日露会談
首相官邸ホームページより

安倍首相は9月4日から6日にかけてロシアのウラジオストクで開かれた東方経済フォーラムに出席し、プーチン大統領と会談しました。
安倍・プーチン会談は27回目ですが、北方領土問題についてはなんの進展もありませんでした。
進展がないどころか、プーチン大統領は会談のあった日の未明、色丹島での大規模な水産加工工場稼働を祝う式典に中継映像で参加しました。日本は四島返還は諦めて、歯舞・色丹の二島返還を求めているのですが、これは二島返還すらむりというメッセージでしょう。

安倍外交の大失敗ですが、驚くことにマスコミはほとんど追及しません。
私の見た範囲では、その時点できびしく批判していたのは産経新聞の「日露首脳会談 どうして席に着いたのか」という記事だけです。「プーチン大統領は会談に先立ち、日本と安倍首相を虚仮(こけ)にする行動をとった」「安倍首相は首脳会談など開かず、さっさと帰国した方がよかった」と主張しています。

プーチン大統領はフォーラム最終日の6日、市民との交流会で領土問題について言及しました。

北方領土 「スターリンが手に入れた」 プーチン氏
 ロシアのプーチン大統領は6日に北方領土について述べ、第2次世界大戦の結果、ロシアがすべてを手に入れて領有権が決まったと強調しました。

 プーチン大統領:「それ(第2次世界大戦の結果)に依拠しよう。スターリンがすべてを手に入れた。議論は終わりだ」
 プーチン大統領は6日、ウラジオストクで市民との交流会に参加しました。交流会で、市民から北方領土について「第2次世界大戦終結時の状況からすれば、ロシアの領有権に疑問の余地はない」という意見があり、プーチン大統領も賛同しました。1855年の日露通好条約を根拠として、領有権を主張する日本政府の立場を改めて否定しました。5日の日ロ首脳会談の後、日本側は平和条約締結に向けて「ロシアと未来志向で作業することを再確認した」と発表していました。 
https://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann?a=20190907-00000004-ann-int

これで誰の目にも安倍外交の失敗が明らかになりましたが、マスコミはどういう態度をとるでしょうか。
これまでの例からして、安倍外交の失敗をきびしく批判するということにはならないと思われます。
2016年12月に安倍首相の地元の山口県にプーチン大統領を迎えて行われた日ロ首脳会談においては、領土交渉に進展があると大いに期待されていましたが、進展はまったくなく、日本が経済協力をするだけの結果に終わりました。しかし、安倍首相は「経済協力が進展した」「これから交渉を加速させる」「会談は成功だった」というイメージをふりまき、マスコミの報道もそれに引きずられました。

安倍首相はこのときに、「外交は、失敗しても成功のイメージをふりまけばよい」ということを学んだものと思われます。

今回の会談でも、安倍首相はプーチン大統領に対してテレビの前で「ウラジミール」とか「君」といった言葉で呼びかけ、親密さを演出し、「未来志向で平和条約の交渉を進めよう」と言いました。
「成功のイメージ」さえあればいいという作戦です。
そうやっておけばマスコミには批判されないという自信があるのでしょう。
現に批判したのは産経新聞ぐらいでした。


このパターンは、対米外交とまったく同じです。
安倍首相はアメリカに譲歩し、買わないでいいものを買わされているのに、トランプ大統領と親密さを演出します。
そうするとマスコミも「安倍外交は成功」みたいな報道をしますし、国民も大方は納得しているようです。


これは日本人の白人コンプレックスのせいかと思っていましたが、そういうことでもなさそうです。
対中外交でも同じだからです。
安倍首相は昨年10月25日から27日にかけて中国を訪問し、習近平国家主席と会談しました。
それまで安倍首相は中国包囲網づくりに精を出してきて、安倍首相と習近平主席はほとんど会談すらしなかったのですから、外交方針の大転換です。
このときの安倍・習近平会談では、安倍首相は一応愛想笑いを浮かべているのに、習近平主席はずっと仏頂面でした。
日中首脳写真
首相官邸ホームページより

安倍首相が中国まで会いにいっているのに仏頂面で迎えるとはけしからんという中国非難の声が上がるかと思ったら、そういうことはありません。
わざわざ習近平主席に会いにいくのは媚中外交だという安倍首相非難の声が上がることもありません。
マスコミは安倍首相がなにをしても「安倍外交は成功」ということにするようです。

来年春には習近平主席を国賓として日本に迎えることが決まっています。
米中経済戦争の最中に中国に接近するとは、米中の間でしたたかに立ち回ろうという戦略なのでしょうか。

私の考えでは、安倍首相にそういう大きな戦略はありません。
第二次安倍政権が発足したころは、中国のGDPは日本をやっと追い越したところでした。しかし、今では3倍近くになっています。現実問題として中国包囲網づくりは不可能になったので、対中接近をはかっているだけでしょう。


結局のところ、アメリカ、ロシア、中国という強い国に媚びているのが安倍外交です。
これだけでは日本国民も情けない思いがするので、弱いと見なした韓国に強く出て、韓国バッシングを国民の娯楽に供しています。
マスコミも安倍政権の思い通りにあやつられています。

しかし、強い者に媚びて、弱い者に威丈高になる人間は、結局誰からも信頼されません。
マスコミはもっと根本的なところから外交を論じないといけません。