昔は若い男女が同棲するというと、「ふしだら」などと言われたものですが、今は親公認の同棲も珍しくないようです。しかし、これがいいこととは限りません。
 
「ヤフー知恵袋」にこんな相談がありましたが、“自立”ということのむずかしさを改めて考えさせられました。
 
 
娘が同棲中の彼のご両親に旅行に誘われたのですが
 

娘が同棲中の彼のご両親に旅行に誘われたのですが行きたくないと返事をしたのに彼を通じて再度誘われ困っておりました。

 
行きたくない理由は部屋は一部屋しか取っておらず車の運転を彼にさせるためと娘は細々ご両親の世話をさせるために誘ったというのが見え見えだったためです。
 
 費用は向こうのご両親が出すと言っても連休を気を遣うのがわかっている旅行で潰すのは嫌なのでゆっくり家でしたいからと断ってるのに「そんなこといわずに」と彼経由で言ってきてそれでも断ってるのに私のところに「せっかくだから、娘さんに行くようにと」言ってきました。
 

 義理の父になる予定とはいえ赤の他人の男と同じ部屋なんて気遣いはしてくれないしお付きのような旅行になんて娘を行かせる必要もないし第一本人が行きたくないと言ってるのになんてしつこいんだろうと思い「本人が乗り気じゃないし」と答えておきました。

 
 娘の彼が板挟みになって不貞腐れ結局彼とご両親だけで旅行は行って娘は実家に帰ってきています。
 
 籍も入れてないし式もあげていないのにこんなことで煩わされるなんて娘を大事にしてくれるとは思えなくて帰らせてもいいかなと思案しています。
 
 娘が彼のタイプだったらしくいいことばかり言われて同棲するようになったのに自分の勤め先や出身校を鼻にかけるとか娘の保育士と言う仕事を肉体労働というとかの言葉も引っかかり同棲するマンションには帰りたくないと言っています。
 

 我慢することも大事だし、あくまでも娘の気持ちが優先ではありますが帰りたいと言っても止める必要はないでしょうか?

 
 
この同棲は双方の親が公認していますし、親同士も連絡を取っているので、ほとんど結婚と同じようなものです。
結婚にせよ同棲にせよ、子どもはつがいになることによって親から独立していくものですが、このカップルはそうではないようです。
 
彼の両親は息子といっしょに旅行したがっています。一概にそれが悪いとは言えませんが、子ども離れできていないということは言えます。とくにこのケースは、そのために息子と彼女の関係が悪化したのですから、やはり両親の態度はよくありません。
 
そして、この息子も親離れできていません。自分の彼女がいやがっているのですから、自分が両親に断ればいいのです。そうすればなにも問題はありませんでした。
 
相談者の娘も親離れができていません。旅行に誘われて困っていることを親に伝えていたようですし、向こうの親が相談者に娘を説得するよう頼んできたのも、娘が親離れしていないことを見抜いているからでしょう。
 
 
そして、なによりも問題なのは、相談者が子離れできていないことです。
 
たとえば、「お付きのような旅行になんて娘を行かせる必要もないし」と書いていますが、「娘を行かせる」という表現には、娘をまだ支配下においている感覚が表れています。「帰らせてもいいかなと思案しています」という表現も同じです。
「あくまでも娘の気持ちが優先ではありますが」とも書いていますが、この表現にも決定する主体は自分であるという意識が感じられます。
 
そもそも同棲を解消するか否かという問題を、当事者ではなく親が相談しているということからして間違っています。
親が介入しなければ、娘は自分で問題を解決するしかなく、それによって成長することができます。親は成長と自立の妨げになっています。

結局、この登場人物は全員が親離れ子離れできていないのです。

 
そして、最大の問題は、この相談に対する回答かもしれません。
ベストアンサーに選ばれたのは、「向こうが非常識だから別れたほうがいい」という意見です。
ほかに13の回答がありましたが、「娘が自分で決めるべきだ」というのはふたつぐらいしかありません。
ほとんどの人は、娘の問題を親が相談しているのをおかしいと思っていません。
親離れ子離れできないことが問題だと認識されていないのです。
 
日本がうまくいかないのも、多分にそのせいであるような気がします。
石破茂氏は安保法制の必要性を「同盟国から見捨てられる恐怖」という言葉で表現しましたが、これは親離れしていない人間の発想です。
安倍首相はやたら祖父の岸信介にこだわり道を誤っていますが、自分の両親との関係に問題がありそうです。
「新しい道徳」が売れている北野武氏も、自分の母親のことになると批判するべきことが批判できません。
 
個人が自立しないと国家も自立できない理屈です。