村田基の逆転日記

親子関係から国際関係までを把握する統一理論がここに

タグ:坂口杏里

新川優愛

女優の新川優愛(25歳)さんは8月11日に記者会見し、結婚したことを発表しましたが、相手が9歳上のロケバスの運転手であることに世の中は驚きました。

美人女優の結婚相手といえば、IT社長かプロスポーツ選手か同業のイケメン俳優というのが相場です。
ロケバスの運転手なら普通の給料でしょう。
しかも新川さんは、ロケバスの中に忘れ物をしたと嘘をついて自分から彼にアプローチしたということです。
普通の給料の男たちに夢と希望を与える結婚でした。

それにしても、どうして新川さんはロケバスの運転手が好きになったのでしょうか。



記者会見を見てみると、好きになったきっかけについて、このように答えています。
「私に対する対応よりも、私けっこう、自分以外の人への対応を見ることが多くて、それは女性も男性もなんですけど、いろんな人に対しての接し方が素敵な人だなと思ったのがきっかけですかね」
調べてみると、『新川優愛、夫はアプローチに詐欺疑う「SNSが乗っ取られてると…」』という記事にもう少し詳しいことが書かれていました。
番組では新川が出会いから結婚までを初告白。初めての出会いは8年前、新川が17歳のときで、当時は恋愛感情は全くなかったそうだが、2016年、新川が22歳になったとき、荷物を率先して運んだり、どんな立場の人にも分け隔てなく接する仕事現場での彼の姿に惹かれていったという。
https://www.excite.co.jp/news/article/Mdpr_news1869442/
普通は、彼は熱心に私を誘ってくれたとか、私に親切にしてくれたというように、自分と彼との関係で彼を好きになるものです。
しかし、自分に親切にしてくれる人は、下心があるからしているだけで、ほんとうは親切な人ではないかもしれません。
新川さんのように、彼と第三者との関係を見ていれば、彼の人柄が正しく判断できるはずです。

これができるのは、職場恋愛のいいところです。職場で観察していれば、裏表のある人とか、上にこびて下に横柄な人とかもわかります。
お見合いだの合コンだのでは、なかなか相手の人柄はわかりません。デートしたら、彼がレストランの店員に横柄な態度をとって幻滅したなどということも起こります。


新川さんのすごいところは、恋愛や結婚の相手を探すとき、彼の人柄を第一にして、彼の収入や社会的地位にほとんど重きを置かなかったところです。
これは新川さんの自信からきているのでしょう。収入も社会的地位も自分で獲得するものだと思っていれば、男に頼るという気持ちになりません。

そして、愛されたいという願望があまり強くないのでしょう。

「愛されるよりも愛しなさい」とはよく言われる言葉ですが、実際はなかなかできないものです。
たいていの人は、「愛したい」と「愛されたい」を天秤にかけると、「愛されたい」のほうがうんと重くなります。
とくに若くて恋愛経験がないと、相手から愛されているか否かがひじょうに気になり、たとえばデートで行ったのが安いレストランだったとか、支払いのときに彼がクーポンを使ったとかのささいなことで、自分は安く見られたと即断して、彼を振ったりします。
こういうことで相手を選んでいると、ろくな相手をゲットできません。

なぜ「愛されたい」が重くなりすぎるかというと、子どものときに十分に親に愛されなかったからです。
親から受け取った愛が少ないと、その分を恋愛関係で得ようとします。
新川さんは親から十分に愛されて育ち(美人なのでたぶん男からも愛され)、もう愛に満ち足りているので、「愛されたい」よりももっぱら「愛したい」という目的で相手を探したのでしょう。


ですから、新川さんは愛に恵まれた家庭で育ったと推測されます。
新川さんの家庭環境がどういうものだったかはなかなかわかりませんが、ウィキペディアの「新川優愛」の項目にはこう書かれていました。

