オールナイトニッポン
『ナインティナイン岡村隆史のオールナイトニッポン』HPより

岡村隆史氏の「コロナが収束したら絶対おもしろいことあるんです。美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」という発言は、女性差別発言の中でも最悪レベルのものです。
あまりにも“闇が深い”ので、安易に批判するとこちらまで暗黒面に落ちかねません。

しかし、世の中には岡村発言を擁護する人がいました。
高須クリニックの高須克弥院長はツイッターに「攻撃がくどいよ。もうやめなよ」などと投稿しました。こういう擁護はまだ罪が軽いといえます。
問題は松本人志氏です。
松本氏はフジテレビ系『ワイドナショー』で「そこまで悪いやつじゃないやん。悪いこと言うやつがすべて悪者じゃないから、そこは許したってほしいなーって、オレは思いますね」と言いました。

「悪いこと言うやつがすべて悪者じゃない」というのは、その通りです。
問題発言をしたからといって、その人の人格攻撃をするのはよくありません。
しかし、それは一般論です。
岡村氏の発言については、人格を問題にせざるをえません。


岡村氏の発言の正確な内容を把握する必要がありますが、岡村氏の「オールナイトニッポン」での発言全文を書き起こしたサイトがあったので、そこから私なりに要約したものを示しておきます。

リスナーからの「コロナの影響で今後しばらくは風俗に行けないし、女の子とエッチなこともできないと思う」という投稿に対して、岡村氏は次のように語りました。

今おもしろくなかったとしても、コロナが収束したら、もの凄く絶対おもしろいことあるんです。
コロナ明けたら、なかなかのかわいい人が短期間ですけれども、美人さんがお嬢やります。何故かと言うと、短時間でお金を稼がないと苦しいですから、そうなった時に今までのお仕事よりかは。
これ、僕3カ月やと思っています。3カ月の間、集中的にかわいい子がそういうところでパッと働きます。で、パッとやめます。それなりの生活に戻ったら。
その3カ月は今まで『えっ?こんな子、入ってた?』っていうような人たちが絶対、入ってきますから。だから今、我慢しましょう。われわれ風俗野郎Aチームみたいなもんは、風俗に行くお金を貯めておき、そして、いろいろ仕事ない人もアレですけども、切り詰めて切り詰めて、今、歯食いしばって踏ん張りましょう。
そうしたら、コロナ明けた時に、見てみ?行ってみ?『えっ?こんな子、入ってた?マジっすか』。僕はそれを信じて今、頑張っています。

岡村氏は、現在の社会情勢を正しくとらえて、コロナ禍が明けたあとのことまで見通しています。
私などは、コロナ禍がどういう形で収束するだろうとは考えますが、収束したあとのことまではなかなか考えが及ばないので、素直に感心してしまいました。

岡村氏は、経済的に苦しい若い女性が多いので、コロナ禍が明けると風俗嬢になる人がふえると予想します。そういう人は、お金のためにやむをえずなるのですから、必要なお金を稼げばすぐに辞めるとも予想します。
その期間が3か月だというのは、正しいかどうかわかりませんが、若い女性の立場や心理を考えて予想しているのは間違いありません。


普通、男が女性差別発言をする場合、自己中心的で、女性の気持ちを考えずに、思いつきで発言するものです。
こうした発言をする男性は、要するに思慮が浅いわけですから、批判されて認識を改めることもありえます。
たとえば昔、セクハラが問題になりだしたころ、「自分の妻や娘が職場でひわいなことを言われたり、お尻を触られたりしてもいいのか」と言われることでセクハラの問題に気づいたという男性もいました。

しかし、岡村氏は経済的に苦しい女性のことを正しく理解した上で発言しています。つまり現状認識に間違いはないので、そこは批判できません。
では、なにを批判すればいいのかというと、岡村氏の人格です。
「お前は若い女性が経済的に苦しくて風俗嬢になることがそんなにうれしいのか。ゲス野郎!」ということです。

一般的に人の人格をあげつらうのはよいこととはされません。
「そう言うお前の人格はどうなのだ」という反論もありえます。
しかし、岡村氏の発言について考えると、どうしても人格批判に行き着きます。

松本人志氏は「そこまで悪いやつじゃないやん」と言って、人格を擁護しましたが、根本的な間違いです。
松本氏の人格も疑われます。



岡村氏の問題発言の1週間後、相方である矢部浩之氏が「岡村隆史のオールナイトニッポン」に出演し、公開説教みたいなことをしました。

『岡村隆史、矢部浩之が説いた「結婚」以外の方法で“変わる”にはどうするべきか』という記事に、その内容が紹介されていたので、そこから一部を紹介したいと思います。

矢部サンも、岡村サンの女性に対する意見にドン引きすることはあったらしく、こんなエピソードを挙げていました。
■矢部サンが「結婚して、うまくいくコツは何か?」と聞かれ、「ありがとうとごめんなさいを言うこと」と答えたら、岡村サンが「白旗あげたんか」と答えた。女性を敵として見ている。

矢部サンが、岡村サンに指摘したことを箇条書きにしてみます。
■岡村サンは本番中や人がいるところでしか謝らない(オフでは矢部サンに謝らない)。
■プロデューサーやマネージャーにコーヒーをいれてもらっても、「ありがとう」と言わない。
■目上の人に食事に誘われると「ぜひ行かせてください」と表では言うが、マネージャーに「仕事だったことにして」と断らせる。

岡村氏は大物芸能人になったことで、弱者や女性に配慮しない人間になったのでしょうか。

岡村氏は発言について謝罪しましたが、問題は発言ではなく人格にあるので、今後テレビで岡村氏を見ると、悪印象がつきまとう気がします。

ただ、人格といっても変わることはあります。
岡村氏は結婚願望はあるようですから、幸せな結婚をするにはどうすればいいかと真剣に考えることが変わるきっかけになるでしょう。