記者会見の安倍首相(首相官邸HPより)
安倍首相は3月14日、新型コロナウイルス感染症に関する特別措置法の改正案が成立したことを受けて記者会見を開きましたが、これがまったくの無内容でした。
なにか新しい対策を打ち出すということもありませんし、今の一斉休校やイベント自粛がいつまで続くのかについて目途を示すということもありません。
一斉休校が続くと、4月の新学期も始まらないということが懸念されます。
安倍首相は新型コロナウイルス感染症対策の現場をまったく把握していません。
たとえばPCR検査の件数が少ないという問題について、このように語りました。
PCR検査については、各種の取組により、現時点で、前回会見したときよりも50パーセント多い、1日当たり6,000件を超える確かな検査を行うことが可能となっています。短時間で検査ができる簡易検査機器の開発も順調に進んでおり、一部については、今月中に利用を開始できる見込みとなりました。民間検査機関における設備導入を支援することで、一層の能力増強にも努めます。こうした取組を通じて、今月中には、1日当たり8,000件まで検査能力が増強できる見込みです。
検査能力については、加藤厚労相が「一日最大6000件の検査能力がある」と言っていたにもかかわらず、1日に多くて千件余り、少ないと百数十件しか検査が行われていないということが問題になっていました。
なぜ検査数がふえないのかについて国民はいろいろ議論していますが、安倍首相はこの問題を完全にスルーしました。
安倍応援団は、政府は医療崩壊を招かないために検査件数をわざと抑えているので、これは正しいやり方だと言って擁護していましたが、安倍応援団も梯子を外されました。
安倍首相は新型コロナウイルス問題を理解していないためか、自分で対策を考えることができません。
北海道の鈴木直道知事が2月26日、緊急会見を開き、全道の小中学校について1週間の休校要請をしましたが、これは英断だと評価する声が多数でした。
するとその翌日、安倍首相は全国の小中高などに3月2日から休校にするよう要請したのです。完全にパクリで、かつ思いつきです。専門家会議のメンバーも、会議で議論していないし、相談もされていないと言っています。
それから安倍首相が打ち出した対策は、安倍支持者が求めていた中国韓国からの入国禁止措置です。
安倍首相は最初、習近平主席の国賓としての訪日を意識したためか中国からの入国制限をせず、ようやく2月1日になって湖北省からの入国拒否を決め、本格的に中国と韓国からの入国拒否を始めたのは3月9日からです。
こうした入国拒否は安倍応援団には評価されたようですが、これらの政策はあくまでウイルスの侵入を防ぐ水際対策ですから、すでに国内に感染が広がっている段階では意味がありません。
安倍首相が思いつきと支持者向けの政策しかできないのは、政府内の専門家がまともな政策を出せないからです。
政府内の専門家とは国立感染症研究所のことです。
自民党は長期政権によって政府と一体化しているので、安倍首相もこうした組織を批判することができませんし、マスコミも批判しません。
そのためほとんどの国民もどこに問題があるのかわかりません。
原発事故のとき、原子力安全委員会、原子力安全・保安院、東電本社などをマスコミはほとんど批判しませんでしたが、それと同じことが起こっています。
そうした中で、「選択」3月号が国立感染症研究所についての記事を書いていました。PCR検査の問題についても言及されています。
3月1日発売号なので最近の事情には触れられていませんが、国立感染症研究所を批判的に書いた記事は貴重なので、前半だけ紹介しておきます。