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2月24日にロシアがウクライナに侵攻してから3週間ほどたちますが、ウクライナ軍はけっこう善戦しているようです。
善戦の理由のひとつに携行式対戦車ミサイルと携行式対空ミサイルの効果が挙げられています。
とくに対戦車ミサイル「ジャベリン」がロシアの戦車や装甲車を多数破壊しているそうです。

歩兵が一人で敵戦車を破壊することができれば、“コストパフォーマンス”は最高です。
こういう有効な兵器が出てくると、戦車の価値も見直されるでしょう。

自衛隊も同じようなものを装備しているのかと思って調べると、「01式軽対戦車誘導弾」という国産品があり、2001年から制式採用されています。
赤外線誘導方式ということですから、ジャベリンと基本的に同じです。


戦車はもともと第一次世界大戦のときにヨーロッパで生まれたもので、ヨーロッパの平原や北アフリカや中東の砂漠ではきわめて有効な兵器です。
しかし、朝鮮戦争やベトナム戦争ではそれほど活躍しませんでした。
山地やジャングルでは戦車は使えません。

そうすると、日本で戦車は有効なのかということになります。
日本は山地が多く、平地には住宅が建ち並んでいます。
陸自は戦車の演習を富士の裾野や北海道でやっていますが、そういうところでしか使えないのではないでしょうか。
司馬遼太郎は戦時中は戦車兵で、戦争末期には関東にいましたが、上官に「敵が上陸してくると道路には避難民があふれると思いますが、どうすればいいですか」と聞くと、上官は「轢いていけ」と言ったそうです。

ですから、日本には昔から「戦車不要論」があって、必要か不要かでずっと議論が行われてきました。
検索してみると、戦車必要論者は決まって「軍事の専門家で戦車不要論の人はいない」ということを論拠にしています。
しかし、軍事の専門家はたいてい利権まみれの人ですから、説得力はありません。

ウクライナでの携行式対戦車ミサイルの威力を見ると、戦車不要論に拍車がかかります。
戦車を保有する代わりに携行式対戦車ミサイルを大量に保有したほうが効果的で、安上がりです。
日本の地形だと、物陰から容易に敵を狙い撃ちできるので、ウクライナよりもさらに有効でしょう。


日本に敵が上陸してくることを考えているのは、もしかして私ぐらいかもしれません。
中国軍にもロシア軍にもそんな戦力はないからです。
それに、日本に攻めてくる理由もありません。

戦争を始めるにはなんらかの理由が必要です。
ロシアは一方的にウクライナに攻め入ったようですが、ロシアにもそれなりの理由があります。
国際紛争解決が専門の伊勢崎賢治東京外大教授はこのように指摘しています。

今回、ロシアはウクライナからの独立を主張する「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」(ウクライナ東部の武装勢力が14年にウクライナから「独立」を宣言した政権。ロシアは22年2月に国家として承認し、同盟を結んだ)の要請に応じ、ウクライナの攻撃からこれらの政権を守るために武力を行使した、と言っている。つまり侵略ではなく、国連憲章が認めた集団的自衛権の行使だ、という主張です。
https://mainichi.jp/articles/20220304/k00/00m/040/254000c

ウクライナがロシアの同盟国を攻撃しているので、同盟国を守るためにロシアはウクライナに侵攻したという理屈です。
ロシアの主張はまったく自分勝手ですが、ただ、ウクライナにおけるロシア系住民が迫害されてきたのも事実です。ですから、ロシア国民にも今回の戦争を支持する声が一定程度あります。
国と国が陸続きだと、国境線と民族、言語が食い違って、そこに侵略を正当化する理屈が生まれます。

しかし、日本は島国ですから、ロシアにしても中国にしても、日本を侵略することを正当化する理屈はつくりようがありません。
なんの理由もなく侵略すれば、国際的非難を浴びるだけです。

ですから、日本がウクライナのように侵略される可能性はまったくありません。
日本国民もそのことはわかっています。
いや、国民だけでなく自衛隊もわかっているようです。

自衛隊は自分たちが戦争することを想定していないのではないでしょうか。
それは自衛官募集のポスターを見ればわかります。

自衛官募集のポスターというと、昔は制服姿の若い男女が凛々しい表情で空を見つめているといったものでしたが、今はほとんどがかわいいアニメのキャラクターが出てくるポスターになっています。
それは「自衛隊のポスター」で画像検索した結果を見ればわかります。

自衛隊(防衛省)はこうしたアニメキャラのポスターを推奨しているようです。
「自衛官募集」のホームページの「“チホン”のポスター」には、人気のポスターとしてアニメキャラのポスターをいくつも紹介しています。

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こういうポスターを見て自衛官になろうという人が果たして戦力になるのか疑問です。
また、こういうポスターで人を募集しようという自衛隊も本気で戦争を考えているのか疑問です。

日本は島国である上に、外国から侵略される理由もないので、この上なく安全です。
自衛隊もそれに適応しているのでしょう。

私は戦車だけでなく空母いずもも弾道ミサイル防衛システムも必要ないのではないかと思います。
敵が上陸してきたときに撃退するか食い止めるだけの戦力があれば十分です。
それがどの程度の戦力かはウクライナ軍の戦いぶりから判断できます。
現在の自衛隊は海外派遣仕様になっているのです。


日本は2015年に安倍政権が解釈改憲により集団的自衛権行使容認に踏み切りました。
安倍元首相は「台湾有事は日本有事」と発言しているので、日本が中国と台湾の戦争に介入するということがあるかもしれません。
そうなると、外国から侵略される理由ができてしまいます。

他国の戦争に首を突っ込むほど愚かなことはありません。