日本赤十字社が献血を呼びかけるポスターに巨乳のアニメキャラを使ったために、「セクハラだ」という批判が巻き起こっています。
 問題となっているのは、漫画『宇崎ちゃんは遊びたい!』と日本赤十字社がコラボしたポスタービジュアル。巨乳キャラのヒロイン・宇崎花が「センパイ! まだ献血未経験なんスか? ひょっとして……注射が怖いんスか~?」というセリフで献血を呼び掛けるもの。コラボ期間中、一都六県の献血ルームで献血協力者に特製クリアファイルをプレゼントすると告知しており、漫画家のオカヤド氏もこのクリアファイルを手に入れたことを報告している。

 しかし、これに対し外国人ツイッターユーザーが「赤十字にがっかりした。過度に性的な宇崎ちゃんを使ってキャンペーンをしている」と困惑した様子でツイートすると、弁護士の太田啓子氏がこれを取り上げ、「本当に無神経だと思います」と糾弾。「なんであえてこういうイラストなのか、もう麻痺してるんでしょうけど公共空間で環境型セクハラしてるようなものですよ」とピシャリ。その後、「とりあえず、日本赤十字社のお問い合わせ に意見を送りました、、、」と問い合わせもしたことを明かした。
https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12184-51397/
私はこれを読んだとき、どうせたいしたことでもないのに騒いでいるのだろうと思いましたが、問題のアニメキャラを見ると考えが変わりました。

日本赤十字の巨乳
プレゼントとしてもらえるクリアファイルのデザイン(日本赤十字社側のウェブサイトより)


巨乳といっても、これは極端です。この絵の発想には「女性の体をおもちゃにする」というものがあると思います。

それと、私が気になったのは、このキャラは、大口を開けていることや目つきからして、おバカではないかということです。
調べてみると、ウィキペディアの「宇崎ちゃんは遊びたい!」の項目では、このようにキャラクター紹介がされています。

宇崎 花(うざき はな)
声 - 大空直美
ヒロイン。年齢19歳→20歳(2巻22話)。大学2年生。桜井を「先輩」と呼ぶ。常にテンションが高く桜井とは正反対の性質。ショートカット、巨乳、八重歯、~ッス口調、アホの子というキャラクター性を持つ。ただし他の女友達と過ごす時や独白では標準語で話す。実は回が進むに連れ、胸のサイズが大きくなっている。
身長150センチ、小柄の割にかなりの巨乳でウエストも細いためバストサイズは96センチのJカップ。亜実からは「兵器」と例えられる。胸を強調するシーンが多く、マッサージチェアに座った時は喘ぎ声(のような声)を上げるほど敏感。
やはり「アホの子というキャラクター」でした。

アホの子から献血を呼びかけられて、献血する気になるでしょうか。
どんなCMでも、好感度の高い人物やキャラクターを起用するものです。
献血の呼びかけであれば、尊敬できる人物であることも必要でしょう。
それに、献血の呼びかけは男だけが対象ではありません。
アホの女の子を起用した日本赤十字社の見識が疑われます。


ですから、このキャラを使ったキャンペーンが批判されたのは当然ですが、「肌を露出していないから問題ない」とか「若い男に呼びかけるにはいい」とか「巨乳差別だ」とか「フェミのセクハラ狩りがウザい」といった反論もあります。
とりわけ、「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」が一時展示中止になるということがあったので、「表現の自由の侵害だ」という声が多数ありました。

しかし、このキャラが登場する「宇崎ちゃんは遊びたい!」というマンガは電子版が公開され、誰でも読めますし、作者は自由に創作活動をしていますから、表現の自由は侵害されていません。
日本赤十字社がそのキャラを使ってキャンペーンをしたことが批判されているのです(表現の自由は個人に属するもので、団体に表現の自由はありません)。
キャンペーンだと誰の目にも触れますし、人を不快にするキャンペーンが批判されるのは当然ですし、公的な団体がそれをやっているとなればなおさらです。

なお、このキャラは、ウザくてかわいい「ウザカワ」系というのだそうです。
主人公の男は人間関係に積極的になれないオタクで、そこに巨乳の女の子がウザいくらいに積極的にからんできます。オタクにはうれしい設定です。
「巨乳でおバカ」というキャラも、男にとって遊び相手やセックスの相手として好都合な設定です。真剣な恋愛相手にはなりません。

もちろんそういう物語を好む男がいて、そうした男のために物語が供給されることは、自由になされるべきです。
昔はエロ劇画ブームというのがあって、三流エロ劇画雑誌には過激なレイプシーンなどがいっぱい載っていました。


日本赤十字社は「今回のキャンペーンはあくまでも献血にご協力いただける方へのノベルティとし実施したもので、セクシャルハラスメントという認識は持っておりません」と回答しており、今のところキャンペーンを中止するつもりはないようです。
しかし、かつての三流エロ劇画誌と同じような狭い世界に存在しているものを、キャンペーンで広い世界に引き出したのは間違いです。
身勝手な男の願望に合わせてつくられた「巨乳でおバカ」キャラは、目にした女性を不快にさせます。

そのことが理解できない男性は、「巨根でおバカ」キャラを考えればいいのです。
ズボンの上からもそれとわかるすごい巨根の持ち主で、おバカな表情をした若い男が、巨根を誇示しながら女性に献血の呼びかけをしている図を脳裏に思い描いたらわかるはずです。