幼い頃からテレビが好きで、「自分も出演したい」と思い続けていた。小学校6年時、父に「芸能界に入りたい」と話したところ「いいんじゃない」の一言であっさりと快諾してもらったという。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%B7%9D%E5%84%AA%E6%84%9B
普通のことではありますが、父親は子どもの意志を尊重する人だということは言えます。

結婚報告記者会見を見てみると、「実家」に言及していたので、その部分を書き起こしてみます。
結婚願望は……そうですね、ちっちゃいときからお嫁さんになりたいみたいなことは言ってたみたいなので。うち、実家がすごいあったかい、実家がすごい仲がいいので、結婚願望はありましたね。
彼の「実家」についても言及していました。
(彼の)素敵なところはたくさんあるんですけど、あったかい人だなと、気持ちがすごいあったかい方だなと思いましたし、それはご実家に行ったときにも感じたんですけど。
これを聞いただけでも、新川さんがあったかい家庭で育ったことがわかります。
そして、こういう人はたいていあったかい家庭をつくることができるものです。


ところで、私がこのブログで新川さんのことを取り上げたのは、前々回に「坂口杏里さんの不可解な人生」という記事で取り上げた坂口杏里さんとあまりにも対照的だなと思ったからです。

人生というのは、かなりの部分が生まれ育った家庭環境によって決まります。
金持ちの家庭で育つのと、貧乏な家庭で育つのとでは、大きな違いがあります。
同様に、愛情に恵まれた家庭で育つのと、愛情の少ない家庭で育つのとでも、大きな違いがあります。
世の中には経済格差があるのと同様に愛情格差もあるわけです。

私は経済格差と愛情格差を勝手に「社会の二大格差」と呼んでいます。
世の中のほとんどの問題はこの二大格差からきています。たとえば幼児虐待は愛情格差がもたらす問題の最たるものです。

ところが、経済格差は認識されていますが、愛情格差のほうはあまり認識されていないので、坂口杏里さんは不幸な人生を(今のところですが)歩み、新川優愛さんは幸福な人生を歩んでいることの違いがどこからきているのかが理解されません。
そのため、坂口杏里さんがバッシングされたりします。

親から十分に愛されなかった人は、自分には愛される価値がないのだと思いがちです(坂口さんもそうではないでしょうか)。
しかし、世の中には愛情格差があり、愛のある家庭と愛の少ない家庭があるのだと認識すれば、自分には愛される価値がないという思いを払しょくして、前向きに歩んでいけるはずです。

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Rudy and Peter SkitteriansによるPixabayからの画像 

悲惨な幼児虐待事件が起こると、「児童相談所や学校や警察はなにをしていたのか」という怒りの声が上がります。
確かに多くの幼児虐待事件では、子どもの体にアザがあるとか、家から叫び声がするとか、学校に出てこないとかの徴候があるもので、関係機関が連絡を密にして対応していれば防げたのにと感じられることが多いものです。
しかし、人間はいざ幼児虐待のような悲惨なことに直面すると、現実を認めたくないという心理に陥りがちです。というか、人類の歴史において、人間はずっとそうして否認してきました。
ですから私は、「児童相談所や学校や警察はなにをしていたのか」と怒る人もいざ自分がそうした場に直面するとうまく対応できないのではないかと疑っています。

