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明けましておめでとうございます。
今年もこのブログをよろしくお願いします。

今年の日本はどうなるかと考えてみましたが、あまりいい見通しがありません。
安倍長期政権が完全に行き詰まっているからです。
安倍首相自身はこの状況をどう考えているのでしょうか。
安倍首相の「年頭所感」を読んでみました。

安倍内閣総理大臣 令和2年 年頭所感
新年あけましておめでとうございます。

 いよいよ、東京オリンピック・パラリンピックの年が幕を開けました。

 1964年、10歳の時に見た東京五輪は、今も、私の瞼に焼き付いています。身体の大きな外国選手たちに全く引けをとらない日本人選手の大活躍は、子どもたちに、未来への希望を与えてくれました。

 「人間、夢があるからこそ成長できる。
      いつの時代も『夢見る力』が大切なんです。」

 東京五輪、重量挙げ金メダリスト、三宅義信選手の言葉です。

 半世紀を経て日本に再びやってくるオリンピック・パラリンピックも、子どもたちが未来に向かって、夢を見ることができる。わくわくするような、すばらしい大会にしたいと考えています。

 昨年、ほぼ200年ぶりの皇位継承が行われ、令和の新しい時代がスタートしました。オリンピック・パラリンピックを経て、5年後には、大阪・関西万博。

 未来への躍動感があふれている今こそ、新しい時代に向けた国づくりを力強く進める時です。

 3歳から5歳まで、全ての子どもたちの幼児教育が無償化されました。この春からは、真に必要な子どもたちの高等教育の無償化が始まります。未来を担う子どもたちの未来に、大胆に投資していきます。

 人生100年時代の到来は、大きなチャンスです。働き方改革を進め、女性も男性も、若者もお年寄りも、障害や難病のある方も、誰もが活躍できる一億総活躍社会をつくりあげていく。

 全ての世代が安心できる社会保障制度へと改革を進め、最大の課題である少子高齢化に真正面から挑戦していきます。

 我が国の美しい海、領土、領空は、しっかりと守り抜いていく。従来の発想に捉われることなく、安全保障政策の不断の見直しを進めます。激動する国際情勢の荒波に立ち向かい、地球儀を俯瞰しながら、新しい日本外交の地平を切り拓いてまいります。

 未来をしっかりと見据えながら、この国のかたちに関わる大きな改革を進めていく。その先にあるのが、憲法改正です。令和2年の年頭に当たり、新しい時代の国づくりへの決意を新たにしています。

 安倍内閣に対する国民の皆様の一層の御理解と御協力をお願いいたします。本年が、皆様一人ひとりにとって、実り多き、すばらしい一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。

令和二年一月一日
内閣総理大臣 安倍 晋三
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2020/0101nentou.html

全編が“ポエム”になっています。
ポエムというと小泉進次郎環境相が有名ですが、安倍首相はそれ以上かもしれません。
要するに中身がないので、言葉で飾るしかないのです。
「対米従属」を「日米は完全に一致」と言い換えたり、モリカケ問題や桜を見る会問題で嘘をついたりしているうちに、言葉で飾る能力が発達したようです。

なにかをやろうという意欲が感じられません。改憲に言及していますが、言葉だけです。
まったく空っぽでは具合が悪いので、東京オリンピック・パラリンピックを前面に打ち出して、格好をつけています。
日本政府があまり前面に出るとスポーツの政治利用になりますが、安倍首相はリオデジャネイロ・オリンピックの閉会式にもスーパーマリオの格好をしてサプライズ登場したくらいですから、当時から利用する気満々でした。


事実の誤認もあります。
安倍首相は1964年の東京オリンピックについて、「身体の大きな外国選手たちに全く引けをとらない日本人選手の大活躍」と言いましたが、そんなわけはありません。日本人選手が活躍したのは、ほとんどが体重別階級のある種目です。

1964年の東京オリンピックで日本人選手が活躍した種目は、体操、レスリング、柔道、ウエイトリフティング、バレーボールといったところです。
レスリング、柔道、ウエイトリフティングはもちろん体重別です。体操は体重別ではありませんが、相対して戦うわけではないので、身体の大きさはほとんど関係ない種目です。
そうすると、身体の大きな外国人選手に引けをとらずによく戦ったと言えるのはバレーボールだけです。
バレーボール以外の球技はまったくだめでしたし、陸上、水泳は各銅メダル一個でした。

逆に、柔道無差別級で日本人選手がオランダのアントン・ヘーシンク選手に敗れるというショックな出来事がありました。
当時、日本人の身体は今よりかなり小さくて、それは日本人のコンプレックスでしたが、「柔よく剛を制す」「相手の力を利用して勝つ」という柔道は日本人にとって精神的なよりどころでした。それが体の大きな外人選手に日本人選手が負けたので、日本人はみなパニック状態になるほどのショックを受けました。

ですから、安倍首相が「身体の大きな外国選手たちに全く引けをとらない日本人選手の大活躍は、子どもたちに、未来への希望を与えてくれました」と言ったのは、事実に反します。
ただ、バレーボール、とくに女子バレーは例外でした。安倍首相は女子バレーのことを言っているのかもしれません。

金メダルを取った女子バレーチームを率いた大松博文監督は、猛烈なスパルタ式指導で、体の小さかった日本人選手のチームを世界一にしました。大松監督は大人気になり、著書はベストセラーになって映画化もされました。のちには自民党の参議院議員にもなっています。
大松監督のスパルタ式指導、根性主義、精神主義は、日本のスポーツ界にひとつの流れをつくりました。
しかし、「身体の小ささを精神主義で補う」というやり方がうまくいくのは一時的現象です。日本のバレーボール界も結局長身の選手をそろえています。

大松監督は大河ドラマの「いだてん」にも登場しました。安倍首相(かスピーチライター)はそれを見て、年頭所感に取り入れたのでしょう。
しかし、大松監督のやり方は完全なパワハラで、今の時代にはまったく合いません。
やはりスポーツは精神主義ではなく合理主義でなければなりません。


精神主義にも存在理由はあります。昔、日本軍がアメリカ軍に対したとき、力の差を補うために精神主義を用いるしかありませんでした。それが戦後も惰性となって続き、とくにスポーツ界に生き残りました(大松監督はインパール作戦の生き残りでもあります)。
そして、安倍首相の頭の中にも生き残っているようです。

安倍首相のポエムは、内容のなさをごまかすためと、あと戦前的な精神主義からもきていると思われます。



安倍首相のポエムだけでは後味が悪いので、最後に天皇陛下の年頭の「ご感想」を張っておきます。

天皇陛下のご感想(新年に当たり)
令和2年 
上皇陛下の御退位を受け,昨年5月に即位して以来,国民の幸せを願いながら日々の務めを果たし,今日まで過ごしてきました。即位関係の諸行事を無事に終えることができ,安堵するとともに,国内外の多くの方々とお会いし,折々に温かい祝福を頂く機会も多かったこの1年は,私にとっても皇后にとっても誠に感慨深いものでした。
その一方で,昨年も台風や大雨により,多くの尊い命が失われたことに心が痛みます。寒さも厳しい折,住まいを失い,いまだ御苦労の多い生活をされている多くの方々の身を案じております。本年は、災害がない1年となることを祈ります。
新しい年が,日本と世界の人々にとって幸せな年となることを心より願いつつ,務めを果たしていきたいと考えています。
https://www.kunaicho.go.jp/page/gokanso/show/3