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いよいよ消費増税の日が迫ってきました。

「今回は軽減税率が適用される」とよく言いますが、この言い方が気に入りません。
「軽減税率」と「軽減でない税率」の両方があるのに、軽減税率のことばかり言うのは、増税のイメージをごまかしているのではないでしょうか。

調べると「複数税率」というのが正式な言葉としてありました。
しかし、「複数」というのも正確ではありません。百も千も複数です。
「二重税率」というのが正確です。
「これから消費税は二重税率になります」と言うべきです。


二重税率は、外食か持ち帰りか、飲食品か医薬品・酒か、おまけつきの食品はどちらかなど、判断に迷うことが多々あります。
ポイント還元策もわけがわかりません。
金額は小さくても、この煩雑さによる心理的負担で国民の幸福度が確実に下がります。

安倍政権が二重税率にしたのは、ひとつには公明党が強硬に主張したからです。
公明党が低所得者の多い支持層に配慮したのはわかります。
しかし、低所得層のことを考えるのなら、累進課税の強化などの金持ち増税を主張するべきです。
金持ち増税をすれば、消費増税の必要はなく、二重税率の煩雑さもありません。

それから、新聞業界も二重税率を強硬に主張しました。読売新聞の渡辺恒雄氏の政治力が大きかったようで、新聞にも軽減税率が適用されることになりました。
飲食品に軽減税率を適用するのは低所得層への配慮としてわかりますが、新聞は生活必需品ではなく、トイレットペーパーや洗剤などを差し置いて新聞に適用されるのは異様です。

公明党と新聞業界のゴリ押しで消費税はおかしな二重税率になったのです。


現在、国民は煩雑な二重税率に不満を持っていますが、政府に対する批判の声はほとんどありません。
その理由は簡単で、新聞が批判をしないからです。
テレビは前からほとんど政権批判をしなくなりました。


これから私が気になるのは、新聞のことです。
軽減税率の適用が「飲食品と新聞」というのはいかにも異様です。「新聞は贅沢品だ。軽減税率の適用をやめろ」という声がいつ出ても不思議ではありません。

今回の増税が新聞にも適用されていれば、購読者数は多少はへったかもしれませんが、たいしたことはないでしょう。飲食品以外のすべてのものが値上がりするのですから、新聞にだけ特別な変化が起きるわけありません。

しかし、今後、新聞に軽減税率の適用を外して、新聞だけが値上がりすることになれば、これを機会に家計を見直して、新聞の購読をやめようという世帯が相当数出てきてもおかしくありません。
そうなれば新聞社の経営に大打撃です。

新聞が政権批判を強めると、与党の幹部が新聞への軽減税率適用除外をちらつかせる。それだけで新聞社は震え上がる、という構図が目に見えます。
その際、世論は新聞の味方になりません。もともと「飲食品と新聞」というのが異様なので、むしろ“新聞特権”批判が巻き起こりかねません。

政府批判をしない新聞に存在意義はありません。

新聞業界は、目先の利益を得るために、自分で自分の首を絞めたのではないでしょうか。