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東京2020組織委員会公式HPより

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長が「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」などと性差別発言をし、批判されましたが、森会長は1月4日の記者会見で辞任を否定しました。
このまま森会長が居座ることになれば、日本のイメージも東京オリンピックのイメージも地に落ちます。

森会長の発言内容については今さらここでは批判しません。
それよりも森会長を擁護する人がけっこういるのが気になります。
そういう人は、森会長は政府、東京都、IOC、各スポーツ団体などとの関係を調整するのに長けていて、「余人をもって代えがたい」と言います。
しかし、代わりの人がいない近代組織などありません。
大企業のトップが不祥事を起こしたとき、代わりの人がいないなどという理由で居座ることなど許されません。

そもそも森会長は一年間総理大臣をやったとき、支持率ヒトケタをたたき出す史上最低の総理大臣でした。そんな有能であるわけがありません。

いや、自民党の派閥のトップは務まっていましたから、そういう有能さはあるかもしれません。つまり前近代の組織、村社会に向いた人です。
ですから、オリンピックという国家的事業のトップに立って、国民を盛り上げるような役割には向きません。

それに、自民党の政治家だった森会長は党派色が強すぎて、オリンピックの顔には不向きです。
本来は財界人がなるはずでした。
森氏が五輪組織委の会長に決まったときは驚いたのを覚えています。


「リテラ」の「女性差別の森喜朗が辞任どころか逆ギレ会見 こんな男がなぜ五輪組織委会長? 子分の安倍前首相による人事ゴリ押しの舞台裏」という記事によると、当時の安倍首相が猪瀬都知事の反対を押し切って、強引に森氏を会長に押し込んだということです。
2月6日付の朝日新聞にも「(森氏は)12年衆院選に立候補せずに国会議員を引退し、13年に東京大会開催が決まると、組織委トップの座をめぐる東京都と国の綱引きを経て14年1月、会長に就任した」とあるので、安倍首相が猪瀬都知事の反対を押し切ったというのは事実のようです。

森会長と安倍前首相とは親分子分の関係で、これほど太いパイプはありません。
ですから、組織委にとって森会長はありがたい存在だったでしょう。国からいくらでも金を引っ張ってくることができたからです。

大会を東京に招致するときの計画では、費用は総額7340億円でしたが、昨年12月22日の発表では総額1兆6440億円となりました。さらに朝日新聞は関連経費を合わせると3兆円を越えると報じています。

安倍前首相が森氏を組織委の会長に押し込んだのは、安倍前首相による“オリンピックの私物化”です。
利権優先で、人格など無視して性差別主義者を押し込んだので、今回のような問題が起きるのは当然です。


今、森会長を擁護している人のほとんどは、自民党関係者と安倍前首相の支持者です。
たとえば高須クリニックの高須克弥院長は森会長について「許すのは日本人の美徳なのに・・・無報酬で働く病身の高齢者にひどい仕打ちに思えます」とツイートしました。

「無報酬」というのが気になって調べてみると、どうやら会長職については無報酬であるようです。
これも異常なことです。
名誉職ではなくちゃんと仕事をしているなら、報酬は受け取らないといけません。
上級国民がこんなことをすると、ブラック企業のやり方を助長しかねません。
無報酬で働くというのは、もっと大きな利権があるからだろうと想像してしまいます。


ともかく、森氏を組織委の会長にしたのがそもそもの間違いでした。
「魚は頭から腐る」と言いますが、腐った頭を組織に据えてしまったのです。
そのため、組織全体、オリンピック大会全体が利権まみれというイメージになりました。

今回の性差別発言は、腐った頭を切り離すのにいい機会です。