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安倍首相が広島と長崎の平和式典で述べたあいさつがほとんど同じで、「“コピペあいさつ”でいいのか」という声が上がっています。

広島と長崎でそれほど変えようがないですし、コピペなのは毎年同じです。
今年だけ問題にされたのは、「安倍首相の言葉には心がこもっていない」という不満が高まっているからでしょう。

安倍首相は緊急事態宣言を発出するときや解除するときに国民に向かってスピーチをしましたが、用意された原稿をプロンプターで読むだけです。
もとの原稿が官僚の作文で、安倍首相もただそれを読むだけなので、「言葉に心がこもっていない」という印象になってしまいます。

スピーチだけではありません。
安倍首相は記者会見でも心のこもった言葉を言いません。

広島の平和式典のあと、安倍首相は久しぶりの記者会見をしました。
しかし、記者会見の時間は約15分で、記者の質問も4問だけでした。

会見の最後に朝日新聞記者が「総理、まだ質問があります」と言って手を上げたところ、朝日新聞の記事によると、『朝日新聞記者の腕を、首相官邸報道室の男性職員が「だめだよもう。終わり、終わり」と制止しながらつかんだ』ということがありました。
朝日新聞は「質問機会を奪う行為につながりかねず、容認できません」と報道室に抗議しましたが、菅義偉官房長官は7日午前の記者会見で「(首相の)広島空港への移動時刻が迫っていた中での出来事で、速やかな移動を促すべく職員が注意喚起を行ったが、腕をつかむことはしていないとの報告を受けている」と述べ、今のところ、腕をつかんだか否かはうやむやになっています。

記者会見で質疑応答があったといっても、やはり安倍首相の言葉には心がこもっていません。
なぜ安倍首相の言葉には心がこもっていないのかが明らかになる出来事が、長崎の記者会見場でありました。



この記者会見も時間は約15分でした。記者の質問は2問とあらかじめ決められていました。
会見が終わり、安倍首相は立ち上がる前に手元の書類を立てて持ちました。
その瞬間をANNのテレビカメラは撮っていました。

安倍カンペ




コピペ切り取り


字が小さくて見にくいですが、四角い囲みの中の冒頭に「問1」とあり、「核兵器」と思われる言葉が続いています。
これは、毎日新聞のマツムラマユ記者の核兵器禁止条約についての質問と思われます。
そして、その下に[答]という字があり、安倍首相が実際に答えた内容がそのまま書かれています。

要するに、記者の質問も安倍首相の答えも全部あらかじめ決まっていて、安倍首相は原稿を読むだけなのです(安倍首相のテーブルだけ花が飾ってあるのはカンペ隠しのためです)。
これでは言葉に心がこもらないのは当然です。

記者会見そのものが台本のある芝居、下手な学芸会のようなものです。
これなら記者会見などしなくて、安倍首相の手元にある原稿を各メディアが受け取って、それをもとに記事を書けばいいのです。
いや、それだとテレビは絵がないので、テレビのために学芸会をやっているのでしょう。


菅官房長官の定例記者会見も同じシステムに違いありません。
韓国で慰安婦像の前で安倍首相らしい人物が土下座する像が設置されたことについてTBS記者が菅長官に質問したところ、菅長官はそれに答えるときに「慰安婦問題の最終的かつ不可逆的な解決を確認した日韓合意」という言葉を正確に言ったので、質問も答えもあらかじめ決まっているのだとわかりました(このことは『「首相謝罪」の炎上商法が不発』という記事に書きました)。

質問があらかじめわかっていれば、いくらでもはぐらかしの答弁ができます。

安倍首相の記者会見での言葉はカンペを読んでいるだけだということが証拠映像つきでわかったのですから、ワイドショーなどがおもしろおかしく取り上げてもよさそうなものですが、同じマスコミなのでやらないのでしょう。
そのため、今のところツイッターでしか取り上げられていないようです。

記者クラブも情けないものです。
質問をあらかじめ提出するよう求められているなら、そのことを公表するべきです。
台本のないふりをするのは国民をあざむく行為です。