次の記事を読んだとき、改めて私の疑いは間違っていなかったと思いました。

懲りない坂口杏里…何がしたいのか? “母親エピソード”で大炎上
 元カレのホストの自宅マンション内に侵入したとして、住居侵入容疑で逮捕(不起訴処分)された元タレントの坂口杏里(28)。現在はYouTubeで赤裸々告白の投稿を続けているが、ネット上で批判が絶えないのだ。
 今月に入って、YouTubeに「坂口杏里チャンネル」を開設した杏里。7日には2013年に死去した母、坂口良子さんの思い出を語ったのだが「あまりの内容に、“お母さんがかわいそう”などの批判の書き込みが相次ぎました」と芸能サイト編集者。
 幼いころ、机の中に隠していた0点のテストが良子さんに見つかり、こっぴどく叱られたというエピソードを明かした杏里。本来なら、そこからお母さんの優しさに触れるはずが、「柔軟剤をボトルごと、頭にブワーってかけられて」「頭ギトギトのまま、学校に一緒に行って謝罪をした」と一転“ホラー”な話題となったのだ。
 さすがにこれには「ただの悪口」「坂口良子さんのこと悪く言うな」「お母様の名前を出すのはやめましょう」などと書き込みが相次ぐことに。その後も遺産の話などを投稿したが、批判は後を絶たず。チャンネルを閉鎖し、新たに「ANRIちゃんねる」を立ち上げた。
 「ユーチューバーへの転身を宣言しましたが、芸能界復帰への足がかりにしようと思っているならマイナス効果しかない」と先の芸能サイト編集者。
https://www.zakzak.co.jp/ent/news/190914/enn1909140009-n1.html?ownedref=not%20set_main_newsTop

柔軟剤を頭からかけられたというのは、十分に虐待といえます。
これは嘘ではないでしょう。嘘を書く理由がありません。
非難する人も嘘だとして非難しているのではありません。

では、なにを非難しているかというと、事実そのもの、あるいは事実を表現したことを非難しているのです。
つまり幼児虐待の否認です。

この記事を書いた人も、「本来なら、そこからお母さんの優しさに触れるはずが」と、自分自身の虐待否認の考えを杏里さんに押しつけています。

こういう心理があるので、児童相談所の職員などでも幼児虐待に適切に対応できなかったりします。
これは職員を一方的に非難しても解決できるものではありません。



私は、この記事を読んで杏里さんの人生が迷走する理由がわかった気がしました。

坂口杏里さんは母親の坂口良子さんといっしょにテレビのバラエティ番組に出るなどして人気になりましたが、良子さんは2013年に死去。杏里さんは2016年ごろに芸能活動をほとんどやめて、キャバクラ嬢になり、AV出演やヘアヌード写真集を出し、デリヘル嬢にもなりました。ホストクラブ通いでできた借金を返すためだと言われていますが、本人は借金のことは否定しています。

ウィキペディアの「坂口杏里」の項目によると、2017年4月に知人のホスト男性から現金3万円を脅しとろうとしたとして恐喝未遂容疑で逮捕され(不起訴)、今年8月には同じ男性の自宅マンション内に侵入したとして逮捕されました。

もともと人気あるタレントだったのに、キャバ嬢、AV嬢、風俗嬢、二度の逮捕とみずから“転落”していったのが不可解でしたが、母親から虐待されていたとすれば納得がいきます。
AV嬢には親から虐待されていた女性が多いとされます。自己評価が低いために社会的評価の低い職業に抵抗がないことと、親のいやがることをして親に復讐する心理があるからです。
AV嬢からタレントになった飯島愛さんは「プラトニック・セックス」という自伝で父親から虐待されて家出したことを書いています。
スノーボード選手としてトリノ・オリンピックに出た今井メロ(成田夢露)さんも「泣いて、病んで、でも笑って」という本で、父親から虐待といえる壮絶なスパルタ教育を受けたことを書いていますが、キャバ嬢、風俗嬢、AV嬢になっています(私はこのブログで今井メロさんのことを「スパルタ教育を受ける不幸」という記事で書いたことがあります)。

杏里さんがテレビタレントをやめたのも、それは母親が敷いたレールだったからかもしれません。

母親の坂口良子さんはすばらしい女優でしたが、そのことと母親としてのあり方とはまったく別です。

ほとんどの人は迷走する杏里さんに批判的ですが、そういう人は同時に虐待の事実も否認します(引用した記事もそのスタンスで書かれています)。
虐待の事実を受け入れれば、迷走する杏里さんが理解でき、同情心もわいてくるはずです。

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