリカで誕生したので、どちらかというとプラスのほうが多いはずです。
北海道や東北の人間は温暖化を喜んでいるに違いありません。マスコミはそういう声は取り上げませんが。
温暖化で海水面が上昇すると言われましたが、今のところそれほどでもありません。
温暖化が加速度的に進んで環境が激変すると困りますが、二酸化炭素ガス濃度がふえると植物がそれを吸収するという復元力が働くので、そうはならないでしょう。
かつて何度も氷河期があったように、地球の気温は大きく変動してきましたから、現在の変動もその範疇です。

ただ、温暖化の進行によって異常気象が起こりやすくなり、それが現在の問題であるという状況です。


あと、人間の経済活動という「人為」によって地球環境を変えるのはどうかという倫理上の問題もあります。
しかし、牛のゲップに含まれるメタンガスの温暖化促進効果はかなりのものだと言われます。
「人為」も「牛為」も同じだと思えば、どうということはありません。


動植物を「外来種」と「在来種」に分けて、「外来種」を排除することも行われています。
人間の頭の中に「理想の環境」というものがあって、外来種はそれを乱すと見なされているのでしょう。
よく手入れされた日本庭園にセイタカアワダチソウが生えてきたのを引っこ抜く感覚です。

地球温暖化問題もそれに似ています。人間の頭の中に「理想の環境」があって、温暖化はそれを乱すというわけです。しかし、それは人間の勝手な考えで、地球環境にとってはどうでもいいことです。

そうすると、環境運動家はなぜあんなに熱心かということになります。
武田教授は環境利権があるのだという説ですが、私は宗教的信念からではないかと思います。

旧約聖書にはこうあります。

27 神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された。 
28 神は彼らを祝福して言われた、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを治めよ」。 
https://ja.wikisource.org/wiki/創世記(口語訳)#第1章

神は人間に「地を従わせよ」「すべての生き物とを治めよ」と命令したので、人間は神の代理人として地球を支配しています。
地球の気候をコントロールすることは、いかにも神の代理人にふさわしい行為です。

トゥーンベリさんの国連でのスピーチの第一声はこうでした。

私から皆さんへのメッセージ、それは「私たちはあなたたちを見ている」、ということです。

これは、若者の目がおとなたちを見ているという意味ですが、神が人間を見ていることのアナロジーになっています。
欧米の環境運動家の情熱は、半ば宗教的信念からきているのではないでしょうか。

日本人には地球環境を支配しなければという意識はありません。人間は自然に従って生きていくものと思っています。


気候変動による異常気象は問題ですが、地球温暖化は恐れるべきものではなく、いくらか歓迎してもいいぐらいです。